ダイヤのA〜世代最強右腕〜   作:ホークス馬鹿

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82話です。


82話

東東京の名門、帝東相手に被安打1の7奪三振と圧巻のピッチングを見せる惇。

それを、とある2人の少年が見ていた。

 

??「やっぱスゲぇな、あの人・・・」

 

??「甲子園の時よりまた更にボールが鋭くなったし・・・」

 

??「光舟、お前もそう思うだろ?」

 

??「・・・ああ。」

 

その2人は、瀬戸拓馬と奥村光舟。2人は惇のシニアの後輩で、惇のピッチングを見るために来ていた。

初回から圧巻のピッチングを見せる惇に、瀬戸はただ舌を巻くしかなかった。

しかし

 

光舟「・・・でも、惇さん本調子じゃない。」

 

拓馬「えっ?」

 

光舟「多分だけど、自分のボールを思い通りに操れてないんだと思う。」

 

光舟は、惇の状態を即座に見抜いていた。

 

拓馬「そうなのか?」

 

光舟「その証拠に、毎度指を擦る仕草をしていた。」

 

拓馬「そう言えばそうだったな・・・」

 

光舟「俺の勘が正しければ、内心相当苛ついてる筈。」

 

これに

 

拓馬「へえ・・・流石惇さんをよく見てるな・・・」

 

拓馬はそう光舟をからかった。

 

光舟「別に・・・」

 

拓馬「まあその分、お前は惇さんに相当首振られたけどな。」

 

光舟「まあ・・・あの人は結構我儘な一面あったし・・・」

 

拓馬「お前もハッキリと物言うし。」

 

光舟「うるさい。」

 

拓馬「はは!」

 

そういうやり取りを2人はしていた。

一方、マウンドに上がった向井は

 

向井(クソッ・・・!気に入らねぇ・・・!)

 

向井(何でだ・・・何でお前は俺より先に・・・!)

 

惇のピッチングに苛立ちを感じていた。

そんな心理状態でマウンドに上がれば

 

キーン!

 

向井「!」

 

先頭の御幸にあっさりツーベースを許してしまう。

続く前園にも

 

キーン!

 

ツーベースを打たれ、3-0と追加点を許してしまった。

 

向井(そんな・・・!)

 

続く白州にもツーベースを打たれ4-0。樋笠にはセカンドゴロによる進塁打を打たれ、麻生に犠牲フライを打たれ、5-0になった。

ここに来ての失点は、勝負を決定づけるものとなった。

5回表の惇のピッチング。

乾をキャッチャーフライに打ち取り、5番6番を真っ直ぐで連続三振に打ち取った。

その裏、帝東は向井から2年生ピッチャーをマウンドに上げ、その回は無失点に抑えた。

6回に入り、帝東は先頭の7番がヒットで出塁したが

 

ズバアアンッ!!

 

惇「シャアアアッ!!」

 

8番を空振り三振、9番をセカンドゲッツーに打ち取り、このイニングも無失点に抑えた。

その裏、前園がアウトになったが、白州のツーベースヒットと樋笠のタイムリーで6-0になり、7回に突入した惇のピッチング。

 

ズバアアンッ!!!

 

「・・・は?」

 

先程までとは明らかにボールの伸びが違っており、帝東の1番は球速表示を見ると

 

「っ!」

 

『143㎞』と表示されていた。

 

「・・・何なんだよ。」

 

(明らかにさっきより伸びてんじゃねーか!)

 

(つーか、ここで自己最速タイだと!)

 

これには、帝東の1番は冷や汗を掻いた。

 

御幸(いってー!ギアが上がったな・・・!)

 

御幸は、惇のボールが上がった事に気付き

 

御幸(マズいな・・・手が痺れて・・・)

 

左手が痺れてきたのを感じた。

そんな中、真っ直ぐ2球で追い込み

 

御幸(これで決めるぞ!)

 

あるボールのサインを初めて出し、惇は頷いて投げた。

そのボールは

 

ストンッ!

 

SFFでバッターは空振り三振となったが

 

「後ろに逸らしたぞ、走れ!」

 

ギアが上がった時の惇のSFFは、御幸の想像以上のキレを生み、後ろに逸らしてしまった。

その結果、1番を空振り三振にしたが、振り逃げで一塁に行かせてしまった。

 

御幸「悪い、足立。」

 

これに、御幸はマウンドに行き、惇に謝った。

 

惇「良いっすよカズさん。切り替えていきましょう。」

 

御幸「ああ。」

 

しかし、惇はそう御幸を励ました。

 

拓馬「今の、SFFだよな・・・」

 

光舟「ああ・・・想像以上のキレだな・・・」

 

見ている2人は、惇のSFFのキレに驚きを隠せなかった。

 

拓馬「光舟、お前はあのボール捕れるか?」

 

この質問に

 

光舟「捕れないと思う・・・」

 

光舟は正直に答えた。

 

拓馬「・・・そうか。」

 

しかし

 

光舟「けど・・・」

 

拓馬「?」

 

光舟「身体で止めてみせる・・・!」

 

拓馬「光舟・・・」

 

光舟はそう強い意志の籠もった目でそう答えた。

そして、次の2番には初球スローカーブを投げ、2球目にはスライダーを投げたのだが

 

ククッ!

