青道と大阪桐生との練習試合はテンポ良く進み、6回表一死で5-1と青道がリードをし、一塁にランナーを置いていた。
その初球
キーン
惇「ショート!」
倉持「任せろ!」
打球はショート正面に行き、倉持は捕ってベースに入った亮介に転送し、受け取った亮介はそのままステップを踏みファーストへ送球した。
「アウト!」
塁審のコールをもって6-4-3のゲッツーが成立し、チェンジとなった。
これに、試合を観戦しに来ていたギャラリーは大盛り上がりだった。
「おおーっ!!6-4-3のゲッツーでスリーアウトチェンジだ!」
「ああ!まるで流れるようだったぜ!」
「流石倉持・小湊ペアだ!」
しかし
「ここまで6回1失点。桐生相手に良いピッチングだけど・・・」
「ああ・・・奪った三振は僅かに4つ。何か物足りねーな・・・」
「今日は調子が悪いのかな・・・?」
その反面、そういった声も聞こえた。
そんな声は勿論、青道ベンチにも聞こえており、その声は記録員としてスコアブックを書いていたクリスも耳に入っており、その中で2人の1年生ピッチャーを見る。
クリス(どうやら、まだ分かってないようだな・・・)
2人を見たクリスは、御幸に目配せをした。
それを見た御幸は、クリスの視線を察し、栄純と暁に近付いた。
御幸「どうした?何やら難しそうな顔をしながら見ているようだが。」
この問いに
栄純「クリス先輩に、今日の惇のピッチングをよく見ておけって言われたんスよ。」
暁「僕達にとって良い見本になるって。」
2人はそう言った。
御幸「成程・・・。その様子じゃあ、答えが分かってねーようだな。」
これに、2人は首を縦に振った。
この素直な行動に、御幸は苦笑を浮かべながら肩を竦めた。
御幸「まっ。6回1失点って聞いたら良いピッチングだ。ただ、内容は被安打5、4奪三振といういつもと比べれば物足りねーな。現にボールもそこまで本調子じゃない。」
でもな、と御幸は続け
御幸「さっきのバッター、何球目に打ったか覚えているか?」
栄純「え?初球・・・」
御幸「じゃあその前にヒットを打ったバッターは?」
暁「・・・2球目。」
御幸「その前は?」
栄純「確か3球目・・・」
御幸「今の足立の球数は57球。点を取られた初回も7球しか投げてない。それ以降も然程多くの球数を投げてないし、このまま行けば9回まで投げても90球少しいくかどうかだろう。」
御幸「それに、今日のアイツはタイムリーヒットを打たれたか?」
栄純「・・・そう言えば。」
暁「打たれてない。」
御幸「そう。今日のアイツは1失点だが、この1失点は犠牲フライによる失点だ。それ以降もランナーを背負っても要所を締めるピッチングをして相手に流れを渡してねえ。それにテンポも良いからバックも守りやすいし、その勢いで攻撃に入れて5点も取ってくれてる。」
これに
栄・暁「「!?」」
栄純と暁は目を見開いた。
御幸「何もがむしゃらに全力で投げたり、三振を奪ったりする事が投手の仕事じゃないし、ピッチングでもない。如何に調子が良かろうが悪かろうが、試合を作り、しっかり投げきる。それが先発として、エースとしての条件だ。」
栄純「エース・・・」
暁「・・・。」
これに、ライバルの2人はドリンクを飲んでいる惇をジッと見つめた。
御幸(そりゃあ・・・悔しいよなぁ・・・。自身とライバルの差がこれだけあるという事に・・・)
その様子を、御幸は見ながらそう思った。
そして、青道の攻撃が三者凡退に終わり、7回に突入した。
惇「カズさん。ちょっと良いっすか?」
御幸「ん?」
惇「この回、ギア上げても良いっすか?」
御幸「・・・良くなったか?」
惇「はい。」
御幸「・・・分かった。それじゃあ、頼むぞ。」
そう言い、御幸は戻ってマスクを被った。
御幸(さて・・・この回の先頭打者はこの人だ・・・)
打席に立った大阪桐生のエース、舘を見た。
御幸(ここまで5失点してるとはいえ、調子も上がってきた。打つ方もまだノーヒットとはいえ、全国トップクラスの実力を誇る大阪桐生のエースで4番の人だ。油断は出来ねー。)
御幸(けど・・・本当に試合が好きなんだなぁ・・・笑顔がこえー・・・)
御幸(力でねじ伏せるぞ!)
