世話焼きギャルとの物語(仮)   作:こってりラーメン

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お ま た せ。


10話

 朝の静かな、しかし確かにどこか浮き足だった雰囲気に似つかわしくない今井さんと湊さんとの邂逅は教室へとたどり着いたことでひとまずの落ち着きを───────みせるわけがなかった。

 

 マジで何してくれてんだよ。校舎に入っても落ち着く気配ないじゃねぇか。なんなら一層周りが騒がしい気がするわ。

 

 校内へと足を踏み入れてからも今井さんからの『なぜメッセージを返さなかったのか尋問』は留まるところを知らず、むしろ一歩コンクリートを踏みしめる毎にその視線は鋭さを増し、確実に俺の心を抉っていた。

 

「で〜?なんでメッセージ返さなかったの?」

「いや、だからそれは・・・」

 

 言えない。送られてきた内容がストーカーじみてて怖かったからブッチしたなんて言えない。

 

 教室へと入り、自身の荷物を自席に置くこともなく今井さんは俺の前に超いい笑顔で仁王立ちしている。その背後には龍のようなものが見える。そのため、こんな危機的状況にも関わらず今井さんはそういう能力の持ち主だったのか、なんてくだらないことを考えてしまう。

 

「・・・キミ、アタシの話聞いてないでしょ」

 

 あ、やべ。

 

「いや、そんなことないです。ちゃんと聞いてます。ええ、聞いてますとも」

 

 目を横に逸らしながらの発言だったので、それが嘘だということはきっと目敏い彼女なら気づいているだろう。

 

「・・・はぁ、もういいや。次からはちゃんと返事してね」

「・・・はい」

 

 それだけ伝えると今井さんは自席へと向かう。

 

 ・・・はぁ。なんとか助かった。にしても、なんで今井さんはあんなにも俺が返事をしなかったことに拘るのだろうか。俺が彼女の立場ならどうだろう、と考え状況を思い浮かべる。

 うん。死にたくなるね。いや、好きな子からメッセージ返ってこないとか辛すぎるわ。ソースは俺。

 

 その昔、クラス全員の連絡先を交換するべく奔走していた子がいたが、それが当時の俺の気になる子で、俺はその子が俺のところへと連絡先を交換するべく訪れるのをいまかいまかと待っていた。そして、俺の目の前の女の子が終われば最後は俺を残すのみという状況になったのだが、結論から言うとその子が俺のもとを訪れることはなかった。理由は定かではない。

 

 でも確か、俺の前の女の子の連絡先を交換し終わった時に『うん!これで全員!』って言ってたな。あれ?もしかしなくても俺、存在消されてない?なんか視界がぼやけて・・・。というか、そもそも連絡先交換すらしてなかったわ。

 これじゃ結局今井さんの気持ちは分からんな。そもそも先の話は俺の場合の話で、それでいくと今井さんが俺のことを好きだという前提の話になる。前提から崩れてんじゃねえか。

 

 ここまで過去のトラウマを掘り返しながらえっちらおっちら今井さんの気持ちを推察していたが、徒労に終わったことで全てがどうでもよくなり使った分の頭を休めるためHRが始まるまで惰眠を貪るのであった。

 

 


 

 

「で、あるからして──────────」

 

 先生の声とその手に握られているチョークが黒板を叩く音と、生徒たちがノートにペンを走らせる音しかしない。つまり、いつもの授業中の光景だ。

 窓の外からは誰かが笛を鳴らす音が聴こえる。おそらく体育の授業で短距離走なり持久走なりを行っているのだろう。ご苦労なことだ。

 そんな感じで色んなことに意識が向くくらい今の俺はまるっきり授業に集中していなかった。

 

 やべぇ、ちょー眠い。さっきからマジで首カックンカックンなってるわ。自分でも分かるぐらいだから周りから見れば一目瞭然だろう。とりあえず、先生にはまだ気づかれていないみたいなのでこの眠気のピークを乗り切れば、まだ踏ん張れるだろうが・・・・・・

 あ、ダメ。ほんとダメ。これマジで寝ちゃう。

 

 もうダメだと思ったその時、後ろから誰かに背中をトントンと叩かれる。それにより、一度は落ちかけた意識をギリギリで繋ぎ止めることに成功する。

 後ろの席の人に感謝を伝えるべく先生の隙を伺い後ろを振り向こうとしたところで、ピタと止まる。

 

 そういえば、後ろって誰だっけ?

 

 そもそもこのクラスに俺にこんなことしてくれる人なんていない。それは他人となるべく関わらないようにしている俺の都合だし、俺自身友人は量より質だと思っているので気にしちゃいない。

 しかしだとすると、今回俺を助けてくれた人物がなおさら気になるわけで。

 

 意を決して振り向いた先にいたのは──────

 

「・・・貴方、すごいことになっていたわよ」

 

 小声でそう話しかけてきたのは今井さんの親友である、湊友希那その人であった。

 

 ・・・・・・あれ?なんかどこかの誰かから殺意めいたものを感じるが気のせいだろうか?

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