エヴァのエヴァオタによるチルドレンのための改変(Rルート) 作:さつまいもキング
N2爆雷の光に照らされ、真昼のように明るい第三新東京市。
光の中心で使徒ゼルエルを押し上げる無号機。
背部拘束具を内側から破壊した光の翼が、触れる大気を燃やしバチバチと火花を上げる。
次第にN2爆雷の爆発がゼルエルの背中を抉り始めた。
左手に握るナイフをコア目掛けて突き上げた。ゼルエルはコアを殻で覆い守りナイフを防いだ。
だがケンはエントリープラグの中で口角を上げた。右手に掴む顔面を引き、ナイフを無理矢理にでも突き刺さんと押し込む。
無号機のATフィールドはゼルエルのものの中和と滞空の為の推進力に全て注いでいる。
そのため爆発の熱と衝撃が、一切の緩和無しに拘束具や内部機器を叩き破壊した。
そんなことはお構い無しに降り続けるN2爆雷が肉を抉り、ついにコアまで到達すると、剥き出しのそれを容赦なく襲い始める。
コアのシェルはナイフを防ぐために使われ爆発を防ぐことが出来ない。
シェルに突き立てられたナイフ、コアを襲うN2爆雷、目を潰され光線も撃てず、ATフィールドは全て中和され、死へと近づくゼルエルは最期の抵抗として残ったリボンの左腕を無号機の胸に突き刺した。
分厚い胸部装甲を容易に貫通したリボンはコアを切り裂き、内部のS2機関を傷つける。
「がばぁ!」
無号機と高シンクロ状態にあるためダメージが過剰にフィードバックされ、異常なまでの痛みが脳を一瞬支配する。
「この…程度の…痛みでぇ…」
数秒、視界がホワイトアウトし、音が遮断され、手足の感覚も消えた。
それでも尚ATフィールドの展開を止めずナイフをコアに押し付ける。
「やられてたまるかぁ!」
自分の声も聞こえない。それでも叫んだ。痛みを紛らわす為に、己を鼓舞する為に。
ようやく外界の情報が分かるようになった時、左手に硬い物が割れる感覚がナイフを伝って感じた。
N2爆雷がコアを破壊したのだ。光に包み込まれると、達成感と疲れがATフィールドを解除して黒い巨人が街に落ちる。
「残念だったな…俺の勝ちだ…」
焦点の定まらぬ視界に見たのは、消えゆく巨大な光の十字架だった。
十字の光に照らされた第三新東京市を突き抜け、ジオフロントに落下するエヴァ無号機。
落ちた衝撃で、一瞬LCLの中で体が浮いた。LCLが無ければ放り投げられただろう。
ケンはオレンジのLCLが赤く滲んでいるのに気がついた。それはまるで水槽に入れた水にに赤い色水を垂らしたような景色だった。
もう1つ、ある事に気がついた。シンクロが切れているにも関わらず左胸が異常に痛いこと。
視線を移すとプラグスーツの左胸が赤く染まっている。それを見て呼吸も満足に出来ていないことに気がついた。
ケンは察した。
フィードバックされたものは痛みだけでなく、物理的なダメージも含んでいたと。
それが分かると自然とこう思った。
(あぁ、死ぬのか…)
人間不思議なもので、死を実感すると冷静になる。諦めからか、慌てるだけのエネルギーも無いからか。理由は分からないが死ぬ時はあっさり死ぬものだ。
ゆっくりとまぶたを閉じる、ミサト達が通信で何か言っているがどうでもよく感じた。
真っ暗な視界の中、最期。
レイに抱きしめられるような感覚に陥った。