花より男子8(エイト)   作:角刈りツインテール

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あけましておめでとうございます。今年もよろしくお願いします。


010 これを伏線と呼ぶにはあまりにくだらなすぎる。

♦︎♦︎♦︎

 

君がいるから俺ガイル。

 

♦︎♦︎♦︎

 

 

 

「ないないないないないないない!!!有り得ないっつーの!」

 

 

 

牧野つくしは、俺のその発言に全力で否定した。すなわち、道明寺が牧野に好意を抱いているということについてだ。

「無いは一回だぞ」

「ない。…いや、別に何回でもいいでしょ。ていうか好きな人にそんなことする?普通」

「分かんねーぞ。あいつ稀に見る馬鹿だから」

「あ、それは言えてる」と牧野は笑った。俺もつられて笑う。「金ならいくらでもやるから宣戦布告を取り消せってのが馬鹿だよねぇ〜」

「それに人間観察はぼっち生活の中で極められた俺の108の特技のうちのひとつだ。そう簡単に間違えねぇよ」

「多っ。てか自信ありすぎ」牧野はケーキを頬張りながらツッコミを入れる。「どんなぼっち生活送ってたらそんな神経身につくのアンタ」

比企谷、でも先輩、でもなくてアンタ呼びだった。仕方ないだろ先輩って呼ばれるの夢の一つだったんだから。部活に入っていない俺には後輩なんてものはいないからいつかそう呼ばれてみたかったのだ。まぁ、それも叶わなかったが…。

 

「まぁそれとこれとは別問題だな。好きな女子に悪戯してしまう男の子、なんて可愛いもんじゃねぇぞありゃ」

それこそどんな生活を送っていたらああなるんだ、である。金持ち生活だけが原因ではないはずだ。多分もっと他の———例えば家族関係とかが関わっていると推測される。もし金だけであれば花沢も他のF4も道明寺みたいになっている。

 

道明寺が4人。

 

地獄絵図だった。

 

そういえば残りの2人ってどんな奴だっけ…式典なんかでよく目にするものの、それだけだと流石に人となりまでは分からんからな…だが少なくとも道明寺よりかはマシだと思う。確信する。

「ほんとどうなるんだろ私」

不安げにそう言いながらショートケーキを美味しそうに食べるあたりなかなか強かな女性である。少なくとも俺よりずっと強い。

「そうだな。お前は今かなりピンチだ。最悪、退学にまで繋がりかねん」

「そんなぁ…」

()()()()()()

俺のその言葉に、牧野は胡散臭げな目線も向ける。ちょっと、気持ちは分かるけど失礼じゃないですか牧野さん。

「アンタに何ができんのよ」

「あぁ、俺には何も出来ねぇ。だが俺のバックには———花沢類様がいるんだぜ」

「うっわいきなり人頼みかよ」

ドン引きだった。何故かどんどん俺への評価が下がっていっている気がする。

仕方がない。ここで一つ俺の価値を提示してみるか。

「それに何も出来ねぇっつーのは行動できねぇって事だ。アドバイスくらいならできる」

俺は無愛想にそう言った。それに対し牧野は「アドバイスねぇ…」とおうむ返しした。うん、完全に信頼ゼロだ。普段なら別にどうでもいいのだが彼女の性格を踏まえて、なんだか気に食わないので少し頑張ってみることにした。

「そう、アドバイス。例えば、そうだな———問題『次の道明寺の行動を答えよ』」

「は!?そんなのわかるわけ」

「はっ、笑わせんなよ。お前そんなことも分からずに宣戦布告したのか?」敢えて俺は、煽るような言い方をした。

まだほんの少ししか接する場面はなかったが話を聞く限り、どうやら彼女は極度の負けず嫌いなようだ。そういう人間は挑発すれば必ず乗ってくれるためそういう意味で扱いやすくていい。ソースは俺。逆に道明寺のようにすぐに暴力で解決しようとする論理が通用しないやつは扱いにくいので嫌いだ。

