【完結】駄目な部分が目立つ転生者が、何故か周りから好かれる話 作:やさぐれショウ
翌日…直喜は早起きし、朝食を食べた後…ツツジ台駅へと向かった。駅に到着すると、改札を通ってホームへと足を踏み入れる。
直喜(えっと、駅名標駅名標……あっ、あった…!)
駅名標を見つけると、そこに書かれている行き先を見る。そこには……
直喜「!!」
直喜(ツツジ台…どっちに行ってもツツジ台だ……!)
…と、表記されていた。つまり、どこにも行けず…電車に乗っても無限ループする形でツツジ台に戻ってしまうのだ。
直喜(気のせいじゃなかったんだ…これじゃあ隆也君にも会えないし、夢芽ちゃんやちせちゃん…シズム君達にも会えないよ……)
シズム「どうしたの、直喜?」
直喜「どうしたのって、これ見てよ。どこに行ってもツツジ台に来ちゃうし…シズム君、君にも……って、うわぁっ!?」
振り向くと、そこには何故かシズムの姿があった。
直喜「し、シズム君!?いつからこっちにいたの!?」
シズム「1週間前。」
どうやら彼は、他のメンバー達と共にツツジ台に滞在しているようだ。
シズム「おどかしてごめん。直喜に野菜を届けようと思ってたんだけど…ここに入っていくのが見えたからさ。」
直喜「そ、そうだったんだ…」
シズムと会えたことで安心した直喜は、彼と共にツツジ台駅を出た。
ムジナ「あっ、直喜~♪」
外には、シズムの付き添いで来たと思われるムジナの姿があった。
直喜「む、ムジナちゃん…!」
すると、ムジナの後ろから小さくなったノーバが出現し…野菜が入った袋を直喜に渡した。
直喜「えっ、くれるの…?」
ノーバ「♪」
直喜「あ、ありがとう…」
直喜が袋を受け取ると、ノーバは直喜の周りを旋回し始める。
ムジナ「ねぇねぇ、私達フジヨキ台に帰れなくなっちゃったんだけど…どうして?」
シズム「どうやら俺達は、この街に閉じ込められたみたいだよ。」
ムジナ「えっ、どういうこと?」
直喜「さっき、シズム君と駅名標を見てきたんだ…そしたら、どっちに行ってもツツジ台に来ちゃうみたいなんだ。」
ムジナ「つまり、無限ループってこと?」
シズム「そうなるね。」
ムジナ「えぇ~!?まぁ、でもいっか…だってさ、いつでも直喜に会えるじゃん!!」
何故か嬉しそうにしているムジナ。彼女の背後から、小さくなった円盤生物が2体現れる。ブラックドームとブラックテリナだ。
直喜「ぶ、ブラックドーム…ブラックテリナ……」
ブラックドームもブラックテリナも、ノーバと同じように…直喜の周りを旋回し始める。
直喜「ムジナちゃん達は、どうやって円盤生物と仲良くなったの?」
ムジナ「ん?えっとね、それは…」
シズム「俺達は怪獣使いなんだ。『インスタンス・ドミネーション』ですぐに仲良くなったよ?」
直喜「い、いんすたんす…どみねー、しょん……?」汗
シズムの言葉が分からず、困惑する直喜。
ムジナ「し、シズム!?」
シズム「良いじゃんムジナ、俺達は直喜を守るために怪獣を使うって決めてるんだしさ。」
ムジナ「そ、そうだけど…」汗
直喜「えっ、そうなの?でも、何で…?」
シズム「直喜は俺達のベストフレンド…俺達は君から、生きる希望を貰ったんだ。だからさ、これは俺達からのほんの些細な気持ちだよ。」
直喜「さ、些細なの…かな……?」汗
すると、直喜の周りを旋回していたノーバが…直喜の前に来て、マントを広げた。次に、ブラックドームが直喜の頭上に移動すると…髪の毛を切り始めた。ブラックテリナは照りの強い真珠を手鏡にして、直喜の近くに移動する。
直喜「あっ、そういえば最近…床屋さんに行ってなかった……髪、伸びてたんだ…」汗
シズム「あ、直喜…アブソーバの上に座って良いよ?」
直喜「えっ?」
いつの間にか直喜の椅子になっていたアブソーバ。
直喜「ねぇ、アブソーバ…僕、重くないかな?」汗
シズム「直喜は軽いから大丈夫だよ。ね、アブソーバ?」
アブソーバ「♪」
直喜が座っても、アブソーバは全然平気そうにしている。やがて、直喜の髪型がさっぱりしたところで…円盤生物による床屋活動は終わった。
直喜「あっ、お金お金」ゴソゴソ…
ムジナ「お金は良いってwほら、皆嬉しそうにしてるし♪」
さっぱりした直喜の周囲を飛び回る円盤生物達。かつては、ブラック指令の配下だったこの円盤生物は、怪獣優生思想によって手懐けられ…今では直喜の力になってくれているのだ。
その時……
直喜の近くで爆発が発生した。
3人「「「!!??」」」
彼らの視線の先には、カーキ色の体色に丸い身体、体の上部の花のようなモノ『剣輪草』が着いているのが特徴の等身大サイズの怪獣がいた。
ムジナ「か、怪獣!?」
直喜「あれは…『ケンドロス』だ!!」
突如現れた怪獣『ケンドロス』は、両腕を直喜に向けた。
ムジナ「ブラックドームちゃん!!」
咄嗟にムジナが叫ぶと、ブラックドームが直喜の目の前に移動…それと同時に、ケンドロスはロケット弾を発車した。
ドガァァアアアアンッ!!ドガァァアアアアンッ!!
