エヴァのエヴァオタによるチルドレンのための改変(Rルート) 作:さつまいもキング
「…思ったより狭いね。」
シートに座っているが姿勢はかなり前のめりなシンジ。
「うっさいわねー。仕方ないでしょ。4人も入ってんだから。」
シンジの左後ろから手を伸ばし操縦桿を握りしめるアスカ。
「(予想はしてたがここまで狭いとは…)レイ、しっかり掴まってろ。」
シンジの右後ろで足をぶら下げて座るケン。
「離さない。絶対」
ケンの膝に座るレイ。
構ってもらえなかった反動で強い力でケンに抱きついている。
さらには揺れた時に事故に見せかけてキス出来るように顔も近づけている。
もちろんケンはレイの思惑に気付いていない。
「ほら、使徒が目の前に来てんだから早くシンクロするわよ。」
「分かってるよ。やればいいんだろ。やれば。」
「あんまいい予感しないがやってみるか。」
「ん…」
4人がシンクロしようとした瞬間、壁一面に現れる『FEHLER』の文字。
「ちょっと!あんた達ドイツ語で考えなさいよ!」
「仕方ないだろ?!ドイツ語なんて分からないんだから!」
「喧嘩してる場合か!まずい!フィールド全開!」
「は?あんた何してるのよ。」
「使徒がこの船に突進してきたからATフィールドで防いだだけだが?」
「あんたバカァ?生身でATフィールドが使えるわけないでしょ。それに使えたとしてもなんで来るのが分かったのよ?外の様子なんて分からないじゃない。」
「それはATフィールドをレーダー代わりにして対応した。」
「はぁ?ねぇシンジ、コイツっていつもこんなくだらないこと言ってんの?」
「ケンが言ってることはホントだけど。ねぇ、レイ。」
「えぇ。ケンくんは嘘はついてないわ。」
「いや、仮に使えるとしても、なんで使えるのよ。」
「簡単だ。使徒を食った。」
「…もういいわ。あんたと話してると頭痛くなってくる。そういえば使徒が来てるのよね。思考ベースを日本語に変更。もう一度シンクロするわよ。」
アスカがそういうと、全員が意識を集中させる。
「言い忘れてたがアスカ。少し意識が飛ぶかもしれないから気をつけろ。」
「え?」
アスカはその言葉を最後にして意識が途切れた。
「ん…ここはどこ?」
アスカが目を開けると、目の前には真っ白な空間が広がっていた。
そこには1人の女性が立っている。
それはアスカにとってどうしても忘れられない存在。
かつて目の前で死んだ母親、惣流・キョウコ・ツェッペリンがそこにいた。
「久しぶりね。アスカちゃん。」
「ママ?ママなの?嘘よ…だってママは…」
「ごめんなさい。アスカちゃん。確かにママは死んだわ。」
「じゃあなんで…」
「でもね、それは精神がエヴァに取り込まれてしまったからなの。だからずっと、エヴァの中からアスカちゃんを見守ってきたわ。アスカちゃんの努力も、アスカちゃんの悲しみも分かる。」
そう言ってアスカをそっと抱きしめる。
「あなたには何もしてあげられなかった。あなたをずっと悲しませた。こんな母親だけど、一緒に戦ってくれる?アスカちゃん。」
「何言ってんのよ。ママじゃなきゃダメじゃない。」
声は震え、目には涙が溜まっている。
「ママこそ、こんな娘だけど守ってくれる?」
「もちろんよ。娘を守らない親なんているわけないわ。」
母の胸から顔を離して、目を合わせるアスカ。
「ありがとう。ママ。一緒に、使徒を倒しましょ。」
「えぇ。ほら、みんなが待ってるわ。行ってらっしゃい。アスカちゃん。」
「行ってきます。ママ。」
『行ってらっしゃい』、『行ってきます』そんな何気ない親子の会話が、アスカの背中を押した。
「どうしたの惣流?泣いてるよ。」
シンジの声で目が覚めるアスカ。
「なんでもないわ。ほら、行くわよ!」
その目には、悲しみから解き放たれたことで生まれた、新たな覚悟があった。
そろそろシンジに出番をあげないと…