【完結】駄目な部分が目立つ転生者が、何故か周りから好かれる話 作:やさぐれショウ
直喜が目を覚ましたのは、約1週間後のことだった。それを耳にした六花達は…すぐに直喜の元に向かった。
六花「直喜!!」
直喜「……。」
直喜は確かに目を覚ましていた…それに安堵した六花は、すぐに彼の近くに行く。
六花「直喜、良かった…!」
直喜「……。」
六花「直喜が気が付かなかった時…私、寂しかったよ……でも良かった、目を覚ましてくれて……!」
直喜「……。」
六花「1日でも早く、元気になれるよう…一緒に頑張ろ?」
直喜「……。」
六花「…直喜?…どうしたの、直喜?」
いくら六花が声をかけても、直喜は何も言わず…ずっと黙っていた。
アカネ「良かったよ直喜君…目を覚ましてくれたんだね?」
アカネが直喜の右手に触れようとした…その瞬間……
バチンッ!
「「「ッ!?」」」
病室に、鈍い音が響いた。
アカネ「な、直喜…君…?」
何と、直喜が…アカネの手を叩いたのだ。
直喜「……わんないで…」
アカネ「……え…?」
直喜「触んないでよ!!」
直喜の表情を見てみると、普段では見せない…怒った顔をしていた。その後すぐに、彼の目からは涙が流れ落ちる。
直喜「僕…今までずっと…誰にも理解されないまま、生きてきたんだ…!!…お父さんもお母さんも僕を怒ってばっかりいて、ちっとも構ってくれない!!何をしても怒られるし、僕の何がいけないのか全然分かんないよ!!勉強も運動も、何をやっても空回りしてばっかり…もう、どうしたら良いか分かんないよぉ!!泣くことも笑うことも許されない!!もうやだよ!!」
支離滅裂な発言をする直喜は、声を上げて泣いていた。
六花「な、直喜…直喜…!!」
六花が直喜を抱き締めようとするも…直喜は彼女を突き飛ばした。
直喜「僕のことはもう…ほっといてよ!!そっとしてよ!!もう嫌い…みんな、みんな…
大っ嫌いだぁぁああああああ!!」
声を上げて泣き叫ぶ直喜を見て、裕太と将は顔を合わせて頷き…六花とアカネを病室の外へと連れ出す。
六花「ま、待って…直喜、直喜!!」
アカネ「直喜君…私、謝るから…嫌いにならないで!!」
涙を流す六花とアカネを見て、心苦しく思ったが…かえって直喜を不穏にさせてしまうと思い、病室から連れ出した。
六花「なんで…何で外に連れてきたの!?」
アカネ「響君も内海君も酷いよ!!」
病院の外に出た途端、裕太と将に文句を言う六花とアカネ。
裕太「今の直喜君の様子を見たの?」
六花「見たよ!!すっごく辛そうにしてたもん…!」
将「けど、神山ははっきり言ったよな?ほっといてくれって…そっとしておいてくれって……2人はそれを受け入れたのか?」
アカネ「無理だって!!じゃあ、誰が直喜君の面倒を見るの?誰が直喜君の味方になるの!?誰が…誰が、直喜君を守るの!!?ねぇ!!」
裕太と将の言葉に対し、六花とアカネは涙を流しながら大声で抗議する。
裕太「今の直喜君には…1人で考える時間が必要なんだよ……あんまり構ってばっかりいても、かえって直喜君を怒らせちゃうだけだ!!俺達は、直喜君がいつでも帰ってこれるよう…環境を整えようよ!!」
裕太の言葉を聞き、漸く大人しくなった六花とアカネ……そして、この日は病院前で解散した。
あれ以来…直喜は食事を少ししか食べなくなり……リハビリにも拒否を示すようになった。そして、遂には食事を取らなくなる日が長く続き…結局、自宅待機となってしまった。
直喜「……。」
直喜(うぅっ…あの時の光景が……また…!!)