ロケット弾は次々にブラックドームに命中する。
直喜「ぶ、ブラックドーム!!」
ブラックドーム「キュッキュッ♪」
しかし、ブラックドームはへっちゃらだった。宇宙蟹であるブラックドームの身体は、非常に硬い鎧でもあるのだ。
ケンドロス「グウウゥゥッ!!」
ケンドロスは剣輪草の花びらをブーメランのように飛ばしてきた。
ムジナ「ノーバちゃん!!」
ノーバ「ギュオオォォッ!!」ヒュンッ!!
パシィッ!!ガキィンッ!!
ノーバは右腕の鞭で1つをキャッチし、左腕の鎌でもう1つを弾き飛ばした。
ムジナ「ブラックテリナちゃん!!」
ブラックテリナはテリナQをばら撒き、ケンドロスにくっつけさせた。
ケンドロス「グウウゥゥッ!!」
テリナQがついたケンドロスは、痛みに悶えているようだ。だが、まだまだ倒れない。その時……
「直喜から、離れろォォオオオオ!!」
雄叫びを上げた六花が、ケンドロス目掛けて『レオキック』を放った。
ドゴォォオオオオンッ!!
ケンドロス「グウウゥゥッ…!!」
レオキックを受けたケンドロスは倒れた。
六花「直喜!!」
六花は直喜の前にいるブラックドームとノーバ、ブラックテリナを攻撃しようとする。
直喜「待って六花ちゃん!!」
六花「!?」
直喜「この円盤生物は味方!!」
六花「…えっ?」
直喜「し、シズム君!!そうだよね!?」
シズム「勿論。俺達はベストフレンドである直喜を守るために、円盤生物を使役してるんだ。だから、直喜に危害は加えない。」
六花「…ご、ごめん…私、冷静じゃなかったから……」
直喜の声を聞いて冷静さを取り戻した六花は、すぐに謝罪した。
直喜「…あっ!」
その時、倒れていたケンドロスがこちらへ転がって来ているのが見えた。
直喜「六花ちゃん、後ろ!!」
六花「!?」
ドガァッ!!
六花「かはっ!?」
ケンドロスに吹き飛ばされた六花は、アスファルトに背中から倒れた。
直喜「うわああぁぁっ!!」
シズム「アブソーバ!!」
尻餅をついた直喜を押し潰そうとしたケンドロスだが、アブソーバの触手に捕らえたことで阻止された。
六花「直喜!!」
すぐに起き上がった六花は、慌てて直喜の目の前に走った。その瞬間…
ギュォォオオオオオオオオ!!
ケンドロスは剣輪草を扇風機のように高速回転させた。
六花「がああぁぁっ!!」
剣輪草の花びらは金属のように硬く、鋭い刃のようにもなる。六花は剣輪草の花びらに切られてしまい、出血する。
直喜「り、六花ちゃん!!」
六花「ぐっ…うぅっ…!!」ポタポタ…
傷口を抑えながらも、立ち上がる六花。ケンドロスはそんな彼女に追い討ちをかけるかのように、剣輪草の花びらを飛ばしてきた。
六花「ッ!!」
六花はジャンプすると、足で花びらを蹴り飛ばした。花びらはアスファルトに落ちて爆発を起こす。その後、ケンドロスは剣輪草の花びらを次々と放ってくる。六花は両手で花びらを弾き、その後も次々と花びらを弾き飛ばして直喜を守った。
六花「散れ!!」
六花は右手に青い光を放つ剣『アグルセイバー』を装備すると、凪ぎ払うように斬撃破を放つ。
ズパアアァァッ!!
