【一発ネタ】転生したら幼馴染が貞子だった件 作:yoshiaki
突然胸が苦しくなって死んだと思って気が付いたらなんか生れ変わっていた。
わけがわからないよ。
なんか昭和っぽいし、親の転勤で引っ越し先が伊豆大島で隣の住人達の名前にものすごく既視感あるし!
「まさかリングの世界とはね…」
ぽつりと呟きながら己が腕の中で寝息を立てる裸の女を見つめる。
頭を起こさないように優しく撫でながら名前を吐露する。
「…貞子」
貞子。
そう、あの『山村貞子』である。
貞子と同級生になるなんて聞いてないよ!って最初は超絶望しましたよはい。
確かにリングシリーズは映画版、ドラマ版と結構視聴してた方だし、死ぬ直前に懐かしくなって久々に一気見してたけど!だからってホントにリングの世界に転生させることないでしょ!!
で、しばらくして気を取り直して考えを変えることにしたわけですよ。
…今なら呪いのビデオフラグ潰せるのでは?ってね。
いろいろあって貞子に構い倒して遊びに行く体でこっそり山村家のことを探りまくったけど『もう一人の貞子』は影も形もなかったのでこの世界が劇場版系の世界ではなかったのを確認できたのは幸いだった。
リングという作品群は原作や映画ドラマなど媒体によって全く設定が異なるので介入可能か判断に困っていたからなあ。
劇場版の設定だとホラー寄りにするためか貞子は半分人間ではないナニカなのでさすがにどうしようもないところだったから運が良かったとも言える。
いや良くないか!
そんなことはともかく、志津子さんの自殺を阻止して呪いのビデオフラグをつぶすことに人生かけてたんだが……え、どうやって自殺阻止したかって?
そんなもん貞子に内緒で全裸土下座しながら転生者で未来知識あることゲロって当たって砕けろでしたよはい。
転生してもチートもなんもないのに他に方法なんて全然浮かばなかったですよもうね。
え?なんで貞子とベッドインしてるんだって?
そりゃフォーリンラブっちゃったからにきまってるでしょ。高校卒業してこの娘放っておいたらろくでもないことになっちゃうから嫌がられても陰で見守るつもりだったんだけどなんか突然向こうの方から押し倒してきたんだよね。
馴れ初め?
それはまあ貞子が超能力のことだったり身体のことだったりでガキ共に苛められてたのをちょっと助けたとこから友達になって普通に遊んだりしてたからかなあ?
貞子は同年代の子供たちからは身体のことでからかわれたり親譲りの力のことで気味悪がられたりでボッチだったっぽいし。
ただでさえ子供は残酷な一面があるのに加えて昭和という時代柄か21世紀の現代日本よりもはるかに遠慮がないので放っておいたら呪いフラグが積み上がりそうなので当然体張っちゃいましたよ!
おかげでこっちまで苛めのターゲットにされたりからかわれたりしたけどまあ中身はオッサンなので全然効いてなかったけどね!逆に倍返しだ!したら貞子のハブられ仲間にされちゃってなんか成り行きでずるずる幼馴染続けて今に至る、という感じか。
「そりゃ嬉しいけどさ…」
突然抱き着いてきて泣きながら私を置いてかないでなんて言われちゃったら嫌なんて言えないよもう。
「こっちが言うつもりの台詞、とりやがって…」
本来の流れなら貞子はこれから女優になるために上京するが、そこで散々利用されたり弄ばれたりした挙句全てを呪いながら井戸で果てるという運命にあった。
その運命を破壊するために何が何でも島を出るのを止めるか、それが無理なら嫌われるのを覚悟でこいつを護るつもりだった。
「情が移っちゃったんだなー」
最初は呪いのビデオ誕生を防ぐことしか考えていなかったのに。
…いつの間にか、好きになっていた。
どうせ二度目の人生だ。万が一運命を変えられなかったとしても井戸の底まで付き合ってやるつもりだったんだがなー。
「馬鹿な男が一人増えたところで井戸の中が狭くなるだけなのにな……はは」
…なんだか昔を振り返ってしまったな。
今日はいろいろあり過ぎて疲れた。
さすがに寝ているこいつを起こすのも忍びないし、こちらも寝るとするか。
「…ずっと一緒にいてやるよ」
愛する女を抱いて目を閉じる。
疲労感からかすぐに意識は薄れていくのだった。
わたしという存在は、この世に生を受けた時から普通ではなかった。
睾丸性女性化症。
女としての機能に生まれつき欠陥を持って生まれてしまったのがこのわたし。
わたしは子供を産むことが出来ない身体だった。
それだけならまだマシだっただろう。
わたしには母譲りの、いや。母を遥かに凌駕する異能の力があったのだ。
母はあの公開実験で人間達の悪意に晒されて以来、心を病んでしまった。
父は優しかったが、学界を追放され、失意の中にいるのをわたしは子供心に察していた。
