鋼鉄これくしょん   作:あーくこさいん

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突如漂着した3隻の艦娘。
警戒しながらも救助し、横須賀鎮守府に運ばれた。
果たして味方か、それともーーー


第一話 はじめまして

ー横須賀鎮守府工廠ー

 

「ふぅ…こんな重い艤装運んだの初めてよ。クレーンが折れるかと思ったわ。」

 

明石がそう呟く。

救助した3人の艦娘は艤装を工廠に、艦娘本体は応急処置の為医務室へと運ばれた。

 

「夕張さん、3人の容態は…?」

 

「ええ、応急処置を施したから大丈夫よ。」

 

「それにしてもこの艤装、調べがあるわね。」

 

明石や夕張は未知の艤装に技術屋としての血が騒ぐのだ。

戦艦の艤装は三連装砲と四連装砲が2基ずつ計14門、後ろのコンテナや『H』と書かれた甲板、側面の円柱状のものと変わった形の連装機銃、そして何より気になるのは手甲状の艤装…なのだが、その形がどう見てもカニの形だったことだ。

 

「…このカニっぽい形の手甲、何なのかしら?」

 

「さぁ?」

 

次に潜水艦の艤装…なのだが、これまた潜水艦とは思えない程でかい。

本来潜水艦は最大でも全長122mだが、この潜水艦は全長488m、全幅に至っては102mと大和型を凌ぐ巨大艦だ。

兵装についても艦首魚雷発射管8門、艦尾魚雷発射管4門と重武装な上に、変わった形の連装砲とハッチがついた物体、一際大きい砲台が特徴的だった。

 

「大きい…」

 

「…これ、本当に潜水艦?」

 

最後に重巡洋艦の艤装は、全長198mと最上型に匹敵する大きさで艦幅も他の2隻と比べて大きくないが、兵装は変わった砲塔の28cm三連装砲6基の他に五連装魚雷発射管4基、長砲身の12.7cm連装高角砲と円柱状の物体とコンテナなど先程の戦艦と同じ兵装があった。

 

「かなり重武装だね…」

 

「でも、他の2隻と比べたら案外驚かないかな…」

 

明石と夕張はそれぞれの艤装を見て感想を述べる。

それほどこの3隻の艤装が規格外な代物だったからだ。

その艤装を観察すると大和が、

 

「あら?その戦艦の砲塔や潜水艦の艤装、穴が開いていない?」

 

「えっ?…あっ、本当だ。」

 

そこには四つある砲塔の内一つが大穴を開けられ原型を留めていなかった。

潜水艦も同じことで船体に砲弾で貫かれた穴が開いていた。

明石がその穴を観察すると…

 

「ん?この戦艦の主砲…これ46cm砲より大きくない?」

 

「えっ?」

 

鈴谷の質問に明石は資料を見て確認する。

 

「確かに…四連装砲はうちが扱う51cm砲と同じだけど、三連装砲の方はそれ以上に大きいわね…」

 

「待ってください。今、計算しますから…」

 

そう言うと大淀は電卓をカタカタと打ち込み、計算結果を出す。

すると、その結果に愕然とし恐る恐る口にする。

 

「…恐らく、60cmクラスの代物かと…」

 

その結果を聞いた艦娘達は驚愕する。

列車砲で80cmクラスの砲はあるが、艦砲で60cm砲など何処の国にも計画すら存在しない筈だ。

 

「しかも、51cm砲は75口径、61cm砲は65口径とかなりの長砲身です。」

 

最早驚きを通り越して混乱の領域である。

 

「さらに潜水艦の魚雷発射管も80cm相当…重巡洋艦に至っては装甲が対38cm防御装甲だと…」

 

艦娘達は言葉が出ない。

 

「…つまり、この艤装の持ち主達はこれだけの装備が必要で、敵側はこの重装甲艦に穴を開けられるというのか…」

 

「…どう考えても姫級や鬼級でも不可能だと思うけど…」

 

「…一体、どんな敵と戦ったのでしょう…」

 

大和が空を見上げる。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ー横須賀鎮守府医務室ー

 

その頃、医務室では救助された3人が横になっていた。

3人とも包帯まみれでミイラのような外見だが、その中の1人が目を覚ます。

 

「んっ…」

 

目が覚め起き上がろうとするが、激痛が走り満足に動かせる容態ではない。

それでも動かし、自分の手を見る。

包帯だらけでその隙間から血が滲む。

 

(馬鹿な…俺は戦艦…戦艦『八洲』…何故人の姿に…?)

