鋼鉄これくしょん   作:あーくこさいん

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太平洋方面防衛作戦に乱入してきた超兵器を苦戦しながらも撃沈に成功した八洲達。
アレスと名乗る男が率いる軍事組織『テュランヌス』とのファーストコンタクトを垣間見た彼らは各方面の提督達を集めて会議を開いた………


第十二話 緊急会議

ー防衛海軍大本営本部ー

 

ここは横須賀にある防衛海軍大本営本部。

その会議室に各方面鎮守府の提督達が集められていた。

 

北方方面司令官  鈴木霊華元帥

大湊鎮守府提督  田中雄一中将

室蘭鎮守府提督  西原若菜少将

単冠湾鎮守府提督 木下藤也大将

幌筵鎮守府提督  有田純一中将

 

太平洋方面司令官 黒鉄剣十郎元帥

横須賀鎮守府提督 水野凛少将

堺鎮守府提督   田宮健一少将

舞鶴鎮守府提督  美川芽依少将

小笠原鎮守府提督 立花楓中将

 

南方方面司令官  山下昇元帥

佐世保鎮守府提督 浜田翔吾大将

呉鎮守府提督   山村富子大将

奄美鎮守府提督  若川和美少将

那覇鎮守府提督  永谷旭中将

 

錚々たる面々が一同に集まり、会議室に用意された席に座っていた。

さらに提督達だけではなく、八洲、リバティ、ブリュンヒルデもこの会議室に用意された席に座っていた。

 

今回召集された理由は、太平洋方面防衛作戦の終盤に突如として襲来した“荒覇吐”、“グロース・シュトラール”、その2隻を運用する組織“テュランヌス”についての緊急会議だ。

 

「これより緊急会議を始める。今回の議題は“新たな脅威”についてだ。」

 

太平洋方面司令官の口が開く。

 

「新たな脅威……ですか?」

 

「そうだ。太平洋方面防衛作戦で深海棲艦の軍勢を退けたが、その後この2隻が作戦海域に現れた。」

 

そう言うと会議室の壁に取り付けられたモニターに今回現れた超兵器…“荒覇吐”と“グロース・シュトラール”が映し出された。

 

「なんだあの艦は!」

 

「初めて見る艦だ…我々の艦とは根本的に何かが違う……」

 

「あの大和型の艦橋の艦、艦首に付いているのって、まさかドリル……?」

 

「もう1隻の艦、二基の連装砲は分かるがドーム状の物体は何だ!?」

 

その2隻を見た提督達からは様々な呟きが漏れ出す。

そんな中八洲が説明する。

 

「艦首にドリルを持つ戦艦は“超巨大ドリル戦艦荒覇吐”といい、ドーム状の物体を持つ戦艦は“超巨大レーザー戦艦グロース・シュトラール”と言う。」

 

「荒覇吐……」

 

「グロース・シュトラール……」

 

「…ふむ、では具体的な性能を。」

 

「はい、超巨大ドリル戦艦荒覇吐は主砲に『406mmガトリング砲』を持ち、『エレクトロンレーザー』に『強化プラズマ砲』、多数のバルカン砲を搭載している。」

 

「なんか聞き慣れない単語が出たが……?」

 

「まずはその説明から始める。『406mmガトリング砲』とは簡単に言えば16inch砲をガトリングのように連射出来る砲で、毎分50発の連射性能を持つ。」

 

彼の説明にどよめきが広がる。

 

「毎分50発……なんて連射性能なんだ…!」

 

「では、エレクトロンレーザーやプラズマ砲とは一体…?」

 

「エレクトロンレーザーは電子(エレクトロン)を用いた光学兵器で、威力は…直撃で戦艦が跡形もなく融解する程だ。プラズマ砲は膨大なエネルギーをプラズマに変換させ、収束したプラズマを打ち出す兵器だ。威力もレーザーより高く、直撃で戦艦が黒焦げになる程だ。」

 

「…規格外ね。」

 

「兵装も強力だが、何より特徴的なのは艦首ドリルと舷側に付いている回転ソーだ。膨大な質量と50ktの速度から繰り出されるラムアタックを喰らえば俺であってもひとたまりもないぞ。」

 

「あれだけの巨体で島風よりも速いなんて……」

 

「…言っておくが、40〜50ktが超兵器にとって標準的な速度だ。次に超巨大レーザー戦艦グロース・シュトラールは兵装の大半が光学兵器に身を包んでいる超兵器だ。」

 

「それでは、あの連装砲は……?」

 

佐世保鎮守府提督の質問に今度はリバティが答える。

 

