【一発ネタ】転生したら幼馴染が貞子だった件   作:yoshiaki

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もう書くものなかったのですが小ネタがなんとか形になったので短いけど投下


最終引っ越し計画

不動産屋の鈴木達也はある物件の引き渡しに立ち会っていた。

この不動産は佐伯家の一家心中事件以来、なかなか売れずに困り果てていたのだが、突然買い手がついて喜んでいた。

この顧客がまた霊感持ちだということで渡りに船だったので、お祓いでも何でもしてくれるというから厄介払いとばかりに格安で売り払ったのだった。

これ以上何か問題が起こるようなら、妹の響子も霊感持ちなのでそちらに見てもらおうと考えていたが手間が省けて良かったとも言える。

 

(それにしても妙な雰囲気の一家だな…)

 

夫婦と夫の妹という少し変わった構成だが、そのくらいなら日本中探せばちらほら存在しているだろう。

何らかの事情で親戚と同居しているなど取り立てて珍しい事情ではない。

だが仕事柄様々な家庭に接する機会のある達也の勘が、この三人の関係はどこか普通ではないと告げていた。

 

(妹さんの接し方がな…女の顔をしているというか。奥さんの方もそれを受け入れてるようだし。なんというか、正妻と側室…?)

 

他所の家庭事情に首を突っ込むつもりはないが、気になるモノは気になってしまうのである。

そんなことをぼんやり考えていると、噂の二股疑惑の夫が話しかけてきた。

 

「しかしありがとうございました鈴木さん。訳アリ物件とはいえこんなに安く譲ってくださるとは。ほとんど捨て値みたいなものでしょうに」

「いやとんでもない!こちらとしても同じ家で次々事件が起こって困り果てていたところでしたので助かりました。私も正直不気味でさっさと手放したかったので。…ところでその両手に持った筒はなんでしょうか?さっきから気になっていたのですが」

 

リビングの真ん中にもいくつか似たような筒が立ててある。

なんだかどこかで見たことがあるような?

 

「いやーせっかく引っ越したのですから転居祝いに花火でもやろうという話になりまして。奮発してちょっと大掛かりな代物を用意しました。手筒花火というやつです。除霊記念も兼ねて」

「ああ、手筒花火ですか!そりゃまた豪気な…」

 

しかしこんなものよく用意できたものだ。

筒を見ていると先の会話がふと気になって訊ねる。

 

「そういえばもう除霊は済んだのですか?だいぶひどい悪霊の様だったのにずいぶんあっさりできるんですねえ」

「いやこれからです。少し派手になりますのでよかったら鈴木さんもご覧になっていってください」

「ゑ?」

「貞子、火ィ~」

「はいはい、えいっ」ボッ

 

点火。

火種もないのに勝手に発火した筒から盛大に火柱が噴き出し始める。

 

「ちょ、ちょおおっ!?ここ室内!何考えてるんだあんたら!?」

「いや~家の中で花火大会やるのが私の子供の頃からの夢でしてHAHAHA!]シュゴオオオオッ

「童心に帰るわねアナタ!」シュゴオオオオッ

「言っとる場合か!?火事!火事ィ!」

「こんなことしていいのかなー…?」

 

 

そんな風に騒いでいると童心に帰った夫婦は両手に抱えた火柱を家の壁に向けながら部屋中を駆け出し始めた。

 

「佐伯伽椰子さんよ、立ち退きしないと不法占拠してる家が燃えちまうぞヒャッハー!汚物は、消毒だーーーっ!!」シュゴオオオオッ

「引っ越し!引っ越し!さっさと引っ越し!引っ越し!!」シュゴオオオオッ

「テンション高いわねこの夫婦…」

「オラッBBA出てこいっ!!」シュゴオオオオッ

「アンタの方がBBA…」ボソッ

「イ、イカれてやがる…」

 

 

なんだ?

 

自分は夢でも見ているのだろうか?