そして例に違わずこいつも乗っかってきた。

「そ、そんなわけないじゃない!えっとあれでしょ、そろそろ性的暴行とか」

「よくその話でドラマ化して映画にまでなったな。どんだけダークなラブコメなんだよ。…まぁけど、悪くはない視点だ」

俺のその評価に、牧野は「なんじゃそりゃ」と首を傾けた。

「今までは間接的な暴力だったろ。んでその後に取り消せと脅したが拒否。なら次にどうするか———精神攻撃だ」

肉体攻撃が通用しない相手には精神攻撃を。RPGでも現実世界でもお馴染みの光景である。

「た、例えば?」これには牧野もビビったのか、おずおずと尋ねてくる。別に後輩が怯えている様子を見て愉しむ趣味はないので聞かれた通りに答える。

「例えばだな…うん、そうだな…特に思いつかんけど」

答えられなかった。

「おいっ、それでよくアドバイスできるとか言えたなっ!」

「いや、だけどメンタルにくる何かを仕掛けてくるのは当たると思う。あぁいいタイプは小学校で何人も見てきた」

「ランクが二つ下て。…あはははは、面白いねアンタ!」

だからアンタはやめろっての。

そこから俺たちは暫く駄弁り(プリキュアの話もした。割とコアな部分まで知っててこちらまで楽しくなってしまった。引かれてないかなぁ)、帰路へ向かった。別れる時「じゃ、また明日」なんて言われたのはなんだかカレカノっぽくて気恥ずかしくなったが悟られないように「おう」と短く返した。それを聞いて牧野がどう思ったのかは知らない。

 

 

さて、と俺はポケットから携帯電話を取り出し開く。

「うわぁ…」

そこには大量の小町からのメールが来ていた。そういえば俺、基本ミュートにしてるんだよな。オンにしてても広告しか来ないし。なんだか思わせぶりなことして心配かけたなぁ、と思い「すまん何もなかったわてへぺろ」とだけ送っておく。我ながらなんてゴミいちゃんだ。今度何か美味しいものでも買ってやることにしよう。

 

で。

ケータイを開いたメインの理由はそれではない。ある人———つってもこの電話帳に入っている人間なんてごく僅かだから濁してもあまり意味はないのだが———花沢に用件があったのだ。俺は彼の電話番号に電話をかけた。

 

 

リリリリ。リリ

『やあ』

2回目のコールで出てきた。早くすぎないか。

「うっす」

『どしたの?比企谷くんから電話なんて珍しい』

「陰キャで悪かったな。…まぁその、頼みがあるんだが」

『いいよ』

即答だった。かっこよすぎだろ…俺なら確実に「内容による」とか言って逃げ道を用意してるな。

「あぁ、牧野つくしの件だ」

『また司が何かやったんだ?』花沢は「しょうがないなぁ」と呆れているような口ぶりで言った。

「あぁ。それで恐らく次は何らかの精神攻撃に移るはずなんだ。だからなんとかしてくれ」

なんとかって漠然ととしすぎでしょ、と笑った。

『まぁいいよ。———あぁそうそう比企谷くん、関係ないけどちょっと知りたいことがあってさ』

「?なんだよ」

 

『日本と———フランスとの時差ってどれくらいなのかな』

 

花沢は突然しみじみした声色で尋ねてきた。フランス…どうしてまた急に。あっちに想い人でもいるのだろうか。遠距恋愛の規模がデカすぎるだろ。

「いや、知らんけど…」俺は中学の頃に習った時差の計算を脳内で必死に思い浮かべた。「少なくとも15時間くらいはあるんじゃねぇの」

『そっか…牧野にも聞いてみようかな。ありがと。じゃあね』

 

ぷつり。

 

よし。これでなんとかなるはずだ。

自分はなにもしていないのにそんな満足感を感じながらペダルを蹴った。

「…これ以上リア充を増やしてたまるかよ」

最後の最後で本心が出てしまった。




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松潤繋がりということで99.9の深山大翔を出そうと考えているのですがどうでしょうか

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