それは八洲、リバティ、ブリュンヒルデが死闘を繰り広げた超兵器…『荒覇吐』と『グロース・シュトラール』だった………
ー太平洋方面防衛作戦最終防衛ラインー
「リバティ、ブリュンヒルデ!俺は荒覇吐を仕留めるから、お前らはグロース・シュトラールを頼む!」
「了解。」
「分かりました。八洲さんも無理しないでください!」
「了解した。」
そう言うと八洲は荒覇吐に、リバティとブリュンヒルデはグロース・シュトラールに照準を定めた。
八洲の計14門の主砲が荒覇吐に狙いを定めて火を噴く。
1発で姫級鬼級を沈める威力を誇る代物で、『発砲遅延装置β』によって散布界を減らし砲弾がすべて荒覇吐に命中する。
だがーーー
ガァァン!!
突如蜂の巣状の
荒覇吐が展開したものが何かを彼は知っていた。
「くっ、防御重力場か…」
そう、外側に向けて重力を発生し砲弾の弾道を逸らしたり、船体に到達する前に砲弾の勢いを減退させそのまま落下させる『防御重力場』である。
その為、八洲の主砲を受けてびくともしないのである。
だが、彼が驚いたのはーーー
(何という事だ…!ムスペルヘイムやハボクック、ヴォルゲンクラッツァーが装備していたモノを奴が持っているとは…!)
防御重力場は終盤以降に登場した補助兵装で、それを荒覇吐が持っていたという事は今戦っている超兵器2隻は以前より強化されているという事を意味していた。
だが、防御重力場も万能の盾では無い。
防御重力場の展開には膨大なエネルギーが必要である上に攻撃を受け続け負荷限界点を超えてしまうと展開出来なくなるという欠点がある。
その為八洲は荒覇吐に砲撃を当て続け、
つまり防御重力場を展開不能にした時から勝負なのだ。
無論、荒覇吐も黙ってやられる訳にはいかない。
「くらいやがれぇぇぇ!!」
荒覇吐は青白い光線と翠色の稲妻を八洲に向けて放った。
彼は放たれたそれが何なのか理解し、翠色の稲妻を避ける事を選択した。
その結果稲妻を回避する事に成功したが、光線が八洲に命中する。
だが何かの壁に当たった瞬間、光線の勢いが減衰しやがて消滅した。
八洲が展開したのは『電磁防壁β』
レーザー等のエネルギー兵器の威力を9割以上減衰させる補助兵装だ。
荒覇吐のレーザー兵器…『エレクトロンレーザー』を防ぐ事に成功したのだ。
なら、エレクトロンレーザーと同時に放った兵器…『強化プラズマ砲』も電磁防壁で防げばいいじゃないかという話だが、そうはいかない。
何故ならプラズマ兵器はかなり特殊な性質故、防御重力場はおろか電磁防壁ですら防ぐ事が出来ないのだ。
その為、その特性を知っていた八洲はプラズマ砲を避ける選択をしたのだ。
すると荒覇吐に動きがーーー
キュィィィィィ!!
彼はドリルメイスを構え艦尾のロケットブースターを点火すると、物凄い勢いで突進して来たのだ。
そう、荒覇吐お得意の戦術…『ラムアタック』だ。
50ktの速力に膨大な質量を載せたラムアタックを受けたら、八洲であろうとタダでは済まない。
八洲は主砲などを撃ちまくるが、荒覇吐はお構い無しに突っ込んでくる。
するとーーー
「バウスラスター起動、急速回避!」
彼は艦首のバウスラスターを起動させ回避を図る。
それにより八洲は荒覇吐のラムアタックを回避する事に成功したのだ。
すれ違いざまに主砲を放ち防御重力場に負荷を掛けた。
だが、荒覇吐も
次の瞬間ーーー
ズガガガガガガガガガ!!
