【完結】駄目な部分が目立つ転生者が、何故か周りから好かれる話   作:やさぐれショウ

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第131話 直喜が産まれてきた理由

大好きな直喜の、そして…ツツジ台高校のクラスメイト達の見てる目の前で怪獣と化してしまったアカネ。薄灰色のカメとフジツボを足して割ったような巨大な身体にトゲだらけの環形動物のような4本の足が生え、その身体の中央内部には虫に似た頭部があり、その頭部のさらに奥の方に人形じみた白塗りの人面像が隠れているというかなり異形の怪物となっており、可憐な少女であったアカネの姿はもうどこにも見えない。

 

 

イヤァァアアアアアアアア!!

 

 

まるで、アカネの叫び声の様な咆哮を上げる怪獣。

 

クラスメイト「し、新条が…怪獣……?」「そ、そんな…」

 

亜子「う、ウソ…だよね……?」

 

蘭萌「アカネ…いや、アカネェ!!」

 

目の前で怪獣になったアカネを見たクラスメイト達は皆、絶望し…中には泣き叫ぶ者や、目をギュッと閉じて耳を塞ぎながら首を激しく横に振る者等……

 

直喜「…あ、アカネちゃん…た、助けないと……!!」

 

慌ててピカリブラッシャー2を取り出す直喜。そんな彼の元に、オリシスとマートが姿を現した。

 

マート「直喜、待って。」

 

オリシス「アカネを助ける前に、少し話をしよう。」

 

直喜「今…今、それどころじゃないんですよ!!」

 

マート「落ち着いて直喜…って言っても、それは無理よね。」

 

オリシス「仕方がない…場所を変えよう。」

 

オリシスはそう言うと、マートと共に直喜を光に包んで行った。まもなく…街にはグリッドマンとグリッドナイトが現れ、怪獣『ゼッガー』と戦いを始めた。

 

 

 

直喜「ッ!?こ、ここは…!?」

 

オリシス「私が作り出した仮の世界…君に真実を伝えるためにな。」

 

マート「この世界では、時が止まっているから…ゆっくり話ができるわ。」

 

場所はツツジ台なのだが、何もかもが止まっている景色が見える世界にやって来た直喜。

 

直喜「し、真実…ど、どういうことですか?」

 

オリシス「直喜よ、私達は話さなければならない。この世界の真実を…そして、この世界を生きる者達の真実を……」

 

マート「落ち着いて聞いてね?」

 

真剣な表情のオリシスとマートを見て、息を飲む直喜。

 

オリシス「直喜…君は、自分を人間だと思っているか?」

 

直喜「…えっ?」

 

マート「深く考えることは無い、単純な質問よ?」

 

直喜「思うも何も……ぼ、僕は……に、人間です…!」

 

やっとのことで答えた直喜に、オリシスとマートは衝撃的な真実を告げる。

 

オリシス「単刀直入に言おう…直喜……」

 

 

君は…人間では無い

 

ツツジ台という電脳世界を生きる

 

 

『レプリコンポイド』

 

 

と呼ばれる、人口生命体だ

 

 

直喜「……えっ……れ、れぷり…こん……ぽい、ど……?」

 

 

マート「つまり、貴方は……」

 

人間であって

 

人間ではない

 

新条 アカネを除いて、この世界の人達は

 

貴方とおんなじ、レプリコンポイドなの

 

 

オリシスとマートから放たれた事実…それは、直喜のみならず…この『ツツジ台』という世界の住人として生きる人達……その正体は、アカネによって造られた人口生命体『レプリコンポイド』であるということ…ツツジ台という街は現実世界ではなく、アカネによってコンピューター・ワールドに造られた電脳世界であったということ……オリシスとマートから放たれる事実に、混乱する直喜。

 

マート「レプリコンポイドも、この電脳世界も…皆、新条 アカネが造り出した世界……この世界の人達はね、皆…新条 アカネのことが好きになるっていう設定になっている。与えられた記憶を頼りに、自分を人間だと信じて生きている。」

 

オリシス「校外学習で行った川下り…そして、六花と共に出掛けた温泉街…それは、アカネが作り出した偽りの世界だ。もちろん、この世界もな……」

 

校外学習や特別なイベント等の止むを得ない場合に限り、アカネは専用の場所を作って…時期が過ぎればそれを壊していた。街のはるか上空には、蛍光色のラインが走った建造物群が上下逆さになって存在する。緑豊かな自然や文明の偉大が実現した街等、この世界には無縁だ。

 

直喜「……。」

直喜(アノシラスが言っていたことは、本当のことだったんだ……)

 

アノシラスは直喜と裕太にこの世界の秘密を少し教え、『この世界には何も無い』と言っていた。それが、事実であることを漸く理解した直喜。そんな彼に、オリシスは語る。

 

オリシス「直喜、今から君に話すことは…」

 

君は何の為に存在し…

 

何の為に産まれてきたのかだ

 

オリシスから語られた真実…

 

 

 

かつて、新条 アカネは響 裕太と『恋人』という設定であった。しかし、自分と彼氏のみの世界ではあまりにも虚しく、物足りない。そこで、産み出されたのが…宝多 六花と呼ばれるアカネの友達…そして、内海 将と呼ばれる裕太の友達だった……だが、これでもまだ足りない。恋人を引き立てる為には、“モブ”が必要だ。当たり前と呼ばれるような普通の環境で育ち、普通の人として生きているモブが……しかし、それでは面白くないと感じたアカネは……

 

訳アリのモブ

 

