元の世界でありふれたマスターは異世界で家族をつくる   作:nightマンサー

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第12話 帝国兵

 

 

 

 

 

 

 

シアの案内のもと、残りの兎人族達と合流するため俺達はハジメが作成した装甲車で渓谷内を移動していた。

 

「…つまり、シアちゃんは亜人なのに魔力持ちで魔力操作が出来て『未来視』って固有魔法まで持ってたから迫害されないよう一族皆で匿ってた。だけど遂にシアちゃんの存在が樹海にある亜人族の国【フェアベルゲン】にバレたから捕まる前に樹海を出た」

 

「それで樹海を出たはいいけど運悪く帝国兵に見つかって、この渓谷内に逃げ込んだら入口に陣取られて我慢比べになり、現在は渓谷内にいる魔物から身を隠している、と」

 

「はい…」

 

恵里と俺でシアの話を纏めた現状を口にする。

どうやらかなり逼迫している状況なのだがーーー

 

「おい残念ウサギ、なんで帝国兵と鉢合わせしてんだよ。そもそも『未来視』があれば国にバレるのも回避出来んだろ」

 

この場にいた全員が疑問に思ったであろう事に、バーヴァン・シーが突っ込んだ。

 

「えっと、ですね…その…自分で使った場合は暫く使えなくて……」

 

「バレた時、既に使った後だったってことか。いったい何に使ったんだ?」

 

運転するハジメが尋ねるとシア言い辛そうにしつつーーー

 

「ちょ〜っと、友人の恋路が気になりまして……」

 

「「ただの出歯亀じゃねぇか!!」」

 

シアの言葉に俺とハジメの声が被った。

 

「仕方ないよ、兄さん。女の子にとって恋バナは蜜の味だからね」

 

「ま、それで死んだらクソダサいけどな!」

 

恵里が上げてバーヴァン・シーが落とす連携プレーで、シアの心はボロボロだ。

 

「あ、皆が隠れてる所までもうすぐーーー」

 

話題を変えるためか、はたまた本当かシアが声を上げるが途中で区切り前方を見て固まっていた。

 

「ま、魔物の群れが、父様達がいる方に…!?」

 

「っ!モルガーーー」

 

「大丈夫です、我が夫。既に終わりました」

 

焦るシアの言葉を聞き、咄嗟にモルガンに呼びかけようとしたが、どうやら俺が言うまでもなく手を打ってくれたようだ。

少しして目視で完全に見える位置までやってくると、兎人族を襲おうとした魔物であろう死骸が辺りに散乱していた。

 

「父様!」

 

「シア!無事だったのか!」

 

兎人族は俺達が乗っている装甲車を警戒しているようだったが、装甲車から出たシアが声をかけたことで安堵しており、その中から兎人族の初老の男性が驚きながらもこちらに寄ってくる。

どうやら彼がシアの父親ーーー兎人族の長ということだろう。

 

「ハジメ殿と慎夜殿で宜しいか? 私は、カム。シアの父にしてハウリアの族長をしております。この度はシアのみならず我が一族の窮地をお助け頂き、何とお礼を言えばいいか。しかも、脱出まで助力くださるとか……父として、族長として深く感謝致します」

 

「こちらも後で樹海の案内をしてもらいますからお互い様です。それと貴方達を直接助けたのはモルガンですので、感謝は彼女に」

 

俺はそう言ってモルガンに目を向けると、カムは驚いた様にモルガンを見て感謝を述べる。

 

「なるほど、襲ってきた魔物がいきなり弾けた時は違う意味で肝が冷えましたが、お陰様でここに居る皆は全員無事です。ありがとうございます、モルガン殿」

 

「礼には及ばぬ、兎人族の長よ。それでも礼がしたいのであれば、後日行う予定の私と我が夫の式へ参加するように」

 

「ちょ、モルガン!?」

 

その言葉を聞いてカムはにこやかな笑みを浮かべ、ご招待頂けるのでしたら一族総出で祝いの言葉をお届けしますと言って他の兎人族達もワイワイ騒ぎ出す。

 

「はは、大変だな慎夜」

 

「おま、ハジメてめぇ他人事だと思って…!」

 

「心配ない。私とハジメの式も一緒にしてもらえるよう既にモルガンに許可を取ってる」

 

「っ!?!?」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

色々あったが先ずは渓谷からの脱出を優先した。

モルガンの『水鏡』で入口を使わずに樹海へ向かおうとしたのだが、シアから帝国兵がまだ残っているなら逃げた際に捕まってしまった兎人族がいるかもしれないからと確認のため帝国兵が待ち伏せしていた渓谷の入口へ向かっていた。

