世話焼きギャルとの物語(仮)   作:こってりラーメン

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オリ主とリサは同じクラスです。


2話

 最悪だ・・・なんでよりによって・・・。

 

 授業を受けている俺は直近の問題に頭を抱えていた。

 傍から見れば授業の内容が分からなくて頭を抱えているように見えるのだろうか、なんてくだらないことを考える。

 

 って、違う違う。そんなことより日直のことだ。なんで今井さんなんだ・・・。今まで一緒になったことなんてなかったのに。

 

 他のクラスや学校がどういうふうに日直を決めているのかは分からないが、ウチのクラスは担任による完全な独断と偏見で定められる。なので、同じ人が三日連続なんてことも起こりうる。

 しかし、今日という日まで日直を任される日がないわけではなかったが今井さんと日直なんてただの一回もない。

 

 マジで恨むぜ、神様ァ・・・。

 

 可能ならこういうイベントは告白の前に起こってほしかった。

 

 とりあえず、最初の難関はクリアしたためひとまずは安心だ。

 というのも、日直は朝のSHRが始まる前に職員室に赴き、担任から日直日誌を受け取らなければならない。が、それは普段から影の薄い俺だ。今井さんに気づかれる前に手早く済ませておいた。その件でどっちが取りに行く、なんて話し合うことにでもなれば恐らく俺は最大級に気持ち悪くなるだろう。昨日の今日で彼女とどう接すればいいか分からないからだ。

 

 しかしまだ、最初の壁をクリアしただけに過ぎない。これからまだまだたくさんのハードルを超えなければ─────

 

 そこまで考えたところで授業終了のチャイムが鳴る。

 一時間目の担当教師より号令の指示が出される。

 

 ─────あ。そう言えば号令もあるんだった。

 

 思わず今井さんの方を見てしまう。彼女もこちらを見ており、どちらが号令を行うかのやり取りが視線のみでなされる。

 

 うわぁ・・・やっちまった・・・。もうやだ、帰りたい・・・。

 

 最初の号令はこういうやり取りを行うことを避けたかったので手早く俺が行ったのだが、他のことに手一杯で終了の号令のことをすっかり忘れてしまっていた。

 

 だが、やってしまったものは仕方ない。せめてこれ以上気まずくならないように俺が号令をかける。

 

「・・・起立。礼」

「はい、お疲れさん」

 

 それだけ行って教師は退出する。

 

 先程の一件で気分は最悪だが仕方ない。とりあえず、次の授業のために板書を消さなければ。

 

 そうと決まれば手早く済ませてしまおうと思い、黒板の前まで歩いていき黒板消しを手に取る。

 と、ふと隣から良い香りがする。一気に体が強ばるのを感じた。俺はこの香りを知っている。初めて彼女から話しかけられた時にもこの香りを感じた。

 何かの柔軟剤だろうか、なんて思うくらいには緊張していた。黒板消しを握る手が汗ばむのが分かる。全身が熱くなるのが分かる。

 

「・・・朝、ごめんね。職員室まで日誌取りに行ってくれたんだよね」

「え、あ、いや、そんな・・・」

 

 昨日まで彼女から話しかけられたら有頂天になるくらい嬉しかったはずなのに、今は酷く自分が惨めに思えた。

 そんなだから、返事もままならない。

 

「・・・それと、昨日はアリガト。断ったアタシが言うのもなんだケド、嬉しかったよ☆」

「え・・・」

「ほら、アタシってこういう感じだからさ。けっこー軽い女、みたいな感じに思われてるんだよね。だから、迫ってくるヒトって()()()()()()を期待してるヒトが多くて・・・。でも、キミの告白はそういうヒトたちとは違う感じがしたんだ。一生懸命で、穢れがなくて、綺麗な告白。だからチョットドキッとしたし、嬉しかったのはホントだよ☆」

「あ、いや、どうも・・・」

「プッ、アハハ!照れるな照れるなー☆」

 

 そう言って彼女は俺の腕をつついてくる。

 

 やめて!貴女のそういうところがですね!俺みたいな残念な男の子を失意のドン底に突き落とすんですよ!お分かりいただけたら、今後ボディタッチはやめて!