人間達の悪意はわたし自身にも降りかかってきた。
噂になったのか同級生たちにわたしは苛められた。
お前の父と母はペテン師だとも言われた。
挙句の果てにはどこからか話が漏れたのか私の欠陥品の身体のことまであげつらわれた。
悔しかった。
悲しかった。
憎かった。
どうしてわたしばかりこんな目にあわねばならないのかと運命を呪っていた。
…そんな時だった。
彼が現れたのは。
『おいお前らっ!何やってんだ!?』
『あーいって…はあ、大丈夫だったか、あいつらもガキだからってひでえことするなあまったく』
『お前いつもこんなことされてんのか?友達いないの?ぼっちか!ぼっちなのか!』
『可哀そーだなお前。誰も友達いないならオレが友達なってやってもいいぞ~!』
何様だと思った。
ふざけるなと思った。
哀れまれていると思った。
屈辱だった。
わたしは彼を拒絶した。
…なのに。
何度拒絶しても彼はあきらめなかった。
わたしから離れてくれなかった。
『…ああ、なんだお前か。こんなもんただのかすり傷だよ。ガキの癇癪程度なんてこたねーよ。ほっときゃそのうち収まるさ。ん~?なんだ心配してくれるのかー、嬉しいねえ!え、違う?』
わたしは心のどこかでそれを喜んでしまっていて。
『もう私に関わるなって?バーカ。オレが好きでやってることなんだからお前は余計なこと考えなくていいんだよ(昭和亭主関白並感)!お前が嫌だって言っても勝手に近づいちゃうし(ストーカー規制前昭和並感)!誰がお前の言うことなんか聞くかよ~!!』
それが悔しくて。
『…お前の母さん今大変なんだって?まあ、今度見舞いにでも行かせてもらうよ。そう暗い顔するな。なーに、オレがちょっと死ぬ気で<元気になるお呪い>でもすれば少しは立ち直ってくれるさ。え?余計悪くなりそうだからいらない?失敬なー』
『え?昨日母さんと何話してたのだって?お前みたいなガキには関係ない話だよ!ぐえっ!?おま、フォー○グリップは卑怯だろ!スター○ォーズも公開前なのに!暗黒面から戻って来いサーダー卿!』
いつの間にか私のとなりに彼がいるのが当たり前になって。
『もうすぐ卒業だけどお前はどうするんだ~?上京して女優になるとか言い出さないでくれよー。やめとけ!やめとけ!お前の演技力じゃB級ホラー映画で散々人様に迷惑かけた挙句なんか別の地縛霊と合体するキモイ悪霊役が関の山だってガハハ!ぐえっ!ぐるじい…』
彼とずっと一緒にいたいと思うようになって。
でも、彼の未来が見えなくて。
彼の考えていることがわからなくて。
どうしても彼の心が知りたくて。
そして。
そしてそして。
見たら。
彼の心を覗いたら。
『わたし』がいた。
わたしの知らない『わたしたち』が彼の中にいた。
彼も普通ではなかった。ある意味わたしよりも異常な存在だったのかもしれない。
この世の外側から来た転生者。それが彼の正体だった。
自分でも意外なほど驚きは少なかった。彼はわたしが今まで見てきた人間達とは明らかに違っていたのでむしろ得心がいった、というところだろうか。
いまや彼の全てを自身の事のように感じることが出来る。
彼は今生をずっとわたしのことを考えて生きていたのがわかった。
彼はわたしのことだけを想って生きてくれていた。
すごい。
すごいすごい。
すごいすごいすごい。
いま、わたしとあなたは一つになってるんだ。
あは。
あはは。
あははははあはあっはああああああははあはあぁは。
これで。
これでわたしはずっと一緒に。
ずっと、ずっと…?
…。
あなたはわたしの全てを受け入れてくれた。
あなたは得体の知れない異能を持ったバケモノのわたしに優しくしてくれた。
あなたはあなたの子を孕めぬわたしの歪な身体を抱きしめ、愛してくれた。
あなたはこの世の外から偶然降ってきた、わたしにとっての光だ。
でも。
でもでも。
たまたまこの世界に来ただけならば、いつこの世界から弾かれて消えてしまってもおかしくないのではないか…?
一度別たれれば二度とその魂は巡り合えるとは思えない。
いやだ。
いやだいやだいやだ。
そんなのわたしが許さない。
わたしはあなたがいないと駄目なんだ。あなたがいないとどこまでも堕ちてしまう女なのに。
…そうだ。
彼とわたしの中身を縛ってしまおう。
彼とわたしが一つになればいいんだ。
そうすればどこの世界に転生しようがずっと一緒にいられる。
彼と永遠になれる。
ああ…なんて素晴らしいんだろう。
ふふ。
ふふふふ。
もはや神だろうと悪魔だろうとわたしたちを別つことはできないだろう。
わたしはもうあんな惨めな存在にはならないんだ。
わたしではない、『わたしたち』。
負け犬共。
わたしには彼がいる!わたしはお前達とは違う!
