俺、つまり比企谷八幡はあの一波乱の後、数少ない所謂『できる教科』である古典の授業を受けていた。タイトルは『大鏡』。登場人物が道長など有名どころなのでなんとかついてこれているが普段はこうはならん。もっとこんがらがる。それにこんな昔の言葉を覚えて何になるんだろうなぁ、なんて考えながら先生にバレないよう小さくあくびをする。やれやれ、この学校はまともに授業中睡眠が取れないからなぁ。おかげで生活が健康になってしまった。
(それにしても…)
それにしても、と先程のことを思い出す。
道明寺司。
端的に、正直に言わせてもらうが俺はあいつのことが苦手だ。いじめの主犯とかそういう理由以前に、人間として嫌いだ。すぐ殴るわ暴言吐くわうるさいわ…つくづく自分と正反対の生物である。ちなみにだが一人称が『うち』『(自分の名前)』のやつはろくな奴がいない。ソースは俺。そしてそのラインナップに今後は『俺様』も加わりそうだった。
なんだよ、一人称が俺様って。今時そんなキャラ流行んねぇよ。
「おい、比企谷!授業を真面目に受けろ!」
あ、やべ。
俺は「すんません」と答えてカリカリとノート板書を写していった。
♦︎♦︎♦︎
授業が終わり、周囲の人間は雑談に興じ始めたが俺にはそんな相手はいないのでそそくさとかばんに教科書をしまって帰る準備をする。
「いってぇ…」
俺は道明寺に殴られた箇所を労りながら教室を出た。その後道明寺、花沢でばったり出会って———なんてことはなく、昼休みの出来事が嘘だったかのように平和な帰宅を果たした。強いて言うとすれば日差しがあまりにも暑すぎるってことぐらいだ。
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次の日の昼休み。流石にF4ルームで食事をするのは憚られるのでいつものベストプレイスにてナポリタンパン(焼きそばパンみたいなものだと思ってもらえればいい)を頬張っていた。天気は快晴。普通なら汗だくになるはずの屋外だが、ここは日陰で、涼しい風も吹くためあまり汗はかかない。だから俺はこの場所が好きだ。
普段、花沢がここに来ること以外でハプニングはなかなか起きないし使用する人間もほとんどいない。
だが本日、俺は実感する。
統計というものは何の役にもたたないのだと。
小町から何かメール来てねぇかな、とポケットから携帯電話を取り出しつつパンを食べようとしたその時のことだった。
「私まだ処女だしーーーーーーーーー!!!!」
「———は?」
上の階から聞こえた謎の痴女発言。あいや、経験ないからむしろ逆…いや何真面目に考え始めてんの俺。てかまじで何。何が起きてんの上で。怖い怖い怖い。
「…見に行くべきか?」
俺は自分に問いかけた。これもまたいつもなら面倒くさがるのだろうが、今日は好奇心が勝った。ちょっと顔を見るだけだ。別に悪いことではない。そう言い聞かせながら俺はパンとマッ缶を置いて3階へ登った。
すると、そこには———
「処女なの?」
「あっ、えっとそのぉ…」
めちゃくちゃに照れている女の子と、それから———花沢類がいた。
「…あれ、比企谷くんじゃん」
そして気づかれた。考えられる中で最悪の結末だった。
女の子と目が合う。
顔を隠す指先からちらりと見えたその目に何故か俺は親近感を感じるとともに、計り知れない何かが潜んでいたのを見た。
今の俺は知らない。知る由もない。
この女の子が後に大きな自体を引き起こすとは———ましてや、もう既に引き起こしているとは。
さらには、そこにあの道明寺司が関わっているなんて、思いもしなかったのだ。
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松潤繋がりということで99.9の深山大翔を出そうと考えているのですがどうでしょうか
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