その超兵器を統括する“テュランヌス”に対抗する為、八洲達の技術を用いた兵器開発をすることになった。
ー横須賀鎮守府ー
緊急会議が終わり、八洲達はまず工廠へと向かった。
テュランヌスに対抗する為、そして戦力増強の一環として対テュランヌス用の兵装を開発する必要があった。
工廠には開発装置があり、それを用いて艦娘の兵装等を作ることが出来る。
だが、そこで問題が生じた。
なんと八洲達が使おうとすると、開発装置が動かないのだ。
故障かと思われたが、他の艦娘が使うと問題無く動いたのでその原因を明石と夕張が調べた。
調べた結果、開発装置はその中にいる妖精さんの働きにより兵装等を製造するが、それも第二次世界大戦時、またはそれの延長線上の技術水準しか対応しておらず、八洲達の技術に対応出来ていない為開発装置が動かなかったのだ。
彼らの兵装を開発出来ないと話にならないので、八洲達3人は彼らの技術を知っている妖精さんと話し合い、予備の開発装置を拝借して試行錯誤を繰り返した。
それから五日後ーーー
「やっと完成したぞ。これが『鋼鉄式開発装置』だ。」
完成した開発装置を提督達にお披露目する。
スパコンの様な外見にシャッターとベルトコンベア、ディスプレイが接続されたもので、艦娘側の開発装置もこの見た目だが、艦娘側は茶色なのに対し鋼鉄側は黒色なのとレバーが無いのが特徴だ。
「…えっと、私達が使っている開発装置と同じだけど何が違うの?」
「それを説明する為に今から動かす。」
そう言うと八洲はディスプレイに近づいた。
画面には『クリエイト』と『カスタム』の文字が映し出されていた。
「画面には『クリエイト』と『カスタム』の文字があるが…『クリエイト』は新しく兵装等を作ることで、『カスタム』は既存の兵装等を強化・改造する。試しに新しく兵装を作ってみるぞ。」
八洲は『クリエイト』のボタンを押し、操作する。
次に『兵装A』を押しその中にあった『61cm75口径三連装砲』を選択する。
製造する個数を設定すると、何やら数値が表示された。
「製造する兵装を選択すると、それに必要な資材量が表示される。あとはその量の資材を投入するだけだ。」
八洲が説明を終えると提督を始め艦娘達、特に明石と夕張は驚愕する。
艦娘側の開発装置はまず資材を投入してレバーを下ろして起動、何が出るかは資材の量で決まり、大量の資材を投入しても希望通りのモノは出ないばかりか、中にはぬいぐるみの様な見た目のモノがダンボールと一緒に出る所謂『スカ』が出ることがあるのだ。
鋼鉄式の様に兵装を指定して、必要量の資材を投入するだけでその兵装が必ず出るというのは驚くに値する。
「すごい…画期的じゃないですか!」
「でも、これって量産出来るの?」
「それなんですが…量産するには開発装置内にいる妖精さんに私達の技術の基礎理論を習得させる必要がありまして、最低でも一ヶ月以上掛かります。なので、量産はすぐには出来ません……」
夕張からの質問にブリュンヒルデは申し訳なさそうに答える。
「それじゃあ製造するぞ。」
資材を投入しディスプレイのボタンを押す。
すると機械音が鳴り響き、やがてシャッターが開く。
開いたシャッターからベルトコンベアで三連装砲が2つとも運ばれる。
「完成したな。次は既存の兵装を改造する。」
そう言うと『カスタム』のボタンを押す。
そして彼はベルトコンベアに『61cm65口径三連装砲』2つを置く。
開いた後、ボタンを押すとシャッターが開き、2つの三連装砲が中に入っていく。
「それで中にある兵装を改造する。今回は長砲身化…65口径から75口径に改造する。」
ボタンを押し、しばらくするとシャッターが開きベルトコンベアで前より砲身の長い三連装砲が運ばれた。
「これで鋼鉄式開発装置の説明を終える。後は艦娘達に載せる兵装の開発だけだな。」
「あれっ?八洲達はいいの?」
「大丈夫よ。私達のは昨日強化し終えたわ。残っていた八洲の主砲も強化・製造し終えたし…」
この際、兵装を大幅に強化したのは八洲とブリュンヒルデだ。
八洲は主砲を全て61cm75口径三連装砲に乗せ替え、空いたスペースに光学兵器“なすびー夢”を複数搭載した。
ブリュンヒルデは高角砲と多目的ミサイルを撤去し、“対空ミサイルVLSⅢ”と“ASROC対潜Ⅲ”を搭載した。