そう思い、ミットを構えた。
その初球
ズバアアンッ!!
先程までの回とは違う伸びのある真っ直ぐが、外低めに投げられた。
これには
舘「っ!?」
舘の顔から笑顔が消えた。
舘だけじゃなく
「な・・・何やあれ・・・」
「さっきまでとは違う球やったで・・・」
「マジでホンマに浮き上がった・・・」
松本「・・・。」
桐生のベンチも同様だった。
クリス「どうやら、調子が上がってきたようですね。」
片岡「ああ。ボールの伸びが先程までとは違う。」
そして2球目
キーン
「ファール!」
舘「くっ!」
ほぼ真ん中の真っ直ぐだったため、打ちにいったが、振り遅れてファールになった。
舘(何やこれ・・・ビデオの通り、伸び上がって・・・!?)
そして
御幸(得意なボールでねじ伏せろ!)
御幸は立ち上がって高めに構えると、惇は3球目を投げ
ズバアアンッ!!
舘を高めの真っ直ぐで空振り三振に打ち取った。
結城「今日一番のボールだったぞ。」
伊佐敷「良い球じゃねーか!コラァ!」
亮介「ナイスピー!」
倉持「流石じゃねーか!」
増子「うむ!」
そして、次の5番バッターの初球は真っ直ぐが高めにいったが2球目
ズバアアンッ!!
伸びのある真っ直ぐが外低めにいき
「・・・。」
バッターは冷や汗を掻いていた。
(先程とはエラい違いや!真っ直ぐのタイミングで合わせな・・・!)
そう思って始動を早めようとしたが
「!」
次の球は緩いカーブだったため、腰砕けの姿勢で空振った。
そして
ズバアアンッ!!
3球目のインハイのボール球に空振り、三振を喫した。
松本「・・・ビデオで見たとおりや。本来の姿に戻っとるわ。」
これに、松本は冷や汗を掻きながら見ていた。
次の6番バッターには初球カーブでストライクを取って次の2球目
(真っ直ぐや!)
そう思って打ちにいったが
ストン!
「!?」
SFFに空振り
(何やと!?真っ直ぐと同じスピードで落ちよった・・・!!)
そして、3球目
ズバアアンッ!!
惇の高めの真っ直ぐで空振り三振に打ち取り、この回は三者連続三振に抑え
惇「シャアアアッ!!」
それと同時に惇の雄叫びが響いた。
「うおっ!三者連続三振!!」
「この回は完璧だったぞ!」
「なんつー雄叫びだよ!」
「スゲー気迫!かつての片岡監督の再来だな!」
これに、ギャラリーは大盛り上がりだった。
これをベンチで見ていた
栄純「・・・。」
暁「・・・。」
栄純と暁は絶句した表情で見ており
春市「はは・・・やっぱり凄いね、足立君は。」
春市はただ賞賛の言葉を述べるしかなかった。
そして、この勢いで惇は残りの2イニング6つのアウトのうち5つを三振に打ち取り、被安打5の12奪三振1失点完投勝利をあげ、しかも7回から9回までの3イニングは無安打8奪三振という圧巻のピッチングであった。
投稿出来ました。
大阪桐生の練習試合を少しオリジナル風に書きました。
描写が下手くそで大変申し訳ございません(土下座)
7回の三者連続三振は、下記動画を参考にしました。
https://www.youtube.com/watch?v=7wO4F_v9uDw
本当は別の三者連続三振を使おうと思ったのですが、妥協して上記の動画のシーンをベースにしました。
それでは、また。