元の世界でありふれたマスターは異世界で家族をつくる   作:nightマンサー

8 / 18
遅くなり申し訳ありませんっ!
仕事やらコロナやら忙しく……
こんな不定期ですが、読んで頂けると嬉しいです。


第8話 迷宮最深部

 

 

 

 

 

 

 

 

ユエの叔父の映像を見てから、俺達は気持ち新たに最下部を目指していた。

特にハジメは顕著でかなり気合いが入っていて、辺りには襲ってきた魔物の死骸で埋め尽くされてる。

 

「ハジメ気合い入り過ぎだろ…まぁ、俺も人のこと言えないけど」

 

あの部屋から出たハジメの最初の一言が日本に帰る前にエヒトを殺すだった。

勿論エヒトは許せない。俺らがこんな目にあってる原因の最たるはエヒトが俺達を呼び寄せたことだ。

だが、それでも俺はハジメとは違い未だにーーー殺すことに抵抗があった。

この世界に来てイシュタルに言った言葉がそのまま俺に返ってきている形だ。

魔物は殺しても人と同じ見た目の相手を殺せるかと言われれば、間違いなく躊躇う。

此処に落ちる前に短剣を使って直接魔物を殺した時だって戸惑いがあった。

 

(このままじゃ駄目だって分かってる。……覚悟を決めないと、だよな)

 

ハジメは俺と合流する前に邪魔する奴は殺すと心を決めていた。

仮に俺とモルガンが日本に帰ることを邪魔するのなら、容赦なく殺そうとするだろう。

日本に帰りたいのは自分も同じなのでその可能性は皆無だが。

 

(兎に角、早く気持ちを固めないと…)

 

そんな風に考え事をしていたからだろうか。

ーーーモルガンが自分を不安そうな目で見ていたことに気付かなかった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

◆

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ーーー迷宮の最深部を目指して早数日。

俺たち4人の前には今までとは比べ物にならない大きな扉の前にいる。

 

「遂に来たな」

 

「そうだな」

 

ハジメの言葉に俺は同意して気を引き締める。

そんな俺とハジメの手を、それぞれモルガンとユエが握りしめた。

 

「私がいるのです、我が夫。暫くは手を出さないようにしますが、最終的に何がこようと問題ないです」

 

「ハジメは私が守るから。だから、ハジメは私のこと、守ってね?」

 

俺とハジメはそんな2人を見て、それはもう不敵な笑みを浮かべた。

 

「「今なら何だって出来そうだよ…!」」

 

宣言と共に待ってましたとばかりに巨大な魔物が現れる。

その姿は俺達の元の世界でいう八岐大蛇のような姿で、こちらを睨んでくる。

 

「行くぞっ!」

 

ハジメの言葉と共に、【オルクス大迷宮】でのラストバトルが始まった。

 

 

 

 

 

 

◆

 

 

 

 

ーーー戦局が動いたのは突然だった。

 

戦闘はこちらがかなり有利に進められていた。

6つの蛇の頭を持つ魔物は頭ごとに役割があり、

先に回復役の頭を潰そうと攻撃を開始し、もう少しで破壊出来るという所でユエの絶叫が部屋に響き渡った。

見れば、ユエの目の前に黒い蛇がおり目が怪しく光っている。

 

「っ、《イシスの雨》!」

 

物理的ダメージを受けているように見えなかった為、状態異常だと当たりをつけて《イシスの雨》をユエに使用。

暗示は解けたようだが余程ショックが大きかったのかその場から動かないユエ。

 

「クソっ!ハジーーー」

 

ハジメに1度ユエをサポートしてもらおうと声を出そうとして、恐怖に息を飲んだ。

いつの間にかユエの前にいた黒い蛇がこちらの目の前に移動していたのだ。

そして俺はその黒い瞳をーーー

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「……あれ?」

 

見れば目の前にモルガンがいた。

 

「モ、モルガン?どうしーーー」

 

「気安く名前を呼ばないで下さい。不愉快です」

 

瞬間、モルガンが自分に杖を向け攻撃魔術がすぐ横を通り過ぎた。

 

「貴方のような人間を我が夫だと、私が本気で思っていたとでも?

