………どのくらい前だったかなぁ。前回の投稿は……
かなり忙しく、かつ筆が乗らないでいたので……今後も更新頻度は低めだと思いますが、こんな作品でも読んでくれると嬉しいです。
書いてる内になんか設定がリバイスに寄っていく気がするんですよね。リバイス面白いですから……
でもこの作品自身の面白さを出せるように頑張りますので読んでいただけると幸いです。
トットットッ……と足音が静寂に響く。
その足音以外の全ての音が消え去る。
風がライダーの身につけているマフラーを揺らす。
その静寂を破るように白夜さんが声を上げる。
「久しぶりだな……こうしてしっかり面を向かって会うのはだいたい1年振りじゃないか?」
まるで旧友に話しかけるようにその口を開く。だがその額には汗が滲んでおり、明らかに動揺していた。
『N怪人が出たと聞いたが……ようやく対抗策を作ったようだ。……なあ、白夜?』
「このドライバーはだいぶ前からあったさ……その戦士が目覚めるのを待っていただけだ。」
『戦士……虎狼成一の事か……』
何か2人が話しているが……そんな事は俺の耳には入らなかった。どうでもよかった。
ただただ目の前の仮面ライダーを睨みつける。歯をギリギリと噛み締め、手にあるアンプルに自然と力がこもる……
「……あんた。仮面ライダーエンドって言うのか……」
『虎狼成一……』
「……聞かせて欲しいことが山ほどあるんだ。」
『……ほう?』
冷静さを装ってその男に声をかける。そいつは低くエコーのかかった声で静かに答えた。
その対応が余計にこちらの力を増す。血が滲むような握り拳を作る。
ついさっき手に入れた力……『ライダーアンプル』を前に突き出し、スイッチを押す。
そのまま勢い任せにドライバーへ差し込んだ。
『Vels-Ampule!!』
蒸気が吹き出る音を音楽にしたような待機音が鳴り響き、ヤツに向かって歩きながらドライバーのスイッチを押す。
『パキン……ッ』と何かが割れる音をドライバーが発し、ベルトが水色になっていく。
『Catch-up……!!』
「変身っ!!」
『Repletion……Repletion……!!!』
『Kamen Rider……Vels!!!!』
水色の蒸気に包まれ、その姿を変えた事確認する。
その蒸気の壁を突き破りエンドに向かい拳を突き出した。
『ム……ッ!?』
「教えてもらうぞ……っ!!なぜあの時お前がいたのかをっ!!」
受け止められた拳越しにその顔を見る。
この血のように赤いエンドの複眼を俺は一度見たことがある。
それは忘れる事のできない……絶対に忘れられない。俺の記憶……
俺は東京のとある市で普通に過ごしていた。
学生として友人と遊び、部活で日々を充実させ、家族と笑い合っていた。
あの日を迎えるまでは……
荒らされに荒らされたリビングに立つのはテレビで見る……いやそのどれとも違う黒と紫の仮面ライダー。
そして、その足元に転がっているのは………
「父さん……母さん……?」
よく知る2人は普段の優しい顔からは想像もつかない苦痛に歪んだ顔をしたまま動かない。
世間で言われる正義の味方の仮面ライダーは放心している俺の横をゆっくりと通り過ぎて行った。
そしてその2日後……日本の一部が壊滅した。
その日は2019年6月13日……首都怪人襲撃事件の2日前の話だった。
「あの日……父さんと母さんに何をしたんだっ!!お前が殺したのか!?そして……あの事件もお前が起こしたのか……っ!?」
『……………それを答える必要は無いな。』
「なら……無理矢理吐かせてやるよ……!!!」
話しながら殴り続ける腕を止め、一旦後ろに下がる。
この姿で敵わないなら……!と先の怪人から身を守ってくれたもう一つのアンプルを手に取る。
怪人の攻撃をこのアンプル単体で何度も受け止めた力を持っているこっちの方が……!!
