9回の表。青道の攻撃は倉持から始まった。
惇「ふぅー・・・」
その時、惇は水を飲んで腰掛け、背を凭れていた。
肉体的にも精神的にも疲労が流石に本人も感じていた。何より、こちらが先攻なだけにここで点が入らずに1点取られれば負けという事が、辛いのかもしれない。
栄純「惇・・・」
暁「・・・。」
春市「足立君・・・」
その様子を、栄純達はただ見る事しか出来なかった。
片岡「足立。まだ行けるか?」
すると、片岡が惇にそう尋ねると
惇「全然、余裕っすよ。つーか、援護が来るまで抑えますよ。」
惇「丹波さんは言いました。マウンドに上がった者がエースだと。」
惇「なら、今マウンドにいる俺が点を取られなければ良いんすよ。」
惇「味方が点を取ってくれるまでいかに粘れるかが本当のエースっすよ。点を取れないのだったら、取ってくれるまで俺が我慢して0点に抑えれば良いだけっすよ。」
惇はそう答えた。
それを聞いた片岡は
片岡(足立・・・)
何も言えなかった。
しかし、まだ1年生。現在記録員としてチームに貢献しているクリスの怪我を見逃した身としては、慎重にならざるを得なかった。
片岡「御幸。」
御幸「はい。」
そう思った片岡は、密かに御幸を呼んで、こう言った。
片岡「これ以上は無理だと思ったら、サインを出せ。交代させる。」
御幸「っ!」
これに、御幸は驚いた表情を一瞬浮かべたが
御幸「・・・分かりました。」
すぐに冷静な表情に戻り、承諾の言葉を言った。
それと同時に
『空振り三振ー!!本郷、この回も3者凡退に抑えましたー!!』
青道の攻撃が終わり、無得点だった。
惇「さあ、ここも抑えましょう!」
そう、惇はグローブを持ってマウンドに向かった。
そして、巨摩大藤巻の攻撃は2番という好打順から始まった。
その初球は真っ直ぐから入ったが、ボールとなった。
2球目も真っ直ぐが高めに外れ、ボール。
3球目はスライダーが外れ、4球目
『ストレートが外に外れフォアボール!!足立、先頭打者を出してしまいました!!』
フォアボールとなってしまい、先頭を出してしまった。
続く3番が打席に立って
御幸(どう出る・・・?送るか・・・それとも・・・)
御幸はじっくりと観察したが、その初球
コツン
バントで確実にランナーをスコアリングポジションに進めて、4番を迎えた。
そして、惇は帽子を取って
『気力一瞬』
とつばに書かれてある自身の座右の銘を見て、スイッチを入れた。
その初球
ズバアアンッ!!
『初球140㎞ストレートでストラーイク!!』
真っ直ぐでストライクを取った。
結城「ナイスボール!」
亮介「良いよ良いよ!ボール来てるよ!」
倉持「いつも通り行け!」
増子「うがっ!」
バックは、惇を声で後押しした。
門田「ナイスボール!」
春市「ボール来てるよー!!」
栄純「ナイスボール!」
暁「ナイスボール!」
ベンチも、惇に声援を送り
吉川「ナイスボール!」
藤原「ナイスボール!足立君!」
梅本「ガンガン攻めろー!!」
唯「惇くーん!!」
スタンドも、マネージャー組らが必死に声援を送っていた。
2球目
キン!
『ファール!追い込みました青道バッテリー!』
高めの真っ直ぐをファールにした。
3球目はスローカーブが外れ
御幸(次はこれだ!)
御幸はあるボールのサインを出した。
それを見た惇は頷き、足を上げて投げた。
ストンッ!
惇「らああああっ!!」
そのボールは、SFFだった。
低めに投げ込まれたボールは、バットの空を切って空振り三振に打ち取り、雄叫びを上げた。
『三振ー!!最後は火の玉ストレートと並び伝家の宝刀、SFFで空振り三振に打ち取りました!!』
『これっていう最高の球でしたね!!』
そして、二死二塁で迎えるは、円城だった。
円城(相変わらずタフだな・・・かなり球数放ってる筈だが・・・)
そう思い、打席に立った。
その初球
ズバアアンッ!!
円城「っ!」
高めに143㎞の真っ直ぐが投げ込まれた。
円城(ったく・・・まだこんな底力があるなんてな・・・)
これに、円城は内心苦笑いを浮かべた。
しかし、その球は良いボール過ぎて、僅かに外れてしまっていた。
円城(恐らく次の投げるボールは・・・)
御幸(次は・・・)
惇(あれっすよ、カズさん!)
惇・御・円(((SFF!!)))
この時、惇と御幸はSFFでいこうと思い、円城も次の球はSFFで来ると予想し、狙っていた。
その2球目に、SFFを投げた。
そしてこれが、この試合127球目だった。
キーン!
円城はそれを打ち返し、マウンド左方向に弾き返した。
打球はセンターに抜けようかと思ったが、何とか亮介が飛び付き、捕った。
倉持「亮さん!」
それを見た倉持は、亮介にそう言い、亮介は倉持にトスした。
受け取った倉持は、一塁に送球したが僅かに逸れ、結城が目一杯体を伸ばして捕球し、円城はヘッドスライディングをした。
そして
「セーフ!」
一塁審の手は、左右に動いた。
惇(ヤバイ!!)
それを見た惇は、そう思い後ろを振り返ったら、セカンドランナーが三塁を回り、一気にホームまで突っ込んでいった。
この時、惇の目にはスローモーションに見えた。
「「「バックホーム!!!」」」
青道ベンチも、皆そう叫び、結城はホームに送球した。
受け取った御幸はタッチしようとしたが、間に合わずホームインを許してしまった。
その瞬間、9回裏のスコアボードにゼロ以外の数字、1が刻まれ、青道の準優勝が決まり、巨摩大藤巻の優勝が決まったのであった。
投稿出来ました。
このシーンですが、下記動画を参考にアレンジしてみました。
https://www.youtube.com/watch?v=jeJ0l1D3Pv0
というよりかは、この決勝戦の試合そのものが上記の試合なんですけどね・・・。
この試合、僕は家で観てました。
あの試合が決まった瞬間から次の朝までの記憶が全く無くて、今でも思い出せません。
ただ、親に聞いたら、『テレビの前で呆然としながら涙を流していた』らしいです。
僕自身、ある意味一生忘れられない試合です。
今でも、この動画を見るだけで泣きそうになってしまいます。
けど、これらのような時期があったから、ホークスは強くなったのかなと思いました。
長文ですいません。
それでは、また。