【完結】駄目な部分が目立つ転生者が、何故か周りから好かれる話   作:やさぐれショウ

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OP~OxT『UNION』~♪


第106話 造られた世界

アノシラスと共にツツジ台駅に到着した直喜は、電車に乗った。そこで偶然、裕太と出会った。

 

アノシラス「ところで…ウルトラマンは、この電車の都市伝説って知ってる?」

 

直喜「と、としでんせつ…?」

 

アノシラス「うん、この電車に乗ってると…途中で凄い霧に包まれて、段々眠くなって来るんだ。それで、気が付いたらツツジ台駅に戻ってるっていうヤツなんだけど……」

 

この路線で囁かれている奇妙な噂……それは、先程アノシラスが話した内容である。しかし……

 

直喜「で、でも…校外学習の時や六花ちゃん達とお出掛けした時は、全然眠くならなかったよ…?」

 

校外学習の時や六花らと出掛ける時、この路線を利用した直喜。その時、全く眠くならなかったのだ。

 

直喜「そ、それに…フジヨキ台にも熱海にも、井荻にも行けたし……」

 

アノシラス「そんなの無いよ?」

 

直喜「…えっ?」

 

アノシラス「この街の外には、何も無いよ?

 

裕太「どういうこと?」

 

アノシラスの言葉に疑問を抱いていると…急に辺りが霧に包まれ始めた。すると…

 

裕太「……。」ウトウト…

 

裕太が眠ってしまった。

 

直喜「あ、あれ…ひ、響君?響君ってば…!」

 

直喜は裕太を起こそうと声を掛けるが、彼は全く起きない。

 

直喜「…あれ、ちっとも眠くないよ?」

 

眠ってしまった裕太とは反対に、直喜は全く眠くないようだ。

 

直喜「何で、君と僕は…ね、眠くならないの?」

 

アノシラス「直喜さんが眠くならない理由は、多分…君の中にウルトラマンが居るからだと思う。」

 

ウルトラマンゼアスと一心同体になっている直喜は、霧の影響を受けないようだ。電車は規則正しく走り続けている。アノシラスはずっと音楽を聞いているためなのか、ちっとも眠くない様子である。

 

直喜「…こ、これって……」

 

車窓から見える景色…それは、辺り一面が濃い霧に覆われ…岩石が飛び交っている何も無い世界だった。

 

直喜「あれっ!?ここって、校外学習の時に…!!」

 

校外学習で訪れた駅も、ボロボロになっており…霧と岩石が飛び交う世界に包まれていた。

 

直喜「な、何で…何で皆、眠くなっちゃうの……?」

 

アノシラス「このガスのせいだよ。」

 

アノシラスはそう言うと、イヤホンを外し…裕太の耳に近付けた。少しして、裕太は目を覚ました。

 

裕太「…あ、あれ……俺……」

 

直喜「この霧のせい、みたい……」

 

裕太「な、直喜君…ここって……」

 

直喜「わ、分からない……」

 

ふと、裕太は自分の耳にイヤホンが付けられていることに気が付く。彼の耳には、鮮やかなピアノの音が入ってくる。

 

裕太「お、音楽…?」

 

アノシラス「音楽にはね、目には見えないけど…音の聖霊が隠れててね?」

 

裕太「…音の聖霊?」

 

アノシラス「そしていつも、演奏している人の心を見ているんだ。」

 

アノシラスと裕太が話をする中、直喜はずっと…車窓から見える景色を見ている。

 

直喜(この世界、何だかおかしい……秋なのに、まだ暑いし…それに、こんな奇妙な場所もあるし……)

 

そんな直喜に、アノシラスは声を掛ける。

 

アノシラス「ねぇ、直喜さん…何でこの街だけに怪獣が現れると思う?」

 

直喜「そ、それは…べ、ベンゼン星人やレディベンゼン星人が……」

 

アノシラス「それもそうだけど……ヤツらが来る前から、この世界には怪獣が出てるよ?」

 

直喜「えっ…な、何か知ってるの?」

 

アノシラスはゆっくりと語り始める。

 

 

アノシラス「この街に現れる怪獣は…

 

全部1人の人間から生まれたの。

 

