元の世界でありふれたマスターは異世界で家族をつくる   作:nightマンサー

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第17話 ライセン大迷宮 上

 

 

 

 

 

 

【マサカの宿】に宿泊した翌日。

女性陣は町の散策、俺とハジメは旅の為の買い出しの二手に分かれて行動した。

途中響いた男の絶叫以外は特に何事もなく買い出しが完了し、最初に決めていた合流地点で待っていると暫くしてモルガン達がやってきた。

 

「町の散策はどうだった?」

 

「えぇ、とても楽しめました。特に服屋は良い品揃えで、少々買い過ぎてしまいました」

 

そう言うモルガンはホクホク顔なのだが、後ろを見るとバーヴァン・シー達は何とも言えない顔をしていた。

 

「?どうかしたの?」

 

「いえ、その、服屋の店長がとても独特な方で……」

 

「あはは。でも、話をしてみると普通に良い人だったよね、クリスタベルさん」

 

「アレで服だけじゃなくて靴のセンスも良かったのが複雑だわ。あんな珍獣と初対面で仲良くなれるなんて、お母様凄すぎ……」

 

バーゲスト達の言葉を聞くに、服屋の店長はかなり珍しい人の様だ。

 

「そういや、そっち側で少し前に男の悲鳴じみた叫びが聞こえたが、何かあったのか?」

 

ハジメが聞くと、女性陣は何かをやりきった顔でやれ良い悲鳴だっただの、天罰だの言っている。どうやらあの悲鳴は彼女達に何かをやらかした男の断末魔だったようだ。

 

「んじゃ、買い物も済んだし……行くか」

 

ハジメの言葉に俺達は頷き歩き出す。

 

 

ーーー目的地は【ライセン大渓谷】にある大迷宮だ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

この世界ーーートータスには7つの大迷宮が存在する。

ただただ自らが愉しむ娯楽としてこの世界を消費する神々から、人々を解放するために立ち上がった7人の解放者が最後に身を隠した場所。

俺達が攻略した【オルクス大迷宮】はその名に恥じない大迷宮であった。だからーーー

 

 

 

『おいでませ!ミレディ・ライセンのドキワク大迷宮へ♪』

 

 

 

こんな、某夢の国のアトラクションみたいな軽いノリが同じ大迷宮だなんて……絶対におかしい筈なんだ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

モルガンの案内で大迷宮の入口までやってきた俺達を迎えたのは、先程の言葉が女の子らしい丸っこい字で書かれた看板だった。

 

「ほ、本当に此処が大迷宮の入口……なんだよね?」

 

最初に我慢出来なくなった恵里が俺に確認してくる。

 

「恵里、正直俺も信じたくないけど、合ってるよ」

 

「それってモルガンさんの索敵を信じてるから?」

 

「それも勿論だけど、名前がね」

 

「あぁ、慎夜の言う通りだ。ミレディって名前はオスカーの手記にあった解放者の名前だ」

 

俺の言葉にハジメが補足してくれた。

オスカーの手記には他の解放者の名前も書いてあり、その中の1人がミレディ・ライセン。

【ライセン大渓谷】の名でライセンは有名ではあるがファーストネームの方は知られていない。故に、その名が記されているこの場所がライセンの大迷宮である可能性は非常に高いということだ。

 

「そこの壁の一部が隠し扉になっていて、それが迷宮への入口のようですね」

 

モルガンが壁に手を当てると、壁の一部が回転してモルガンが向こう側に消えた。さながら回転扉である。

 

「ちょ、モルガン!?」

 

1人で行ってしまったモルガンを慌てて追いかけた。

向こう側は少し広めの正方形の部屋で、中央に石板がありその奥へと真っ直ぐに整備された通路が伸びていた。

 

「我が夫、そんなに慌ててどうしましたか?」

 

「いや、看板は巫山戯てたけど一応大迷宮だから1人で何かあると危険だと思って。でも考えてみれば、モルガンなら大丈夫だよね」

 

「無論です。ですが、心配してもらえるというのは、存外嬉しいものですね」

 

そう言ったモルガンは微笑んだ。

それだけでもかなりの破壊力なのに、そのままモルガンは俺の隣に来て腕を組んだ。

 

「今日の我が夫は寂しがり屋なようですので。これで寂しくないでしょう?」

 

その魔性の笑みは正に魔女と呼ぶに相応しいもので、俺の顔はきっと赤くなっていることだろう。

 

 

「ナチュラルに見せつけてくるわね、お母様」

 

「バーヴァン・シー、私達もしに行こ?羨ましいんでしょ?」

 

「はぁ!?なんで私がクソザコと腕組まないといけないんだよ!?」

 

「やはり陛下とマスターはそこまで…!で、ですが、私も先日皆が居たとはいえ、一緒にお風呂に入りましたし、可能性があったり……」

 

「むぅ……」

 

「ユエさんや?まぁ察しはつくけど、どうして右腕に抱きついてきたので?」

 

「ハジメも慎夜と同じで今日は寂しがり屋だよね?」

 

「え?そんなこ「だよね?」ーーーはい」

 

「あ、狡いですユエさん!なら私は左です!」

 

後ろから追ってきた皆も何故か騒いでおり、この場が大迷宮であることを忘れそうになる。

皆が落ち着いた後、部屋の中央の石板に近付いてみると入口と同じように文字が書いてあった。

 

『ビビった?ねぇ、ビビっちゃった?チビってたりして、ニヤニヤ』

 

『それとも怪我した?もしかして誰か死んじゃった?……ぶふっ』

 

石板の言葉に1人を除き頭に『?』を浮かべる。

 

「あぁ、この部屋に入った際のトラップのことを言っているのでしょうね。罠は壁に触れた際に解除しておきましたので」

 

ただ一人、原因を取り除いたモルガンは納得がいったように頷いていた。

 

「それからこの迷宮ですが、【オルクス大迷宮】とは種類が違いトラップだらけの迷路です。しかも嫌がらせの用途が殆どですね」

 

モルガンの話を聞いて俺は顔をしかめる。

 

「迷路か…攻略に時間掛かりそうだし、面倒そうだね」

 

「取り敢えず《マーキング》しながら地図作っていく感じか?」

 

俺とハジメが攻略について話をしようとしてーーー

 

「なぁクソザコ。別にまともに迷路進む必要ないだろ?」

 

バーヴァン・シーが何か企んでるーーーそれもかなり悪めのことを考えているーーー顔をして、俺に話しかけてきた。

 

「バーヴァン・シー、何を思いついたの?」

 

「あの巫山戯た看板からみて、性格悪いの丸分かりだし。なら、こっちも正攻法使う必要ないだろ?」

 

そう言ってバーヴァン・シーは自身の後ろにいるある人物(・・・・)に視線を向けた。

 

 

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