【完結】駄目な部分が目立つ転生者が、何故か周りから好かれる話 作:やさぐれショウ
ある日の平日…
学校が終わった直喜は、いつものように帰路を歩いていた。彼の隣には、六花の姿がある。
六花「今日も居眠りしないでちゃんと授業聞いてたね、エラいエラい♪」ナデナデ
直喜「り、六花ちゃん…す、少し…恥ずかしいよぉ……」オロオロ
六花「え〜、良いじゃん♪周りには誰も居ないんだし。」
頭を撫でられて恥ずかしがる直喜に、六花は母親のような優しい笑顔を向ける。
直喜(そ、そう言えば…アカネちゃん、今日も来てなかったな……もしかして、僕のせい…?)
最近、アカネは学校を欠席することが多くなっている。先生に理由を尋ねると…どうやら、体調不良が続いているらしいとのこと。アカネに告白された直喜だったが、彼は彼女を選ばなかった…おそらく、それが原因であろうと考え込んでしまう直喜。
六花「…き、直喜?」
直喜「…ふぇっ!?あ、な、何かな…?」
六花「どうしたの、ボーッとして…もしかして、具合悪い?」
直喜「う、ううん…な、何でもない……」
考え事をしていたせいで、上の空になっていた直喜を心配する六花。
六花(アカネが学校に来てないのは、直喜にフラレたからだってことは知ってる…直喜が悪い訳じゃないんだけど……)
六花は知っていた。アカネが直喜にフラレたことを……向こうからわざわざ連絡して来たのだ。最後に、『直喜君と幸せになって』とだけ告げられ、それ以降は中々連絡が着かなくなってしまったのだ。
六花(直喜と幸せになってって言われても…それは直喜が決めること……てか、直喜が誰を好きになっているのかすら分かんないし……)
道を歩いていると、奥の方から誰かがこちらへ向かって来るのが見えた。
オニジャ「よぉ、直喜ィ!!」
それは、怪獣優生思想のメンバーだった。彼らはいつも通り、4人で行動していた。
ムジナ「ん、あんたって確か…?」
六花「宝多 六花…君達と会うのは、熱海以来だったっけ?」
ジュウガ「いいえ、ベンゼン星人の最期以来です。」
六花「あぁ、そんな日もあったような…」汗
六花が彼らと顔を合わせたのは、ベンゼン星人を撃破した日以来であった。
ベンゼン星人『えぇっ!?俺様忘れられてたのぉ〜!?』
何かが叫んだような気がしたが、多分気のせいだろう…
直喜「あっ、そうだ…シズム君達がくれた野菜、カレーにして食べたんだ。すっごく、美味しかった…!」
ムジナ「ホントに!?良かったぁ♪」
オニジャ「カレーにしてって、直喜お前料理できるのか!?スゲェ…!」
怪獣優生思想と話す直喜を見た六花は、すかさず横槍を入れる。
六花「ちなみに、直喜の作る料理は絶品なんだよ?」
六花がそう言うと、ムジナが食い付いた。
ムジナ「えっ!?直喜の手料理食べたことあるの!?」
六花「当たり前じゃんw」
六花がドヤ顔すると、ムジナは悔しそうな顔をした。
シズム「俺達も食べたことあるでしょ?ほら、文化祭でさ…」
ジュウガ「えぇ、ですのでムジナ…その顔やめましょうか。」汗
オニジャ「あのパンケーキ、マジで美味かったな〜♪流石は俺達のベストフレンドだぜ!」
直喜のことを普段から『ベストフレンド』と呼ぶ怪獣優生思想の4人…円盤生物を従え、直喜の力になるために行動している。
六花「ねぇ、君達はさ…直喜をベストフレンドって言ってるけど、どうやって知り合ったの?」
六花がそう尋ねると、ムジナが語り始めた。
ムジナ「私らはさ、変わり者だったんだよ…フツーのヒトと価値観が違うから、誰も寄り付かなかった。でも、直喜だけは違った…私達を疑わず、友達になろうとしてくれた。」
次に、オニジャが語り始める。
オニジャ「初めは直喜を拒んだが…それでも直喜は、学校であったことを話してくれたり、怪獣の話をしてくれたり…最後まで諦めず、全力で俺達にぶつかって来てくれた。こんな俺達に、唯一振り向いてくれたんだ。」
