ウマ旅! ~第四回ウマ娘短編合作~   作:サイリウム(夕宙リウム)

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P:企画開始の宣言をするのだ、たづな!

ここは中央トレセン学園。正式名称日本ウマ娘トレーニングセンター学園。東京都府中市に存在する日本中から集められた選りすぐりのウマ娘たちが在籍する学園。

 

生徒は約2000人を誇り、毎年素晴らしい成績を歴史に刻んでゆく英雄たちが己を磨き上げる場所である。

 

 

 

「き、危機ィィィィィイイイ!!!!!」

 

 

 

そんな学び舎に突如響き渡る女性の叫び声。いったいどうしたのでしょうか? 場所は……、理事長室から聞こえたようですね。少しだけ覗いてみましょう。

 

 

「このままでは、いか~~~ん!!!!!」

 

「ど、どうしたんですか理事長! ……あれ、このやり取り何年か前にやった記憶が……?」

 

 

学園の運営などを司る、いわば学園の最高権力者の城である理事長室。その主である秋川やよい理事長。通称ちみっこ理事長が顔を真っ青にしながら叫んでいる容姿。ご丁寧に広げられた右の扇子も『危機ッ!』とかなりの達筆で書かれております。

 

 

「た、たづな! 大変なのだ! とりあえずこれを見てくれ!」

 

 

そう言いながら手渡された書類を見るのは緑のスーツで身を包んだ女性、駿川たづなさんです。理事長秘書、という役職でこのトレセン学園に勤務している彼女ですがそのお仕事は多忙。朝の校門前で登校してくる生徒たちに挨拶したり、深夜遅くまで生徒が学校に残っていないかの見回り、各トレーナーさんへの業務連絡と大変です。でもでも今日は理事長と一緒に書類仕事をしていたご様子。

 

 

「これは……、あぁ! 先日行った生徒の皆さんへのアンケートですね! 確かURAファイナルズやアオハル杯以外にも企画してほしいレースや、普段の学園の満足点・不満点。あと簡単なストレスチェックとかも一緒に行ったんでしたよね。もう統計が出ていたんですね!」

 

「肯定! しかしながらも問題はその下の方!」

 

 

そう言われて視線を書類の下の方に移すたづな。それまでをパッと読み流した感じからするとURAファイナルズやアオハル杯、学園の設備などに好意的な意見が多く『何もないのでは?』と思っていたのだが……、

 

 

「えっと、精神科医の先生による分析ですか。何々……。」

 

 

『主治医です。』

 

『今回のアンケートを確認させていただいたところ、既存の有馬記念に加えてURAファイナルズやアオハル杯の開催が冬季に集中していることから一部の生徒に比較的軽度の精神的負担が掛かっている可能性があると判断いたしました。まだ表面化・深刻化になっていない問題と推察いたしますが、何らかの形で発散させる。もしくは一時的にレースと離れるなどの対処が必要となるかもしれません。また、今回のアンケートの対象からは外れていますが職員の皆様も年末に大イベントが重なっているということもあり負担になっている可能性があると愚考いたしました。ご自愛ください。』

 

 

「な、なるほど。確かに年末は大きなイベントが多くなってきますし、生徒だけではなく私たち職員にとってちょっぴり負担になっているかもしれませんね。」

 

「そうなのだ、たづな! このまま生徒たちにストレスが溜まってしまいケガなどが誘発してしまっては……、危機ィィィィィイイイ!!!!!」

 

「確かにこのまま放置してはいけない問題ですね。」

 

 

そう言いながらなにか自分の記憶の中に使えそうなものがないか思案するたづな。ストレス、解消、日常からの逃避、……旅行?

 

 

「あぁ、そういえばURAの時にお世話になったトレーナーさんが担当なされたウマ娘の方。確かURAファイナルズが終わった後に商店街の福引で当たって温泉旅行に行ってきた。みたいなことを聞きましたね。温泉とかあったかくてよさそうだし私も行きたいなぁ、なんて思ってたんでしたっけ。」

 

 

「そ、それだぁぁぁぁぁあああ!!!!!」

 

 

急な大声でビクッとするたづなさん。その声の発生源に目をやると大声でビックリしたのか帽子から落下しそうになっているネコさんといつの間にかに『名案!』という扇子に持ち替えていた我らが理事長。

 

 

「名案! 名案だぞ、たづな! 旅行であればストレス発散にもなるし、一時的に学園から物理的に離れるから余計なことを考えずに済む! まさに悪魔的リフレッシュ!」

 

 

 

 

 

 

 

『決定! 冬季大旅行! ウマ旅!』

 

 

 

 

 

 

 

「と、いうわけでこの話が生徒会に任されたのだよ。」

 

 

時が少し経ちまして、そして場所も変わって生徒会室。ここにはいつもの三人。会長のシンボリルドルフ、副会長のエアグルーヴとナリタブライアンがいます。そしてこの部屋の主である会長はまさに皇帝といった様子で二人に今回の企画を説明しているわけですね。

 

 

「生徒全体のリフレッシュのための旅行。そして行先での観光発展を目的とした雑誌作成ですか……。」

 

「あぁ。と言っても私たちは数枚の写真と感想文の提出だけで詳しいところは理事長とお願いする出版社の方がやってくれるそうだ。」

 

 

女帝と呼ばれ、赤いアイシャドウが魅力的なウマ娘、エアグルーヴが確認するように会長に問います。さすがに2000人の生徒をただ単に旅行させるのは理事長でも無理だったらしく、月刊トゥインクルを発行している編集社と協力して『ウマ旅』なる旅行雑誌を作成する予定のようです。

 

 

「基本複数人での申請で、行き先はほぼ自由。内容も目的も学園から指図はなし……。」

 

「ッふ。移動費・宿泊費・食費に、一人1000円までのお土代まで。雑誌などの利益など微々たるものだろうに、はみ出した部分は全額理事長のポケットマネーで負担とは……。太っ腹だな。」

 

「あの方なりに色々と私たちのことを考えてくださっているのだろう。一番なのは全力で楽しんでしっかりと必要なものを提出するだけだよ。」

 

 

安全面とリフレッシュの面を両立するため、今回の旅行企画は複数人での旅行に決定。期間は何かと忙しい時期に数日だけでも癒しを、ということで冬季。行先も日数もほぼ制限がなく、しかもお土産代まで理事長は出してくれるそうです。

 

 

「解りました。では我々はこの企画内容の告知と旅行時に守るべきマナーなど伝える、そしていくら無制限だとしても節度を持って申請することの告知、といった形でよいのでしょうか?」

 

「あぁ、すまないが頼めるか。グルーヴ。」

 

「はい、お任せください。……おい、ブライアン、逃げようとするな。お前も手伝え。」

 

「っち、バレたか……。」

 

 

 

 

 

と、こんな感じで始まりましたウマ娘による旅企画。通称『ウマ旅』! 一体全体どんな物語が待ち受けているのか! とっても楽しみですね!

 

 

ではでは皆様! 思い出に残るいい旅を!

 

 

いってらっしゃ~い!

 

 

 

 

 

 

 

 

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