【完結】駄目な部分が目立つ転生者が、何故か周りから好かれる話   作:やさぐれショウ

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OP~OxT『UNION』~♪


第118話 疑問

ザイオーンを倒して以来、直喜は考えるようになった。

 

直喜(あの怪獣はたしかに倒した…そのおかげで、沢山の人達を助けられた…でも、あの怪獣だけは助けられなかった……)

 

ザイオーンを撃破した際、口から出た巨大な目で見られ…色々ショックを受けてしまったのだ。六花達は慰めてくれたのだが、彼は未だモヤモヤが晴れずにいた。

 

直喜(ねぇゼアス…僕がやったこと、間違って無かったのかな……)

 

ゼアス(……。)

 

直喜からの問いかけに、ゼアスは何も答えられなかった。少しの沈黙の後、ゼアスは直喜にこう言った。

 

ゼアス(直喜君…僕たちウルトラマンは、全知全能の神様なんかじゃない……ウルトラマンにも、救えない命はある…どんなに手を伸ばしても、届かないことだってある……)

 

それは直喜も分かっていたことであるが、それでもまだモヤモヤは晴れなかった。

 

ゼアス(でもね、あの怪獣…最後には直喜君にお礼を言ってたんだよ。)

 

直喜(…えっ、ホント?)

 

ゼアス(うん、本当だよ?僕の耳は、ベンゼン成分に苦しむ怪獣の声だって聞き取れるんだ。あの怪獣、直喜君に『僕に安らかな眠りを与えてくれてありがとう』って、言ってたんだ……)

 

直喜(……。)

 

ゼアス(ただ、できれば…あの怪獣、助けたかったね……)

 

直喜(…うん…)

 

ゼアス(今は、ゆっくり休んで欲しい。身体を休めても、心が休まらなきゃ意味がないからね…)

 

直喜もゼアスも、ザイオーンを助けられなかったことを悔やんでいた。だが、いつまでもクヨクヨしている暇は無い…残るレディベンゼン星人を一刻も早く、撃破しなければならないのだ。休まなければいけないことは分かっているが……

 

直喜(この世界が本当に作られた世界なら…僕って、一体何なんだろう……そもそも、僕という存在は居なかったのかな…もしそうだとしたら僕……一体、何の為に生まれて来たんだろう……)

 

心の中のモヤモヤがずっと晴れずにいた。そして直喜は、家を出ると…アカネの元へ向かった。

 

 

 

アカネ宅に到着し、インターホンを押すと…アレクシスが彼を迎え、家へと上げてくれた。

 

アレクシス「どうしたんだい、直喜君?」

 

直喜「アカネちゃんに、用事があって来ました…少し…ふ、二人きりに…してください……」

 

彼のお願いを聞いたアレクシスは、彼をアカネの元に案内し、退室した。

 

アカネ「あ、直喜く〜ん♪」

 

直喜「ねぇ、アカネちゃん……聞きたいことがいくつかあるんだけど、良いかな…?」

 

アカネ「良いよ♪」

 

直喜と話すアカネは、ニコニコと優しく微笑んでいる。

 

直喜(で、でも…本当に、聞いても良いのかな……もし…もし、僕が聞いたことで…アカネちゃんとの関係が、悪くなっちゃったら……!!)

 

聞きたいことがあるものの、中々聞き出せずにいる直喜は…次第に落ち着きを無くしていき……

 

アカネ「遠慮しないで?」

 

直喜「…えっ?」

 

アカネ「聞きたいこと、あるんでしょ?どんなことだって良いからさ、ね?」

 

アカネに背中を押され、少しずつ落ち着きを取り戻していく直喜は……

 

 

直喜「こ、この世界は…本当に…アカネちゃん、君が…つ、作ったの……?」

 

 

…と、遂に聞きたいことを口にした。彼の言葉を聞いたアカネは、少しだけ驚いた顔をしたが…すぐに笑顔になる。

 

アカネ「どうしてそう思ったの?」

 

直喜「だ、だって…今はもう、秋なのに……まだ暑いし…それに、駅名標を見たら…ずっとツツジ台に……後、この街の至る所に……な、謎の怪獣の影が……」

 

ここで生活し、疑問に思ったことを話す直喜。そんな彼の言葉を聞いたアカネは、あっさりと白状した。

 

アカネ「うん、そうだよ。

 

 

ここは私が私の想いで造った偽りの世界…

 