殺す覚悟すら持てないような者を、私が愛することなどありません」

 

そうしてモルガンは俺を侮蔑の目で見た後、背を向け歩き出す。

それを俺は、追うことが出来ない。

確かにモルガンの言葉にショックを受けたのは確かだ。だが、最も俺の心を砕いたのは…俺自身だ。

今のモルガンの言葉に、俺自身が納得してしまったからだ。

 

(そうだ、そもそもモルガンが俺なんかを好きって事が不自然だったんだ)

 

そんな俺の心境に呼応してか、足元が沼のようになりどんどん身体が引きずり込まれていく。

そして遂に身体全部が沼に覆われーーー

 

 

 

ーーー瞬間、辺りを光が満たした。

 

 

 

 

 

 

 

「………っ…」

 

寝起きのような感覚。どうにか目を開けるとそこにはモルガンの整った顔がこちらをじっと見つめていた。

 

「起きましたか、我が夫」

 

「っ!!」

 

その顔を見て、俺は言葉を失っていた。

何故ならそれは、誰が見ても分かるほどに……激怒していたからだ。

 

「我が夫。何故私が怒っているか、分かりますか?」

 

静かに、だがその怒気は留まること無く自分に問いを投げるモルガン。

 

「俺が、モルガンにきらーーー」

 

『嫌われているから』と言おうとしたが、それは怒気が増したモルガンによって阻まれた。

 

「……私は、先程まで我が夫が見せられていた映像をパスを通じて見ていました。

その時、我が夫が何を考えていたのかも」

 

モルガンは俺の肩を掴み、俺の目をしっかりと見据えーーー

 

 

 

 

「私が、我が夫を、慎夜を誰よりも愛しているのに、それを伝えきれなかった不甲斐ない、私自身に怒りを禁じ得ない…!!」

 

 

 

 

「……っ!」

 

その言葉の意味を理解し呆けた声を出した俺の唇に、モルガンは自身の唇を重ねた。

 

「っ!?!?」

 

突然のキスに俺は激しく動揺する。

 

「んっ、…こんなことなら、もっと早くしておくべきでした」

 

「も、モルガン…なんで、き、キス、を」

 

「無論、我が夫を愛しているからです。私のこの気持ちは、例え我が夫自身であっても否定する事は許可しません」

 

そう言ってモルガンは、俺を優しく抱きしめた。

 

「モルガン、でも俺は……」

 

「我が夫が何に悩んでいるかは分かっています。

ですが、普通はその反応で正しいのです。だから、殺しに慣れる必要はありません。

しっかり向き合っていくことこそ大切ですから」

 

モルガンの言葉を聞いて、俺は涙が溢れた。

ここまで言ってもらわないといけない自分の弱さへの歯痒さと、ここまで言って貰えるほど愛されている嬉しさに。

暫し抱き合っていたが、鳴り響いた爆発音で我に返った。

 

「……続きは後ほど行いましょう」

 

先程とは違い、不貞腐れたような感じでモルガンは離れ、音の発生場所を見る。

俺もそちらに目をやると、そこにはあの八岐大蛇擬きの魔物にハジメとユエが戦っていた。

のだが、あの黒い蛇だけ魔術による分身と思われるモルガン3人にこれでもかと魔術による集中砲火を受けていた。

 

「ここからは私も参戦します。援護をお願い出来ますか、我が夫?」

 

そう言ってモルガンは俺に向けて微笑みかけてきた。

 

「あぁ、勿論だ…!」

 

そんなのモルガン(妻)の笑顔に俺は全霊をもって応えるため、声を上げた。

 

 

 

 

 

 

ーーー数分後、

八岐大蛇擬きは1段階変化し強くなったが、モルガンの魔術とハジメの対物ライフルにより撃破した。

 

 

 




とりあえず妖精騎士出るまではサクッと行きたい‥
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定
▲ページの一番上に飛ぶ  X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。