 

裕太「1人の、人間から……?」

 

アノシラス「そう。1人ぼっちの人間の心から……」

 

直喜「だ、誰…なの……?」

 

次にアノシラスから語られた言葉を聞いた直喜は、言葉を失うことに……

 

 

 

新条 アカネ

 

 

 

直喜「!!??」

 

何と…ツツジ台に怪獣を出現させていたのは、新条 アカネだったのだ。

 

直喜「あ、アカネちゃん……でも、でも…怪獣の人形を作っていただけで、アカネちゃんがやったなんて」

 

アノシラス「その方法で怪獣を生み出していたんだよ?」

 

直喜「そ、そんな訳…アカネちゃんが、そんな事するわけ……!!」

 

直喜はアカネを疑っていなかった…いや、正確にはアカネを疑いたくなかった。

 

アノシラス「新条 アカネは怪獣を使って、街を壊して街を治す…まぁ、ウルトラマンも街を治してるけど。」

 

アノシラス曰く…アカネは怪獣を生み出しては街を破壊しては治すを繰り返していた。それも、何度も何度も……

 

アノシラス「私はずっと前から、ここで見ていた。」

 

直喜「も、もしアカネちゃんがそれをやってたとしたら……な、何のために……」

 

アノシラス「気に入らない部分を治すためだよ?」

 

直喜「…えっ?」

 

直喜が知らなかったアカネの素性…かつて、直喜にぶつかって謝らずに去って行った教員や、直喜をバカにした男共等々……気に入らないことがあれば、どんなに些細なことでも無くそうとする。

 

 

あの娘にとってこの街は、世界の全部…

 

怪獣を作っているうちに…

 

あの娘の心が……

 

この街自体が……

 

怪獣みたいになっちゃった

 

 

裕太「ちょっと待って…じゃあ、今まで怪獣の犠牲になった人達って……」

 

アノシラス「新条 アカネが気に入らなかった人達…でも、中にはウルトラマンに助けられた人達もいる。」

 

裕太「す、好き嫌いで人を…!?」

 

どうやら、怪獣に襲われた人々は…アカネが気に入らないと認識した人であり、怪獣によって犠牲となる対象となっていたそうだ。しかし、グリッドマンやウルトラマンゼアスが怪獣を倒したことで、それは阻止されたこともある。

 

アノシラス「仕方ないよ…新条 アカネはこの世界を造った…君たちにとっての……

 

 

カミサマ

 

 

なんだから……」

 

この世界は、アカネによって生み出された世界であることが発覚し…裕太と直喜は言葉を失っていた。

 

裕太「ちょっと待ってよ、今の話が本当なら…カミサマ、歪み過ぎでしょ…!」

 

アノシラス「そう、彼女は歪み過ぎていた…でもね……」

 

アノシラスは直喜の方を見る。

 

アノシラス「彼女は少しずつ変わっている…そのきっかけを作ったのは……ウルトラマン、君だよ?」

 

直喜「ぼ、僕…?」

 

アノシラスの言葉に困惑する直喜。

 

アノシラス「君は誰に対しても、分け隔てることなく優しく接している。おっちょこちょいで空回りしちゃっても…それでも困難に立ち向かって、人から喜ばれることを沢山して来た。直喜さん、どうして君の周りに人が集まってくるのか…考えたことある?」

 

直喜「……。」

 

アノシラスの言葉に、黙ってしまう直喜。しかし、アノシラスは自分を褒めていることは分かっていた。

 

アノシラス「それはね…君の元々の性格……人を疑わない純粋さ…どこの世界の人達とも、友達になろうとする気持ち……困っている人を助けようとする優しさと強さ……君はそれを行動で示しているんだ。」

 

幼い頃の直喜は…両親から構って貰えなくなり、終いには捨てられてしまった……風呂にも入れて貰えず、清潔を保てなくなったことで周囲からは虐められ……どこに行っても、寂しい日々を送っていた。自分の存在を認めて欲しいと思っても…何をすれば良いのか分からなかった。だが、大好きなウルトラマンに影響され…誰かの力になれることをしようと考えた直喜は、行動を起こした。困っている人がいたら真っ先に駆け付け…どんな人でも、自ら心を開いて友達になろうとした。例え、人々の敵であっても…最後まで信じ、決して疑わなかった。