 

「そ、その、もし、まだ帝国兵がいたら……ハジメさん達は……どうするのですか?」

 

「どうするって、穏便に済むとは欠片も思ってないが一応対話からだ。んで交渉決裂の場合は、実力行使になる」

 

「ハジメの言うとおりかな」

 

そうして道中渓谷内の魔物を倒しながら件の入口までやってきた。

岸壁に沿って壁を削って作ったのであろう階段は、五十メートルほど進む度に反対側に折り返すタイプで中々立派である。

帝国兵が居た時を考えて、順番はハジメとユエ、俺とモルガンの4人を先頭に、殿をバーヴァン・シーと恵里に任せて階段を登る。

そうして階段を登りきった先ーーー

 

「おいおい、マジかよ。生き残ってやがったのか。隊長の命令だから仕方なく残ってただけなんだがなぁ。こりゃ、いい土産ができそうだ」

 

30人の帝国兵が屯していた。周りには大型の馬車数台と、野営跡が残っている。全員が軍服らしき衣服を纏っており、剣や盾等の武器も見て取れる。彼らは俺達を見るなり驚いた表情を見せるが、その視線が兎人族へ向けられるとすぐに喜色に変わった。

 

「小隊長!白髪の兎人もいますよ!隊長が欲しがってましたよね?」

 

「おお、ますますついてる(・・・・)な。年寄りは別にいいが、あれは絶対殺すなよ?」

 

「小隊長ぉ、女も結構いますし、ちょっとくらい味見してもいいっすよねぇ?こちとら、何もないとこで三日も待たされたんだ。役得の一つや二つ大目に見てくださいよぉ」

 

「ったく。全部はやめとけ。2、3人なら好きにしろ」

 

「ひゃっほぉ!流石、小隊長!話がわかる!」

 

帝国兵達は下卑た笑みを浮かべ、舐めるような視線を兎人族の女性達に向ける。

そうしてニヤついた笑みを浮かべていた小隊長と呼ばれていた男が漸く俺達の存在に気付いたようで怪訝な顔をする。

 

「あぁ?お前等誰だ?兎人族……じゃあねぇよな?」

 

「あぁ、俺達は人間だ」

 

「はぁ?なんで人間が兎人族と一緒にいるんだ?しかも峡谷から。あぁ、もしかして奴隷商か?情報掴んで追っかけたとか?そいつぁまた商売魂がたくましいねぇ。まぁ、いいや。そいつら皆、国で引き取るから置いていけ」

 

小隊長は自分勝手な憶測で結論づけ、早くしろと態度で示す。勿論、俺達がそれに応じる訳がない。

 

「断る」

 

「……今、何て言った?」

 

「断ると言ったんだ。悪いけど彼らを1人として渡すつもりはない。それより、既に捕まった兎人族の姿が見えないけど、彼らを何処へやった?」

 

ハジメと俺の言葉を聞いて小隊長は額に青筋が浮かばせ、周りにいた兵士達と共に俺達を睨みつける。

 

「どうやら帝国兵というのは、下衆の集まりのようですね、我が夫」

 

「モルガン…」

 

そんな中、俺の後ろにいたモルガンが声を上げる。

するとそこで初めてモルガンやユエの存在に気付いたのだろう。小隊長含め帝国兵達はモルガンとユエの美貌に少し呆けるものの、次の瞬間には兎人族の女性の時以上に下卑た笑みを浮かべた。

 

「あぁ、なるほど、よぉくわかった。てめぇらが唯の世間知らずの糞ガキだってことがな。ちょいと世の中の厳しさってヤツを教えてやる」

 

小隊長の言葉に周りの兵達が各々の武器を持って、俺達を威圧してくる。兎人族の皆は恐怖しているが俺達4人は平然と受け止めていたのだが、それをビビって反応出来ていないと勘違いしたのか、小隊長が言葉を続ける。

 

「くっくっく、そっちの嬢ちゃん2人、えらい別嬪じゃねぇか。しかもそっちの銀髪の女、てめぇのこと夫って言ってたが、夫婦か?」

 

「……だったらなんだ?」

 

それを確認した、小隊長はーーー

 

「なら、てめぇは四肢を切り落として、てめぇの目の前で女を犯してやるよ。その後、女は奴隷商に売っぱらってやーーー」

 

 

ドパンッ!!

 

 

 

俺は奴の言葉を全て聞く前に、怒りに任せて銃を撃った。

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