めっちゃ更新遅れました、ごめんなさい!今年受験生なのでかなり時間がなくて…ですが、しっかり完結はさせるのでもう少しお付き合いください!
バイキングブースでイチャイチャしながら食べ物をよそっているカップルを横目に過ぎ去り(エクスプロージョン!)、城の入り口に戻って来たところであくまでスタイリッシュに元来た道を振り返る。
現在、成果なし。
これには流石の俺も「うむ……」と材木座のような声を漏らさざるを得ない。今の八幡的にポイント低すぎるぞ。
……誰だ材木座って。そんな奴を俺は知らない。
本当に知らないぞ。そんな小太りの厨二病を俺が知っている訳ないじゃないか。
そして、あまりにも早い閑話休題。
どれだけ待っても牧野の貧乏臭はどこにも漂ってこない。それは何故か。……いや、勿論比喩だけど。なんなら小町のおかげでお金があるだけで(それさえも貴族のかたがたからすればはした金だが)本来は牧野と対して変わらない貧乏人である。それはそうとして、未だ牧野の気配が感じられない、と言う意味だ。
そのまま30分待って得られた事実から考察を述べさせてもらうと———どうやら牧野は本当に帰ったらしい。
うせやん。
いくらなんでもそれだけの時間トイレに籠るっていうのはあり得ないだろうし(あり得ないよな?)、いくら“雑草のつくし”とはいえ庭にある森もどき(そもそもどうして森もどきがあるんだ)の庭園に還っていったわけでもあるまい。なら一体どこへ。簡単だ。先ほども述べたように彼女は苛立ちが頂点に達した結果帰宅したのだ。それ以外にはあり得ない。俺ですら帰ろうとしているんだから、牧野は尚更だな、うん。
と言う冗談はさておき。
とりあえず今からどうしようか…とバイキングのオレンジジュースを頂きつつ手近な椅子に腰を下ろす。
一口飲むと体が冷やされて冷静になってくる。そうなると自然に周囲の声が耳に入ってくる。ざわざわざわざわと全くやかましい。カイジはてめぇらは。これだからパーティは苦手なんだ。疎外感を感じる上に教室とは違い読書に耽ることも許されない。面倒だな、とジュースを飲み干す。
「ふぅ」
「———ないわ、あの貧民!私たちがびしょ濡れになっちゃったじゃない!?」
「ほんとほんと!でも
———ん?
「ちょ、ちょっと待ってください」
「は?何ナンパ?きっしょ」
なんで話しかけるだけでナンパになるんだよギャルが、と心の中で毒づきながらも表面上は真顔で尋ねる。
「あのでしゅね」噛んだ。「あのですね、牧野さんご存知ないですか」
「あー、牧野さん?あそこに連れて行かれていたわ」
トンチンカン(八幡命名)のトンはそう言って二階の酷く大きい扉を指さした。
「きっとお説教でもされているのでしょう」
「ほーんと、惨めよねぇ!」
「あぁはなりたくないわ」
「「「オーッホッホッホ!」」」
絵に描いたような悪役令嬢すぎる…一周回って最近の流行りに近づいているまであるぞ。そろそろこいつら主人公でなろう系小説が誕生してもおかしくないとさえ思う。って、それはどうでもいい。
牧野が、静さん———確か、このパーティの主役だったか———に連れて行かれただって?
しかもびしょ濡れのまま?
え、何が起きてるのあの扉の向こうで。怖い怖い。怖いですって貴族社会。
「…行ってみるか?」
いやでも流石にそれは不味い気がする。てか絶対不味い。イギリスの料理なんて比べ物にならないくらい不味いだろそれは。
しかしその一方で、やはり牧野が心配なのも事実だ。
静さんが温厚な人だったらいいのだが———そう、不安に思っていたら。
ガシャアアアン———
不意に俺が今目を向けていた扉がこれまた大きな音を立てて開き始めた。
ざわざわしていた空間が、一瞬にして静寂に包まれる。
ごくり、と喉が鳴った。
その扉の向こうから———
白い服を着た———
「え」
ウエディングドレスのような豪勢な服を着た、まるでこの世のものとは思えないほどに、妖精のように美しい牧野つくしが現れた。
その頬は少し赤みがかっていて、どことなく大人の色気が……じゃなくて。
ちょっと待て、俺が見てない間に一体本当に何があったの……?
