雄英の入学試験にきた擬魅と緑谷。まず先に筆記試験が行われそれが終わると早々に受験者たちは半円型の講堂に集められた。受験者全員が集まると中央に設置された演台に1人の人物が現れる。
そそり立つ髪にサングラス。そして首に特徴的なスピーカー型のサポートアイテムを装着した人物。プロ―ヒーローであり雄英の教師でもあるボイスヒーロー【プレゼント・マイク】が挨拶を盛大にするが、自分が想像していた受験生たちからの返しはなく静寂に包まれる。だがプレゼントマイクはそんなこと気にせずに続ける。
テンションを上げながらプレゼント・マイクは受験生たちに説明していく。内容は以下の通りである。
・各自指定の演習場に移動し10分間の模擬市街地演習を行う。持ち込みは自由。
・演習場には3種の仮想
・各自の個性で仮想敵を行動不能にしポイントを稼ぐ。
・他人への攻撃などアンチヒーローな行為は禁止。
プレゼント・マイクが一通り説明し終わると1人の受験生が挙手をして質問する。
「質問よろしいでしょうか?」
「プリントには4種の仮想敵が記載されています!誤載なら日本最高峰たる雄英において恥ずべき痴態!我々受験者は規範となるヒーローのご指導を求めてこの場に座しているのです!」
実技試験の説明とはいえ堂々と質問しているこの受験生に注目が集まる。しかし擬魅は別のことに驚いて内心それどころではなかった。
擬魅「(まさか俺の隣の奴が飯田だったとは……まじまじと見ることなんて出来ないから横目でなんか似てるなー…って思ってたらマジで飯田だった…)」
飯田「ついでにそこの縮毛の君!先ほどからボソボソと気が散る!物見遊山のつもりなら即刻
擬魅「(んー言いたい事は理解できるけどちょっと言いすぎなんだよなぁ…あとで緑谷の緊張ほぐしに行っとくか)」
「なるほど…避けて通るギミックか」「まんまゲームみてぇだな」
飯田「ありがとうございます!失礼いたしました!」
プレゼント・マイクの最後の言葉は多くの受験生たちを鼓舞するには十分であった。それは擬魅も例外ではなかった。試験説明が終わり受験生が移動し始めると擬魅は素早く緑谷の所に行き声を掛けた。案の定、緑谷は先ほどの飯田の言葉によってカチコチになって…はいなかった。どうやらそれよりもこれからの実技試験の方が問題らしい。
擬魅「緊張することは別に悪いことじゃない。まあし過ぎは逆効果だけど(笑)いいか緑谷。動け、とにかく動け。止まったらそこで終わりだ」
緑谷「動く…」
擬魅「あとは考えろ。考えながら動け。お前、考えるの好きだろ?ブツブツ言ってるし」
緑谷「そ、それはあんまり言わないで…だけどありがとう擬魅くん!」
擬魅「いいってことよ」
緑谷の顔つきが少し変わる。擬魅のアドバイスと話をしたのが良かったのだろう。そして2人は話し終わるとそれぞれの指定された試験会場へ向かうのであった。
――擬魅・実技試験会場――
擬魅「でっけぇ…(マジで敷地広すぎじゃね?)」
原作知識を知っていてもその広さに驚かされる擬魅。それは他の受験生たちも同じであった。
「街があるってやべーな…」「広すぎだろ雄英…」
擬魅「(さて何の個性でいこうかな…制限時間は10分だからスピードは必須だな。だとしたら個性ロボットでドムに変身してホバー走行で…いや、空飛べた方がもっと早くいけるな。飛べる機体は…待てよ個性悪魔の実でフワフワの能力を掛け合わせたら機動力爆上がりするな。そうしたら選択肢が広がるな。空飛べる機体はだいたい攻撃力高いから調整が難しいんだよなぁ。飛ぶぶんには申し分ないけど…)」
「「「「「?」」」」」
擬魅「っ!?(ほんといきなりだな!ロボット/ヅダ×悪魔の実/フワフワの能力!)」
個性【ロボット】…架空ロボットの機体に変身できる。武器も使えるぞ!
個性【悪魔の実】…某海賊漫画の能力を使えるぞ!