 

御幸「くっ!」

 

御幸はそれも上手く捕れず、一塁ランナーを二塁に行かせてしまった。

そして、2番はセカンドゴロに打ち取ったが二塁ランナーはそのまま三塁に行った。

 

拓馬「スライダーのキレも上がってんな・・・!」

 

拓馬「御幸さんも苦労してんな・・・」

 

光舟「・・・。」

 

前園「1アウト!」

 

倉持「1つずつ行け!」

 

春市「打たせていこう!」

 

バックも、惇にそう声をかけていた。

そして、次の3番の初球

 

ズバアアンッ!!!

 

143㎞の真っ直ぐを投げ、1ストライクを取った。

 

御幸(くっ!明らかにボールのキレが上がってる・・・!)

 

御幸(目で追い付くので精一杯だ・・・!上手くミットに収まんねー!)

 

御幸は、惇のボールに何とか受け止めようと精一杯だった。

2球目はスローカーブが外れボールになり、3球目

 

キン!

 

142㎞真っ直ぐをファールにし、追い込んだ。

そして4球目

 

ストンッ!

 

惇はSFFを投げ、空振り三振に打ち取ったが

 

「また後ろに逸らしたぞ、走れ!」

 

またしても御幸は捕れず後ろに逸らしてしまい、三塁ランナーが生還し6-1となり、空振り三振に喫した3番は振り逃げで一塁に行った。

 

「足立から1点返したぞ!」

 

「まだまだいけるぞ!」

 

これには、帝東サイドは盛り上がった。

 

拓馬「やっぱりSFFは捕れなかったようだな・・・」

 

光舟「ああ・・・」

 

その様子を、光舟と拓馬はそう言った。

そして、乾が打席に入って、この勢いを物にしたかったのだが

 

乾「っ!?」

 

乾の背筋から悪寒が走った。

 

惇「・・・。」

 

そこには、明らかに威圧感剥き出しに立っている惇がいた。

 

御幸(あ・・・足立・・・)

 

これには、御幸も感じていた。

しかし、惇はそれに構わず投げた初球

 

ズバアアンッ!!!

 

インサイドに真っ直ぐを投げ込み、乾はボールだったため見送ったのだが

 

乾(何て伸びだ・・・)

 

そう思い球速表示を見ると

 

乾「っ!」

 

そこには、『145㎞』と表示されていた。

 

乾(こ、ここで自己最速更新だと・・・!?)

 

これには、乾は絶句してしまい

 

岡本(何て奴だ・・・!もう終盤だってのに・・・!)

 

岡本も絶句してしまった。

 

光舟「!」

 

これは光舟も同感で、思わず立ち上がってしまった。

 

拓馬「マジかよ・・・!ここで自己最速かよ・・・!」

 

それは拓馬も同様で、立ち上がって絶句していた。

2球目

 

ズバアアンッ!!!

 

同じくインサイドに144㎞の真っ直ぐを投げ込んだが、外れて0-2となった。

3球目

 

ズバアアンッ!!!

 

144㎞真っ直ぐが外高めに外れたが、乾は空振り、1-2となった。

4球目

 

キン!

 

143㎞真っ直ぐをファールにし、2-2と並行カウントになった。

そして5球目

 

ズバアアンッ!!!

 

真ん中高め145㎞真っ直ぐで乾を空振り三振に打ち取った。

 

前園「ナイスボール!」

 

倉持「2アウト!2アウト!」

 

春市「ボール来てるよ!」

 

そして次の5番の初球

 

ズバアアンッ!!!

 

再び145㎞真っ直ぐで空振り2球目

 

ズバアアンッ!!!

 

144㎞真っ直ぐでまた空振らせた。

 

前園「エエ球来とる!」

 

倉持「どんどん攻めていけ!」

 

春市「どんどん行こう!」

 

拓馬「ヤベ・・・惇さんちょっと怖くねーか?」

 

光舟「ああ・・・あんな惇さん初めて見たかもしれない・・・」

 

光舟と拓馬は、惇の様子に背筋が寒くなっていた。

 

片岡「・・・。」

 

片岡(ここで自己最速・・・!)

 

片岡も、惇の様子に絶句してしまい

 

落合(ここで何てボールを投げるんだ・・・!)

 

落合も驚きで固まってしまった。

 

唯(惇君・・・)

 

唯は、惇の姿に初めて恐怖の感情を抱き

 

吉川「唯さん・・・」

 

それを見た吉川は、何とも言えない表情を浮かべた。

そして

 

ズバアアンッ!!!

 

惇「シャアアアッ!!」

 

145㎞真っ直ぐで空振り三振に打ち取り、この日1番の雄叫びを上げた。

しかし、ベンチに戻ると

 

惇「くそっ!」

 

惇は悔しさを滲ませながらベンチに座った。

この姿に

 

栄純「・・・。」

 

暁「・・・。」

 

この2人は声もかけられなかった。

 

御幸(くっ・・・この回アイツは最高のボールを投げてくれた!なのに俺は・・・!)

 

この時御幸も、惇のボールを受け止められなかった己に悔しさを覚えていた。

そして、このイニングで惇はマウンドを降り、8回を栄純、9回を川上が投げ、打線も9回に1点追加し、青道は7-1で初戦を突破したのであった。




投稿出来ました。

帝東戦、最後は駆け足でしたが勝利しました。

奥村君と瀬戸君ですが、原作では大京シニアでしたが、今作品では主人公君の後輩という設定にしました。

違和感があったらお許し下さい(土下座)

それでは、また。

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