奈落の笑み   作:酒場の店長

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完全に自己満足。
とはいえ、物語はしっかり書くつもりです。


第0ページ:招待状

 

 

 

 

ーーこの世界は“欲”に塗れた奈落の果て。

 

ーーこの世界は“歪”に朽ちた奈落の果て。

 

ーーこの世界は“死”に畏した奈落の果て。

 

 

 

ーーこの世界はーー。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 月が世を照らし、誰もが寝静まり、不快な音が一切聞こえない静寂の場。

 現代では“架空”とされている一人の悪魔が、大雨に打たれながらも一通の手紙に視線を向けていた。

 

「ーーエウリュディケ荘園は貴方様の望みを叶える場所。退屈な日々とは暫しの別れ、ゲームの参加をお待ちしております……か」

 

 彼は手紙に何を想う。

 フードに隠れた表情は、口元だけが不敵に笑っているような気がした。

 

「我の存在を知り、この手紙を宛てた荘園の主とやらには興味が唆られる。だが、如何せん胡散臭い内容と綴りというものだな。ーーその証拠に、まるで我には“招待される”という選択肢以外与えぬような状況……。なぁ、貴様らもそう思うだろう? “歪な存在”よ」

 

 彼が立ち上がり、問いかけた瞬間。

 一筋の落雷が落ち、大雨を降らした。

 

 そして彼が見据えるその視線の先には、細身の体型でありながらも仮面によって思考が読み取れない男と、もはや人成らざる者である触手が特徴の化け物が居た。

 

「まぁまぁ、そう殺気立たせないでください。私たちは貴方と“お話”をしに来たのですから」

 

「お話……と言う割には穏やかではないな。特に貴様の隣に居る異形の者、いつでも我を拘束できるよう背後に触手を忍ばせておくなど、実に不愉快極まりない。そもそもだ、貴様らは何を以って我の前に現れた? 名を名乗る口すらないというのなら、愚問か」

 

「おっと、これは大変失礼。私の名前はリッパーと言います。そして私の隣にいる彼は黄衣の王と言い、私を含め“ハスター”さんと呼んでいます」

 

 頭に被っていた帽子を外し、紳士のように振る舞い一礼するリッパー。

 それに対してハスターは両腕を組みながらも、警戒を解くつもりはない様子だった。

 

「回りくどい話は終わりだ。余もリッパーも、貴様を荘園に連れてくるよう指示を受けてこの場にいるのだ。貴様はただ口を挟まず、黙ってついてこれば良い」

 

「ほう、見た目に反せずしっかりとしているものだな。だが我は思う。貴様ほどの“邪神”がたかだか人間なのかも知れぬ荘園の主とやらに縛り付けられ、犬に成り下がっているのは何故かと」

 

「余は元々、“死して生きた”存在。荘園の主の手により、再び蘇ったのだ。だが今はそんなことどうでも良い。貴様が素直に余たちに従いついてくるのか、或いは此処で死ぬか。その二択だ」

 

 背後に忍び寄っていたハスターの触手が彼の首を軽く締め付ける。

 そんなハスターの言動にリッパーは二人の間に介入することなく、ただ黙って見ていた。

 

 “人の姿に化けて”、何百何千年。

 いや、もしくはそれ以上か……。

 

 エウリュディケ荘園から招待状の手紙が届いて数ヶ月。

 音沙汰もなく見過ごしていたが、こうして今は荘園の参加者である二人が出迎えに来た。

 

 段々と触手の締め付けが強くなる。

 だが彼は至って冷静、表情を変えない。

 

 そして考えること数分。

 彼は人差し指を触手に小さく触れた。

 

 

ーーパァァァァァンッ!!!

 

 

「ッ!」

 

「なんと……ッ」

 

 

 二人は驚愕した。

 彼の人差し指が触れた、それだけで触手は跡形も無く破裂したのだ。

 

「先ほども言ったが、我は我の存在を捉えた荘園の主とやらに興味がある。そして確かに、昔と違って今の人間どもはつまらない。時としてリッパーよ、一つ貴様に問いたい。荘園の主が言うゲームとやらには、渇いた我の飢えを凌ぐほどの面白い人間は居るのか?」

 

「えぇ、貴方が思うよりも面白い人間が多く居ますよ。私たちはそんな人間の“目”を集め、戦績を残すことが目的です」

 

「殺してもいいのか?」

 

「とんでもない。殺してしまったら、ゲームそのものが終わってしまう。故に、“半殺し”に納めるなら何をしても大丈夫ですよ」

 

「それは実に愉快で楽しそうだな」

 

 ククッと小さく笑う。

 彼は聞きたいことを幾つかリッパーに聞いた後に、改めて招待状に目を向ける。

 

 そして何かを意したように、彼は二人に着いていくことに決めた。

 

「そろそろ時間切れに近付いているようですね。私たちは本来荘園でしか生きることを許されない存在……。あまり人の目に付く場所に滞在しては荘園の主にどのような“ペナルティ”を重ねられるか知れたものじゃない。ハスターさん、急ぎで戻りますよ」

 

「うむ、その方が良い。そういえば、貴様の名前をまだ聞いていない。名はなんというのだ?」

 

 リッパーとハスターは後ろに振り向き、彼に視線を向けた。

 名を聞かれた彼は不敵な笑みを浮かべ、フードを外して述べた。

 

 

「ーーアバンド、それが我の名だ」

 

 

 露わとなる頭に生えた二本の角。

 目は紅く、何処か得体の知れない雰囲気が一気に放たれる。

 

 後にリッパーは語る。

 エウリュディケ荘園、“ハンター”の中に過去最高で“ヤバい存在”が解き放たれたのだとーー。

 

 

 

 

 

 

 




アバンドー奈落の果てー
・ハンターside
・黒髪に二本の角
・両目は紅色

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