甲子園の激闘から数日が経ち、東京に戻った青道高校。
2日ほどの休みを貰い、野球部は新チームが始動し、御幸がキャプテンとなった。
しかし、この中に1人だけグラウンドにいなかった。
片岡「・・・足立は?」
片岡は、いない惇を高島先生に尋ねた。
高島「・・・倉持君によると、まだ塞ぎ込んでいるようです。」
これに
片岡「・・・そうか。」
片岡はそう返した。
高島「・・・どうしますか?呼びますか?」
片岡「いや。暫くそっとしておいてやれ。」
高島「はい・・・」
そう、片岡は高島先生に言った。
それから3日経っても
「何やってんだ足立・・・」
「今日で3日目だぞ?」
足立はグラウンドに顔を出さなかった。
太田部長「お前1人のせいで負けたわけじゃない。何度もそう言ってるのに・・・」
太田部長「監督!私が部屋に行って出してあげましょうか?」
これに、太田部長は片岡にそう言ったが
片岡「良い。放っておけ。」
片岡にそう返された。
太田部長「し、しかし・・・アイツは新チームのエースに・・・!」
太田部長「このままじゃ、チームに影響が・・・!」
これに、太田部長がそう言うと
片岡「アイツを信じてやってくれ。」
そう、片岡は太田部長に言った。
太田部長「か、監督・・・」
高島「・・・。」
そして、1週間が経った。
倉持「よーキャプテン。どーすんだよ?」
惇は未だにグラウンドに顔を出さなかった。
これに
御幸「何が?」
倉持「足立だよ!足立!!」
倉持「甲子園の決勝、最後は打たれちまったけど、誰もアイツの事責めてねーし、この新チームのエースになるんだぜ。アイツがいるいないじゃ、チームの士気に関わんじゃねーのかよ?」
倉持は御幸に惇の事を話していた。
御幸「ふーん・・・随分気に掛けてんだな。」
倉持「違げーよバカ!!いつまでも部屋で落ち込まれても鬱陶しいだろ!!」
倉持「沢村も、何とか声をかけているんだが、全部空回りしてよ・・・」
御幸「今は後輩を気遣うよりも、センバツに向けてどう戦っていくかが先なんじゃねーのか?」
倉持「そりゃそーだけどよ!アイツはほら、投打においてチームの中心だし・・・」
御幸「大会が近付いた今、優先すべきは個人よりチーム。お前もそれは分かってんだろ?」
しかし、御幸は終始冷徹な態度を崩さなかったため
倉持「んな事は分かってんだよ!けど先輩として、ルームメイトとして、放っとくわけにはいかねーだろーが!」
倉持は御幸の胸ぐらを掴むかの勢いで怒鳴った。
前園「お・・・おい倉持。」
白州「やめろ、倉持・・・」
これに、たまたま近くにいた前園と白州が止めに入った。
御幸「・・・あの試合、ああいう結果になったのは俺にも原因がある。5回に球数を放られた時、もっと早く相手の作戦に気付いて対策を取っていたらと。9回の先頭のフォアボールの後、一言でも声をかけていたらってな。」
倉持「っ!」
御幸「あの日は、アイツなりにチームのために全てを背負ってマウンドに立って必死に腕を振っていたんだろう。ボールにも、その気持ちが伝わってきた。」
御幸「現にアイツはこうも言っていた。『背負える物は全部背負ってマウンドに行く』と。」
御幸「だから、甲子園の決勝戦というマウンドではいつも以上にアドレナリンが出ていたから、アイツはそれに気付けなかった。」
御幸「もしかしたら、試合が始まる前から負けていたのかもしれないな。」
と御幸は言った。
倉持「!」
倉持「そ・・・そこまで分かってんなら・・・何で・・・?」
この問いに
御幸「大事な戦力だからに決まってるだろ?まだまだ成長出来るし、してもらわなきゃならねぇ・・・」
御幸「1つの負けなんかで潰れてもらっちゃ、こっちが困るんだよ!」
そう、御幸は強い意志の籠もった目で返した。
これに倉持は
倉持「お前・・・言ってる事無茶苦茶だぞ。」
御幸「知ってる。」
そう、御幸に返したのだった。
その日の夕方
惇「・・・。」
惇は変わらずベッドの上で塞ぎ込んでいた。
その時
ガチャ
誰かが部屋の中に入ってきた。
そして、惇のベッドに入り
パンッ!
惇「っ!?」
頬を叩いた。
その者は
唯「いつまで塞ぎ込んでるの!」
惇「ゆ・・・い?」
唯だった。その目は、薄らと涙を浮かべていた。
唯「結城先輩に何て声をかけられたか、忘れたの!」
惇「っ!」
この時、惇は結城にかけられた言葉を思い出した。
回想
結城「もう一度、ここに戻ってこい!そして、忘れ物を取り戻してこい!」
回想終了
惇「・・・覚えてる。」
これに、惇はそう唯に言った。
すると
そっ
唯は、惇を優しく抱き締め
唯「だったら、もうこれ以上苦しまないで。惇君の気持ち、私も一緒に背負ってあげるから。」
そう、耳元で囁いた。
惇「うっ・・・ぐすっ・・・唯・・・」
すると、惇は泣きながら唯にしがみついた。
唯「大丈夫・・・大丈夫だからね、惇君・・・」
そう、唯は優しく惇の頭を撫でながら涙を流していたのであった。
投稿出来ました。
甲子園が終わって、東京に戻った後のお話を書きました。
オリジナルなので、相変わらず上手く書けたか分かりませんが・・・。
それでは、また。