第8話。ドラマではここら辺から道明寺が可愛くなってきますが、八幡視点でそれは映し出されるのでしょうか…?
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『どうせ世の中、金だろ?』
『い〜や世の中は愛だよ』
そんな議論を聞いたことが、もしくはしたことがあるだろう。万年ぼっちの俺でさえどこかでした記憶があるほどだ。おいそこのお前、信じてねぇだろ。嘘じゃねぇぞ。
ちなみに我が家は全員お金派なので議論の余地なしである。そこは教育的に嘘でも愛だと言うべきだろ両親。
———金があるから愛が生まれる。
———愛があるからこそ金を稼ぐことができる。
——— 愛があるからこそ、辛い仕事にも耐え働くことの原動力になる。
———愛では衣食住を賄うことはできない。
人それぞれに十人十色はそれぞれの意見があるはずだがここでひとつ俺の考える正解をお教えしよう。
お金派の俺が言うのもあれだが———これの答えは愛である。
何故か。適当なことを言うな比企谷八幡。お前はいつも嘘をつきすぎだという読者の声が聞こえてくるが一度待ってほしい。言われてみれば当たり前の話なのだ。
愛の方が大事だ。何故なら。
金を選んだ場合、そこに愛は存在しないが。
愛を選んでも、必要最低限のお金が消えることはないのだから。
そしてこの物語は愛も金も無かった女が愛と金を手に入れ。世の中金だと思っていた男が愛の尊さを知るところで終わりを迎える。果たしてそれが正しいのか間違っているのかなんて当時の俺にはこれっぽっちも分からなかったのだが今ならはっきりと言える。彼女らの青春ラブコメは紛れもなく王道だ。本当の意味での王道———『近道』では無かったのかもしれないがどこまでも純愛で初恋で熱愛だった。
「……おめでとさん」
「おう。ありがとよ、
だから俺は祝福する。
そして語ろう。
先に忠告しておくが、この青春ラブコメはあまりに甘ったるい。さながらマッ缶だ。…まぁ俺目線で語られる分、その甘さはほとんどカットされているも同然なのだが———
まぁとにかく、だ。
俺の中で今から話すこの話がその始まりだと思っている。
道明寺司が、牧野つくし———いや、
当時は俺も知らなかったそれをぜひご覧いただこう。
…あ、俺目線だから道明寺の心情なんて分かんないんでした。てへっ。
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「ここか」
キッと急ブレーキをかけて停止。見上げた先には恐ろしいほど広い大豪邸がそびえ立っていた。嘘だろ、道明寺財閥…東京ドーム何個分とかの規模じゃねぇか。こんな場所まで牧野を誘拐して、一体何をするつもりだ…?まさかあの落書きを現実にするわけでもあるまいし、話がしたいならわざわざ手荒な真似をしなくてもいいだろうし…ううむ、さっぱり分からん。
何はともあれ常識的に考えて敷地内に入るのは不可能だろう。流石に警報とか、何かしらの警備はなされているはずだ。なら何故来たのかと言われても、勢いとしか言いようがない。走り出した時は熱くなっていたが中盤あたりから俺が行く意味についてずっと頭を巡らせていた。
結論。
無意味。
「馬鹿かよ俺…」
切なさで涙が滲んできそうだった。
閑話休題。
ここからどうしようかと考えてみても特に何も思いつかないので暫く待機してみることにした。おっと、忘れてた。その前に小町にメールしておかなくては。
To:小町
俺に何かあったら後のことはよろしく頼む
送信ボタンを押した30秒後くらいだろうか、『ピロリン♪』と安っぽい通知音。やけに早い返信が来たので折角閉めた携帯電話を再び開く羽目になった。
To:お兄ちゃん
頭沸いてるの?大丈夫?
…………うん。まぁ妥当な返答だな。多分俺だって同じ返答をするに違いない。一体小町に何を望んでいたのだろうか、俺は。まぁ何はともあれ万が一何かあった時にはこのメールを思い出して『これのことか』と気付いてくれるだろう。兄としてそれくらいの聡明さは持っていて欲しいと願うばかりだ。
それでは見張り開始。無駄に良い視力を行使してガラスの奥を盗み見させていただくこととしよう。ちなみにこの時点で、心配よりも好奇心のほうが大きかった。
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「まだ出てこないんですが…?」
ここにきてはや一時間、特に何も起きていない。そして、それはすなわち牧野の行方が分からないということで———本格的に心配になってきた。
インターホンで呼んでみるか…なんて考えていたその時のことだった。
「———……!……」
「……!」
窓越しに牧野と———道明寺が言い合っているらしい光景が確認された。和解、って感じの雰囲気でもねぇな…ていうかあの牧野の服装なんだ。どうしてあんなに高級そうな服を身に纏っている。待って、まじでどういう状況?
ここまでくれば心配0好奇心100だった。身の危険はなさそうだしもうしばらく観察してみよう。
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「ほんっっっっっっっとあいつムカつく〜〜〜〜———って比企谷くん!?」
「ひっ!?」
数分、姿が見えなくなってからどこにも見当たらなくなっていた牧野が俺の目の前にいたため驚きのあまり奇声をあげてしまった。印象を変えるために一度花沢のような振る舞いをしてみよう。
「———やっぱりここにいたんだね、牧野」
「きっっっっっっっっもちわる…」
うぇぇ、と本気でキモがられた。いや別に気づいていなかったわけではない。そこまで愚かではない。勿論キモいことは当然理解していたが、こうもはっきり、しかも女子に言われるとやはりくるものがある…もっと分かりやすく言うと死んでしまいたい気分である。はぁ、もうお嫁にいけない。
「……で?なんかされたの?」気持ちを切り替えて尋ねる。
「あー…うん、まぁ。ていうか比企谷くん、心配して来てくれてたの?」
そういえばという風に牧野が言う。
「そらお前、目の前で知り合いが誘拐されてたら誰だって見に行くわ」俺は目を逸らしながら言う。基本的に女子との会話は慣れていないのだ。
「その興味本位みたいな言い方が気になるけど…」牧野は呆れたように笑った。「まぁありがと。見かけによらずいい人だねアンタ」
「んなこたねぇけどな」
「いや、そんなに顔良いわけではないよ?」
「何で今俺傷ついたの?そっちじゃねぇだろどう考えても。『良い人』のほうだわ」
「あぁそっち?いや良い人でしょ一時間も待っててくれてるんだもん。———ほんと、ありがとね」
心地よい風のなか、快活な笑みを見せる牧野の姿はまるで絵画のようで、つい脈拍が上がってしまう。
「…まぁとにかく帰るか」
「うん。あ、帰り道どっち?」
「あっちあっち」
「いや指差されても…地名とか教えてよ…ていうか聞いてよさっきの話!目が覚めたらさ——————」
こいつ強いなぁ、と感心しながら俺たちは疲労感のなか歩き出す。
こうして、彼女らの青春が幕を開けた。
ただしそこに俺がいるとは限らないし入りたいとも思わない。愛だの恋だの曖昧なものに自分を動かされるなんてまっぴらごめんだ。
だけど、まぁ。
「あのさ」
「ん、何?」
これくらいなら別にいいんじゃないだろうか。
「俺と———と、友達になってくれ」
「?いいよ別に」
プロローグを書いてて、これドラマか原作見てる人じゃないと分かんないなぁと気がついたので次回、ついに道明寺視点から始めようと思います!
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松潤繋がりということで99.9の深山大翔を出そうと考えているのですがどうでしょうか
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