花より男子8(エイト)   作:角刈りツインテール

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第二話です。よろしくお願いします。


002 こうして彼の煌びやかな青春が始まる。

時間は、時に優しく、時に厳しい。

 

どんな思い出も

離れていたらいつかは忘れる。

 

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「は?」

 

 

「聞こえなかったのかな?F4に入らないか、って言ったんだ」

まぁ君が入ればF5になるんだけどね、と爽やかな微笑を浮かべた。つくづくイケメンは得だと思った。

にしても今、何つったかこの人。毎日女性にきゃーきゃー言われる、あのイケメン集団に俺を呼んだのか?

もしそれが本気なのだとすれば、俺は彼を馬鹿認定しなくてはならない。あぁそうだ。こいつも所詮彼らと同じなのだ。俺が『お、俺でよければ…』なんて言った途端『ふっははは…冗談に決まってるじゃん』と嗤うに決まっている。そして学園中の晒し者にされるのだ———俺は中学の頃、クラスメートに告白したらクラス中に広まった事件を思い出して思わず身震いする。あんな拷問はもう嫌だ。忘れはしない、休憩時間、どこからか聞こえる俺の噂話に怯える日々。

もう同じ過ちは繰り返さない、と俺は「悪いがパスだ」と返した。

「えぇ…どうして?」

「理由は三つだ」俺は右手の人差し指、中指、薬指を立てて言った。それに対して花沢は「ほう?」と興味深げな呟きをした。試されてるみたいで、少し不快だったが続ける。

「まず、女子に騒がれるのは困る」薬指を下ろす。

俺はあくまで平和な高校生活をの望んでいるのだ。彼ら4人による相乗効果とはいえおそらく俺も騒がれることになるはずだ。故に心落ち着く暇もないF4に加盟するのはデメリットがデカすぎる。

「次に、俺はイケメンじゃない」中指を下ろす。

個人的には悪くはないとは思っているしむしろどちらかと言えばイケメンな部類に入るのではないかと思っている。だが俺はそれを全て相殺するような欠点を持っている。———すなわち、この腐った目のことである。

これのせいで俺はモテないし顔がいいと言われることも人生でなかったのだと言っても過言ではない。7割が目、3割が性格ぐらいには責任がある。

「そして最後だ」俺は人差し指を下ろし口に出す。「俺が今更あんたらの関係性に入り込めるとは思えない」

幼馴染が幼い頃から仲が良い人、あるいは物心ついたときからの顔馴染みなどを意味する表現であることは言うまでもないだろう。果たしてその関係性の中に俺がどうやって紛れ込めると言うのだろうか。クラスメートの輪ですら加われていない俺がそれ以上に深い仲の人たちと関わるなんて無理に決まってんだろ、なめとんのか。

「そっか…それは残念だなぁ…」花沢は悲しそうに笑った。だがそれも一瞬のことで、すぐに「あ、そうだ」と名案を思いついたような顔に変化した。

なんだろう、嫌な予感がする。

「じゃあ例えば、こんなのはどうかな」花沢は俺の顔をじっとりと見ながら言った。俺はたじろいで視線を逸らしてしまう。

悪い予感が的中した。この人、俺を意地でも入れようとしてきてる。

「公の場で僕たちと関わらなくていい。でもF4の部屋は好きに使わせてあげる。昼休みも孤独を楽しめるよ?それならどうかな」

それを聞いた俺は正直な話、少しも惹かれなかったというと嘘になる。というか、めっちゃ惹かれる。最近よくわからん女子がここに来たりするので辟易していたのだ。だから完全ぼっちスペースというのはものすごく有難い。だが。だがなぁ…。うまい話には裏があるとは良く言った話だ。特に金持ちの話は注意して聞かなければならない。ソースは俺。この約二年間で体感したことである。

「なんでそんなに良くしてくれんの」

そこが一番の疑問点だった。俺をメンバーに加えたところで彼には、そして彼らには何のメリットもない。むしろ場が気まずくなるという大きなデメリットさえある。そう思って尋ねてみたのだが。

「仲が良いからだろ?」

と爽やかに返されてしまった。

うわぁ…それを言われてしまったらなかなか違うとは返しづらい。それをわかっての戦略ならこいつはかなりの策士だ。てかそれ以前にかっこよすぎなんだよ。金持ちでイケメンって…と自分のことを顧みながら悔しく思う。

結局、適切な言葉も見当たらず「つってもなぁ…」と俺が尻込みしていると。

「よし」

痺れを切らしたのか、花沢は勢いよく立ち上がった。

俺は驚いて見上げる。逆境でほとんど顔が見えなかったが。

「じゃあ早速行こうか」

「ひゃい?…ど、どこにだよ」驚きのあまり噛んでしまったが花沢はそんなことを気に求めず、俺の問いに答えた。

 

 

 

「どこにって———F4の部屋にだよ」

 

 

 

感想に芸がないと言われそうだが俺は再び「は?」と返した。いや、これは仕方がないことだろ。突然イケメングループの仲間入りを果たすとか意味分からんしまさに夢の中の出来事だ。

そして俺は思う。

夢は夢のままがいい、と。

将来の夢、とはよく聞く言葉だがパティシエでも医者でも、『美味しいケーキを作りたい』『患者を助けたい』という思いからは遠く離れた雑務をこなさなくてはならない。皆そこに折り合いをつけて生きているのだろう。だが俺は思う。折り合いをつけた時点でもうすでにそれは夢ではなく現実だと。

現実を見なくてはならないことを大人になるにつれて突きつけられていくのだ。

「いや、冗談だろ…?」

そしてすでに階段を登り始めている花沢類の背中を呆然と眺めている俺の辞書からは『夢』という言葉はすっかり抜けてしまっている。

あるのはたった一つの現実。

 

さぁ、だったらどうする比企谷八幡。

 

「どうしたの?行かないの?」

「分かった行くよもう…」

とりあえず行くだけ、という軽い気持ちで足を運ぶことにした。

まぁ想像で語るのは良くないな。あれだけメリットが重なっているのだ。まずは一度、現実を目の当たりにしてから考えることとしよう。




次回、F4ルームへ。

松潤繋がりということで99.9の深山大翔を出そうと考えているのですがどうでしょうか

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