戦艦の主砲とは思えない程の弾幕を放ち、数多の砲弾が八洲に襲い掛かった。
幸いにも防御重力場で概ね防ぐ事に成功した。
先程荒覇吐が撃ってきたのは『406mmガトリング砲』
406mm砲弾を毎分50発で放つ性能を誇り、近中距離にて効果を発揮する所謂ガトリング砲だ。
荒覇吐は三銃身式連装ガトリング砲5基合計30門を持ち、ある意味かなりの砲門数を誇る超兵器なのだ。
ガトリング砲の一斉射で八洲の防御重力場に多大な負荷が掛かり彼自身も怯むがーーー
「…レールガン、撃て!」
次の瞬間、右肩部のレールガンが放たれ荒覇吐に命中する。
これが決定打となり荒覇吐の防御重力場は消失し、右肩部の主砲2基を破壊した。
彼もすれ違いざまにレールガンを構え、荒覇吐に大打撃を与えたのだ。
荒覇吐は頭から血が流れ、敵意と殺意の籠った目で八洲を睨む。
防御重力場を使用不能にする事には成功したが、八洲自身も防御重力場が負荷限界点寸前に達し、防御重力場といえど喫水線下に飛んできた砲弾は直で防ぎ切るしかない為対空火器の一部が脱落していた。
すると彼は防御重力場の展開を解除した。
「…何のつもりだ。」
「もう防御重力場は負荷限界点寸前に達している。なら他の兵装にエネルギーを回した方がいいと判断しただけに過ぎない。」
「…ふっ、フハハハハ!やっぱりこうで無くっちゃな!蘇った甲斐があるってもんだ!」
「…
八洲は攻撃を再開する………
一方、グロース・シュトラールと戦っていたリバティとブリュンヒルデも苦戦していた。
グロース・シュトラールとの戦闘に際し、リバティは潜航して雷撃を図りブリュンヒルデはAGS砲と魚雷で対応しようとした。
すると彼のVLSから数発のミサイルが放たれた。
ブリュンヒルデが警戒する中、そのミサイルはリバティが潜航した場所へと飛んでいった。
そしてミサイルのブースター部が切り離され、中からパラシュートの付いた魚雷が出てきた。
ブリュンヒルデはこの兵器の名を知っていた。
「ASROC…!リバティさん気をつけて下さい!」
そう言っている間に魚雷はすべて着水し、そのままリバティに向けて魚雷は進んでいった。
リバティは直様回避行動に移ったが、魚雷は彼女を追尾し全弾命中した。
「くっ、流石に応えるわね…」
リバティは怯むが、すかさず魚雷を放ち反撃した。
2本の魚雷は誘導式では無い為、進路を予測し放った。
2本の魚雷が徐々に近づく中、グロース・シュトラールは巧みな操艦で回避する。
その間にもASROCを撃ち続け、リバティにダメージを与えようとする。
するとブリュンヒルデは多目的ミサイルを放ちASROCを全弾撃ち落とした。
そしてAGS砲を撃ちまくり誘導砲弾の雨霰がグロース・シュトラールに降り注いだ。
だがーーー
「全パルスレーザー対応開始、薙ぎ払え!」
グロース・シュトラールに搭載されている対空火器…『新型パルスレーザー』でもってAGS砲弾を迎撃した。
いくつかは破壊され数発は命中したが、防御重力場によって防がれる。
ブリュンヒルデはAGS砲を撃ちながらすかさず接近し、魚雷を撃とうとする。
するとグロース・シュトラールは持ち前のレーザー兵器をフル活用し対応する。
2本の光線で敵を追尾する『αレーザー』、3本の光線を放ち目標に収束する『βレーザー』、1本の光線が放たれ回避した瞬間8本の光線に分裂し逆戻りして襲い掛かる『γレーザー』、そして槍から放たれる稲妻…『新型プラズマ砲』
様々なレーザー兵器が襲い掛かる中、ブリュンヒルデは巧みな操艦で回避し、命中したとしても電磁防壁でレーザーを無効化した。
だが彼もレーザー兵器では決定打を与える事は出来ないと分かっていた為、2基の連装砲をブリュンヒルデに向けた。
