元の世界でありふれたマスターは異世界で家族をつくる   作:nightマンサー

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新年明けましておめでとうございます。
そしてお待たせしました。
新年も不定期ですが更新していきますのでよろしくお願いします。
またオリ主のヒロインですが、アンケートの結果、
当初自分が予定していた通り、モルガンと妖精騎士達のみで行きますのでよろしくお願い致します。


第5話 再会

ーーー南雲ハジメは清々しい気分だった。

 

クラスメイトに裏切られ、この『オルクス大迷宮』の地下深くまで落とされた。

落下中は死ぬと思ったが、落下している際に慎夜が魔術を掛けてくれたお陰で生き残ることが出来た。

その後上層を目指して移動したハジメだったが、運悪く熊の魔物に見つかりその爪から発生させた鎌鼬で左腕を失った。

左腕を失った激痛に耐えながら『錬成』を使用し、壁を掘るようにしてなんとか逃げ延びたが、左腕からの出血でこのまま死ぬ。

そう思われたハジメに幸運が巡ってくる。

壁を掘って逃げた先に神結晶と呼ばれる簡潔に言えばとても貴重な凄まじい回復液を放出する鉱石を見つけたのだ。

神結晶から湧き出た回復液ーーー神水によって回復し、生き長らえることが出来た。

だがそれはハジメにとって新たな地獄の始まりでもあった。

無いはずの左腕が痛むーーー幻肢痛と呼ばれる症状に苛まれ、

すぐ近くには先程のような自分では到底及ばない化物達がゴロゴロいる事への精神的苦痛。

ハジメの精神はいつ崩壊しても可笑しくない状態だった。

そうしてハジメの精神はある種の答えを導き出す。

 

 

ーーー故郷へ帰る。それを邪魔する敵は全て殺す

 

 

理不尽にこの世界に連れてきた存在、裏切り自分を助けないクラスメイト。

そんな奴らの事はもうどうでもいい。元の、穏やかな日本に帰ること。それだけが望み。

その望みを邪魔する敵は、誰であろうと殺す。

そうしてハジメは変貌した。

知恵を使い魔物を狩り、喰らう。

魔物の肉で死にかけるも神水を使用し、むしろ肉体をより強靭とし魔物の肉と魔力を取り込んだ事で技能を取得。

この時点でハジメのステータスは既に勇者である天之河を大幅に超えていた。

それから錬成師のスキルと現代知識を最大限駆使し、幾多の失敗を経て銃を作製。

より多くの魔物を喰らいステータスとスキルを獲得し、

先程左腕を喰らった因縁の相手である熊の魔物を屠り、喰らったのだ。

 

「同じ不味い魔物の肉なのに、何故か他より美味しく感じるな」

 

そうしてハジメはその場を後にしようとして、そして気付く。

やけに辺りが静まり返っているのだ。

普通ここに居る魔物なら先程までの激しい戦闘に気付いてやって来てもおかしくない。

それがただの1匹も来ないのは異常という他ない。

 

「いったい何がーーーーーーっ!?」

 

そうして感知系のスキルのないハジメもようやく感じとることが出来た。

圧倒的な威圧感と魔力を放出する存在。先程の熊の魔物が赤子所の比じゃない、そもそも比べること自体が烏滸がましい程の圧倒的な差。

 

 

ーーー明確な死。

 

 

熊の魔物と対峙した時とは訳が違う。

初対面時、熊の魔物はまだ餌であると俺の存在を″認識″していた。

だが今こちらに向かっている存在は恐らくハジメの事など″認識″すらしない。

それ程までに次元が違うのだ。

 

「……っ」

 

息がしづらい、動悸が早まり手が震える。それでも、こんな所で終われない。日本に帰るために、敵は殺す。

手の震えは収まらないが、愛銃である″ドンナー″を構え、こちらに来る相手を見据える。

現れたのは銀髪の長い髪をポニーテールに纏めた美しい女性だった。

 

「武器を収めなさい、我が夫の友人。名は確か…ハジメ、でしたか?」

 

「ーーーは?」

 

相手の言葉にハジメは先程の緊張も全て吹き飛んで、呆けた声が思わず口から出た。

こちらは人が現れたのだけでも驚きなのに女性が放った言葉に益々困惑する。

 

「どうして俺の名前を…それに、夫の友人?」

 

「えぇ。我が夫の名は慎夜です。どうやら貴方が夫の言っていた一緒に落ちたハジメで間違いないですね」

 

女性の言葉に困惑は最高潮だ。そんなハジメに聞き慣れた声がかけられる。

 

「ハジメ、無事か?」

 

そこには白髪になっているハジメの数少ない友人である慎夜がいた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「なるほどな。お互いこの短い間にえらい目にあったな…」

