6回表の惇のピッチング。
1番の近藤に、初球スローカーブでストライクを取り、2球目は143㎞真っ直ぐであっさり追い込み
ストンッ!
最後はSFFで空振り三振に打ち取り、体で受け止めた御幸は、タッチした。
次の2番は、初球スライダーが外れボールになり、2球目の真っ直ぐをしぶとくライト前に運ばれた。
梅宮「ナイバッチー!!」
「良いぞー!!」
これには、鵜久森ベンチは盛り上がった。
御幸(今のストレートも、少し内に入ったな・・・)
御幸(けど、良いボールは来てる。攻めていくぞ!)
そう思い、御幸はミットを構えた。
次の3番の初球
前園「スチール!」
一塁ランナーが盗塁を仕掛けた。
しかし
「アウト!」
御幸の鋭い送球が、盗塁を阻止した。
しかし
「ちくしょー!」
「スタート悪くなかったよ。」
「スタートだけな!」
「るせぇ!」
積極的に仕掛けていき、失敗しているにもかかわらず、鵜久森ベンチは明るかった。
続く3番の初球
ガツ!
「しゃああ!」
懐に真っ直ぐを当ててしまい、デッドボールで再びランナーを一塁に行かせてしまった。
これに御幸は、すかさずタイムを取り
御幸「大丈夫だ。ボールは来てる。1つずつ行こう!」
惇「はい。」
そう惇に声をかけ、戻った。
そして、次に打席に立つのは、梅宮だった。
その初球
「ットライーク!」
142㎞真っ直ぐを空振り、1ストライクを取った。
梅宮「スゲぇな、コイツ・・・。ホント・・・」
これに、梅宮は初回と変わらず眼光をギラつかせていた。
2球目はスライダーが外れたが、2球目
キーン!
真っ直ぐを打ったのだが、センター東条の正面を突き、3アウトチェンジとなった。
その裏の青道の攻撃は、ヒットとエラーで満塁としたが、梅宮が何とか無失点に抑えた。
そして、7回の惇のピッチング。
犬伏をスライダーで空振り三振に打ち取ったが、6番7番に連続ヒットを打たれ、一死一、二塁のピンチとなった。
これには、すかさず御幸はタイムを取り、内野も集まった。
御幸「ランナーは気にしなくて良い。いつも通り行け!」
惇「うっす!」
倉持「後ろは任せな!」
春市「1つずつ丁寧に行こう!」
信二「いつも通りな!」
前園「どんな打球も受け止めたるからな!」
そう、周りも惇を励まし、それぞれ定位置に戻った。
「これで7安打・・・」
「鵜久森良く打つな・・・」
「まだ無得点だけど・・・」
「ここで1点入ったら、流れが変わるかもな・・・」
そう、周りの観客は感じていた。
8番の初球はスローカーブから入り、2球目は真っ直ぐが外れた。
3球目も真っ直ぐを投げ、ファールにして追い込み
ズバアアンッ!!
最後も142㎞真っ直ぐで空振り三振に打ち取った。
次の9番には、初球真っ直ぐを投げ、2球目はスローカーブを投げ追い込み
ズバアアンッ!!
惇「らああああっ!!」
最後は今日最速144㎞の真っ直ぐで見逃し三振に打ち取り、この回も何とか無得点に抑えた。
御幸(球数は100球超えてるが、ボールは悪くねぇ・・・)
御幸(寧ろ、どんどん良くなってきてるな・・・手が痛くなってきた・・・)
この時、ベンチで汗を拭ってる惇の姿を見て、御幸はそう感じた。
惇「ふぅー・・・」
この時、惇は一息ついていた。
すると
栄純「おい!」
頭上から栄純の声が聞こえたので頭を上げると、栄純と暁がいた。
栄純「お前、この試合1人で投げ抜こうと考えているな!」
暁「僕達も準備してるから!」
栄純「覚えとけ!野球はそんなに甘くないって事を!」
すると、2人はそう惇に言ったのだった。
そして、青道の攻撃も無得点に終わり
片岡「どうだ?行けるか?」
片岡は惇にそう聞いた。
これに
惇「行けます!」
惇は真っ直ぐな目で片岡に言った。
片岡「・・・分かった。この回も任せたぞ。」
惇「はい!」
そして、惇は8回のマウンドに上がった。
まず先頭の近藤は、2球目のスライダーを引っかけさせ、セカンドゴロに打ち取った。
続く2番には、真っ直ぐ2球で追い込んで、最後はSFFで空振り三振に打ち取ったが
「後ろに逸らしたぞ、走れ!」
御幸は後ろに逸らしてしまい、振り逃げで一塁に行かせてしまった。
御幸(クソッ・・・!ここまで何とか体で受け止めてたのに・・・!)
これには、御幸は悔しさで顔を歪ませ
御幸「悪い。」
そう、惇に謝った。
惇「良いっすよカズさん。1アウトっすよ!」
しかし、惇は笑顔で人差し指を立てて御幸に言った。
御幸「ああ。」
そして、次の3番の初球スライダーを投げたのだが
御幸「くっ!」
上手く捕球出来ず、二塁にランナーを行かせてしまった。
そして、3番をセカンドゴロに打ち取り、2アウトを取ったが三塁にランナーを行かせてしまった。
ここで、梅宮が打席に立った。
その初球
ズバアアンッ!!
今日最速タイの144㎞真っ直ぐが膝元に決まった。
御幸「くっ!」
御幸も、ギアが上がってきた惇のボールを受け止めるので精一杯だった。
2球目はスローカーブが外れ、3球目も真っ直ぐが外れた。
梅宮(っぶねー!危うく振るところだったぜ・・・!)