「ええ、グロース・シュトラールの主砲を調べた結果、なんと56cm80口径連装砲という事が分かったわ。」

 

「56cm!?」

 

「80口径だと!?」

 

各提督から驚愕の声が上がる。

超大和型は51cm砲を搭載する予定だったが、それを上回り尚且つ80口径と比較にならない程の超長砲身砲に驚きを隠せないのだ。

 

「さらに発射されたミサイルは、深海大戦前に対潜兵器として活躍したASROCよ。」

 

「イージス艦等に搭載されている対潜ロケットを持っているのか……」

 

「さらに防御面でも強大よ。荒覇吐は対56cm砲防御装甲、グロース・シュトラールは対51cm砲防御装甲、おまけに双方とも電磁防壁と防御重力場を持っているわ。」

 

「あの…電磁防壁と防御重力場とは?」

 

「電磁防壁とは艦の周りに電磁フィールドを張り、レーザー兵器の威力を大幅に減退する防御兵装だ。だが、プラズマ砲は防ぐ事は出来ない。そして防御重力場は艦の周りに外向きの重力を発生させて砲弾等の勢いを減退させたり、弾道を逸らす代物だ。流石に電磁砲(レールガン)は相殺する事は出来ないが。」

 

その2隻の性能に沈黙が広がる。

 

「…なるほど、強力な兵装に圧倒的な防御力……これは一筋縄ではいかないな。」

 

「なぁ、超兵器っていうのはこの2隻だけじゃ無いんだな?」

 

今度はブリュンヒルデが答える。

 

「はい、紹介した2隻は所謂“中堅クラス”でありますが、“末端クラス”でも強敵である事に変わりはありません。」

 

「末端でもか!?」

 

「それについては俺が説明する。」

 

八洲が手を上げ、モニターの映像を切り替える。

 

「俺が最初に戦った超兵器…“超高速巡洋戦艦シュトゥルムヴィント”は100ktという驚異的な速力(スピード)で連合国軍3個艦隊を翻弄し7割を撃沈、残りを大破ないし中破に追い込んだ。」

 

「ちょっと待て!それで末端クラスなのか!?」

 

堺鎮守府提督が驚きの声を上げる。

 

「ああ、シュトゥルムヴィントは主な兵装は35.6cm砲に酸素・誘導魚雷に装甲は対31cm砲防御装甲とそこまで強力では無いが、超兵器機関の膨大な出力を速力に全振りした超兵器である為、末端でも艦隊を屠る事は容易だ。」

 

どよめきが広がる中、呉鎮守府提督が手を上げた。

 

「超兵器というが、通常兵器と何か違いがあるのか?」

 

「超兵器と通常兵器との違いについては、超兵器機関を搭載しているか否かが区別する基準です。」

 

「超兵器機関?」

 

「簡単に言えば超兵器の動力炉です。具体的には……」

 

ブリュンヒルデ達は超兵器機関について説明する。

八洲、リバティ、ブリュンヒルデの世界線で超兵器機関の出自や仕組みは違うが共通している点を述べると、

 

・出力が膨大過ぎて危険な為、特殊な“枷”をつける必要がある。

 

・枷を付けている状態でも常に余剰エネルギーが放出されそのエネルギーが時空に歪みを生じさせ、その結果ノイズが発生する。

 

という点があげられる。

 

※尚、今回テュランヌスの超兵器達は改良型の超兵器機関を搭載しており、出力が最適化された事で通常時ではノイズは発生しない。

 

「次に質問なんだが、君達は今まで何隻の超兵器を沈めてきたのだ?」

 

大湊鎮守府提督の質問に八洲達は今まで戦ってきた超兵器を正確に答えた。

 

八洲の世界線

・超高速巡洋戦艦『シュトゥルムヴィント』

・超巨大潜水戦艦『ドレッドノート』

・超巨大高速空母『アルウス』

・超巨大双胴強襲揚陸艦『デュアルクレイター』

・超巨大爆撃機『アルケオプテリクス』

・超巨大双胴戦艦『播磨』

・超巨大高速潜水艦『ノーチラス』

・超巨大高速空母『改アルウス』

・超巨大光学迷彩戦艦『リフレクト・ブラッタ』

・超巨大ドリル戦艦『荒覇吐』

・超巨大双胴戦艦『駿河』

・超巨大高速潜水艦『改ノーチラス』

・超巨大双胴強襲揚陸艦『改デュアルクレイター』

・超巨大擬装戦艦『ストレインジ・デルタ』

・超巨大二段空母『ペーター・シュトラッサー』

・超巨大レーザー戦艦『グロース・シュトラール』

・超巨大爆撃機『改アルケオプテリクス』

・超高速巡洋戦艦『改シュトゥルムヴィント』

・超巨大潜水戦艦『改ドレッドノート』

・超巨大氷山空母『ハボクック』

・超巨大航空戦艦『ムスペルヘイム』

・超巨大戦艦『ヴォルケンクラッツァー』

・超巨大戦艦『ルフトシュピーゲルング』

・超巨大戦艦『ヴォルケンクラッツァーII(ツヴァイ)

