元の世界でありふれたマスターは異世界で家族をつくる 作:nightマンサー
FGOイベントの陛下可愛すぎません?
オルクス大迷宮の底ーーー奈落と呼ばれる階層を慎夜、モルガン、ハジメの3人は進んでいた。
魔物と戦う際はハジメが前衛、俺が後方支援の形で倒していく。
モルガンは殺気を放っただけで魔物がショック死してしまうため、隠密魔術を使用して戦闘を見守るように頼んだ。
最初は霊体化を頼んだのだがーーー
「霊体化は出来ません。受肉していますので」
と、さも当然のように言うものだから呆気に取られた。
「当然でしょう?受肉していた方が
そう言ったモルガンの手にはいつの間にか聖杯が握られており、俺は開いた口が塞がらなかった。
どうやらFGOでモルガンに入れた聖杯6つがそのままモルガン所有になっているようだ。
召喚の際の魔力に3つ、受肉に1つで合計4つを使用仕切った後で、残り2つということらしい。
「召喚の際に3つも使ったのって、やっぱり俺の魔力が足らなかったから?それでも聖杯なら1つでいい気がするんだけど…」
「夫の言う通り1つで事足ります。ですが、どうやら何者かに妨害されたようで。
召喚途中での出来事でしたので、夫からこれ以上魔力を頂く訳にはいかなかったため仕方なく聖杯を使用しました。
心配は要りません。仮に聖杯がなくとも私が遅れをとることはありませんので」
モルガンの言う妨害が気になるが、現にモルガンはそれを跳ね除け召喚に応じてくれたので一旦置いておくことにする。
俺とハジメで魔物を倒し、倒した魔物は強化のためにハジメが食べてドンドン底へと降っていく。
そうして俺達3人は目的の吸血鬼のいる階層まで辿り着いた。
◆
「なぁ、慎夜。この扉の向こうに例の吸血鬼がいるのか?」
「モルガンの索敵だから確実だと思うけど、これは…」
目の前に見える如何にも何かを封印していますと言わんばかりの扉。
「正に『パンドラの箱』って感じだよなぁ…」
ハジメが苦笑いしながら言葉を紡ぐ。
「取り敢えず会ってから考えないか?此処で考えてても仕方ないしな」
「そうだな、鍵らしきものは無いし…錬成で開けるか」
そう言ってハジメが扉に手を当て『錬成』をしようとした。
ーーー瞬間、衝撃が走りハジメは扉から弾かれた。
「っ!なんだ…!?」
ハジメの疑問に答えるように扉の左右に建てられていた石像が動き出す。
1つ目の巨人ーーーサイクロプスが此方に向け咆哮した。
「門番って感じだな。益々この先に居る吸血鬼ってのがヤバい気がしてくる、な!」
悪態をつきながらもハジメは《ドンナー》を構え、放つ。
その銃弾は片方のサイクロプスの目玉に直撃しその命を散らした。
もう1体のサイクロプスは相方が殺られたのを見て言葉を失っているように見えた。
「まぁ2人揃うのを待つことないけどさ…なんて言うか、ほら、変身シーンに攻撃するみたいで普通気が引けない?」
「そんなお行儀良いことはとっくに捨てちまったよ」
軽口を叩きながら俺とハジメは残り1体のサイクロプスに向き合い、ハジメは再び《ドンナー》で狙撃を行う。
だがサイクロプスは腕を前に構えるとその前にバリアが展開され銃撃を防がれた。
「バリアか?」
「そういう防御スキルかな。ならーーー『必殺トライデント』!ハジメっ!」
「了解っ!」
俺の支援を受け、ハジメは再び狙撃を行う。
サイクロプスは同じようにバリアを展開し防ごうとする、がーーー
「ぐおぉぉ!?」
銃弾はバリアを打ち砕き、サイクロプスの目玉を抉り絶命させた。
『必殺トライデント』は無敵貫通を付与するスキルであり、この世界では防御系スキルを確実に突破するスキルとなっていた。
「なんか、あっさりだったな」
「というか、ここまで来るのだって『ガンド』からの狙撃で殆ど無双状態だったでしょ」
やはりこの世界でも『ガンド』が強すぎた。
何せ相手の動きを一定時間止められるのだから、そこをハジメが狙撃する事で大体は対処出来たのだ。
「こいつらの肉も後で食べるとするか」
「さっきの防御スキルは普通に良スキルっぽかったしね」
そう言ってサイクロプスに近づくと、心臓の位置に魔石を発見した。
扉に2つの魔石をはめ込むと扉が開いたので、ハジメに続いて入る。
扉の先には広い空間となっており、その奥にある菱形のオブジェクトに埋め込まれるように人がいた。
「……誰?」
埋め込まれているのは長い金髪のーーー
「んぐっ!?」
突如引っ張られ視界が真っ暗になり、何故か柔らかい感触が顔全体を襲う。
「も…モルガ、ン?」
「我が夫よ、何か見ましたか?」
何故かモルガンに抱き寄せられた見たいだけど、理由が分からない。
しかもモルガンの口調的に少し苛立って…いる?