最後に、シズムとジュウガが語る。
シズム「直喜からは…人間の素晴らしさを、この地球の素晴らしさを教わったんだ。」
ジュウガ「俺達に生きる希望をくれたんですよ、直喜は。だからこそ、彼は俺達のベストフレンドなのです。」
六花「…そうなんだ。」
六花(多分、この人達は地球人じゃない…でも、直喜にとってそんな事は関係ない……直喜は誰にでも優しいし…)
怪獣優生思想の話を聞いた六花は、思わず笑みがこぼれた。
直喜「そ、そうだった…の……?」汗
対して、直喜は困惑していた。
オニジャ「そうだぜ直喜!お前には感謝してもしきれねぇぜ♪」
シズム「本当だね、俺達は直喜に救われたんだよ。」
ムジナ「ホントにありがとう、直喜♪あぁ、思い出したら涙が…」クスンッ…
ジュウガ「ハンカチ、使いますか?」
涙ぐむムジナに、ハンカチを差し出すジュウガ。
そんな時、背後から男の大声が聞こえてきた。振り向くと、そこにはおかっぱ頭で、眼鏡を掛けた少年が立っていた。彼は鼻息を荒くさせ、顔を真っ赤にして怒っている。
直喜「っ!?」
ビックリした直喜は、思わず六花の後ろに隠れてしまう。
オニジャ「あん、何だお前?」
少年「黙れ!!ボクは六花の後ろに隠れてるクソモブに」
ムジナ「ちょっと、名前ぐらい名乗ったら?失礼なんだけど?後うっさい。」
ムジナに指摘された少年は、黙り込むと…名前を名乗り始める。
転生者 D「ぼ、ボクはDだ…そ、それより…おいテメェ!!ボクの六花から離れろ!!」
名前を名乗った直後、再び直喜に怒号を飛ばす『転生者 D』…
彼は権力者の息子として産まれ、その立場を利用して様々な悪事を働いて来た悪質な転生者だ。ヒロインの寝取りは勿論のこと、他転生者や原作主人公を殺害する等…やりたい放題し、幾つもの世界を壊して来た。神々から注意をされても反省せず、自分の行動を正当化しては開き直ってばかりいた。
直喜「で、Dくん…?」
転生者 D「黙れクソモブ!!お前みてぇなグズで弱虫でノロマなんかより、ボクの方が六花の彼氏に相応しいに決まってんだ!!分かったならとっとと六花から離れろ!!そして二度と六花と関わるな!!」
直喜「うっ、うぅ…」
Dの怒鳴り声を聞き、目に涙を浮かべる直喜だが…次の瞬間……
直喜「ぼ、僕だって…僕だって、六花ちゃんに逢いたい気持ちがあるんだ…り、六花ちゃんと関わったって良いじゃないか…!!六花ちゃんと関わって何が悪いんだ!?」
なんと、負けじと言い返したのだ。
六花「な、直喜…!」
彼の叫びを聞いた六花は、思わず目を潤わせる。
オニジャ「直喜よく言った!!」
シズム「直喜、君は本当にカッコいいよ。」
そんな直喜を褒め称えるオニジャとシズム。
ムジナ「六花と関わるなって、あんた何様のつもり?」
ジュウガ「直喜が誰と関わっていようが、貴方には関係ありません。そもそも、貴方に直喜の自由を奪う権利は無いですよ。」
ムジナとジュウガは直喜を庇う。
転生者 D「なんだと!?ボクの恋路を邪魔するなら…お前達には死んでもらうぞ!!」
Dはそう言うと、ポケットナイフを取り出し、切っ先を直喜に向けた。それを見た直喜は、腰を抜かしてへたり込んでしまった。
六花「…!!」
それを見た六花は、何かが込み上げて来るのを感じた。そして…
六花「直喜を連れて逃げて。」
…と、低い声で怪獣優生思想に告げる。
ムジナ「うん!さぁ直喜!!」
ムジナが直喜を抱えると、怪獣優生思想はどこかへ姿を消した。
転生者 D「ふふっ、やっと2人きりだね、六花。」
六花のみになると、Dはニタッと気味悪く笑う。
転生者 D「さぁ、ボクと……おん?」汗
だが、六花の表情を見てDは固まる。六花のハイライトは既に消えており、ゴミを見るような目を向けていた。
六花「今、直喜を泣かせたよね?
