負けじと応戦するが、テュランヌスの高性能な兵器により苦戦を強いられる………
奄美鎮守府の主力艦隊が出撃した頃、その周辺海域では…
「シュトゥルムヴィント、《勇者》より入電だ。奄美鎮守府の主力艦隊がこぞって出てきた。俺達はその主力艦隊を殲滅する…準備はいいな?」
「ええ、全兵装及び推進器に異常は無いわ。」
その様なやり取りをしながら80ktで航行している銀髪の男と金髪の女…
この2隻は『超高速巡洋戦艦ヴィルベルヴィント』と『超高速巡洋戦艦シュトゥルムヴィント』である。
『超高速巡洋戦艦ヴィルベルヴィント』はウィルキア帝国海軍士官服に身を包み両腰部に接続されているアームに『38.1cm80口径三連装砲』4基、両脚部に『61cm五連装誘導魚雷』2基と『68cm五連装酸素魚雷』4基、背中にはV字型の煙突と『対空/対潜ミサイルVLS』、2基のロケットブースターを備え、艤装の各所に『152mm速射砲』4基に『新型パルスレーザー』と『35mmCIWS』を多数搭載している。
『超高速巡洋戦艦シュトゥルムヴィント』は灰色を基調とした軍服を着ており、両腰部の主砲や両脚部の魚雷、背中のV字型の煙突に『対空/対潜ミサイルVLS』とロケットブースターの配置、そして各所に『152mm速射砲』4基、『新型パルスレーザー』と『35mmCIWS』を搭載しているのは同じだが、主砲は『43.2cm80口径三連装砲』、魚雷は『五連装超音速酸素魚雷』4基に変更されており、煙突部に『βレーザーⅢ』を2基搭載している。
彼らは奄美鎮守府主力艦隊を撃破する為、出陣していた。
まずドレッドノートが鎮守府に対し砲撃を行い、艦隊を炙り出す。
そして出てきた艦隊を2人の超高速の機動力でもって破壊するのがこの2人の役目だ。
「レーダーに感。やっとこさ来たか…」
超兵器特有の高性能レーダーで敵艦隊を捕捉する。
それと同時に敵の哨戒機にも捕捉された。
「どうやら敵にも見つかったようね。」
「ああ、だが丁度いい。
腕試し…彼らは元いた世界で八洲達に沈められた為、彼らへの復讐に向けて新しい兵装がどれだけの威力を持つかを確認するのが目的だ。
2人は艦尾のロケットブースターを点火し、一気に速度を上げる。
一方、奄美鎮守府主力艦隊は…
「哨戒機より敵戦艦2隻接近中、速度…80ktとの事‼︎」
2隻の規格外の速度に艦娘達が動揺する中、まず空母が艦載機を発艦し先制攻撃を加える。
その間に戦艦は砲撃を、巡洋艦・駆逐艦は雷撃の準備を済ませ艦隊による飽和攻撃で決着をつけるつもりだ。
だが、彼女達は知るよしもなかった。
今出ている80ktは2隻の最高速度ではなく、
異変はその後起こった。
「…えっ、そんな……!」
「どうしたの⁉︎」
「敵艦、速度上昇…2隻とも既に100ktを超えています!」
「なっ⁉︎計測違いでは無いのか!」
「間違いありません!このままでは航空機による攻撃は間に合いません!」
突如として2隻は100ktを超え、ヴィルベルヴィントは120kt、シュトゥルムヴィントに至っては驚異の180ktを叩き出した。
シュトゥルムヴィントはその驚異的な速度で艦隊に急接近し、まずは主砲を叩き込む。
彼女の主砲は43.2cm砲で長門型よりも強力な上に砲身は80口径と長砲身の為、大和型戦艦の装甲を貫き大ダメージを与えた。
砲撃によって敵艦隊が混乱している隙にすかさず超音速酸素魚雷を放った。
酸素魚雷を遥かに上回る速度で加速する魚雷は戦艦・空母等の大型艦を容易く葬り、終いにはβレーザーにて運良く生き残った戦艦にトドメを刺した。
ものの数分もしない内に戦艦・空母が壊滅した事で、残った艦娘の戦意は砕け散り、中には逃げ出す駆逐艦が出た。
巡洋艦達が必死に規律を乱すまいと奮闘するが、それを踏み躙るかの様にヴィルベルヴィントが時間差攻撃を仕掛ける。
ヴィルベルヴィントの長砲身38.1cm砲や誘導・酸素魚雷の飽和攻撃を受け巡洋艦はほぼ轟沈する。
これにより艦隊の8割が沈み、秩序もクソも無くなった艦娘達は皆我先にと逃げ出した。
だが、おめおめと逃げ出す彼女らを見逃す程彼らは甘くは無い。
2隻共すぐさま旋回し逃げ惑う駆逐艦相手にパルスレーザーで掃討した。
パルスレーザーは光学兵器の中では威力は低めだが、それでも航空機はおろか駆逐艦を沈める事が出来る。
更なる追撃に皆パニックになり、半狂乱となりながらがむしゃらに打ちまくる者、泣きじゃくりながら命乞いする者まで出たが、艦娘がいなくなるまで彼らは追撃をやめなかった。
