世話焼きギャルとの物語(仮)   作:こってりラーメン

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9話

 今井さんと青葉さんとのお出かけやファストフード店での美人な店員さんである松原さんとの邂逅を果たした週末も終了し、いよいよ迎えた月曜日。つまり、また憂鬱な一週間が始まるのである。

 

 もうほんとやなんだけど月曜日。またこれから五日間学校にかったるい授業受けに行かないといけないとかどんな罰ゲームなんだよ。中には休みの間友達に会えなかったから、友達と会うことのできる月曜日を待ち望みにしているやつもいるらしい。俺としてはそんな変人が存在しているとは思えないが、実際問題そういうやつは一定数存在するようだ。しかしそのくせそういうやつに限って、だけど授業はめんどくさいなどと宣う。本当に都合のいい連中だと思う。

 まあ、俺も授業がめんどくさいというのは概ね同意だが。だって授業中とか一生、先生の話聴いてるだけだしなんならそのうえ先生が黒板に書いたやつをノートに書き写すとかいう作業まであるし。

 なにあれ、もはや労働でしょ。あんなことお金もらわんと割に合わんのに、なぜ逆にこっちがお金を払わなければならないのか。なんとも理不尽な話だ。

 

 なんて、俺の考え自体が理不尽であるということには目を瞑り最低な持論を脳内で展開する。

 

 そういえば、何かの野球漫画で読んだことがあるが授業中の文字を追いながら板書を移す作業というのは、本来人間に備わっている何かの機能を抑制してしまっているらしい。

 ということはいまだ俺本来の力は発揮されていないということである。こうやって表現すると、いつか何かの凄い力に目覚めて世界を救えちゃいそうである。ふっ、やはり俺は選ばれた特別なにんげ───────

 

 そんな朝の登校中にそぐわない妄想がよくなかったのか、突如背中を誰かにぶっ叩かれる。

 

「いって!!」

「あ、ごめん。ちょっとやりすぎちゃった」

 

 誰だ朝っぱらからこんなしょうもないイタズラするやつは。ふざけんな何の嫌がらせだ、俺にはこんなことされる謂れはねぇぞこの野郎。学校では目立たないように休み時間も永遠に自席で寝たふりしてるし、弁当もなるべく教室では食べないようにするために校舎の外で食べてんだぞ。だから、そもそもそういうことしてくる友達と呼べるような人物がいないわけで、なんて怒っているような自虐しているようなよく分からない心境だったが、こんなふざけたことをしでかした犯人に一言、言ってやろうと振り向くとそこにいたのは全然悪びれていない顔で謝罪の言葉を述べる俺の意中の想い人、今井リサその人であった。隣にはいつも見かける湊さんもいた。

 

 ・・・・・・おい、朝の通学路でなんてことしてくれてんだ。めっちゃ注目されてるじゃねぇか。めっちゃ周りの視線が痛いわ。具体的には視線だけで全身を貫かれそうなほど痛い。ていうかもう貫かれてる。全身ボロボロだわ。どう責任とってくれるんだよ、これ。湊さんも無表情のように見えるけど怪訝な顔をしてる気がするんですけど。

 

 みんなの人気者である今井さんとなんだか親しげな間柄に見えたのだろう、周りからはなんであんなやつが今井さんと、とかあいつ誰?、とか散々な言われようだった。

 

 おい、あいつ誰?は思ってても言うんじゃねぇよ。そうやって思われても仕方ない学校生活を送ってたとしても、実際に言われるとめちゃめちゃ傷つくんだよ。ぼっちの豆腐メンタル舐めんな。

 

 そんな悪態を心の中で吐きながら、この状況を作り出した犯人に恨みがましい視線を送りつつ、とりあえず一言。

 

「・・・・・・おはよう」

「うんっ、おはよう。きちんと挨拶できてえらいぞー☆」

 

 好きな子に朝から会えて、しかもその子と話してしまうなんてイベントを経験した基本チキンハートな俺には彼女に文句を言うなんて無理でした。

 それにしても・・・・・・ねぇ、ほんと親しげな雰囲気出すの止めて。しかもこんな往来で。これ以上はもはやイジメになるよ?先生に言いつけるよ?周り見て。お願いだから。自分の影響力を自覚してほしい。

 しかも、叩いた力加減ミスったのマジで悪いと思ってないだろあんた。それなりに痛がった反応見せたと思うんだが。

 

 しかしそんな俺の思いが彼女に伝わることはなく。今井さんはいまだ変わらぬテンションで話しかけてくる。

 

「あ、そういえば昨日のメッセージ無視したでしょ」

 

 その発言に殺意すら込められているのではないかと思えるほどの視線を送りながらこっそり聞き耳を立てていた外野の方たちが騒然とする。

 

 ──────────あ、それダメなやつ。

 

 しかし、時すでに遅く。今井さんは止まらない。

 

「せっかく何かお話しようと思って送ったのに・・・・・・そういえば、あの時何してたの?」

「あ、いや、その・・・・・・」

「ん〜?」

 

 怖い。怖いよ、その笑顔。なんでちょっと怒ってるみたいな雰囲気なんだよ。

 しかも周りの方々の視線がどんどんキツくなってるんですけど・・・・・・

 

 そんなこんなでもはや理不尽とすら思える板挟みの俺を助けてくれたのは、あろうことか今の今まで静観を決め込んでいた湊さんだった。

 

「・・・・・・ねぇリサ。このままでは遅れてしまうのではなくて?」

「あ、ホントだ。アリガト、友希那♪じゃあ、とりあえず三浦クンの言い訳は歩きながら聞かせてもらおっかな☆」

 

 そうして三人で今井さんを挟む形で学校へと歩き始める。

 

 ふう、とりあえず助かった・・・・・・とりあえず、この朝の光景には似つかわしくない殺気に溢れた空間からは脱出できそうだな・・・・・・けど、学校に着いたら、と考えたところで思考を打ち切った。これ以上は考えない方がいい気がする。主に精神の安定のために。

 

 しかしふと思い返すと、どこか彼女の発言には引っかかる部分が。

 

 ・・・・・・ん?言い訳?言い訳って何?なんで俺が悪いみたいになってんの?おかしくない?ねえ、おかしくない?

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