ユルサナイ…!」
六花はそう言うと、目にも止まらぬスピードでDを攻撃した。
転生者 D「うわああああぁぁぁぁっ!!??」
六花から激しく攻撃され、ものの数秒でボロ雑巾と化したD。
転生者 D「あぐうっ…うぅっ……」
転生者 D(はっ?いやいや、六花は非戦闘ヒロインの筈じゃ……!?)
うつ伏せに倒れ、戸惑うD。すかさず六花は、両手を頭上で合わせると…
…と、技名を呼び、両手を腰に当ててエネルギーを充填する。
転生者 D(す、ストリウム光線…そ、それってウルトラマンタロウの…!?)
Dがそう思った次の瞬間…
六花は両手をT字に組み、D目掛けて七色に光る光線を発射した。ウルトラマンタロウの必殺技『ストリウム光線』だ。光線は真っ直ぐDに飛んで行くと、大爆発を起こした。
オニジャ「六花ァ!!」
Dを倒した六花は、その場で立ち尽くしている。そこに、円盤生物に乗った怪獣優生思想と直喜が姿を現す。
ムジナ「さっきの変なヤツ、やっつけたの?」
六花「…ううん、逃げられた。」
六花(アイツらと同じ、ゴキブリみたいな生命力だなぁ…)
どうやら、Dを仕留めることは出来なかったようだ。
六花(本当は殺したいけど、それじゃあ直喜に嫌われちゃうし…)
直喜「り、六花ちゃん…」
六花「直喜ッ!!」
直喜の声を聞いた瞬間、真っ先に彼を抱きしめる六花。
直喜「えっ?うわぁっ!?」
六花「ほら、もう怖くないよ。」
優しい笑顔を浮かべながら直喜を抱きしめ、背中をポンポンと叩く。その後は、怪獣優生思想をお供にし、無事に直喜を自宅マンションまで送り届けた。
転生者 D「あ、あぶねぇ…コイツが役に立って良かったぁ……」
その頃…六花の光線から逃れたDは、近くの公園に身を潜めていた。彼の足元には、他の世界から盗んで来たと思われるドリルが転がっている。これを使って地中に潜って、難を逃れたようだ。そこに、マートが姿を現す。
マート「はぁ…全く、どこから入って来たのかしら?」
転生者 D「ッ!?だ、誰だ…!?」
マート「フフッ、通りすがりの神様よ?」
転生者 D「か、神様だと…だったら、ボクに六花を洗脳する力を寄越せ!!それくらい出来るだろ!?」
マートを見たDは、命令口調で力を求める。しかしながら…
マート「ツミビトである貴方に、私が力を貸すとでも思ってるのかしら?おめでたい頭ね。」
ツミビトである彼に、マートは力を与えようとはしない。
マート「本気で彼女を求めているなら、自力で何とかしなさい?じゃあね♪」
転生者 D「あっ!?おい待て…!!」
Dの叫びも虚しく、マートは瞬時にその場から消えた。
転生者 D「クソオオォォッ!!」
夕闇の公園には、Dの汚い叫び声が響き渡るだけだった。
ED~ASH DA HERO 『Everything』~♪