…を、1人造ることにした。最悪な環境で育ち、そのためか…自分から意見を発することはほとんどせず、その場にいても影が薄く、まるで空気のような存在…そして、人見知りが激しく、何をしても駄目な部分が目立ってしまう欠点だらけのモブキャラ……それこそが……

 

 

神山 直喜

 

 

…という存在だった……アカネと恋人の裕太の引き立て役の1人として、そしてアカネの『普通では面白くないから』という身勝手な思いで最悪の環境に産まれ、存在しているのだ。

 

直喜「……。」

 

オリシスから語られた事に、言葉を失う直喜。次に、マートが語り始める。

 

マート「けどね、貴方は新条 アカネの設定を越え…変わろうとした。でも…身勝手なツミビトによって、貴方は死んだ……そこでね、私は貴方をフジヨキ台という現実世界に転生させたの。貴方の変わりたいという思いは本気だったから、チャンスをあげたいって思ってね。」

 

ツツジ台の住人として生きていた直喜だったが…日々を生き、彼は『ウルトラマン』というヒーローに巡り逢った。様々なウルトラマン作品を見ていく中で…いつしか、彼の中に『変わりたい』という思いが芽生えた。口だけで言うのでは無く、数々のウルトラマン達を見習って行動に移した。困っている人を見ればすぐに駆け付け、助けようとした。憧れの存在であるウルトラマンのように、誰かの力になれる強い自分になりたい……だが、それは長く続くことは無かった。不幸なことに…ツツジ台に紛れ込んだツミビトにより、直喜は殺されてしまった。殺すつもりは無かったそのツミビトは、初めて人を殺したことにショックを受け…その場から逃げ出し、行方不明となった。

 

そこで…直喜を別世界に転生させたのが、マートだった。『原作で死んだ者を転生させてはならない』という掟を破り、彼にやり直しの機会を与えたのだ。フジヨキ台に降り立ち、フジヨキ台高校の生徒として生きることになった直喜は…今度は勇気を出して、様々な人に話し掛けに行った。そこで、南 夢芽…飛鳥川 ちせ…そして、怪獣優生思想と出逢った。大きな過ちを犯し続けた夢芽を許し、不登校だったちせの更生を助け、人類の敵だった怪獣優生思想と友達になった。だが、結局…最後は偶然通り掛かった通り魔により、再び命を落としてしまった。

 

またしても上手く行かず、再び不幸にかられ、落ち込む直喜を見たマート。そんな彼を可哀想だと思った彼女は、掟に忠実なオリシスを説得する。

 

オリシス『マートよ、また掟を破るのか?何度掟を破れば気が済む?最高神も怒り狂っているぞ?』

 

マート『掟掟ってうるさいわね…彼は本気で変わろうとしているのよ?口だけじゃなくてちゃんと行動で示せているし、その理由だって素晴らしい。彼みたいな者は滅多にいない…素晴らしい者に手を差し伸べて何が悪いの?まぁ、あんたや最高神が何を言おうと関係ない。私には私のやり方があるんだから…』

 

オリシス『…貴様。』

 

黙り込んだオリシスを余所に、マートは落ち込んで泣いている直喜に声をかけた。

 

マート『落ち込まないで、直喜。貴方はまだ若いんだし、いくらでもやり直せる。だから…馴染んだ世界に戻って、心身を休めて?焦らなくて良い、少しずつ…一步一步足を進めれば大丈夫よ。失敗したって良い、またやり直せば良いんだから。』

 

そして、彼を再びツツジ台へ転生させたのだ。ツツジ台に戻って来た直喜は、また上手く行かないんじゃないかと思い……人見知りで、弱い自分へと戻りつつあった。しかし、ツツジ台高校に行くと…どういうわけか周囲からは好かれ、周りに人が集まって来る程の人気者になっていた。変わりたいという思いで行動した結果、良い報いとして彼に降り注いだのだ。否定せず、ありのままを受け入れてくれる夢のような環境の中で生活し、次第に安心できるようになって来た直喜。弱い自分と向き合い、周囲の人達と関わることで、少しずつ自身を持てるようになった。そして、自分を曝け出し、自分らしく居られるようになった直喜は…『今度は自分が、皆を助けるんだ。』と、ウルトラマンゼアスと一心同体になり、数々の凶悪怪獣を撃破し…クラスメイト達を、この世界を守って来た。

 

 

 

直喜(…そっか、漸く思い出せた……僕、元々…人見知りで駄目な部分が出ちゃってたから……それで、変わりたいって思って……)

 

彼らから語られたことで、忘れていた記憶を全て思い出した直喜。

 

オリシス「本来なら、君を転生させることは掟に反することだが…最高神は既に許しを降している。」

 

マート「貴方は引き立て役として存在しているんじゃない…温かい世界を守るために、何より皆と笑顔で暮らすために存在している。そうでしょ、直喜?」

 

直喜「…は、はい…!!」

 

真剣な顔を見せる直喜を見て、微笑むオリシスとマート。

 

オリシス「六花も言っていたな…空回りしたって良い、それは直喜が一生懸命頑張っている証拠だと……それは、その通りだな。」

 

マート「フフッ、空回りするからこそ…可愛いって思えるし、応援してあげたくなっちゃう。さぁ直喜、クラスメイト達の戻って…アカネを、皆を助けてあげて?」

 

直喜「…も、勿論です…アカネちゃんに逢いたい気持ちがある……だから…今度は僕が、アカネちゃんを…助けるんだ!!」

 

決意を固めた直喜は、光に包まれて行き…オリシスとマートの前から姿を消した。

 

 

 

オリシス(自分を信じろ、直喜…)

 

マート(しっかり行動で示せているんだから、貴方なら大丈夫よ。)




『善因善果』…私の好きな言葉です。
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