「いや、金髪しか見えなかったけどーーー」
「ちょぉぉ!?」
どうかしたのかと言葉を続けようとして、ハジメが大声を上げる。
「どうして裸なんだ、おい!」
ハジメの言葉に聞いて、成程と納得した。
確かに裸を見るのは不味い。故意でないとしてもモルガンに対して不誠実だしな。
「下半身が埋まっているので、一旦上だけ着せました。我が夫、もう大丈夫です」
モルガンの言葉を受けて顔を上げようとしたが、一向に顔が上がらない。
というかモルガンの腕の力が弱まらない為なのだが。
「あの、モルガン?」
「我が夫よ。私はここまで来るのに魔力を消費しました。
よって早急な魔力供給が必要です。今現在の魔力供給には身体接触が最適であると判断します。
我が夫ならば、理解出来ますよね?」
「は、はい」
モルガンの身体の柔らかさと言葉を前には、俺の選択肢は頷く以外なんてなかった。
「よろしい。…懸念していたことも解決しました。彼女はハジメに任せます」
「…ったく。わかりましたよ、モルガンさん」
その後、ハジメは封印されていた吸血鬼の少女を『錬成』によって助け出した後、
蠍型の魔物と交戦したが無事倒したらしい。
らしい、というのはその間ずっとモルガンに抱き締められており様子を見ていなかったからだ。
まさかよくアニメで見る胸で窒息しそうになるというのを自分が体験するとは思わなかった。
◆
「俺一人に任せるなんて酷くないか!?」
交戦が終わった後、件の吸血鬼の少女を含めた俺たち4人はハジメの『錬成』によって作られた岩の壁の中で休憩していた。
「いや、その…すまんな」
「ハジメ、この2人は?」
俺が謝罪すると吸血鬼の少女が俺とモルガンを見てハジメに問いかけている。
「そう言えば、自己紹介もしてなかったな。俺は間桐慎夜、ハジメの友人だ」
「その妻のモルガンです」
俺の自己紹介に続いてさらっと妻発言するモルガン。
事実そうであるのだが、改めて言われるとなんとも言えない気恥ずかしさがある。
「ところで、キミは、えっと…名前聞いても?」
何故こんな所に居たのか聞こうとして、名前を知らないことに気付いた。
「ユエ。ハジメがつけてくれた」
「ハジメがつけた?」
どういう事かとハジメに視線をやると、本人に了承をとってユエの過去を掻い摘んで話してくれた。
何やらユエは先祖返りの吸血鬼であり、それ故強い力を持ち国に貢献していたが、
仲間であった叔父が国王となった後その力を危険視され此処に封印されたらしい。
その過去から、昔の名前を捨てハジメに付けて欲しいと頼んだとのこと。
ユエの意味は元の世界で月を意味する言葉である。どうやらユエの金髪から月を連想したようだ。
その話を聞いていて、どうにも2人の距離が近いことに気付く。
「もしかしてハジメ…ユエに惚れた?
確かに元の世界でのハジメの好きなキャラって金髪赤目が多かった気がするけど、更にロリコンでもあったか…」
「なっ!?慎夜おまっ、何言ってる!?」
「ハジメ、私に惚れてるって本当?」
俺の言葉にハジメが反論するが、顔が真っ赤な時点であまり説得力がない。
更にはユエも嬉しそうにしていて否定しづらくなっていた。
「ほう、ならばここからは所謂ダブルデートというものですね」
モルガンはモルガンで通常運転で安心した。
「さて、これからどうする?モルガンの『水鏡』ならこのまま脱出も出来るけど…」
「折角半分まで降りてきたんだ。なら、最後までクリアしてこそ…だろ?」
「まぁ、そうだよね」
「そういえば、ハジメ達はどうしてここにいる?」
そんな俺達の会話に疑問を持ったのか、ユエが聞いてきた。
そんな訳でハジメが蠍型の魔物から得た鉱物で新しい銃を作製する間に、これまでの出来事をユエに話した。
全てを聞き終えたユエは泣いたが、すぐにハジメが慰めた。
「やっぱり惚れてるだろ」
「野暮なことは言わないのが美徳ですよ、我が夫」
「…そうだね」
そうして話をしているとハジメの新しい銃ーーー対物ライフルの超電磁砲《シュラーゲン》が完成した。
またユエからの情報によると大迷宮というのは、
嘗て神に反旗を翻し世界を滅ぼそうとした者達ーーー反逆者達が逃走した先がこの大迷宮らしい。
そして大迷宮の奥にはその反逆者の住処があると言われている。
「つまりは、そこがゴールって訳だな」
「私も一緒に行く」
ハジメの言葉に俺は頷き、ユエは当然のようについて行くと宣言する。
こうしてユエを加えた俺達4人は奈落の最深部にある反逆者の住処を目指すことを決めた。
悪いが蠍…お前はカットだ。
正直モルガンが手を出したら迷宮攻略なんてあっという間ですからね…
ただこの世界でもガンドは強い。
早く他の妖精騎士達を登場させたい…