元の世界でありふれたマスターは異世界で家族をつくる   作:nightマンサー

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第3話 出逢い

 

 

 

 

ーーーオルクス大迷宮

この世界で七大迷宮と言われる迷宮の1つであり、全百階層からなると言われる迷宮である。

下層に行くに連れ魔物が強くなっていく、ゲームでよくあるシステムのようで、

今回は魔物が比較的弱い上層で実践訓練を行うとのこと。

そんな訳で、先生のような完全非戦闘要員以外は全員今回の遠征に参加している。

ハジメは非戦闘職だが、武器の修理の為に迷宮に潜る可能性があるため同じく参加だ。

現在は迷宮入口の街の宿に着いて、本日はこのまま休み早速明日から訓練が行われる予定だ。

 

「何も起きないと良いんだけどな…」

 

既に夜も更けて来た頃、

宿にある小さな庭のベンチに腰掛け、明日の実践訓練について考えていた。

部屋でないのは先程自分とハジメの部屋に白崎が訪ねてきたから空気を読んで退出した次第だ。

 

「…兄さん?」

 

「恵里?」

 

どうやって時間を潰そうか考えていると、恵里が廊下を通りかかった。

 

「こんな夜更けにどうかしたのか?」

 

「ちょっと眠れなくて…隣いい?」

 

「あぁ、勿論」

 

そうして隣に座る恵里。何故か距離が近い気がするが指摘するほどという事もないので聞かないでおいた。

 

「兄さんはどうしてここに?」

 

「白崎がハジメ目的で訪ねてきたから、空気を読んで部屋から出てきた訳」

 

「なるほどね…折角だし、ちょっと話そうよ」

 

そうして恵里と久しぶりに色々と会話する。

最近は檜山や天之河達の事で色々気苦労が多かったが、恵里との会話は久しぶりに楽しい時間だった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

◆

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

翌日、オルクス大迷宮に挑んだ俺達とメルド団長率いる騎士団。

攻略は順調で目標地点である階層にたどり着くまであと少しという所まで来ていた。

 

 

ーーー事件はそこで起こった。

 

 

グランツ鉱石と呼ばれる装飾品に使われる綺麗な鉱石を白崎達が発見。

好感度稼ぎのためにそれを取ろうと檜山が触れ、トラップが発動。

全員が見知らぬ橋の上に転移させられ、目の前にはベヒモスと呼ばれるトリケラトプスの様な魔物、

後方には大量の骸骨兵士の魔物が湧き出てきた。

突然の自体にパニックになるクラスメイト達。

俺や恵理、幸利が必死にカバーするが魔物の数が多すぎて限界が近付いてくる。

そこに先程までメルド団長と一緒に居たはずの天之河が骸骨の魔物を薙ぎ倒し、クラスメイトを鼓舞する。

そこでハジメが居ないことに気付いた俺は恵里と幸利にその場を任せ、

天之河と同じ方向から来た八重樫にハジメがベヒモスを足止めする旨を聞き、そちらに向かった。

前線に辿り着くとそこには足が橋にめり込んでいるベヒモスと必死に自分の唯一の魔法である『錬成』を行っているハジメ。

 

「ハジメっ!」

 

「慎夜!?どうしてここに!」

 

「いいから、錬成に集中しろ!『霊子譲渡』!」

 

俺は魔術礼装のスキルの1つ、『霊子譲渡』による魔力支援を行う。

FGOではNP20%を与えるこのスキルはこの世界においては魔力譲渡であり、

先程から『錬成』を連続で行っているハジメが魔力切れにならないようにする。

 

「此奴を撤退しきるまで足止めすればいいんだよな?全く、1人で無茶しようとしやがって」

 

「ありがとう、慎夜。正直ちょっと危なかった」

 

そう言ってハジメが錬成をし俺が魔力支援する事でどうにかベヒモスをその場に釘付けに出来ている。

 

「十分だ、坊主達!援護するから離脱しろ!」

 

暫くしてメルド団長の声が響く。

 

「慎夜、行こう!」

 

「あぁ、次いでに置き土産だ!『ガンド』ぉ!」

 

前世でもよく世話になった相手をスタン(行動不能)させるガンドをベヒモスに放ち、ハジメと一緒に離脱する。

暫くしてベヒモスが追ってくるが、既にかなりの距離が離れておりクラスメイトからの魔法支援もあって十分離脱出来る。

 

 

 

ーーー筈だった。

 

 

 

ベヒモスを攻撃していた魔法2つがそれぞれ進路を急に変え、俺とハジメに襲いかかってきたのだ。

突然の事態に俺とハジメは回避出来ず、魔法の爆発でベヒモスの方へ吹き飛ばされる。

更にタイミングの悪い事にベヒモスの重量と魔法攻撃により橋が崩落。

当然橋にいた俺とハジメ、次いでにベヒモスも底の見えない奈落へと重力に従い落ちてゆく。

 

「『オシリスの塵』!」

 

ハジメに無敵をかけることが、落ちゆく俺が最後に出来た悪足掻きだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

◆

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

次に俺が目を覚ました時には、ハジメもベヒモスも居らず地下水に下半身浸かった状態で倒れていた。

あの高さから落ちても死んでいなかったのは幸運と言えたが、事態は寧ろ悪化していた。

現在地もわからず、落ちたことでベヒモスがいた階層より下にいることは明白。

つまり自分では到底勝てない魔物がその辺をウロウロしているのだ。

このまま何もしなければ、今度こそ俺は死ぬことになる。

 