 

八洲は疑問に思うが、後回しにして松葉杖を持って移動しようとした。

すると、他のベッドに2人の女の子がいた。

2人とも包帯だらけになっていて、八洲は情報を得るために2人を起こす。

 

「起きろ…」

 

そう言いながら2人を揺さぶると、2人の女の子は目を開ける。

 

「んっ…あれ…?」

 

「あれ…なんで私…痛っ!」

 

2人とも起き、起こしたであろう八洲を見る。

 

「…貴方は?」

 

「俺は第零遊撃戦隊所属艦『八洲』。艦種は戦艦になる。」

 

八洲は自己紹介をすると、2人は疑問に思う。

 

「第零遊撃戦隊…?聞いたことないわね…」

 

「私も…何処かの国の特殊部隊ですか?」

 

「まぁ、元の世界では大日本帝国海軍所属だが、第零遊撃戦隊はどこの国にも所属しない…そういう部隊だ。」

 

「どこにも所属しない…どういう事かしら?」

 

さらに質問が飛ぶが、

 

「…というか、俺はお前らのことを知らない。自己紹介してくれないか?」

 

「…分かったわ。私は南極連邦海軍所属準超兵器級攻撃潜水艦『リバティ』よ。」

 

「私はウィルキア王国近衛海軍所属重装突撃型フリゲート艦『ブリュンヒルデ』です。」

 

2人も自己紹介をする。

 

(南極連邦?ウィルキア王国?聞いたこと無いな…)

 

八洲はしばらく考える。

 

「…ねぇ、ひとつ気になったけど…」

 

リバティは八洲に対して、

 

「貴方って、()なの…?」

 

そう質問した。

八洲は自分の体を触って、

 

「…ああ、声のトーンや触った感触から多分男性だと思うが…取り敢えず、今の状況を知るために知ってる事すべて話すが、いいか?」

 

「ええ、その方がいいわね。」

 

「私も賛成です。」

 

その後、3人は自分が知ってる事すべて話した。

それによって、以下の事が分かった。

 

・第零遊撃戦隊、南極連邦、ウィルキア王国の事

 

・自分達はそれぞれ異なる世界にいた事

 

・3人とも沈んだ事

 

だが、三つの異なる世界で

 

・『超兵器』という存在と戦っていた事

 

が共通していた。

 

「…なるほど、大体分かった。」

 

「それよりどうする?」

 

「そうですね…これからどうしましょうか?」

 

しばらく考えるが…

 

「…今考えてもキリがない。取り敢えずここから出るか。」

 

彼の提案に2人は頷く。

そうして移動しようとする中、ブリュンヒルデが全身鏡を見つける。

3人は鏡の前に立って姿を見る。

八洲は黒髪短髪に顔立ちは良い方で、体格から見て男性という事は明らかだった。

リバティは腰まで届くロングストレートに緑色の瞳、髪と肌が白くまさにアルビノという言葉が似合う女性だ。

ブリュンヒルデは金髪のミディアムボブに青色の瞳、身長は他の2人と比べて低いがそれでも重巡洋艦並みだ。

今現在包帯まみれになっているが、外見的に美人なのは確かだった。

八洲がドアノブに手を掛け慎重に開けるが、偶然外にいた4人と目が合った。

 

「あら?」

 

「は?」

 

「おっ?」

 

「ん?」

 

4人の艦娘達は信じられないものを見たような声を出しながら、こちらを見ていた。

彼らも見つかった為、4人の前に立つ。

 

「…こんにちは。」

 

「あっ、ええ、こんにちは。」

 

「おい陸奥!」

 

「だって!」

 

さっきから喋っている2人は同じ服装をしている為双子か相当仲のいい関係なのだと彼は推測する。

 

「君達、大丈夫なのか?」

 

「ああ、確かに過去1番の損傷具合だな…」

 

「いつもの事だし、流石に慣れたわ。」

 

「大丈夫です!これぐらい日常茶飯事ですから!」

 