 

そうだ。

 

そうに違いない。

 

こんなのは夢だ。

 

こんなバカ騒ぎ荒唐無稽だろう。

 

だいたいこんなことで地縛霊が出てくるはずがない。

 

さっきからする変な声だって…。

 

「うーん…」ガクッ

 

突拍子がないことばかり起きてしまい、家のことで散々負荷がかけられていた精神はもう限界である。

廊下を張って近づいてくる血まみれの女の幻を視界の端に入れながら、鈴木達也の意識は薄れていった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

女が不気味な擦れ声を切られた喉から立てて床を這いずりながら部屋に入ってくる。

何人もの罪なき人々を向こう側の世界に引きずり込んできたその手が伸びる。

 

伽椰子が彼に触れ――――――

 

 

「ヒトの男に汚い手で触るな、売女」

 

 

腕が折れて捻じ曲がる。

 

「!?!?!?ッァ」

 

「どこかのわたしみたいに間抜けな綱引きはしてあげないわ」

 

ゴキゴキと音を立てながら全身が折り畳まれていく。

 

「!?ッカ!!??ァッ!ヶグァッ!?!?」

 

首が折り曲げられて裂かれた喉が開く。

身体が際限なく折り畳まれ、圧縮されていく。

 

「お前はゴミにして処分してあげる…」

 

宙に浮いた身体が突如深海に放り込まれたかのようにみるみる押しつぶされていった後には、伽椰子だったモノが赤黒いボールになって床に落ちて転がった。

 

 

「…なんか貞子、いつになく怒ってる?前に爆弾投げた時はこんな風じゃなかった気が」

「あー、伽椰子はすでに家庭を持っているのに他人の夫に横恋慕した挙句とばっちりでその人の奥さん殺されて腹裂かれて赤ちゃんも生まれることが出来なかったうえに自分の子供も殺して一緒に呪いの片棒担がせてるからなあ。…子供が欲しくても産むことの出来なかった貞子にとっちゃ、地雷女でしかないわな」

「そう…」

「今はもう産める身体だが、世界を超えてオレについてくるから置き去りにも子の人生を縛りたくもないってんで今度は下手に子供を作るのを躊躇するようになっちまった。ま、その辺は今後の貞子の気持ちの持ち様ってとこだな。…さて、仕上げと行くか」

「…ええ」

 

火元の消火活動を終えた私達は、いつの間にか伽椰子玉の傍に蹲っていた半裸の少年に近づき触れる。

元の二つに分ける。

 

『あ…』

 

『ニャー』

 

閃光の後には、血色の戻った俊雄という少年と、黒猫のマーの霊体が残った。

彼が俊雄君に歩み寄り、ゆっくりと口を開いた。

 

「…腹切り津波、神風万歳(訳:…キミ達は開放された、もう何も呪わなくていいんだ)」

 

『…?』

『?』

 

「天ぷら?寿司刺身~(訳:おかしいな?これで通じてるはずなんだが)」

「FUJITSU!(訳:発音よ!)」

 

『何を言ってるのか分かんないよ…』

『ニャー??』

 

「そこのバカ二人、普通にしゃべりなさい普通に」

 

謎ジャパニーズが通じるわけないでしょうが。

 

「では気を取り直して。俊雄君はこれからどうしたい?君はもう自由の身だ。何物にも縛られず、好きに生きてみるのもいいと思うけどな」

「うちの子になりなさい!恋愛妄想ノートが原因でいじめないしレンジでチンもしないよ!」

 

『…お母さんが一人になっちゃうとかわいそうなのでいいです、ごめんなさい』

 

「かーっ、泣かせるじゃないの!聞いたか、貞子」

「むー…」

 

なんだか納得いかない顔をしている貞子。

ダメな親でも母は母、か。

結局のところ、まだ子供だもの。

仕方ないでしょう?