悔しい?
うらやましい?
ざまあみろ。ざまあみろ。
はは。
あはは。
あはははは。
「…ずうっと一緒にいてくれるって、言ってくれたね。あなた…」
眠りに落ちた男の腕の中にて。
女の限界まで見開かれ底の見えない闇を宿した瞳が男の寝顔をとらえて離さない。
くすくす、くすくすと小さな笑い声が闇の中から聞こえてくる。
いつまでも。いつまでも。
おまけ 貞子vs貞子 in らせん(連続ドラマ版世界線)
高野舞は死の淵にあった。
貞子の呪いを断つために地下のコンピューターから貞子のDNAデータを削除することに成功したが、代償として呪いをかけられた。貞子はその胎に自らを、クローン体を孕ませ、転生して本人に成り代わるつもりだったのだ。
「あ、ああぁ…!」
目の前に貞子がいる。不気味な笑顔を浮かべ、自分と全く同じ顔をした貞子が。
間もなくこの怨霊に自分は殺され、密かに私に成り代わって人の世を呪いで満たそうとするだろう。
怖い。
まだ死にたくない。
生きろと。兄に生きるんだと言われたのに。
悔しい。悔しい。悔しい。
貞子がこちらに来てしまう。
死――――――
(助けてあげようか?)
え?
不思議な声に問い返す間もなく、意識は闇に呑みこまれた。
くす。
くすくす。
高野舞の顔をした山村貞子は目前の奇妙な存在を睨め付ける。
先程まで怯え切っていた獲物がくすくすと妙な笑い声を立て始めたのだから。
「何がおかしい…」
笑いを止めることなく舞は貞子に目をやる。
そこで貞子は気づいた。妙な笑みだと。違う。これは…。
「…やっぱり」
こいつはわたしを見下している!
これは…!
「身体を替えても負け犬の顔はごまかせなかったみたいね…」
嘲笑だ……!
「…っ!死ね!!」
自分でも意味が分からないほどの激情に駆られた怨霊は、一刻も早くこの耳障りな笑い声を止めようとする。
…だがその願いは叶わない。
「ぎっ!?」
舞を殺すどころか、逆にこちらの手足の自由が効かなくなる。
そこでようやく貞子は目の前の女が高野舞ではないことに気づいた。
「おまえ、だれだっ…!?」
高野舞の身体に憑いたナニカが嘲笑いながら答える。
「山村貞子…。自分が一番よく知ってるくせに。くっ、くふっ。くひっ、きゃはっ。あははははははは…!!」
「ふざけるなあああー!!ぐっ!?ぐぎっ!?んぎゃあああああーーーっ!!!」
己が同位体のサイコキネシスによって、ゴキゴキと立ててはいけない音をあげながら四肢を逆方向に折り畳まれ、貞子は白目を剥いて失神してしまう。
「ふう。これで運びやすくなったわね。さっさと帰ってあの人に褒めてもらおうっと」
今この場にいるのは彼の頼みに加えて、負け犬の自分を嗤ってやりたかったからだ。
…違う自分に対する哀れみも、少しはあるけれど。
今日もまた、わたしは負け犬の『わたしたち』を見下すことで己の幸福を実感できる。
わたしはいま、幸せだ…!
別の世界から流れ着いた貞子はこれからも、愛する者と共にある。
永遠に。永遠に。
(ちょっと!あなたわたしの身体かえしてよ!)
「この身体かわいいしなんか妙に馴染むなあ。ここのわたしが狙うのもわかる気がするかなー。いい器だし、帰ったらこの身体で愛してもらおうかな!」
(何言ってるの!?人の話聞いてよ!?あっ)
完
オレ君「バケモンにはバケモンをぶつけんだよ」
映画「貞子」、貞子vs伽椰子、初代ドラマスペシャル完全版、連続ドラマリング最終章、連続ドラマ版らせんとぶっ続けで視聴した勢いで書いたよ!
昔書いた方のは劇場版ベースなので仲〇由〇恵顔でしたがこっちの貞子は初代ドラマスペシャル寄りの世界なので三浦○音顔です。
貞子は山村貞子という存在がどうしようもなくバッドエンドな存在であることを知ってしまったので自分の幸福を安心して受け入れづらくなっています。
性格が悪い感じなのは初代ドラマスペシャル版の貞子はいろいろあって人格歪んでかなりメンヘラに傾いている印象なのでこんな感じになりました。
で、なんかFGOの竜馬とお竜さんみたいに一緒に召喚されそうなノリで合体したと。
おまけの方は再転生先が連ドラ版らせんの世界線です。
この後家で寝てたオレ君は見覚えのある矢○亜○子顔の女が上下運動で声上げてるので目を覚まします。
貞子は怒られて舞ちゃんは性の喜びに目覚めました。
この世界の貞子はヤってる間に逃げちゃった(オイ
だれか続き書いてもいいのよ(かいたら教えて
しばらくしたらネタ集のほうに移すかも