元の世界でありふれたマスターは異世界で家族をつくる   作:nightマンサー

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注)妖精騎士ガウェインに対するネタバレ有


第15話 忠義

 

 

 

 

 

妖精騎士ガウェインーーー真名をバーゲスト。

彼女もモルガン、バーヴァン・シーと同じくFGO2部6章のストーリー【妖精円卓領域アヴァロン・ル・フェ】にて登場したサーヴァントである。

彼女を表すなら伯爵令嬢といったところだろう。気品があり教養も高く、根は優しい。少し涙脆いところがあるが、それも含めて彼女の長所と言える。

 

 

ーーーそんな彼女は、己が愛する者を喰らい尽くす呪いのような本能を持っていた。

 

 

この妖精としての本能により、彼女は多くの悲恋を経験してきた。ストーリーにおいても彼女は彼女なりに考え、己に出来ることを全力で全うした。だが、その結果は見るも無惨なものとなった。

だからだろうーーー

 

 

 

「モルガン陛下、どうか私に罰をお与え下さい」

 

 

 

召喚した彼女は頭を下げたまま、モルガンに罰を求めていた。

 

「……どういうことですか、バーゲスト」

 

「私は、陛下を信じきれずに忠義に反しました。結果、事態は最悪へと進んでしまった」

 

傍目からでも分かる程に、バーゲストは自身の拳を強く握っている。彼女も俺が前世で召喚したバーゲストなのでFGOの記憶を有している。つまり、モルガンが倒れる切っ掛けの手助けをした自分にも非があると考えているのだ。

 

「私を戦力として召喚頂いたと考えました。一度反した私に再度機会を与えてくださったからこそ、けじめをつけたいのです。何より、このままでは私自身が自分を許せない」

 

そんなバーゲストの毅然とした態度を見て、俺は初めて騎士という存在を見たのだと思う。

 

「……バーゲスト。貴方はもう私の騎士ではありません」

 

モルガンの言葉に悲痛な表情になるバーゲスト。

 

「今の貴方の主は、我が夫である慎夜です。その忠義は我が夫へ向けるように。それと、貴方は女王である私に長く忠を尽くしてくれました。私への謝罪など不要です」

 

「っ、モルガン陛下……」

 

「それでも、まだ私に対して気負う心があるのならば、どうか……共に我が夫を支えるのを手伝ってくれませんか?」

 

モルガンの言葉にバーゲストは再び臣下の礼をする。

 

「……はっ!この機会を与えてくださった我が唯一無二のマスターの慈愛に報いるため。バーゲスト、共に生きることを誓います」

 

こうして、新たにバーゲストが仲間に加わった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

バーゲストを仲間に加えた俺達は、【ライセン大渓谷】から1番近い町へ向かった。流石に町に入るのに転移を使えば大騒ぎになるのは目に見えているので、町から少し離れた位置に『水鏡』で転移して歩いて町を目指す。

 

「そういえば、兄さん。多分町に入る時にステータスプレート確認されると思うけど、あの異常な数値は隠蔽してる?」

 

「「……あ」」

 

恵里に言われて俺とハジメの間抜けた声が重なる。

急いでステータスプレートの数値を隠蔽し、モルガン達は魔物に襲われ無くしたことにし、シアは奴隷という体ーーーシア自身はかなり不貞腐れたーーーで話をすることに決め改めて町の門へと向かう。

門の脇には小屋があり、そこから武装した男が出てきた。革鎧に長剣を腰に身につけているだけで、冒険者のように見えるが、恐らく門番なのだろう。その男が俺達を呼び止めた。

 

「止まってくれ。ステータスプレートを。あと、町に来た目的は?」

 

「食料の補給がメインだ。旅の途中でな」

 

門番の言葉にハジメが答えつつ、ステータスプレートを差し出す。数値は恵里に言われて隠蔽しているので問題ない。

 

「それと、そっちの女性陣はーーー」

 

門番がモルガン達にもステータスプレートを求めるために視線を向けて、固まった。

何せそこには見目麗しい女性が6人もいるのだから当然と言えば当然の反応だ。ハジメがわざとらしく咳払いをすると、それにハッとなって慌てて視線をハジメに戻す門番。

 

「道中魔物に襲われた時の間が悪くてな。彼女以外の女性陣のステータスプレートは紛失しちまったんだ。兎人族は、わかるだろ?」

 

ハジメの言葉に門番は納得して頷き俺とハジメ、恵里のステータスプレートを返す。

 

「それにしても随分な綺麗どころを手に入れたな。白髪の兎人族なんて相当レアなんじゃないか? それに、連れの女のレベルも高いし……あんた達って意外に金持ち?」

 

「なに、運が良かっただけだよ」

 

「そうだね、良い縁があったんだ」

 

そうして肩を竦めてみせるハジメと俺。

 

「羨ましいねぇ。よし、通っていいぞ」 

 

「ああ、どうも。おっと、そうだ。素材の換金場所って何処にある?」

 

「あん?それなら、中央の道を真っ直ぐ行けば冒険者ギルドがある。店に直接持ち込むなら、ギルドで場所を聞け。簡単な町の地図をくれるから」

 

「それは親切だな。ありがとう」

 

門番から情報を得て、俺達は門をくぐり町へと入っていく。門の所で確認したがこの町の名前は【ブルック】というらしい。何処ぞの海賊の骸骨を連想させる名前だと思いつつ、町中に目をやる。町中は、かつて見たオルクス近郊の町【ホルアド】ほどではないが露店も結構出ており、呼び込みの声や、白熱した値切り交渉の喧騒が聞こえてくる程には活気が溢れていた。

 

「何だかんだ、町に来るのってかなり久しぶりだな」

 

「私は、年単位……」

 

「なんせ2ヶ月以上【オルクス大迷宮】にいたからなぁ。俺は恵里を迎えに1度王都に行ったけど」

 

「ほんと、無事だったならすぐに伝えに来てほしかったよ」

 

「そんなことどうでもいいだろ?それよりいい加減、色々買い物したいんだけど?お洒落出来ないとか、女として死活問題だぜ?」

 

「バーヴァン・シー、その為の魔物の素材換金です。金銀程度であれば錬成出来ますが、こちらの方が良いと我が夫が言うので自重しました」

 

「モ、モルガンさんって、本当に何でも出来るんですね…」

 

「魔物の素材の方が金銀を持ち込むより都合がいいし、何よりモルガンに頼り切ると、すぐに駄目人間なりそうだからね……」

 

「マスター、前方に冒険者ギルドの看板が見えました」

 

バーゲストの言葉で前を見ると、一本の大剣が描かれた看板を発見する。かつてホルアドの町でも見た冒険者ギルドの看板だ。規模は、ホルアドに比べて二回りほど小さい。俺達は看板を確認すると重厚そうな扉を開き中に踏み込んだ。

 

 

 

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