「なら、するしかないよな…」

 

俺はとある事をするため、場所を移すことにした。

 

 

 

 

 

目覚めた場所から程近い少し開けたところで、俺は懐から鉄製のボトルを取り出し蓋を開ける。

 

「『召喚魔法陣作成』」

 

言葉と共にボトルに溜めていた俺の血が浮き出し、地面に魔法陣を作成する。

普通なら魔法陣を描くほどの血は無いが、俺の血が一定量含まれていれば混ぜてもいいので、

俺の血を水に混ぜてボトルにストックしておいたのだ。

 

「やっぱりFateの魔法陣だな、これ」

 

訓練時に試しに作成した際にも見たが、2度目である今回もFateの召喚陣である。

ここまで来れば分かると思うが、俺が行うのは英霊召喚だ。

サポート特化の俺が生き残るためにはこの手段しかないのが現状だが、召喚には膨大な魔力が必要だ。

そもそもFateの召喚は切嗣が言っていたように呼び出すのは聖杯で召喚者は現界を維持する分だけでいいのだから、

普通なら聖杯の無い俺1人で召喚なんて出来ない筈である。

それが原因なのか『召喚詠唱(限定)』はスキルとして所持しているが発動したことが無い。

詠唱に魔力が篭れば出来ていると判断出来るが、これまで1度もそれがないからだ。

それでも今回は出来るまで試してみるしかないだろう。どの道やらねば死ぬのだから。

もしもの時は、先程偶然見つけたこれも使うことになる。

 

「『令呪』使用!令呪全てを使用し、自身に魔力注入!」

 

右手の3画の令呪が輝き、自分に魔力が注がれていく。

令呪からの膨大な魔力を感じるが、魔法陣は反応せず言葉を出すが『召喚詠唱(限定)』も発動しない。

令呪の魔力も膨大なため、何時までも自分に留めては置けない。

このままでは失敗するーーーそう思い、俺は手に持っていたあるものを口に含み、飲み込んだ。

 

「ーーーぐっ、がぁぁぁ!?」

 

飲み込んでから数秒、激しい痛みと共に魔力が上昇するのが分かった。

先程飲み込んだのはここに来る途中で見つけた魔物の肉だ。

以前ハジメとの会話で魔物の肉は魔力を帯びていると聞いた。

それが本当だとすれば、それを取り込めば魔力を得られるのでは?と考えたのだ。

勿論これが人間にとって猛毒であることも承知している。

だが、この召喚が出来なければ確実に死ぬのを待つだけになる。

死なないため、生きるためにはこれしか無かった。

 

 

ーーー結果的に俺は賭けに勝った。

 

 

魔物の肉で魔力が上昇した瞬間、魔法陣が淡く輝き出したのだ。

すかさず『召喚詠唱(限定)』を発動する。

上昇した魔力分が言葉に籠り、『召喚詠唱(限定)』が発動する。

 

「素に銀と、鉄…礎に石…と、契約…の大公。

降り立つ…風には、壁を。

四方…の門は…閉じ、王冠より…出で、王国に…至る…三叉路は…循環せ…よ」

 

発動して分かったが、口が勝手に動き詠唱してくれている。

そうでなければ、痛みで詠唱が失敗していただろう。

 

「閉じよ。閉じよ。閉じよ。閉じよ。閉じよ。

繰り返すつどに五度。

ただ、満たされる刻を…破却す…る。

ーーー告げ…る。

汝の身は…我が下…に、我が命…運は汝…の剣…に。

前世…の寄るべ…に従い、この意、この理に従う…ならば…応えよ」

 

身体中が悲鳴を上げるが、痛みの原因である魔力が抜かれているからか、何とか耐えられている。

 

「誓い…を此処…に。

我は常世…総すべての善と…成る者、

我は常世総て…の悪を敷しく者」

 

詠唱も終盤に差し掛かる。

そこで、俺は自分の意思で、ある言葉を詠唱に入れ込んだ。

 

「され、ど!なん、じ、はぁ、その眼を、混沌、に、曇ら、せ、侍る、べし!

汝、狂乱の、檻に、囚われし者。

我は……その鎖、をぉ…手繰る者ぉ!!」

 

本来の詠唱に付け足したことにより、この召喚はとあるクラスを召喚するためのものとなる。

それは前世においては最も好きなサーヴァントのクラス。

だが本来それを入れ込むのは愚策以外の何でもない。

 

「汝、三大の…言霊…を纏う…七天。

抑止の輪より…来たれ、天秤の守り手よ!!」

 

詠唱が完了し、魔法陣から辺りを覆うほどの光が放出される。

暫くして光が収まり、召喚陣の方をよく見ると誰かが立っていることが分かる。

人影が見えただけなのに、何故か俺には召喚に応じてくれたのが彼女であると根拠もなく確信していた。

 

ーーー長い銀髪をポニーテールで纏め、黒を主とした服に身を包んだ彼女が、そこに居た。

 

 

「バーサーカー、モルガン。召喚されるのを、心待ちにしていましたよ。我が夫」

 

そう言って召喚に応じてくれたモルガンは、淡く微笑んだ。

 

 

 

 

 

 




この召喚シーンが描きたかったんです…
急に白髪なるとか雁夜おじさんみたいだと思ったのと、
ハジメのヒロインって妖精騎士と共通点多いなって事で思いついたのがこれです。
好評なら続き書くかも…
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