鋼鉄これくしょん   作:あーくこさいん

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横須賀鎮守府を襲撃した超兵器艦隊の策により分断されてしまったリバティ。
さらに鎮守府上空から超巨大爆撃機『アルケオプテリクス』が襲い掛かる。
八洲達が応戦する中、ノーチラスとアルケオプテリクスが暴走状態へと移行する………


第二十話 (そら)海中(うみ)の二大決戦‼︎

暴走状態になったノーチラスはただでさえ厄介な快速性がさらに加速を増し、手がつけられない程になる。

 

「アハハハハッ‼︎くらいなさい‼︎」

 

ノーチラスは酸素魚雷や誘導魚雷、超音速酸素魚雷を雨霰のように打ちまくる。

リバティは回避するも、数発は命中しダメージを負う。

反撃のためリバティは魚雷を放つが、暴走状態となりスピードが格段に上がったノーチラスは余裕で回避する。

 

「くっ…!速い‼︎」

 

苦戦するリバティだが、唯一の救いはノーチラスが放った魚雷が原因でレムレース艦隊も巻き添えで被害を出しており、その艦隊からの攻撃が途絶えている。

挟撃されたらたまったものではないので、リバティはノーチラスに集中できる。

リバティは水流推進(ポンプジェット)と電磁推進をフル稼働して、回避に専念する。

 

「ほらほらほら!いつまで持つか見ものね!」

 

ノーチラスはリバティに対し挑発するが、当のリバティは意に介さず回避し続ける。

その態度が気に食わなかったのか、ノーチラスは更に攻撃の密度を上げる。

 

(このままでは埒が開かない…何か手は……!)

 

リバティが回避しながら考えを巡らせる。

そうして一つの奇策が思いつく。

 

(艦長、貴方の策をお借りします。)

 

意を決した彼女は魚雷を装填し、放つ。

その魚雷はそれぞれ別々の方向へと走っていく。

 

「とうとう狙いをつけれなくなったのかしら?」

 

次の瞬間、魚雷が爆発しそこから気泡が発生する。

放った魚雷は気泡を含んだバッフル弾だった。

気泡がそこらじゅうに発生している為、ソナーによる探知が困難になった。

 

「小賢しいマネを!」

 

苛立ちながらも、レムレース艦隊に探知を要請するが反応が無い。

 

「ちっ、使えないわね!」

 

彼女はそう吐き捨てるが、そもそも魚雷を雨霰の如く撃ちまり、随伴していたレムレース艦隊が巻き添えの被害を受けた為、被害の拡大を防ぐために旗艦級レムレースが艦隊を引き下がらせたのだ。

完全に彼女の自業自得である。

 

「…まぁいいわ。あんなパチモン最初から当てにしてなかったし。」

 

そう言って彼女はソナーに意識を集中させる。

聞きやすくする為、速度を落としていた。

 

すると音が聞こえる。

聞き耳を立てるがどうも潜水艦の音では無い。

 

「何これ…音楽?」

 

彼女が聞こえたのは音楽だ。

彼女は知る由も無いが聞こえてきた音楽はリバティの艦長が好んで聞いていたモーツァルトの楽曲だった。

 

しかも一本だけでは無い。

数本、しかも一本一本違う楽曲を流していた。

それが様々な方角から流れてくるので、ますます困惑した。

 

「一体何考えているのよ、あの女は!」

 

苛立ちながらも、彼女は考える。

そもそも静粛性が取り柄の潜水艦が自ら音を出すのは自殺行為だ。

ましてや海中でコンサートでも開いてるかのごとく喧しい。

それが彼女の癪に触り、ますます苛立ちが募る。

 

それがリバティの狙いだった。

特殊音響魚雷から発せられる音楽と困惑と苛立ちによって注意が散漫としていた。

それが命取りとなった…

 

結論から言えば、音響魚雷は全て囮だ。

リバティの艦長は音楽を嗜む人であり、特にモーツァルトの楽曲が何より好きだった。

それを戦術に組み込み音響魚雷に楽曲のテープをセット、それを流す事で敵を混乱し、その隙に本命の魚雷を浴びせる。

それを彼女が実践した。

 

特殊音響魚雷で混乱している最中、リバティは超音速魚雷を全門放つ。

音楽でソナーが効かない上に苛立ちで注意力が散漫としている彼女が本命に気づくのは、至近距離で突発音が聞こえた時だった。

 

「まずっ!」

 