プレゼントマイクの試験開始の合図に驚きつつも個性を発動させ、他の受験生たちよりも早くスタートを切る擬魅。彼の姿は機動戦士ガ〇ダム作品に出てくる機体の1つ、EMS-10ヅダである。作品内では不遇な立ち位置的な機体ではあるが、その機体性能はある欠陥を除けば圧倒的とも言えよう。
体をフワフワの能力で浮かし土星エンジンで加速する擬魅。その感覚はまさに宇宙を駆けるヅダそのものであった。そしてスタートの合図を実技試験の合図だと認識した他の受験者たちは慌てて走り出す。
「くそっ!出遅れた!」「ちょっアイツ早すぎだろ!」
土星エンジンによって圧倒的差をつけた擬魅の前にまず1Pの仮想
擬魅「1ポイント!まず最初は…こいつだ!」
左肩のシールドに装備してあるパンツァーファウストを一番前の仮想敵に向かって発射する。発射された弾頭は仮想敵にめり込む。ゴシャっという鈍い音がするが擬魅は気にせずに、そのままシールドの打撃用ピックを展開させて2体目の仮想敵に突っ込む。展開させたピックを減速せずにそのまま仮想敵に突き刺し、突き刺した後はピックから抜くため地面に向かって振り払った。
瞬く間に破壊された仮想敵は小さい爆発を起こし黒煙を上げる。そしてその爆発音は他のロボットを引き寄せた。
ゴシャアアンっ!!
擬魅「お、3P!」
ビルの壁を破壊しながら現れた3Pの仮想
ドタタタタタタッ!!
ズガガガガッ!と撃ち込まれた銃弾は仮想敵の機能を停止させるには十分であった。撃ち込まれた個所からは灰色の煙が出ている。そしてようやく出遅れたほかの受験生たちが、擬魅の近くまで追いついてきた。
「あいつもう3体もっ!?」「くそっ!チートかよ!」
「アイツ早すぎだろ!」「早く見つけねぇと!」
擬魅「えーと…仮想敵はっと……あっちか!」
ヅダの各種センサーを駆使して他の受験生よりも早く仮想敵を見つけ倒していく擬魅。
ドガガガガッ!ズガンッ!ズガンッ!バゴンッ!
マシンガンでまとめて仮想敵3体を蜂の巣にし、ヒートホークで頭をかち割り、加速して減速せずに足で踏みつけたりするなど次々と仮想敵を破壊していく。その様子は他の受験生たちにとって圧倒的に見えるのと同時に面白くなかった。
「くそっ!少しは遠慮しろよな!アイツ!」
「まったくだ!オラぁ!」
仮想
擬魅「もっと効率的にいきたいな。
擬魅はヅダの変身を解除し別の機体へ変身をする。その姿は花のつぼみを逆にしたような形である。その姿に他の受験生たちは気にしながらも戦闘を続ける。
ガコン……!
つぼみのようなものは機械特有の駆動音を立て開いていく。その様はまるで花弁のようである。そして中から現れた本体の姿は勇ましく武人を彷彿とさせる。機体の名はNZ-666クシャトリヤ。機動戦士ガ〇ダムUCに登場するニュータイプ専用機体である。
擬魅「ファンネル…!」
4枚のバインダーに収納してあるファンネル全24基を展開させる。そしてバインダーのスラスターを噴かし先ほどのヅダと同じように、飛行しながらも効率よく仮想敵を倒していく。
ビイィ…!ビビビイィィ…!!
24基のファンネルが先ほどとは比べ物にならない速度で仮想敵を破壊していく。その光景に他の受験生たちは憤慨した。
「あんなんありかよ!?」「クソっ!」
「ちょっとは残しとけよな!」「あれなんだよ!ズルじゃん!」
しかしこれは実技試験。そこにはズルも何もない。試験に落ちたとしてもそれは己の実力が足りなかったのである。……まあ擬魅と一緒の試験会場なったことに関しては運が悪かったとしかいえまい。
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――雄英・モニター室――
雄英にあるモニター室では実技試験の評価をするために教師陣が試験の映像を見ていた。
「この実技試験は仮想敵の総数や配置を伝えていない。限られた時間と広大な敷地…そこからあぶりだされるのさ。情報力・機動力・判断力・戦闘力…ヒーローとして市井の平和を守るための基礎能力がポイント数という形でね!」
「あのロボットに変身した子すごいな」「他の子が全然ポイント稼げていませんね」
「まあ試験だから仕方ないけどさ…」「他の受験生たち怒ってませんか?あれ」
「これ…やり直しとかにならないかしら?」「まあそういうことは終わってから考えましょう」
「今年はなかなか豊作では?」「どうだろうね」
「そうさ。真価が問われるのはこれからさ!」
教師の1人が《YARUKI SWITCH》と書かれてあるプレートの上のボタンを押した。すると各試験会場で地震に似た揺れが起こり、次の瞬間には巨大な仮想敵ロボットが姿を現した。試験の説明で言われていたお邪魔虫のギミックだ。