「……なんなんだよ、もう」
貴族社会、やっぱり怖い!
♦︎♦︎♦︎
おぉ、と辺りがざわつく。それは、いつもの嘲笑ではなく、感嘆そのものだ。そう断言できるくらいには、今の牧野は美しかった。
きょろきょろと辺りを見回す。そして俺と目が合った瞬間に「あ」という顔をしてゆっくりこちらに歩み寄ってきた。きっと俺は「げ」という表情をしていただろう。普通逆だろ。
自然と人が彼女を避け、彼女の服も相まってバージンロードのようになっていることには気づいていないことにしよう。
「ちょ、比企谷やばいよねこれ……」
おい待て。今比企谷って言ったか。いつも『アンタ』としか呼ばないあの獰猛犬の牧野つくしが、俺の名前を呼んだ……いやいやまさか。きっと聞き間違えだ。いくらなんでもそんな訳。
「比企谷、一体どうしたのよキモいわよ……?」
聞き間違えじゃないですね、はい。何?さっきから恋する乙女みたいな表情でこっちを見てくるけど、もしかして俺のこと好きなの?いやキモいって言っている時点でないですねすみませんでした。
「あのさぁ」
「……何だよ」
「感想とかないの」
「えぇ……」
苛立たしげに感想を求める牧野。俺に聞くか、と思ったが言われてみればここにこいつの友達はいないんだった。まぁ歓声を聞けば周りからの評価はわかるだろうが、牧野とてやはり女の子なのだろう。よし、ここは男子代表として、はっきり似合っている、と言ってあげるとしよう。
「……俺は普段、似合っていないときは似合っていないとはっきり言うんだが、今回はそれを出来なくて非常に残念だ」
「なら似合ってるって言えよ!」
全然はっきり言えなかった。
普通に蹴られた。痛い。
なんだよ、ガワだけ変えても根本の部分が何も変わってなさすぎるだろお前。怖いよ。
少しでもざわついた俺の乙女心を返してほしい。
そして、ざわついたのは俺だけではなく———その他のオーディエンス全員が揃って歓声を上げていた。いつもの罵声ではなく、賞賛の声しか彼女に向けられていない。気に食わない人間はそっぽを向いて見ぬふりをしているのだから、当然だ。
となると———俺はある男を探す。
こんな状況、あいつが見逃すはずがないんだが。
「おいッッッッッッッ!!」
そう思っていた矢先のことだった。
やっぱりか、とむしろ納得さえしてしまう声の主が怒号を上げた。ビリビリと空気を締め付けていく。ニヒルを気取ろうとしていたのだが、あまりの剣幕になんとなく察しがついていた俺まで身震いをしてしまう。無駄に格好つけようとしていたせいで余計に変な顔になってしまった。あらやだ恥ずかしい。
「何やってんだ、テメェ」
わざわざ隠す必要もあるまい。F4がひとり———道明寺司である。
彼は高級そうな靴音を、ついに誰も声を出さなくなった屋敷に響かせる。
人波をかき分けて一直線に牧野の元へ向かった。
「えっ何……何なの……?」
牧野は———というよりもここにいるほぼ全ての人間が———理解不能、と言った感じで直立不動している。しかし残念ながら俺には、先程から嫌な予感しかしていない。
誰か助けて。
次話、ついに可愛い道明寺の片鱗が見えてきます。
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松潤繋がりということで99.9の深山大翔を出そうと考えているのですがどうでしょうか
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