回避しようとするが、間に合わず全弾命中する。

幸い撃沈には至らなかったが、装甲にヒビが入りこのままでは水圧で圧壊する危険があった。

ノーチラスは応急修理の為、リバティに魚雷を撒き散らしながら緊急浮上する。

リバティも後を追うとしたが、魚雷によって阻まれる。

 

 

 

 

 

一方、八洲&ブリュンヒルデとアルケオプテリクスとの戦いは熾烈を極めていた。

 

「いい加減に…沈みなさい!」

 

「この世界に来てもしつこさは変わらんな!」

 

八洲とブリュンヒルデの対空ミサイルと艦砲が火を噴き、アルケオプテリクスの主砲とガトリング砲、爆弾やロケット弾、ミサイルの雨霰が降り注ぎ、まさに一進一退の攻防を繰り広げていた。

八洲、ブリュンヒルデ共に防御重力場と電磁防壁が負荷限界点に達し、アルケオプテリクスも紫色の禍々しいオーラで防御力を底上げしているとはいえ、攻撃を受け続けた結果ダメージが蓄積していた。

だが、以前八洲達が不利なのは変わりない。

 

「くっ…このままでは……」

 

ブリュンヒルデがそう呟く中、八洲は考えに考えを巡らせ彼女に通信を入れる。

そしてそのまま作戦内容を伝える。

 

「危険な賭けだが、これしか有効な手立ては無い。」

 

「…分かりました。それでいきましょう!」

 

やり取りを終え、八洲とブリュンヒルデは二手に別れる。

二手に別れた状況を不審がってたアルケオプテリクスだが、各個撃破のチャンスだと考え八洲に狙いを定める。

ブリュンヒルデがAGS砲を斉射するが、それは見当違いな方向に放たれた。

 

「アハハハハ‼︎何処に撃ってるのかしら〜?」

 

彼女はここぞとばかりにバカにし、八洲目掛けて爆撃体勢に入る。

だが、彼は全砲門をアルケオプテリクスに向け、

 

「全砲門、斉射ァ‼︎」

 

八洲の61cm75口径三連装砲12門が一斉に火を噴いた。

爆撃体勢に入っていた為、回避する間もなく新型対空弾の爆発をもろに受ける。

やがて煙が晴れるとそこには…

 

「…アハッハッハッハッ‼︎残念ね、これで終わりよ‼︎」

 

所々損傷しているとはいえ、まだ健在なアルケオプテリクスだった。

彼女は機関の出力を上げ、オーラの力を底上げしたのだ。

その反動でオーラの力が一時的に弱まったが、しばらくすれば元に戻るので問題は無いとたかを括っていた。

爆弾倉(ウェポンベイ)が開かれ、主砲やガトリング砲が八洲に向けられる。

しかし、彼は不敵な笑みを浮かべる。

 

「ああ、お前がな。」

 

次の瞬間、彼女に衝撃が走る。

背中に背負った艤装に砲弾が命中したのだ。

しかも、上空から飛来した砲弾でだ。

一瞬訳が分からなかったアルケオプテリクスだったが、ふとブリュンヒルデが見当違いの方向に放った砲弾を思い出す。

 

AGS砲は謂わば誘導砲弾。

彼女はアルケオプテリクスが八洲に空爆を仕掛ける事を見抜き、突入コースを瞬時に計算し、その情報を元に砲弾を放ち誘導。

そして八洲の一斉射撃でオーラの力が弱まった瞬間に命中する様に、誘導コースを調整していたのだ。

 

更に命中した箇所もアルケオプテリクスにとって致命的だった。

幾ら超兵器が絶大な力を持つと言っても、艦船型超兵器が攻撃を受けて浸水し、浮力を維持出来なければ沈没する、潜水型超兵器は潜水時に装甲にヒビが入れば水圧で圧壊するといったように、航空機型超兵器も主翼が破壊されれば後も簡単に墜落してしまうのだ。

そう、砲弾はアルケオプテリクスの主翼の付け根、しかも全ての砲弾がその一箇所に命中していた。

幾ら対51cm防御装甲といえど、ダメージが蓄積している上に一箇所に集中して命中しているのであればどうなるのか……

 

アルケオプテリクスの主翼はボッキリ折れてしまい、揚力を失った彼女はなす術もなく墜落する。

 

「そんな…そんな…嘘よぉぉぉ‼︎」

 