 

 

リバティの世界線

・超高速巡洋戦艦『シュトゥルムヴィント』

・超高速戦艦『インテゲルタイラント』

・超巨大ホバー戦艦『アルティメイトストーム』

・超巨大二段空母『ペーター・シュトラッサー』

・超巨大高速潜水艦『アームドウィング』

・超巨大要塞艦『ストレインジ・デルタ』

・超巨大双胴航空戦艦『近江』

・超巨大高速空母『アルウス』

・超巨大爆撃機『ジュラーヴリク』

・超巨大双胴戦艦『播磨』

・超巨大潜水空母『ドレッドノート』

・超巨大ドリル戦艦『荒覇吐』

・超巨大レーザー戦艦『グロース・シュトラール』

・超巨大光学迷彩戦艦『シャドウ・ブラッタ』

・超巨大陸上戦艦『スレイプニル』

・超巨大氷山空母『ハボクック』

・超巨大二段空母『改ペーター・シュトラッサー』

・超巨大航空戦艦『ムスペルヘイム』

・超巨大戦艦『リヴァイアサン』

・超巨大戦艦『ヴォルケンクラッツァー』

 

 

ブリュンヒルデの世界線

・超高速巡洋戦艦『ヴィルベルヴィント』

・超巨大潜水戦艦『ドレッドノート』

・超巨大双胴強襲揚陸艦『デュアルクレイター』

・超巨大爆撃機『アルケオプテリクス』

・超巨大双胴戦艦『ハリマ』

・超巨大航空戦艦『ムスペルヘイム』

・超巨大列車砲『ドーラ・ドルヒ』

・超巨大氷山空母『ハボクック』

・超巨大レーザー戦艦『グロース・シュトラール』

・超巨大攻撃機『フォーゲル・シュメーラ』

・超巨大ドリル戦艦『アラハバキ』

・超巨大戦艦『ヴォルケンクラッツァー』

・超巨大水上要塞『ヘル・アーチェ』

・超巨大航空戦艦『リヴァイアサン』

・超巨大潜水戦艦『ノーチラス』

・究極超兵器『フィンブルヴィンテル』

 

3人とも多くの超兵器と戦闘を繰り広げていたのだ。

話を聞いた提督達は押し黙っていた。

それほど彼らの軌跡が想像を絶するものだったからだ。

 

「…つまりテュランヌスもこれらの超兵器を保持していると?」

 

「おそらくその可能性が高い。現状、テュランヌスとの戦力差は特に技術面において絶望的だ。」

 

それもそのはずである。

こちらは第二次世界大戦時の装備なのに対し、奴らは現代化はおろか近未来レベルの兵装を持ち艦隊どころか都市や国、挙句の果てには世界をも滅ぼす力を持った超兵器がいるからだ。

無論、この後も議論したが一向に解決策は見つからず皆頭を抱えていた。

この中で超兵器の事を知っているのは八洲達3人だけであり、奴らに対抗できるのも彼らだけであった。

 

「ふむ…八洲、リバティ、ブリュンヒルデ、テュランヌスの件一任してもいいかね?」

「…よろしいので?」

「構わん。現状我々に出来ることが無い以上、超兵器に詳しい君達がテュランヌスに対する情報収集に戦力の撃破、対テュランヌス用の装備開発などやってもらう方がいいだろう。もちろん資材や後の事はこちらでなんとかする。」

 

超兵器の事を知っている彼らにテュランヌス対策を一任するという異例の対応をとったのだ。

 

「……分かりました。やれるだけの事はやります。」

 

「同じく、全力を尽くすわ。」

 

「私も元ウィルキア解放軍の一員として尽力します!」

 

3人は黒鉄元帥に向かって敬礼する。

彼らは打倒超兵器の決意を胸に秘め、出来る限りの事をする………

 




次回は対テュランヌス兵装の開発回、開発した兵装を実際に艦娘達に装備させます。

果たして艦娘達は鋼鉄の兵装を扱えるのか?

そして、八洲達3人も兵装を強化します。

乞うご期待ください。

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