「……!成一君ッ!確かに出力は強いが、そのアンプルはまだ調整が……ッ!」
「やっぱり……!こっちの方が強いならこっちを使いますよ!!」
銀のひんやりとしている『ライダーアンプル』前に突き出し、スイッチを押す。
すると赤い光がアンプルから漏れ出し、機械音声が鳴る。その名前には確かに聞き覚えがあった。
『555-Ampule!!』
『ファイズアンプル』……そのアンプルは人間とオルフェノクが互いの存亡をかけて戦う世界で1人の戦士が刻んだ力を秘めていた。
ドライバーにある『ベルズアンプル』を引き抜き、手に持った『ファイズアンプル』を差し込んむ。装填と共に水色だったドライバーが赤色に変化する。
サイレンのような待機音が鳴り響き、ドライバーから漏れ出す光が日が沈み暗くなっていく世界を赤色に染めていく。
「変身!!!」
『Catch-up……!!』
再び『パキン……ッ』と音が鳴り、赤い蒸気と共に光り輝く赤いライン……『フォトンストリーム』が自分の体を包み込む。
その内側でアンプルから薬液が蒸気となり更に溢れベルズの装甲の形を変えていく。
『Standing by……Complete……!!』
『Kamen Rider……555!!!!』
赤い光がより一層光り、収まる頃には仮面ライダーベルズの姿は違ったものに変わっていた。
銀のアンダースーツは黒く、水色の線は赤く血管の様な見た目に。
胸アーマーはそこまで変わらずシンプルな形状。しかし色は鋼鉄を思わせる白銀の色をしたものへと。
鮫の牙の様なクラッシャー、背鰭の形をしている触覚に顔が変形。
複眼は半月型の黄色にo-シグナルは緑色に変わり発光した。
『昨晩のN怪人をもうサンプル化するとは……流石だな白夜博士。』
「全く……私は止めたからな。」
「ハァーーッ……ハァーーッ……」
頭を掻く白夜さんは諦めた声を出した。
止めた理由はよく分かる……調整が済んで無いからか全身が炎の中にいるように熱くなっているからだ。
体中がその熱を冷まそうと汗を吹き出す。呼吸も当然荒くなる。マスクに通気性が無かったら蒸し焼きにされていただろう。
そんな状況だが、この肉体には確かに基本のベルズ以上の力を感じていた。
「ハァーーッ……!……行くぞっ!!!」
掛け声と同時にエンドに向かって飛びかかる。赤い蒸気をドライバーから噴出しながら駆け抜ける姿は『フォトンブラッド』が光り残像となって移動する『仮面ライダーファイズ』にとても似ていた。
その勢いのまま少し飛び上がり、エンドの顔に殴りかかる。
防御できなかったのか、あえて受けたのか、その拳はエンドの頬に突き刺さる。しかしその装甲は恐ろしく固く、こちらの拳が傷むのではないかと考えてしまう程だった。
『…………。なるほどな。虎狼成一……確かに適任者だ。』
『ライダーアンプルの使用も問題無し……そして未調整のアンプルでその姿を保つ……さぞ適合率も高い事だろう。』
「何を……!ごちゃごちゃ言ってるんだ……っ!?俺の質問に……答えろって言ってんだよ……っ!!!」
拳を顔面に受けるも微動だにしないエンドを見て、続けて腹部に殴りかかる。
しかしこれも先程と同じように受け止められる。自分の何倍もある力で拳を握られ、片腕を封じられてしまう。
もう片方の拳でも殴るがこれもまた反対の手で受け止められ身動きが取れなくなる。
「くそっ……なんで……なんで効かないんだ……!?」
『……それだけに残念だな。』
「……!成一くん!!下だっ!!」
「なっ……ぐあ……っ!?」
ポツリとため息と共に言葉を漏らすと、握り締めている腕を支えに蹴り上げる。
綺麗にサマーソルトキックが決まるとベルズは宙に浮き、そのまま地面に叩きつけられた。
エンドはこちらを見下ろし表情の無い声で語りかける。
『白夜博士が設定した出力の限界か……虎狼成一自身の問題か……』
『その程度の力しか出ないなら……何も救うことはできない。』
「なん……っだと!?」
顎を蹴られたからか、脳が揺れ視界がぼやける。そのぼやけた視界の先にはこのドライバーを渡してくれた白夜博士がいた。
そしてその後ろから走ってくるもう1人の姿も。
「あ、明日香くん……!?どうして来たんだ……っ!!」
「……なっ!?姉さん……!?」