 

直喜「つ、強さだなんて…僕は、ただ……誰かに、構って欲しくて……で、でも…どうしたら良いのか、わかんなくて……」

 

アノシラス「直喜さん、自虐しなくても良いんだよ?君はもう、存在を認めてられているし…人から好かれる存在になっている。だから、自信を持って欲しい……君は、私にとって大好きなヒーロー…私にとって、『ウルトラマン』なんだから。」

 

彼女も、直喜のこれまでの行動をずっと見てきていた。直喜がアノシラスに言った言葉……

 

『困っているなら人だろうが怪獣だろうが関係ない。余計なお世話かもしれないけど、困ってるなら放っておけないよ。』

 

この言葉をずっと覚えていたアノシラス。本物の優しさに触れた時から、彼のことを『ウルトラマン』と呼ぶようになった。実の母親をゼアスに変身した直喜によって救われ…そして今日、その直喜から直接…ウルトラマンの魅力について教えてもらい……心からウルトラマンが大好きになったのだった。

 

裕太「君も怪獣なら、何で新条さんの味方をしないの?」

 

アノシラス「私は新条 アカネによって生まれた怪獣じゃない…私は、元からここにいた怪獣だよ?」

 

ツツジ台が生まれる、ずっと前から

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

あの後、ツツジ台駅についた直喜と裕太は…アノシラスと別れた。

 

裕太「直喜君、もしかしたら新条さん…宇宙人に利用されているかも知れないよね…」

 

直喜「うん…僕、レディベンゼン星人を止めなきゃいけない……」

 

裕太「俺も、自分のやるべきことが分かった気がする。俺さ…グリッドマンに変身しててね……」

 

直喜「そ、そうだったんだ。」

 

帰路を歩く直喜と裕太。そんな彼らを見守る者が……

 

 

アンチ「……。」

 

 

アンチだった。彼はグリッドマンを倒すことを使命としているが…

 

アンチ(グリッドマンと直喜は友達なのか…なら、今はグリッドマンを倒すべきじゃない……)

 

直喜が近くにいるため、攻撃は不可能と判断し…身を引いた。

 

 

 

裕太と別れた直喜は、自宅マンションに帰って来た。

 

直喜「……。」

 

アノシラスの言葉が離れず、ついつい考え事をしてしまっている。その時、スマホが鳴った。

 

直喜(…あ、隆也君からだ。)

 

電話に出ると…

 

隆也『あっ、出た出た。よぉ、元気か?』

 

隆也の声が聞こえてきた。

 

直喜「うん、そっちはどう?」

 

隆也『俺も元気だぜ!あっ、直喜直喜…俺、なんかそっちに行けなくなっちまったんだ。』

 

直喜「えっ、どうして?」

 

隆也『いやぁ、何故か電車が止まっててさぁ……』

 

直喜「えっ、何でだろ?」

 

隆也『それがさ、原因がわかんねぇんだってさ……ウルフェスに行けなくて残念だよぉ~。』

 

隆也から話を聞くと…何故か電車が止まってしまい、ツツジ台に来れなくなってしまったのだ。毎週日曜日に開催されるウルトラマンフェスティバルは、ここ『ツツジ台』が舞台となっているのだ。

 

直喜(も、もしかして…これって、アノシラスが言ってたこと……?)

 

隆也『直喜、俺の分まで楽しんでくれよな。んじゃ、またオンラインで。』

 

直喜「あっ、うん…またね、隆也君。」

 

通話を終えると、直喜はあることを思い出した。

 

 

直喜(あれ?そういえば…駅名標に、ツツジ台ツツジ台ツツジ台って、書いてあったような…き、気のせいかな…?)

 

 

それは、電車から降りた際…駅名標の表記がおかしかったことだ。もしかしたら、見間違いかもしれない…そう思いたい直喜だったが……

 

直喜(明日、また見に行ってみよう……)

 

後日、もう一度ツツジ台駅に向かうことにして…今日はゆっくり身体を休めるのであった。




ED~ASH DA HERO『Everything』~♪
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