合宿6日目を無事に終えた青道野球部。
夕食をテーブルに置き
栄純(終わったぁー。キツかった合宿も、後は試合を残すのみ・・・)
惇「ふぅー・・・」
暁「・・・。」
そう思った栄純。その隣には、惇と暁も疲れ切った表情を浮かべていた。
その後ろで
御幸「いっただきまーす!」
御幸が飯を食おうとしていたので栄純と暁は
栄純「てゆーか・・・アンタ、惇ばっかり受けていつになったら俺の球受けてくれんだよ!!試合は明日なんだぞー!!」
御幸「ん・・・俺?」
御幸に詰め寄った。
栄純「なんかほらあるじゃん!!明日に向けて打ち合わせとか、心構えとかよ!!何で惇ばっか・・・!!」
暁「そーだそーだ。」
しかし
御幸「何言ってんだお前ら・・・。足立と違って変化球も投げられない癖に何打ち合わせるんだよ?」
御幸は本気で驚いた表情を浮かべてそう返した。
ズガガーン
惇「あ、アハハ・・・」
御幸「疲れもかなり残ってるだろうし、2人共明日は派手に散れ!打たれるのも練習ってなー!はっはっはっはっ!!」
それを聞いて
暁(変化球・・・)
暁は先日御幸と話した事を思い出した。
回想
御幸「おい降谷。今までは変化球無しでやってこられたが、これからは違う。」
御幸「他校に研究されて、高めのボール球を見送られるようになったらアウトだ。もっと走り込んで、コントロールを安定させねーとな・・・」
御幸「それに、爪に負担をかけずに投げられるボールだってある。ヒマさえあれば、こうしてボールを指に挟んでろ。」
そう言うと、御幸はボールを挟んで暁に言った。
暁「!」
御幸「昔ある大投手は、一升瓶を指に挟んで持ち上げたらしーぜ!」
御幸「それにこのボールは、足立が投げる変化球の中で一番のキレを誇るボールだからな。現にお前も見てるぞ。」
暁「え?」
御幸「何にも知らねーんだな。まっすぐとほぼ同じスピードでバッターの手元で真下にスッと落ちる球あったろ?アレだよ。」
暁「・・・アレがですか?」
御幸「まあ、アイツはここまで挟んでないけどな。握りはこうで、挟み具合はこのぐらいだ。」
そう言うと、御幸は握りを変えて暁に見せた。
暁「握りが浅い。」
御幸「フォークというよりかはSFFだ。しかし、アイツはそれ以外の変化球もキレ鋭い。だからあの伸び上がる真っ直ぐが活きる。」
御幸「まあ・・・フォークは肘に負担がかかるから、あまり投げさせねーけどな。現に足立本人も、SFFを投げるのは2~3球程、多くても4~5球程だって言うしな。それに、あのスライダーも肘に大きな負担がかかる。」
暁「スライダーって、あの真っ直ぐとほぼ同じスピードで真横に曲がるボールですか?」
御幸「あれは普通のスライダーじゃない。」
御幸「普通のスライダーの握りはこうで、投げ方はこう手首を捻って投げる。そして、こういう軌道で曲がる。」
御幸「だがアイツのスライダーは、こういう握りをして、手首を捻らず指で上から下へボールを切るように強いスピンをかけてんだ。それにより、普通のスライダーと違って、ほぼ真っ直ぐに近い軌道から真横に曲がっていく。それにより、SFF同様真っ直ぐの区別がつかないんだ。リリースもフォームもまっすぐと一緒だから尚更な。」
御幸「まあともかく、1つでも変化球があれば・・・お前のストレートをもっと活かしてやれる。」
御幸「もっともっと俺を楽しませてくれよ、怪物くん♡」
回想終了
思い出した暁だが
暁「・・・。」
暁(すっかり忘れてた・・・)
忘れていた。
・・・おい。
栄純「それがキャッチャーの言う台詞かぁー!」
御幸「だから・・・俺先輩・・・」
栄純「クリス先輩を見習えー!」
惇「そこまでにしろ、栄純。言われて悔しかったら結果で答えろ。」
惇にそう言われると
栄純「・・・分かったよ。」
栄純はそう言い、御幸から手を離した。
一方
春市「・・・。」
春市は今日の出来事を思い出していた。
片岡『1年小湊は外れてろ。』
亮介『・・・クス。怪我しちゃうってさ・・・』
結城『もう・・・1球・・・お願いしま・・・す・・・監督・・・』
それらを思い出して、自らの力の無さに悩んでいた。
その日の深夜、春市はベッドに横になっても寝れなかった。
その時
前園「おい小湊。まだ起きとるか?」
前園が小湊に尋ねた。
春市「あっ、はい・・・何か眠れなくて。」
前園「なら、俺のスイング見てくれや!どうしても、バットが下から出とる気がしてな。」
春市「今からまだ振るんですか?」
前園「当たり前や!お前らの練習にだけ付き合ってられるか!」
前園「力の無い者は、努力するしかないからな・・・」
この言葉に
春市「!」
春市は何かを感じ
春市「・・・あの、自分も一緒に振って良いですか?」
と、前園に言った。
前園「は?あ、アホか!!お前はこれ以上努力せんでええ!!」
春市「お願いします!」
前園「だからやる気出すなや!!」
そう言いつつも、前園は春市と一緒に素振りをしたのだった。
その様子を、亮介は兄の顔を浮かべながら聞いていたのであった。
投稿出来ました。
オリジナル話を少し入れてみました。
主人公のSFFは、下記動画の通りの握りと投げ方を参考にしております。
https://www.youtube.com/watch?v=PLwHk7u1CtA&t=958s
僕個人、この人のピッチングを見てなかったら野球を好きになってなかったですね・・・。
人生って、本当に分かんないです・・・。
それでは、また。