発艦した航空機は母艦の仇討ちにと突撃したが、パルスレーザーとCIWSの弾幕により呆気なく撃墜され、奄美鎮守府主力艦隊は会敵からわずか数分で全滅した。
その報は奄美鎮守府に届く…
「提督…先程出撃した主力艦隊ですが、ついさっき反応が途絶えました……」
「………えっ?」
突然の報告に提督はショックを受け、よろよろと呼びかけた。
「提督?」
「ねぇ…大和!応答して!長門、武蔵、陸奥‼︎なんで…なんでみんな応えてくれないの……!」
その時だった。
ドゴォォォォォォォン‼︎
「キャァァァァァァ‼︎」
鎮守府施設に砲弾が直撃し、施設は倒壊し提督は大きく吹っ飛ばされ気を失った………
その頃、那覇鎮守府では…
「駄目です!哨戒艦隊すべての反応が途絶えました!」
「くっ…なんて事だ…!」
ヴィントシュトーツ率いる突風艦隊によって那覇鎮守府の哨戒艦隊が全滅した。
今現在空爆は止み主力艦隊はいつでも出撃出来る状態となった。
だが、敵の技術レベルが段違いの為出撃したとしても反撃すら出来ずに返り討ちに遭う可能性があった。
さらに近くの奄美鎮守府は『現在敵の攻撃を受けている』の連絡を最後に通信が途絶えた。
彼は最悪の事態が起きた事を悟り、
「…大本営に連絡しろ、『敵の攻撃により那覇鎮守府の維持が困難となった為佐世保鎮守府に撤退する』と……!」
「っ!提督…」
このまま戦線を維持しても援軍は間に合わずやがてはジリ貧となる。
その為、本土へ撤退し戦力を温存する事を選んだ。
だがーーー
「提督!どうやらこの鎮守府に向けて6発のミサイルが接近中との事!」
「何っ⁉︎」
敵からのミサイルに驚くも6発程度では空爆にも耐えれる緊急司令室にダメージは無いと鷹を括っていた。
そう、そのミサイルが通常弾頭であれば…
飛来したミサイルは鎮守府上空で青白い閃光と共に炸裂した。
六つの青い太陽は瞬く間に鎮守府全体に膨大な熱と爆風を浴びせた。
特に爆心地周辺の施設は跡形もなく
そして緊急司令室も例外では無い。
いくら空爆に耐えれるとしても、その攻撃が戦術核並の破壊力を持つなら別だ。
提督はもちろんの事、緊急司令室にいた者は全員骨すら蒸発した。
たった6発のミサイルにより、那覇鎮守府は壊滅した。
「友軍機より報告。那覇鎮守府を始め普天間物資集積所、嘉手納空軍基地等沖縄にあるすべての軍事施設の破壊を確認との事。」
「うん、ご苦労。」
ヴィントシュトーツ級が持つ『新型巡航ミサイル』により南方方面の最前線は呆気なく壊滅した。
ヴィントシュトーツ級はこの作戦において初めて投入され、目覚ましい活躍を遂げた。
(さて、あとはデュアルクレイター率いる揚陸部隊に任せて休憩するか。)
そう思ってると後方から『超巨大双胴強襲揚陸艦デュアルクレイター』率いる揚陸部隊が到着し、多数の揚陸艇を用いて物資の揚陸を行った。
「ん……あ……」
先程の砲撃で気を失った奄美鎮守府提督若川和美はようやく目を覚ます。
そこには地獄の光景が目に映った。
鎮守府施設のほとんどが破壊され炎上し、焼け焦げた死体があちこちに散乱していた。
まさに戦時の東京大空襲さながらの地獄絵図だ。
この光景に彼女は絶望した。
「おや、まだ生き残りがいたか。」
突然背後から声が聞こえ振り返るとコバルトブルーのロングコートを羽織った男性…『超巨大潜水戦艦ドレッドノート』がいた。
「…っ!」
彼女は咄嗟に護身用の拳銃を構えたが、彼は瞬時に懐に入り込み片手で彼女の首を掴み持ち上げた。
彼女は苦悶の表情を浮かべる。
「生き残りが居ないか上陸して探したが、目ぼしいのは君しか居なかったよ。まぁ瀕死の者はそれなりに居たから、せめてもの慈悲としてトドメを刺したがな。」
彼はニヤリと笑いながらそう語る。
だがーーー
「フ…フフ……」
彼女も笑った。
「…何が可笑しい?」
「そうやって調子付くのも今の内よ。私達には貴方達に対する“切り札”があるわ。貴方達が元いた世界で猛威を奮っていた存在がね…!」
彼女は最後の抵抗とばかりに捨て台詞を吐く。
「そうか……なら死ね!」
そう言った瞬間に首の骨を折り、彼女は絶命した。
そしてそのまま放り捨てる。
彼は苛立ちながらも気分を落ち着かせる為にパイプを吸う。
パイプを吸い煙を吐いた後、彼はこう呟いた。
「……楽しみだな、ああ楽しみだ。」
彼は八洲達との戦いを楽しみにしていた。
前の世界での雪辱を晴らす為…
そして南方戦線だけでは無い。
北方戦線でも超兵器の猛攻を受けていた。
次回、北方方面にも超兵器の魔の手が襲い掛かる。
乞うご期待ください。