 

 それにしても、やっぱり彼女はとても暖かい。

 見た目故に勘違いされがちだが、彼女の本質は陽だまりのような暖かさだと思う。彼女の傍にいるだけでこっちまで心が暖まるような感覚さえある。

 

 ─────けど、俺がこの陽だまりの傍にいることは叶わない。

 

 そう思うと、飢餓感でどうにかなってしまいそうだった。

 

 

 


 

 

 

 次の授業は数学か・・・。端的に言って地獄だ。何を隠そう、俺は数学だけは本当にダメなのだ。数字を見るだけで吐き気に襲われる。なんだよ解の公式って。覚えられるか、あんなもん。

 

 気晴らしにトイレにでも行こうと思い、教室を出るとそこには次の授業の担当である数学の先生に何かを頼まれている今井さんを発見する。

 

「それじゃあ、今井さん。着いてきて」

「はーい」

 

 そう言って先生と今井さんは歩いていってしまう。

 疑問に思わないわけではなかったが、俺は当初の予定通りトイレに向かうことにした。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 そしてトイレを済ませた俺は教室に戻る途中、何やら大量の冊子を運んでいる今井さんを発見する。

 今井さんは校内でも人気だ。顔立ちも整っているし、何より俺みたいなはみ出し者にも気軽に接してくれる。そのため、校内の男子生徒は彼女を見かける度にチラ見したり声をかけたりするのだが、みんな面倒事は嫌なのだろう。先程から頑張って冊子を運んでいる今井さんを見るだけで誰も手を貸そうとしない。

 それを見て思うところがないわけではないが、俺だって正直あまり関わりたくないというのが本音だ。なにせ、彼女の姿を見るだけで昨日のことが鮮明に思い出される。

 まあ、最悪誰かが手を貸すだろうと勝手に結論づけその場を後にするべく歩き出すが・・・

 

 もう一度今井さんを見る。

 彼女は大量の冊子をアタフタしながら運んでいる。見るからに危なっかしい。それなりの距離そうしてきたのか、少し辛そうだ。

 

 あぁ、もう!!

 

「・・・今井さん」

「うひゃあ!?」

 

 背後から急に声をかけたため、今井さんは変な声をあげてしまった。

 それでも抱えた冊子は落とさなかった。

 

「な、なんだ三浦クンか・・・びっくりしたぁ・・・」

「ご、ごめん」

「ど、どしたの?」

「あ、いや、半分持とうと思って」

「それは嬉しいんだケド・・・キミ、あんまりアタシと関わりたくないんじゃないの?」

「・・・・・・!あ、いや、そういうわけでは・・・!」

「アハハ、いいよいいよ。昨日、あんなことがあったばっかりだしね。しょーがないよ。・・・・・・だから、だいじょーぶだよ。アリガト☆」

 

 そう言って困ったように微笑む彼女を放っておくなんて俺には我慢ならなかった。

 

「・・・・・・早く半分」

「え?」

「いいから。早く半分貸して」

「えーと・・・三浦クン、何怒ってんの?」

「怒ってはない・・・けど、言いたいことはある」

「・・・・・・・・・」

「確かに俺は昨日君にフラれた。それもあって君となるべく関わりたくないと思ってたのも事実だ。けど・・・それは好きな女の子を助けない理由にならない」

「─────!」

 

 かなり恥ずかしいことを言ってしまった気がするが、言ってしまったものは仕方・・・ない・・・・・・って!俺また告白してんじゃん!?昨日フラれた相手に翌日告白するとか頭おかしすぎでしょ!!

 

「あ、いや!今のは、その・・・」

「・・・・・・ア、アハハ!ふつー、昨日の今日でフラれた相手に告白する!?面白すぎでしょ!!」

 

 何が今井さんのツボにハマったのか分からないが、突如笑い出す。

 

 ちょ!!ここ廊下!!他の人に聴こえるからボリューム下げて!!

 

 

 


 

 

 

 その後、俺たちは並んで半分ずつの冊子を持ち教室へと向かっていた。

 

「・・・・・・あ〜、面白かった」

「・・・左様ですか」

 

 一頻り笑った彼女は満足したようだ。

 

 ・・・・・・いや、まだ笑ってんな。クスクスいってんの聴こえてるからな。

 

 そんな苛立ちを上手いこと隠しながら彼女に話しかける。

 

「・・・あの、今井さん」

「ん〜?」

「さっきのあれですけど・・・その・・・忘れてもらっても・・・」

「イヤ☆」

「よし、死のう。もうこんな現実なんて受け入れられない」

「ウソ!!ウソだって!!」

 

 よし、これで何とか精神の安定は保たれる。

 

「・・・・・・でもさ、さっきのキミすっごいカッコよかったよ」

「え」

「すっごいドキドキした」

「え、いや、あの・・・」

「またまた照れちゃってー。可愛いヤツめ、このこの〜☆」

 

 そう言ってまた俺の腕をつついてくる。

 

 だから、ボディタッチはやめろって言ってんだるぉぉぉ!

 

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