Dr.R   作:時空の裂け目

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投稿頻度は高くありません。何なら飽き性です。


第一話

 耐え難い痛みにより、意識が覚醒する。頭が痛い…。いや、それどころか全身に痛みが走っている…。起き上がれない…。

ここはどこだろうか…?視界も安定せず、なにも見えやしない。

聴覚に関しても何も聞こえない。声はどうだろうか?口を開き、声を出そうと試みる。

 

「…ぁーぁー…。」

 

 声は出せるようだ。しかし掠れたような低い声しか出せず、全身に駆け巡る激痛の情報だけが私の脳に送られてくる。

 

「あぁ…駄目だ…意識が…遠のいて…い……く…。」

 

結局、意識を保つことはできず、私は再び意識を閉じ眠りについてしまった…。

 

 

…。

 

 

「…!グぁぁ!?」

 

唐突に背中に激痛が走り意識が覚醒する。目覚ましにしては随分と容赦のない一撃だ…。

 

「…?」

 

先程目覚めた時がいつかは分からないが、痛みはマシになっているようだ。気絶か失神か、はたまた寝ていたのか、それのどれかは分からないが、とにかく起き上がれそうだ。

私はまだ痛む体に鞭を打つように無理矢理体を起こす。

 

「…っ!」

 

 なんとか体を起こした私はあたりを見回す。視界も聴覚も回復しているようだ。周りは無数の本棚に囲まれていた。幸い記憶に障害は無いようで、すぐにここが何処か思い出すことが出来た。

 

「此処は…っ…図書館の…図書保管庫…か…?」

 

 どうやら本の保管庫に居るようだ。私を強制的に覚醒させた痛みは本棚から落ちた複数の本のようだ。私が寝返りでもしてその際に本棚にぶつかり、揺らしたのが原因だろうか…。そして何故ここにいるのかを思い出そうと考えを巡らせる。

 

「…そうだ。私はあの時、暴徒の波にのまれ、命辛々ここへ逃げて来たのだったな…。」

 

 記憶を遡りなぜここにいたのかを思い出す。私は黒曜獣の処理に立ち会っていたところ突然、銃声が響いた。かなり大きな銃声だったと記憶している。それこそ大口径のライフル並みの大きな銃でないとあのような音はでない。それに続いて次に聞こえたのは悲鳴や怒号。同僚たちにその場を任せ、何が起こっているかを確かめに音の聞こえる方へ急ぎ足で歩いて行く途中、銃弾が目の前を通過した。銃弾が飛んできた方向を見ると、武装した人間の波が押し寄せていた。

 

私はガタイこそいいが流石に数の暴力に勝てるほど強くはない。そこからの行動は早かった。

おそらく今まで走ってきた中でも最速だったであろう。

踵を返し全速力で逃げた。我武者羅に走り、道を曲がり、途中何人か同僚とすれ違ったが、そんなことはお構いなしに全速力で走って逃げた。

そして辿り着いた先がこの場所だった訳だ。

辿り着いたと同時に扉に鍵をかけ、そして…そして?どうしたことだろうか。なぜ気を失ったのかが分からない。すっぽりと頭の中からきれいさっぱり抜け落ちてしまっている。

 

一体何が原因で気を失ったかは分からないが、取り敢えずそのことは頭の片隅に置いて後で考えるとして、一先ず私は行動を起こす事にした。…そういえば私はどのくらいの間、気を失っていたのだろうか。

 

「一先ずはこの部屋を出てみよう…。話はそれからだ。」

 

 そう言葉を口にしてまだ痛む体を動かし、決意を新たに私は図書保管庫のカギを開け、扉を開いた。

 

「何だこれは…。白い…液体…?それも廊下中に…?」

 

 扉を開けた先は真ん中に本棚が並んでいる図書館にありがちな廊下…だが、決定的な違いとして廊下の足場を埋め尽くすように白い液体…いや、正確には液溜まり…といった方がいいだろう。とにかくそれらが床、いや天井にも出来ている事だろう。

 

「これは一体…?いや、これはもしや…明曜獣?」

 

 私はこれらに見覚えがあった。明曜獣。我々が生み出した粘液で出来ている寄生生命体だ。この様子から察するに、おそらく暴動の際にどさくさに紛れて曜獣達が脱走したのだろう。この建物で管理していた曜獣達はすべて逃げ出したのではなかろうか…。そうでなければこのような惨状になっていないだろう。

 

「なんてことだ…この中を通り抜けて奥の扉まで行かないといけないのか…。…仕方ない。」

 

 悩んでいても仕方ないと考え私は進むことにした。液溜まりや影を避けて通れば特に問題ないだろう。

 

「…。…ッ!」

 

 途中まではただ床にいる曜獣や天井に張り付いている曜獣の影を避けて通れば良かった…が、彼らも生物であり、水たまりのようにただそこに佇んでいる様にしか見えないがしっかりと意思があり、久しぶりにやって来た獲物を逃すまいと動くことがある。

私が来るであろう場所を予測し、私が通ろうとしていた場所へ移動したのだ。

 

「…っ…ふぅ…危なかったな…。」

 

 私はなんとかギリギリで躱し、先へ進むことができた。暴動の名残だろうか、私がたどり着いた場所は大量の段ボールやコンテナで埋まっていた。

 それを何とかしてどかし、やっと扉の前までたどり着くことができた。

 

「やっと着いたな。少し手こずったが、無事というだけでも儲けものだな。」

 

「さて…ん? 扉が開かない? ふむ…。」

 

 苦労してたどり着いたと思ったら今度は扉にロックが掛かっているようで扉が開かない。おそらく暴動の際に警備システムがロックをかけたのだろう。隣にある端末で制御できるようだが、パスワードの入力かカードキーが必要なようだ。

 

「さて、どうしたものか…。…む?足音…?こちらに近づいてくるな…。…!ロックが解除された…?」

 

 扉の向こうから何者かの足音が聞こえた。更に相手はカードキーを持っているかパスワード知っているか分からないが、扉のロックを解除したようだ。

気を失ってからどのくらいの時間が経過したか分からないため、扉の向こうの相手が暴徒かもしれないし、暴動によって脱走した曜獣かもしれない…。

いずれにしても隠れた方がよさそうだが、物陰はあるものの、私が隠れには小さすぎ、逃げるにしても再びあの液溜まりの中を突き進むのはリスクが高すぎる…。

戦うにしても体格では有利だろうが丸腰であり、体の調子は言わずもがな絶不調である。絶体絶命だ…。

そうこうしているうちに、扉は開いてしまった。あぁ…私はこれからどうなるのだろう。暴徒であれば攻撃されて死に、曜獣であれば寄生され同化し、自我を乗っ取られるのだろう。

どちらにしてもバッドエンドだ。そう思い静かに目を閉じて、刻一刻と迫る自らに近づく死を待った…。

 

「…。 …?(なにもして来ない…?様子を伺っているのか?)」

 

 そう思い目を開けた。そして私の視線の先には一匹の黒曜獣がこちらを見ていた。

 




気になった方はpixivとかで"Changed"と検索すれば原作キャラ達の画像が出てきます。
気が向いたら行ってみてください。もちろんTFとか大丈夫な方向けですが…。
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