ケンドロス「グウウゥゥッ!!」
剣輪草を切断されたケンドロス。両腕からロケット弾を発射するも、六花はアグルセイバーを回転させて防いだ。
ムジナ「ブラックテリナちゃん!!その怪獣を上空に運んで!!」
ブラックテリナ「!!」
ムジナの指令を聞いたブラックテリナは、ケンドロスを上空へと連れ去って行く。それを見た六花は…
六花「ふっ…はぁぁああああっ…!!」ピカッ…ゴゴゴゴゴ……パアアァァッ!!
両腕を胸の前に持ってくると、ゆっくりと広げ…右腕を天に掲げる。すると、彼女の周りに発生した青い光が、彼女の右手に集まってくる。次に、六花は渦を作るように青い光を両手に集めると……
六花「はぁっ!!」
スクリュー状の波動弾として、上空にいるケンドロスに向かって発射した。
直喜「あれって…『フォトンスクリュー』!?」
六花が放った技は『ウルトラマンアグル(V2)』が使用する必殺技『フォトンスクリュー』だ。青く光る波動弾は、ケンドロスの身体を貫く。ブラックテリナが離れると、ケンドロスは空中で大爆発を起こした。
六花「はぁ……はぁ……」
ケンドロスを撃破した六花だが、かなり出血したのか…倒れてしまう。
直喜「六花ちゃん!!」
直喜はハンカチを取り出して六花に駆け寄ると、彼女の傷口を抑えながら彼女に声を掛け続ける。
六花「な、直喜……わた、し…」
直喜「喋っちゃダメ!!血が…血が、止まんないよぉ…!!」
瀕死状態の六花を見た直喜は、とうとう泣き出してしまう。
シズム「シルバーブルーメ。」
シズムはシルバーブルーメを呼ぶ。すると、小さくなったシルバーブルーメは…六花の傷口に触手を巻き付けると、それを切断した。そして、器用に固定した。すると、直喜は何かを閃く。
直喜「そ、そうだ…六花ちゃん、血液型は何型!?」
六花「…お、Oが…た……」ハァ…ハァ……
直喜「ぼ、僕とおんなじだ!!ねぇアブソーバ、僕の血を六花ちゃんに輸血できる!?触手で石油とか吸い込めるから、出来るよね!?」
それは、アブソーバの力を借りて…自分の血液を六花に輸血するという捨て身の業だった。
アブソーバ「!!」アタフタ
流石のアブソーバも、直喜の言葉に戸惑っている。
直喜「お願いだよアブソーバ!!六花ちゃんを助けるには、こうするしか無いんだ!!だから、力を貸して!!」
必死にアブソーバに訴える直喜。
ムジナ「直喜、いくらなんでもそれは無茶だよ…!」
シズム「直喜、ちょっと待ってて。」
ムジナ「し、シズム!?」
シズムは薬局に向かい、消毒液を買いに行った。
六花「…な、直喜……」
直喜「六花ちゃん、もう少しだから…!僕を…僕を信じて…!!」
直喜は六花の手を握りながら、彼女に声を掛ける。やがて、消毒液を手にしたシズムが直喜の元にやって来る。
シズム「直喜、腕を消毒するよ?」
直喜「うん!!」
シズムは直喜の腕を消毒する。次にアブソーバの触手を2本消毒し、最後に六花の腕を消毒する。
シズム「アブソーバ、頼むよ。」
シズムが指令を出すと、アブソーバは注射針のような細い触手を直喜に刺して、血を吸った。そして、六花の腕にも細い触手を刺し、輸血を開始した。
直喜(お願い…六花ちゃんを助けて、神様…!!)
意識を失った六花を見ながら、直喜は彼女が助かることを願う。そして……
六花「……?」
六花は目をゆっくり開き、目覚めた。
直喜「り、六花ちゃん…!!よ、良かった…!!」
六花が目を覚まし、笑顔を見せる直喜。
六花「…直喜……ありがとう…♪」
目覚めた六花は、直喜に感謝をした。
シズム「円盤生物を医療行為の手段として使うなんて……やっぱり直喜、君はスゴいよ。」
ムジナ「ウルトラ博士の名は、伊達じゃないね。」
直喜の思い付いた案のおかげで、六花は助かった。その後、六花の母織江が迎えに来て…直喜、シズム、ムジナの3人に涙ながらに感謝したのは言うまでも無かった。同時に、直喜の閃きに驚き…感心するシズムとムジナであった。
レディベンゼン星人「へぇ~、円盤生物をあんな風に使うなんて……流石は神山 直喜…けど、アタシの手段はまだまだ沢山あるのよ?ウフフフッ♪」
ED~ASH DA HERO『Everything』~♪