その表情はとても驚いているようだった。それもそうだろう。町の安全を守るために開発されたライダーが戦っているのだから。そしてその内の1人からは自分の弟の声がするのだから。
しかしその目線は俺ではない所を見つめていた。
「仮面ライダー……エンド……何故あなたがここに……?」
「姉さん……?コイツの事を知って……?」
『……虎狼明日香。』
姉さんがふらふらとエンドに向かって歩く。近くの白夜さんの事が見えてないのか静止の声を流して歩いていく。
エンドも姉さんの方を見たまま固まってしまう。そんな状況で俺は動けず、ただただその様子を見ていた。
姉さんが白夜さんから少し離れた位置まで歩いたその時、俺は走り出した。
それは姉さんの様子がおかしかったからでもなく、エンドが姉さんの事を知っていたからでもなく………
「いい餌が来てくれた……」
『Stronger-Ampule!!』
聞こえるはずのない恐ろしく小さな声が聞こえ、激しい電流が姉さんに向かい襲って来たからだった。
「っ……!!!間に合わない……っ!?」
「姉さん!!避けーーー!!!」
そんな叫びも虚しく、電流はまるで昼間になったような激しい光と雷のような空気を震わせる爆音を放った。
焼けた匂いが漂い頭の中が真っ白になる。
走る足をゆっくりと止め……
虎狼成一はその場で崩れ落ちた。
「なーんで悪者っぽい言い方するんですか?あくまでも私達はこの世界を『守る』ためにしてるのに……」
「なに……この距離じゃ聞こえないさ。だからどうでもいいことだろ。」
どこかの学校の制服を着た女性が屋上の縁に座り、足をパタパタさせながら言う。
もう1人の男性はネクタイを締め、内の胸ポケットに『ストロンガーアンプル』を仕舞う。
ふと髪で隠れている耳に手を当てると男性は屋上の出入り口と『反対』に向かって歩き出す。
「あらら……?もう帰るんですか?」
「ああ、話があるんだと。大方『ベルズ』についてだろうな。」
そんな様子を見て女性は立ち上がり男性の後を着いていく。
忘れたのか、持って来させようとわざと置いたのか、男性のアタッシュケースを両手で持ち不満そうな声を上げる。
「ハァ……このアタッシュケース地味に重いんですからね……?それに使ったならちゃんとこの中に戻してくださいよ〜。」
「悪い悪い。この『アンプル』は俺のお気に入りなんだ。気にしないでくれ。」
「そうですか。それにしても2人はいいですね〜。もう変身者が確定したんですから。私なんて『ドライバー』すら見つからないんですよ……?つまらないです。」
そんな会話をする2人は高層ビルの屋上から飛び降りる。その姿を変えて。
そして地面に降り立つ事なく消えてしまった。
爆発の跡には白い煙が上がっていた。
その身に覆われている仮面越しに虎狼成一はただただ立ち上る煙を見ていた。
『その程度の力しか出ないなら……何も救うことはできない。』
さっき言われた言葉が頭の中に響く。
「俺は……っ。俺は…………」
呼吸を荒くしながら同じ言葉を何回も何回も繰り返してしまう。否定の言葉を言おうにも、今の状況から『自分が人を救える』とは言えなかった。
そんなことをしているうちに煙が消えていく。そこには雷に焼かれた姉……虎狼明日香の姿が…………無かった。
その代わりに金のマフラーを風に揺らし、黒と紫のライダーがその腕に抱えていた。
『………撤退したか。この程度で俺を倒せるなんて……思っていないだろうな。』
「けほっ……けほっ……」
『……さて、私もそろそろ撤退するとしよう。』
エンドはそう言うと全身から黒い煙……いや、蒸気を煙幕のように噴き出す。
その蒸気は広がり、辺りを埋め尽くす。それはエンドの姿が完全に見えなくなるほどに……
「ま、待てっ!!まだお前から……っ」
その言葉を言う前にエンドはこの場から消えていた。
そこに残っていたのは地面に横になっている姉さんと…….近くに転がっている『ライダーアンプル』だった。
最後まで読んでいただきありがとうございました!!
今回は地の文を多めに入れようと考えていたのですが……できていたでしょうか?
今回登場したライダーアンプル……『ファイズアンプル』『ストロンガーアンプル』でしたが、その理由はあまりありません。単純に好きなライダーをアンプルとして登場です。
次回はそのアンプルについて白夜博士から詳しい解説があります!!
……書くの大変そうだなぁ