梅宮(つーか、さっきと比べてボール伸びてやがるぜ・・・!)
これには、梅宮も惇のボールに冷や汗を掻いた。
そして4球目、惇は真っ直ぐを投げたのだが
バシィィンッ!!
御幸「っ!」
梅宮「走れぇー!!」
御幸の想像以上にボールが伸びてきたため、弾いて後ろに逸らしてしまい、三塁ランナーがホームに帰ってしまった。
しかもこの時の球速が、自己最速タイの145㎞だった。
御幸(くっ・・・受け止められなかった・・・!)
「しゃああ!1点返したぞー!!」
「行けるぞー!!」
これには、鵜久森ベンチは盛り上がり
「頑張れ鵜久森ー!!」
「諦めんなー!!」
「まだまだいけるぞー!!」
観客も、まだ5点差と大差はあるが、前日稲実を倒した鵜久森の大物食いを期待した。
その時
梅宮「っ!?」
梅宮の背筋から悪寒が走った。
その瞬間
ズバアアンッ!!!
145㎞の真っ直ぐがド真ん中に来て、梅宮はそれを空振った。
梅宮(な・・・何なんだよコイツの球・・・!?さっきより伸びて・・・!)
これには、梅宮も惇のボールの伸びが先程より上がった事を感じた。
唯「惇君・・・」
一方の唯は惇の姿に再び恐怖を感じていた。
6球目
キン!
梅宮「くっ!」
梅宮は何とかファールにした。
7球目
キン!
これも何とかファールにした。
唯(怖がっちゃ・・・駄目・・・!怖がっちゃ・・・)
そう思っても
唯(駄目・・・怖い・・・惇君が・・・怖い・・・)
目を逸らしてしまった。
唯(甲子園が終わってから・・・惇君は変わっちゃった・・・)
唯(まるで・・・何かに取り憑かれたみたいに・・・知らない誰かみたいに・・・変わってしまった・・・)
唯(惇君の目のどこにも・・・私なんて映ってないって・・・感じてしまう・・・)
その時
吉川「頑張れ、足立君!」
唯「っ!」
唯の隣で応援していた吉川が、大声を上げて惇を応援した。
吉川「何をしてるんですか、唯さん!唯さんも声を上げて応援するんですよ!」
唯「え?」
吉川「え?じゃないです!足立君は、一生懸命投げてますよ!」
吉川「なのに何で唯さんは足立君を怖がってるんですか!」
唯「春乃・・・」
吉川「唯さん前に言いましたよね!『惇君は格好良くて、野球が大好きな優しい子だ』って!」
吉川「私もそう思います!彼とはクラスメイトですから!」
吉川「その格好良い足立君が、こう言ってました!『唯を笑顔にするために、俺は皆の、あいつの思いも全部背負ってマウンドに立つ』って!」
吉川「足立君は本当は苦しいんです!甲子園が終わってから、あの決勝戦の負けを気に病み、塞ぎ込んでしまうほど責任を感じました!」
吉川「けど、唯さんはそんな足立君を受け止め、優しくして傍にいてあげたじゃないですか!」
吉川「唯さんが・・・唯さんが応援しないでどうするんですか!!」
この吉川の言葉に
唯「っ!」
唯はハッとした表情を浮かべ、マウンドを見た。
惇「ふぅー・・・」
そこには、汗を拭ってる惇がいた。
唯(そうだ・・・甲子園が終わって・・・塞ぎ込んでしまった惇君がとても見ていられなくて・・・傍にいてあげたんだった・・・)
唯(少しでも・・・惇君がまたいつもの姿に戻れたらって・・・)
唯(帝東戦での惇君を見て・・・何か・・・怖くなって・・・)
唯(本当は・・・何も変わってないのに・・・どんなに実力が伸びても・・・惇君は何も変わってないのに・・・)
唯(なのに私は・・・勝手に怖がっちゃって・・・!)
そして
唯「頑張って・・・!」
唯「頑張って、惇君!!」
そう、唯はマウンドに立ってる惇に声をかけた。
惇「っ!」
すると、何か感じたのか、惇は青道側スタンドに目を向けた。
唯「頑張って・・・惇君・・・!!私が・・・ついてるから・・・!!」
そう、唯が涙を流しながら惇に言った。
惇「・・・。」
すると、惇の顔から硬さが消え、少しリラックスした表情になった。
御幸(硬さが消えた・・・?)
御幸(これなら・・・!)
これに、何かを感じた御幸は
御幸(必ず受け止めてやる・・・!)
気合を入れてミットを構えた。
梅宮(また雰囲気が変わったな・・・)
梅宮(けど関係ねー!弾き返してやる・・・!)
これに、梅宮はそう思いつつも、いつものように眼光をギラつかせながら構えた。
そして、投じた10球目
梅宮(ストレート!貰ったあぁ!!)
梅宮は真っ直ぐだと思い振ったが
ズバアアンッ!!!
梅宮「っ!!」
梅宮の想像したボールよりも更に手元で伸び、バットの空を切った。
惇「らああああっ!!」
そして、それと同時に惇の雄叫びが球場中に木霊した。
これにより、この回1失点に抑え、その裏に青道は2点を取り、結果8-1と8回コールドで勝利を収めたのであった。
投稿出来ました。
鵜久森戦決着がつきました。
久々に疲れた・・・(汗)
吉川の台詞ですが、某アニメのシーンを参考にアレンジしました。
分かる方はいるかな?
それと、山梨学院初優勝おめでとうございます!!
春夏通じて県勢初優勝!!
夏も頑張って下さい!!
それでは、また。