自宅に戻った直喜は、ウルトラマンシャドーに敗れたことにショックを受けてしまい…戦うことが怖くなってしまったのだ。シャドーによる攻撃がフラッシュバックし…トラウマとなってしまった……また、家から1歩も出ず…学校も休むことが多くなってしまった。テレビを着けても…ゼアスが敗れたニュースでいっぱいになっている。中には…
「所詮貧弱戦士か…」
「前から思ってたんだけど、ゼアスって弱いよね?」
「ウルトラマン失格www」
等々…心無い言葉を投げてくる人もいた。それがトドメとなったのか…直喜は次第に……大好きな『ウルトラマン』に興味が向かなくなり……何をするにも、億劫になってしまった。所謂…『鬱』である。
直喜「……。」
ピンポーン…
そんな彼を気にかけて、足を運ぶ者がいた。
六花『直喜…お弁当作って来たんだ。良かったら、食べて?あっ、無理に食べなくても良いからさ……』
アカネ『直喜君…直喜君の大好きなウルトラサイダー……持ってきたよ?後、お菓子もあるよ…?』
六花とアカネだ。彼女達は、直喜から「大嫌い」と言われ…落ち込んでしまったのだが……それでも、直喜と向き合おうと、行動を起こしたのだ。なみことはっすは、授業のプリントを、亜子と蘭萌はクラスメイト達からのメッセージカードを届けに来てくれるようになった。六花は弁当を作っては直喜の元に持ってきたり…アカネはお菓子や飲み物を持ってきてくれた。
隆也『直喜、最近元気か?』
L○NEでは、親友の隆也が…毎日直喜にメッセージを送ってくれるようになった。しかし…直喜は結局……六花の弁当に手をつけず、アカネが持ってきたサイダーも飲むことはなかった。隆也からのメッセージも…見る気力が無く、スルー状態となっていた。直喜はベッドに潜り、寝込んでしまうことが多くなっており…テレビ番組にも、次第に興味を示さなくなった。
アンチ「……。」
たまに、アンチが様子を見に来るのだが……
アンチ(直喜…落ち込んでる。)
彼が落ち込んでいることは、アンチにもすぐに分かった。
直喜「……。」
直喜は夜…眠れないことが多くなっており、ウルトラマンシャドーに敗れたあの出来事が……夢にもでてきてしまうのだ。それ以来…眠ることすら怖くなってしまった。その為…生活も昼夜逆転し……昼間、居眠りしてしまうことが増えていた。
六花「……。」
この日も…直喜のマンションに訪れた六花は、玄関のドアに手をかけた。だが…
ガチャガチャ……
鍵が掛かっていたため、中には入れなかった。
六花(直喜…大丈夫かな……一瞬だけでも良いから、顔が見たいよ……)
六花は直喜の顔が見たいと思い、今日も弁当を作って来た…だが、直喜が顔を出すことは無く……六花はトボトボ帰って行った。彼女が帰った数分後、直喜の部屋近くに不審な人影が迫っていた。
転生者 A(成る程…ここが、神山の家か……随分とまぁ、貧相な家だなぁ?)
その正体は、直喜を逆恨みし、彼の殺害を企んでいる転生者 A、転生者 B、転生者 Cだった。六花やアカネらが頻繁にここを訪れているため…とうとう、直喜の家が3人の転生者に特定されてしまったのだ。彼らは、人々が寝静まった夜を狙い…直喜のマンションの玄関に現れた。顔をサングラスとマスクで隠し、手頃なポケットナイフを隠し持っていた。ナップザックには、玄関のドアを壊すための道具が入っている。
転生者 B(へっへっへっ…神山ァ、とうとうお前もここまでのようだなぁ?)
Bが直喜の部屋の玄関を壊す為に、ハンマーを振り下ろそうとした時……
ガシッ!!
転生者 B「ッ!?」
何者かに、腕を掴まれた。それも、物凄い力で……気が付くと、AとCが気絶させられていた。
夢芽「こんな時間に、何してるの?」
転生者 B「ッ!!」
Bの腕を掴んでいたのは…『南 夢芽』だった。彼女は偶々ここを通りかかった時…3人の転生者を見かけたのだ。彼らを怪しいと思った彼女は、3人が来るのを隠れて待っていたのだ。
転生者 B「ゆ、夢芽…ち、違うんだ…これは、その……」
夢芽「そういうの良いから…」
夢芽はそう言うと、魔法陣のような円形のゲートを生み出し…3人の転生者をその中へ引きずり込んだ。
ガチャッ…
直喜「……?」
彼らが姿を消した直後…不審に思った直喜が、玄関を開けて顔を覗かせた。しかし、そこには誰もいない。
直喜(…物騒だなぁ……)
気の所為だと思った直喜は部屋の中に入り、玄関の鍵を閉めた。
夢芽(確か…『ギャラクトロン』だっけ?便利な技いっぱい持ってるな~……)
そう思う夢芽の目の前には…身体と口元を縛られ、身動きが取れなくなった3人の転生者の姿があった。
ちせ「あっ、南さん…コイツらっすよね?直喜先輩に危害を加えようとしたバカ連中は?」
夢芽「あぁ、ちせちゃん……そうだよ。」
3人「「「むぐっ!!むぐー!!」」」
3人の転生者は、顔を涙と鼻水でグシャグシャにしながら…何かを叫んでいる。しかし、口が塞がれているため、喋ることが困難になっている。
ちせ「さぁて…おいお前ら、直喜先輩に何をしようとした?ゴルドバーンの餌になるか、あ?」
ちせがそう言うと、彼女の後ろから巨大化したゴルドバーンが現れ…「グルルルル…」と、うなり声を上げていた。
3人「「「むぅぅうううううううううっ!!」」」
そんなちせとゴルドバーンに恐怖を感じた3人の転生者は…叫びたくても叫べず……あまりの恐怖に、おしっこを漏らしてしまった。
ちせ「あ~あ…とうとう漏らしちゃいましたねぇ?みっともな…」
そんな3人に呆れたちせは、ため息をつくと…夢芽に話し掛ける。
ちせ「南さん、コイツらどうします?」
夢芽「そこに放置しといて良いんじゃない?あの2人の光線に耐えられるんだもん…死にはしないでしょ。」
ちせ「りょ~かいっす。」
夢芽「それよりさ…私、良いとこ見つけたんだ。直喜もきっとビックリすると思うよ?」
ちせ「ホントですか!?ゴルドバーン、早速行こう!!」
夢芽とちせはゴルドバーンに乗り、夢芽の言う『良いとこ』に向かった。
え?AとBとCはどうしたって……
ED~ASH DA HERO『Everything(English ver.)』~♪