 

「…今回はこのくらいで勘弁してあげる。もう親の因果が子に降りかかるような真似、するんじゃないわよ」

 

貞子が伽椰子玉に手を翳すと、光と共に徐々にその姿が薄れていく。

浄化されつつある伽椰子玉を尻目に、彼が黒猫の前にしゃがみ込んで語りかける。

 

「マーくんはどうする?ウチの子になる気、あるかい?」

 

『ニャ』フイッ

『マー…』

 

こちらもその気はない、か。

二人の友情は固いようだ。

 

「三食シーバにちゅ~る毎日付けるわよー」ヒョコッ

『!』トテテ

『ニャ~ン♡』スリスリ

 

『ええ…』

 

友情は儚かった。

同居人の下僕<ちゅ~るの法則には勝てなかったよ…。

 

『…なんだかその気みたいなのでマーのこともよろしくお願いします。じゃあ…』

 

俊雄君もぼんやりと光りながらその姿を薄れさせていく。

これで終わり、か。

 

「おう。あっちに行ってもお母さんと仲良くな。良すぎても困るけど」

「さようなら。どうか、達者でね」

「もう怨霊なんかやっちゃ駄目よー」

 

『ありがとうございました。おにいさん、おねえさん、オバさん』

 

「ん?聞き間違いかしら?お姉さんよ」

 

『さようなら…』シュワアア

 

「成仏する前に訂正していけクソガキ」

 

後は、事後処理ね。

焦げた部屋と失神した不動産屋さんに目をやって嘆息する。

ああ、面倒くさい。

 

「さあ、後片付けしましょう」

「おっ、そうだな。掃除道具掃除道具。鈴木さんそっちに寝かせてくれー」

「はい」

 

「こんなの絶対おかしいよ…」ブツブツ

 

哀れな鈴木さんをソファに寝かせて空になったバケツを手に取る。

俊雄君のピンポンダッシュに敗北した貞子を背景に、私達は呪いが解けた今世の新居を片付けるのだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

おまけ ゴーストバスターズ結成秘話

 

 

呪いの家を核攻撃してこの世界の貞子の事後処理を済ませてから数日後。

オレ達はホワイトハウスからお近づきの品にと送られてきたハワイアンホーストをお茶請けにのんびり過ごしていた。

 

「ゴーストバスターしたいィ~?」

「そう!わたしが悪霊をバッタバッタと薙ぎ倒して愉しみたいの!」

「あなたも悪霊みたいなものでしょ。正義の味方に倒される側なんじゃないの?」

「だまりゃ!わたしは勝ち組よ!そんじょそこらの『わたし』とは格が違うのよ!わたしがナンバーワンなんだから!」

「態度のでかい女ね…」

 

うーん、この前のアレで味を占めちゃったのかな?

クールぶってるけど結構影響されやすいからなこいつ。

 

「…もう中東は嫌だから遠征するなら自分でやってくださいね」

「あまり強い言葉を遣うなよ…弱く見えるぞ」

「うざ…」

 

やっぱり影響受けてるじゃないですかやだー。

 

「そんじょそこらの負け犬共がわたしに敵うはずないもの。わたしは日本ホラー界の女王になるべきなのよ!そう、わたしが天に立つ…」キリッ

「それが言いたかっただけだろ」

「女王て…」

 

全く、いい年なんだし少しは落ち着いてほしいもんだ。

いったいどこから影響受けたんだか。

 

「ん?どうした舞」

「別に…」ジトー

 

なんだいその目は?

何か言いたいことがあるならパパ何でも聞いちゃうぞー。

 

「でも白い服着てるからってハンペンにはならないからね!」

「ハンペン?」

 

今日もまた、穏やかな日常が続く。

どこの世界に行ってもこの光景は変わらないだろう。

そして、来世で呪いの家に突入するまで後…。

 

                     完

 

 

 




以上、佐伯家訪問シリーズTAKE2でした。
スぺドラ貞子さんは赤ちゃん産めないコンプレックス持ちなので伽椰子とかDV夫共々地雷ですよね。
基本子供には優しいです。
黒猫は貞子んちのペットになりました。
ちゅ~るは偉大。

俊雄君のオバさん呼びはわざとです。
お母さんを肉団子にされたことへのちょっとした意趣返しです。
感謝はしてますけどそれはそれ。

おまけは影響を受ける貞子さんです。
昔の人なんでジェネレーションギャップが転じてネットとかに影響受けまくりです。
謎ジャパニーズとかはニコ動のTHE JUONとかのアレですし。

ではさいなら。
誰か続きを(ry
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