「じゃあ、開発に取り掛かるわね。その前にどんな兵装があるか確認していい?」
「ああ、あと攻撃兵装だけで無く補助兵装や機関も確認した方がいいぞ。」
艦娘達は兵装レシピを確認する。
「…兵装Aは艦砲と高角砲、機銃(CIWS)に速射砲などがあるわね。」
「兵装Bは魚雷にミサイル…ミサイルは発射基タイプとVLSタイプがある。さらに爆雷や噴進砲もある……」
「兵装Cは…レーザーに荷電粒子砲、プラズマ砲にレールガン…規格外ね。」
「ねぇ、気のせいかな…?なんか“妖しい大砲”や“弓矢”、“汚水噴射砲”とかがあるんだけど……」
「なんで帆船時代の大砲が……?」
「汚水をかけて敵の戦意を削ぐって……」
「航空機はレシプロ機やジェット機、ヘリコプターは分かるけど…その、ハウニブーって名のUFOがあるのね……」
「補助兵装は探信儀はもちろん、自動装填装置など……なんか“謎の装置”とか“お守り装置”もあるわね………」
「機関はボイラーやタービン、原子炉に核融合炉…ガスタービンもあるのか。」
艦娘達は聞いた事の無い兵装に関心を持つ。
「それじゃあ、まず兵装Aと兵装B、航空機と機関を10回ずつ、兵装Cと補助兵装を5回開発するわ。」
提督は開発を開始する。
その結果ーーー
兵装A:127mm速射砲×2
152mm速射砲
20mmCIWS×2
50.8cm70口径四連装砲
57mmバルカン砲
155mmAGS(三連装)
41cm75口径四連装砲×2
兵装B:新型対潜ロケットⅢ×2
対空ミサイル発射機Ⅲ×2
大型ミサイル
対潜誘導魚雷
対空ミサイルVLSⅢ
RAM×3
兵装C:対空パルスレーザーⅢ×2
怪力線照射装置
荷電粒子砲Ⅲ
小型レールガン
航空機:震電改×2
Su-37J
F-15EX 蒼天
F-3C F・フォックス
AV-8BJ ハリアーⅡ
AH-64D アパッチLB×2
SH-60J×2
機関:ガスタービンε×2
駆逐ボイラーε
駆逐タービンε
標準タービンε×3
巡洋ボイラーε
戦艦ボイラーε
空母ボイラーε
補助兵装:超重力電磁防壁
自動装填装置a
新型探信儀γ
自動消火装置β
応急注排水装置β
「ふぅ、こんなもんかな。」
「改めて見ると凄いわね……」
出来立てほやほやの兵装を見て艦娘達は改めて驚愕する。
「あと言い忘れていたが、『艦橋』と『船体』もあるから見ておいた方がいいぞ。」
「分かったわ。それじゃあ、新しく出来た兵装を使ってみるわよ。」
提督は艦娘達を召集し、試験運用を行う。
演習海域にて試験運用が行われる。
使用してみた結果、今までの兵器とは一線を画す性能を持つ兵器に艦娘や提督達は驚いた。
標的を一瞬で溶かすレーザー兵器。
驚異的な連射性能を誇る速射砲。
目標に正確に命中するミサイル。
画期的な性能を誇る艦載機群。
圧倒的な運動性能を持つ新型機関。
どれも高性能なものだった。
だが、前例の無い兵装にみんな振り回されていた。
具体的にはーーー
・駆逐ボイラーεと駆逐タービンεを搭載した駆逐艦『島風』は驚異の80ktを出したが、速すぎて旋回が出来ずにすっ転んだ。
・長砲身50.8cm砲の反動で戦艦『大和』が10m程後ろに下がった。
・重巡『足柄』が小型レールガンの試射で、打つことに成功したがその反動ですっ転んだ。
・装甲空母『瑞鶴』がSu-37Jと F-15EX 蒼天を着艦させる際に危うく海に落としそうになった。
…などと、使いこなすのにまだまだ時間は掛かる。
だが、装備を開発しそれを艦娘に搭載出来たのは大きな進展だ。
これからは新装備開発に力を入れる様になる。
また、新装備を使いこなす為に八洲達は教官を務める事が決定した。
すると、提督が質問する。
「そういえば八洲達は建造とかはした?」
「建造…?艦を造ることか?」
「そういえば…開発装置の製造でやってませんね……」
「ええ、貴方達も建造をやってもらうわ。もちろんその分の資材は大本営側が出すから。」
「…しかし出来るかしら?私達に……」
「それは分からないけど、まぁそこは“物は試し”よ!」
提督の命令で、八洲達に建造任務が課せられた。
次回は建造任務回です。
八洲達の世界で活躍した艦が各世界線に1隻ずつ計3隻登場します。
乞うご期待ください。