突如現れた巨大ロボットに受験生たちは驚きを隠せず、次にとった行動は巨大ロボがいる場所からの逃げである。圧倒的脅威を目の前にした人間の行動は正直に出るものである。
擬魅「デカいにもほどがあるだろ…ゴジラかよ(もし倒すとしたら周りに被害が出ないように…どういう方法がいいかな…)」
周りの受験生が逃げるなか擬魅はその場に立ち止まりそんなことを考えていた。
擬魅「(イトイトの能力がいいかもな。縦に1回切れば機能停止するだろうし…あ、俺もそろそろ移動しとこ。このデカいの倒しても意味ないし残ってる仮想敵を…ん?)」
擬魅が移動しようとしたそのとき、脚を引きずりながら移動している男子受験生がいた。恐らく先ほどの揺れと衝撃で発生した瓦礫に当たり、脚を怪我をしてしまったのだろう。見過ごすわけにもいかず、放っておくと巨大ロボに巻き込まれてしまうため急いで駆け寄る。
擬魅「おーい!大丈夫か!?」
??「…この状態見てそう思うか?」
彼は何を思ってか皮肉交じりに擬魅にそう言った。擬魅はそれに怒りはせず同じ感じで言葉を返す。
擬魅「まあ見えないな。とにかく巻き込まれたらいけねぇから早く離れよう」
??「他人を救けるなんて余裕だな。いいよな個性に恵まれていて。俺は
擬魅「(薄紫色の髪と目の隈…こいつもしかして…)なあ、あんた名前は?」
心操「………心操」
ヒュゥン……ピシィ……ッ!‼
擬魅は名前を聞くとイトイトの能力を発動させて、自分たちに迫って来ていた巨大ロボットを縦に切断した。動いていたのは片手だけであり、傍から見れば何をしたのか分からないくらいあっさりとした動きであった。そして切られた巨大ロボットはギギギギィ~…!と音を立てながら機能を停止させ、その場にゆっくりと糸が切れた人形のように倒れるのであった。それと同時に試験終了の合図が響き渡る。
ズウゥゥン…!
心操「これ……アンタがやったのか?」
擬魅「そうだよ」
心操「はは……規格外にも程があるだろ」
擬魅「心操ってさ…体とか鍛えてる?」
心操「え、なにいきなり?」
擬魅「個性に恵まれている俺が言うのもあれだけどさ、体を鍛えるのってヒーローになるのに必須だと思うんだよね。でも心操の体ってさ…鍛えてる?」
心操「っ……」
擬魅「個性も大事だけどさまずは体鍛えないと。それじゃ」
擬魅そう言葉を残すと個性を解除して出入口へ向かって行く。その途中、雄英の看護教諭でプロヒーローであるリカバリーガールが歩いてきた。
擬魅「あ、どうも。えっと…あっちに足を怪我した人がいるのでお願いします」
擬魅は心操のことを伝えてグミを食べながらその場を後にした。
心操「……」
心操「いえ…ちょっと手厳しいことを言われて……」
心操「個性が恵まれていて羨ましいなんて言ったらまずは体鍛えろって…」
心操「はい…」
心操は擬魅の言葉に色々と考えながら怪我を治してもらうとその場を後にした。
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雄英入学試験から約1週間が経過した。実技試験の終盤で遭遇した心操との会話で偉そうに言い過ぎでは…?と疑問と後悔が混じった思いがある擬魅は雄英からの通知を首を長くして待っていた。そんな首を長くして待っている擬魅は郵便物を確認しにマンションのポストへ向かう。カチャ…とポストの蓋を開けるとそこには1通の洋封筒が入っておりその差出人は雄英だった。
擬魅は急いで部屋に戻り自室で封筒を開ける。すると封筒に入っていたのは円形の機械が1つと紙が1枚。これが入っているということは前世の知識がある擬魅はほぼ確信したが、ここでぬか喜びはせず落ち着いて機械を作動させる。
ブゥン…!
機械が作動すると立体ホログラムのように映像が投影された。そしてそこに映っていた人物は…
擬魅「うおっ、オールマイト…!」
擬魅「すいませんオールマイト…前世知識で一応知ってます…」
擬魅「救助ってそれらしいことしたっけ?恥ずかしい話だけど試験で人救けほぼ出来てない気がするんだよな…」
擬魅「100ポイント超えるって…ハハ、マジかよ」
自身が叩き出した結果に思わず口元が緩んでしまう。
擬魅「やった…やったぜ…!」
転生によって圧倒的とも言える個性を授かった。だが力があるからと言って絶対に合格できるとは限らない。しかしその力を使いこなし見事合格を掴み取った擬魅。彼の目からは思わず涙がこぼれる。彼はいま、亡き父と母との約束を叶えるため一歩を踏み出したのであった。
フィギュアは届いたらすぐに細部まで確認しようと最近心に決めました(゜-゜)