「日常茶飯事って…」

 

おかっぱ頭の女性が質問するが、何ともないと答えると後ろ髪をまとめた女性が困惑の表情をする。

 

「…自己紹介がまだだったな。俺は戦艦八洲だ。」

 

「準超兵器級攻撃潜水艦リバティ。」

 

「重装突撃型フリゲート艦ブリュンヒルデです!」

 

「う、うむ、長門型一番艦長門だ。」

 

「同じく二番艦陸奥よ。」

 

「伊勢型一番艦伊勢よ。」

 

「同じく二番艦日向だ。」

 

自己紹介をする中、長門が何かに気づいた。

 

「八洲…?知らない艦名だな…」

 

「知らないのも無理はないだろう。俺は前級である『大和型戦艦』の後継艦『()()()()()()』として極秘裏に建造されたのだからな。」

 

「…ちょっと待て、今超大和型戦艦とか言ったか?」

 

「?そうだが…」

 

「確か超大和型は計画段階で中止となった筈だが…」

 

彼はしばらく考え、

 

「……なるほど。まぁ、()()()の常識ではそうだが、()()()()の常識では八八艦隊計画で建造された十六隻の戦艦と四隻の大和型戦艦の建造ノウハウや最新技術を惜しみなく投入して建造されたのがこの俺『八洲』だ。」

 

「……日向、ちょっとこっちに。」

 

「あっ、おう…」

 

長門と日向は少し離れた。

 

「あいつの話、どう思う?」

 

「…少なくとも嘘を吐いている様には見えないな。だが、超大和型は計画のみの筈…」

 

「ああ、しかも八八艦隊計画も長門型のみ建造されたから…」

 

陸奥と伊勢は3人と談笑しているが、2人とも同じ疑問を持っている模様。

 

「つまり、『異世界』から来た艦娘…ということか。」

 

「そういうことだろうな。」

 

2人とも同じ結論に辿り着く。

 

「それに、八洲とか言ったか…あれは女性というより男性といった雰囲気だな…」

 

「…念のため聞いてみるか。」

 

そう言うと2人は彼らのところに戻ってきた。

 

「なぁ、八洲。失礼な事を聞くが、もしかして…男なのか?」

 

「ああ、自分でも確認したが男である事は確かだ。」

 

「あら、やっぱり?なんか体格からして男という方がしっくり来たわ。」

 

「そういえば貴方達のことは聞いてないわね。所属とか言える?」

 

「…南極連邦海軍所属。」

 

「ウィルキア王国近衛海軍所属です!」

 

「……えっと、南極連邦?は地理的に分かるけど、ウィルキアってどこにあるの?」

 

「あっ、それはですね……」

 

リバティとブリュンヒルデが加わり談笑している中、長門は通信機を取り出した。

 

「提督、こちら長門だ。」

 

『あ、長門。どうしたの?』

 

「彼らが目を覚ました。」

 

『えっ!?貴方や大和がしばらく眠っているだろうって……』

 

「それが彼らにとってあの程度の傷は日常茶飯事だそうで、3人とも松葉杖を使って立っています。」

 

『日常茶飯事って…一体どんなところにいたのよ………ん?()って、まさか…』

 

「ああ、そのまさかだ。リバティとブリュンヒルデは女性だが、八洲は男性だ。」

 

『触診で戦艦の艦娘が男性だと明石から聞いたわ。』

 

「それより詳しい事を聞くつもりです。提督にも来てもらおうかと…」

 

『分かったわ。切るね。』

 

通信が切れ、通信機をしまうと彼らの元に向かう。

 

「まもなく我々の提督が来る。それまでここで待機してくれるか?」

 

「分かった。指示に従おう。」

 

他の2人も頷く。

 

「……少しぐらい抵抗すると思ったんだがな。」

 

「今更騒いだところで何にもならんからな。大人しくするさ。」

 

「この状態だと抵抗どころか動くことすらままならないから。」

 

「私だって軍属の身です。ここで我儘言ってもしょうがないですから。」

 

そう言うと3人は陸奥達に支えられて医務室に戻される。

しばらくして長門も医務室に入っていった。

 




次回は八洲、リバティ、ブリュンヒルデの軌跡が判明します。

乞うご期待ください。
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