ここの世界の人達は、みんな私のことが好きになるっていう設定に変えることができるんだ。

 

 

彼女が白状したことで…アノシラスが言っていたことは、本当のことだという事がわかった。更に、この世界はアカネ好みの設定に自由に変更できることが発覚した。

 

直喜「…ど、どうして…?」

 

アカネ「そりゃ、私が私らしくいるためにだよ?でも、どういうわけか君だけは…私の設定を受け付けなかった。」

 

直喜「ま、待ってよ…じゃあ、僕は……一体、何者なの?」

 

アカネ「それは私の口からは言えない…それを聞いた時、君は間違いなくショックを受けちゃうだろうし……」

 

1番気になっていることは、アカネは答えてくれなかった。だが、まだ聞きたいことはある。

 

直喜「もしかして、怪獣が出てきたのは…」

 

アカネ「私の仕業、直喜君をいじめようとする奴を排除するため……」

 

直喜「ツツジ台を、ずっとループするようになったのは…どうして?」

 

アカネ「それはね、私の好きな人を他の女に取られたく無いからだよ?」

 

アカネはそう言うと、直喜に抱きついた。

 

直喜「へぇっ!?」

 

アカネ「スゥ~…はぁ、直喜君ってやっぱり良い匂いがする……ほんのり甘くて優しい匂い、落ち着くなぁ〜……」

 

直喜の匂いを堪能すると、今度はベッドに横たわった。

 

 

アカネ「ねぇ、こっちに来ない?

 

 

直喜「……。」

 

普段は鈍感な直喜だが、今回だけは…アカネの言葉の意味を察していた。

 

 

アカネ「何分かってないフリしてんすか?手を組もうって言ってるの。

 

直喜君、私と一緒になれば…君の望みは何だって叶うよ?

 

安定した職業にもつけるし、欲しい物だって…何だって手に入る。それに、君の理想の世界を造ることだってできるんだよ?

 

だからさ、私と手を組もうよ。」

 

 

直喜「…それは、できない……」

 

アカネの言葉に、拒否をしめす直喜。

 

アカネ「どうして?直喜君の理想が全部叶うんだよ?もう、悲しい思いもしなくていい…苦しい思いも、痛い思いも…しなくていいんだよ?」

 

直喜「確かに、それはすごく魅力的だと思う…でもね……」

 

驚いた顔をするアカネに、直喜はこう言った。

 

 

直喜「地球の平和は、人間自らの手で掴み取ることに価値がある……つまり…本当に欲しい物も、自分の力で手に入れてこそ価値があるって、僕は思う……そうじゃないと、何の為にそれを手に入れたのか分かんないし…何より、達成感が無いと…いくら欲しい物を手に入れたって、虚しいのかなって……」

 

アカネ「……。」

 

直喜「僕ね、たまに思うんだ…物事だってさ、物足りないぐらいが丁度いいのかなって……」

 

アカネ「…物足りないが、丁度いい?」

 

直喜「うん…例えば、僕がいつも行ってるウルフェスも……全部回れるってわけじゃないし、どれだけ行っても行っても物足りないんだ。だけど、だからこそ…物足りないからこそ、また来たいなって思えるの…アカネちゃんと過ごす時間だって、まだまだ物足りないけど…だから、またアカネちゃんに逢いたいなって思える……」

 

アカネ「……。」

 

直喜「だから、僕はそっちに行けない…ごめん……」

 

直喜の言葉を聞いたアカネは、ニコッと微笑む。

 

アカネ「謝らないで、直喜君。多分、あの怪獣も言ってたと思うけど…もっと自分に自信を持ってねって…オドオドしてる君も可愛いけど、堂々としてたらカッコいいからさ。だからね、直喜君は直喜君の信じる道を進んでね?」

 

直喜「…アカネちゃん。」

 

直喜はアカネにお礼を言うと、部屋を退室し…自宅へと帰って行った。

 

 

 

アカネ「……。」

 

部屋に1人居るアカネの目からは、一筋の涙が流れ落ちる。

 

アカネ「…あ〜あ…フラれちゃった、な……」

 

アカネは涙を拭い続けるが、涙は止まらない。

 

アカネ「でも…な、直喜君が…自分の意志で、決めたことだもん……尊重しないと…ッ!!」

 

どうやら、自分は直喜にフラれたと思い…ショックを受けてしまったようだ。彼女は果たして、立ち直ることはできるのだろうか…




ED〜ASH DA HERO『Everything』〜♪
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