彼女は悲鳴を上げるが、更に悪い事態が起こる。

なんと墜落地点にリバティの攻撃によって緊急浮上を余儀なくされたノーチラスが勢いよく浮かんできた。

ホッとした彼女が最後に見た光景は、主翼が折れ炎上しているアルケオプテリクスがこちらに向かって墜落している光景だ。

 

「……え?」

 

彼女のほうけた反応の後、ノーチラスとアルケオプテリクスは勢いよく激突し炎上。

更にその衝撃で双方の超兵器機関が制御を失い誘爆した。

 

「まずい、急いで離れろ!」

 

八洲とブリュンヒルデは急いで墜落地点から離れた。

しばらくして大爆発を起こし、ノーチラスとアルケオプテリクスは跡形もなく破壊された。

そこには一切の残骸も残らなかった。

 

「終わりましたね…」

 

「ああ…」

 

そう言った時、水中戦を繰り広げていたリバティが浮上する。

彼女も所々損傷していた。

 

「リバティさん!」

 

「…流石に堪えたわ。」

 

「これにて作戦終了…と、言いたい所だが……」

 

そう、横須賀鎮守府の防衛に成功したが、北方方面と南方方面がテュランヌスの猛攻に晒されている以上、彼らに休息の暇はない。

直様修理し、救援に向かわなければいけなかった………

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

八洲達がノーチラスとアルケオプテリクスを撃破した頃、北方方面攻略艦隊第一戦隊は近江の偵察機の報告から敵艦隊が歯舞群島に集結しつつある事を知る。

 

「北方方面に属する全ての鎮守府の艦隊を総動員か…」

 

第一戦隊旗艦播磨が呟く。

幌筵鎮守府、単冠湾鎮守府、室蘭鎮守府、大湊鎮守府の各艦隊が歯舞群島に集結し、超兵器艦隊を迎え撃つ構えだ。

中でも室蘭鎮守府に所属している工作戦艦『出雲』と彼女の手によって改装された艦娘で構成される対超兵器艦隊を差し向けてくる事から彼らの本気度が伺える。

対超兵器艦隊に所属する艦娘全てがガスタービンエンジンと超重力電磁防壁を標準装備しており、兵装も鋼鉄由来の物に換装済みである。

 

「…だが、所詮付け焼き刃だ。」

 

彼の言う通り今まで第二次世界大戦の延長線上の装備を使ってきた艦娘達に数世代先の兵装を使いこなせる訳がない。

 

「さて、そろそろ歯舞群島だな。駿河、近江、用意はいいか?」

 

「迎撃なら任せてよ、兄さん。」

 

「ほな行きましょか。艦載機発艦‼︎」

 

近江がそう言うと、二丁の大型ボウガンを構え放つ。

放たれた矢は変化し、戦闘機F-15DJ、攻撃機F-2、爆撃機F-15EJの編隊となり飛び立つ。

いずれも防衛空軍の戦闘機を艦載機用に改造した物である。

第一戦隊は単縦陣で先頭から駿河、播磨、近江となっている。

まもなく北方方面連合艦隊と北方方面攻略艦隊の全面対決が始まろうとしていた………

 

 

 

 

 

同じ頃、南方方面攻略艦隊では飛行場の建設作業を監督している超巨大双胴強襲揚陸艦『デュアルクレイター』と南方方面攻略艦隊旗艦『ペーター・シュトラッサー』を除く超兵器が旧那覇鎮守府周辺海域に集結していた。

そんな中旗艦のペーター・シュトラッサーから通信が入る。

 

『我らが総帥アレス様より次のフェーズに進めと命令が下された。これより、Op(オペレーション).フォールダウン第二フェーズを開始する!』

 

それを合図に発進する。

陣容は、

 

・超巨大潜水戦艦『ドレッドノート』

・超巨大潜水空母『ドゥールム・レムレース』

・超高速巡洋戦艦『ヴィルベルヴィント』

・超高速巡洋戦艦『シュトゥルムヴィント』

・超高速装甲艦『ヴィントシュトース』艦隊

 

さらに、援軍として派遣された2隻のヴィント級高速艦も加わっている。

彼らは南方方面の鎮守府に更なる大打撃を与えるべく北に進路をとる。

 

攻撃目標は…佐世保鎮守府だ。




次回、北方方面連合艦隊と北方方面攻略艦隊との戦いが始まる。
双胴の悪魔達に太刀打ち出来るのか…

また、八洲は北方方面連合艦隊の援軍に間に合うのか。

乞うご期待ください。
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