彼女もグロース・シュトラールの主砲がかなりの大口径砲だという事を直感で理解し、回避しながら魚雷を放とうとする。
そしてーーー
「全魚雷、発射!」
「主砲、一斉射!」
ブリュンヒルデの魚雷発射管とグロース・シュトラールの主砲が同時に放たれた。
その後、双方とも回避行動に移る。
数秒後、双方に水柱が立った。
ブリュンヒルデは1発直撃し沈みはしなかったものの、電子機器が一部使用不能になり魚雷発射管も2基使えなくなった。
ここまで被害が出た原因は、グロース・シュトラールの主砲が『56cm80口径連装砲』である為ブリュンヒルデの『超重力電磁防壁』で威力を減衰したとはいえ衝撃波などの被害によって電子機器に影響が出た。
さらに至近弾も出た為、対38cm砲防御装甲では防ぎ切る事が出来ず魚雷発射管のターレットが歪み旋回が出来なくなったのだ。
無論、グロース・シュトラールも無事では無い。
ブリュンヒルデの魚雷が8本命中し、浸水が発生した。
浸水によって船体が傾き速度が落ちる。
「…今だ。」
リバティが動いた。
彼女の艦首魚雷発射管が全門開き、8発の魚雷が放たれた。
物凄いスピードでグロース・シュトラールに迫る。
だがーーー
「
彼は艦首のバウスラスターを起動しながら排水を行い、二次被害を食い止めつつ魚雷を全弾回避した。
これにはリバティも驚く。
超兵器は高性能の応急注排水装置と自動消火装置を標準装備している為、ダメコン能力が高いのも超兵器の特徴なのだ。
「なら…」
するとリバティは浮上し水上戦用の兵装を彼に叩き込む。
小型レールガンと新型強化プラズマ砲を放ちグロース・シュトラールにダメージを与える。
流石の防御重力場もレールガンは加速力故防ぎきれないし、プラズマ砲も性質上防壁が効かない。
彼は盾の艤装がプラズマ砲の直撃を受けて融解し、レールガンの直撃で連装砲1基が破壊された。
彼自身も額に血が流れる。
「ふ、フフフ、流石だ。私を本気にさせるのはやはり貴様らの他にいない…」
「生憎だけど、貴方に褒められても嬉しくないわ。」
「私達は貴方達を沈めます。覚悟してください。」
「フッ、なら…武人として全力で闘うまでよ……」
するとグロース・シュトラールから何やら禍々しいオーラを感じ取り、2人は身構えた………
「…何あれ…?」
「あんな戦い見た事がない…」
「信じられない…こんな戦艦のデータなんて何処にも無い…」
「大丈夫なのでしょうか…?」
他の艦娘達は彼らの戦いを見ていた。
本来なら加勢するべきなのだが、彼らの苛烈な戦いに見たことのない兵器の応酬により加勢しようにも返り討ちに遭ってしまう可能性があり、何より誤射しかねなかった。
その為彼らの苛烈な戦いを見ている事しか出来なかった。
特に彼らの壮絶な艦歴を聞いていた大和達は彼らの戦いを見て、彼らが戦った超兵器の脅威を目の当たりにしていた。
「八洲…リバティ…ブリュンヒルデ…彼らはこの様な戦いを何度も経験していたのね…」
「………」
大和がそう呟く中、武蔵はただ黙っている事しか出来なかった。
その時だったーーー
「っ!?」
「うっ、何…!?」
何か禍々しい気配を感じ取り艦娘達は頭を抱える。
さらに異変は起こる。
「ちょっ、何これ…?」
「どうした!?」
「どうしたもこうしたも、電探にノイズが入って機能しないのよ!」
「こっちもです!」
「そんな…艦隊すべての電探が使用不能になるなんて…!」
突如としてノイズが発生し、電探が機能不全に陥ったのだ。
それも艦隊すべてが。
突然の事に狼狽している中、彼女達は目撃する。
「えっ…何あれ……?」
そう、見てしまった。
見るからに禍々しい紫色のオーラと紫電を纏ったグロース・シュトラールの姿を………
次回は荒覇吐とグロース・シュトラールが本気を出します。
乞うご期待ください。