 

「というか、俺も大概だがお前もなんだあの人!てかお前のこと夫って言ってたぞ!?」

 

モルガンの案内でハジメと合流出来た俺はこれまでの経緯を話し合った。

どうやら俺は落下時と召喚時に気絶していた時間が地味に長かった事を知った。

その間にハジメは左腕を失い、神結晶という所謂エリクサー製造機を見つけ魔物を食べ強くなり、

つい先程左腕の仇を取った所だったそうだ。

 

「モルガンね。まぁ、話しても信じられないかもしれないけどさ…俺、前世の記憶があるんだ」

 

「……は?」

 

モルガンの事を説明するために必要だったので、ハジメには前世の事を含め全て話した。

 

「……つまり、前世で好きだった2次元キャラが召喚されて妻になった、と?」

 

「一言で纏めるとヤバさしかないけど、そう言うことだ」

 

改めて言われると確かにヤバいなと痛感する。

でも2次元キャラを嫁にするというオタク最大の夢が叶った形になると思うと嬉しさの方が大きい。

 

「取り敢えずハジメも見つかったし、此処から出るか」

 

「ここから出れるのか!?」

 

「あぁ、モルガンの水鏡って魔術が所謂転移魔法だからな。それを使えば此処から出れるって訳だ」

 

そうしてモルガンに脱出を頼もうと視線をやると、何か考え事をしているのか下を向いたままでいる。

 

「モルガン?」

 

「っ!…何でしょう、我が夫」

 

「いや、ハジメも見つかったから外に出ようかと思ってるんだけど…何か気になることがあるのか?」

 

俺の言葉にモルガンは少し躊躇ったような素振りを見せたが、直ぐに口を開いた。

 

「先程探知魔術を使用した時に、彼ともう1つ反応がありまして」

 

「もう1つって事は、俺とハジメ以外の他に誰かいる!?」

 

こんな迷宮の底に俺たち以外にまさか人がいるのかと驚く。

そもそもこんな場所にいてまだ生きていることが凄い。

 

「人型ではありますが、人間ではありません。

それにかなり遠い、いえ、深い所にいるようです。感覚から言って……吸血鬼、といった所でしょうか」

 

「っ!」

 

吸血鬼と言う際、モルガンが少し言い淀んだのを俺は見逃さなかった。

 

「……なぁ、その吸血鬼がいる所まで行ってみないか?」

 

「俺は良いけど、ハジメ良いのか?折角迷宮から脱出出来るのに」

 

俺からその場所に行こうと切り出そうとすると、なんとハジメから言い出してくれた。

でもハジメからしたら、すぐにでも脱出したいと思っていたのだがどういうことだろうか。

 

「…正直今のまま外に出てもやれる事が少なすぎる。アイツらの所に戻る気なんて全くないしな。

今の俺は魔物を食べればその分強くなれる。

此処は迷宮の底で強い魔物が沢山いるから、魔物を倒して食べながら進んで行けば、もっと強くなれる筈だ。

そうして強くなって俺は、日本に帰る」

 

そう言ったハジメの顔は今まで見たことのない一種の狂気ささえ感じさせるものだった。

 

「…はぁ、恵里に怒られるなこりゃ」

 

「慎夜?」

 

「俺も一緒に行くよ。友達置いて1人で脱出するなんて罪悪感で無理だし。それにーーー」

 

そう言って俺はモルガンを見ると、モルガンはこちらを見て少し目を伏せた。

俺の妻が吸血鬼のこと気になってるので元々行くつもりだった、というのは言わないでおく。

 

「それじゃ、行くか。モルガン、その吸血鬼の所まではどれくらいありそう?」

 

「階層で言えば此処から50程下、と言ったところです」

 

それを聞いて俺とハジメは唖然とする。

事前情報で聞いていた『オルクス大迷宮』は全100階層からなると言われている。

俺達が訓練で来ていた20階層、ベヒモスと対峙が仮に50階層前後だったとして、ここはそれよりも深い場所のはず。

そこから更に50階層となると、いったいどれだけ階層があるというのか…

 

「と、とにかく!先ずはその吸血鬼の所まで行こう。ハジメが強くなるためだから水鏡は無しで」

 

「夫婦の最初のデート場所としては最低ですが、良しとしましょう」

 

「……俺のこと見えてない?」

 

そんな訳で、俺とモルガン、ハジメの3人は吸血鬼に会うため、迷宮の底ーーー奈落を攻略することにしたのだ。

 

 

 




どうやって奈落攻略へ舵取りするかを考えた結果こうなりました。
という訳で次回から奈落攻略になります。
※オリ主とモルガンがいるのでだいぶサクサク進みそうですが…
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