俺の幼馴染はハイパードジっ子兼ネガティブウマ娘です 作:たぬき田中
ドトウ捜索兼トレセン学園ツアーが始まって、エアシャカールさんが最初に向かった場所は
「トレーナー室?」
「あァ。ここにいる可能性は十分に高い」
俺たちが辿り着いたのは、まず施設内にあるドトウ達が出入りしているらしいトレーナー室であった。
「意外そうな顔してるな。」
「え、あ、はい。トレーニングって聞いてたからてっきりグラウンドとかにいるもんだと思ってました。」
「まぁ、一般人からしたらそう思われても仕方ねェよ。ただ、トレーニングっていうのはただ走って鍛えればいいっていうもんじゃねェ。相手の過去のレースを何度も何度も見直して研究することも勝つ上で大切だ。」
「なるほど。」
エアシャカールさんの分かりやすい解説に俺は納得してしまう。過去にドトウが走る際の立ち位置とか、コーナーに入る際の体の向きとかをノートで何度も何度も確認していたを思い出す。あれもレースで勝つ上で大切なことだったんだ。
「ちッ………、どうやらいねェみたいだ。」
インターホンやノックをするが、特に誰かしらいるような反応が見られなかった。
「次行くか」
「はい」
エアシャカールさんと共にトレーナー室から離れようとした際、近くから誰かの声が耳に入ってくる。
「てかさー、昨日のトレーニング、マジぴえんだったんだけどー。」
「はは、マジそれなー。」
声のする方に顔を向けると、そこには明らかに自らギャルを主張するかのような見た目のウマ娘と姉御肌って感じのするウマ娘が楽しそうに会話をしていた。
やっぱりウマ娘って個性溢れるのが沢山いるんだな、と思いながら特に触れることなくギャル風なウマ娘さん達とすれ違おうとしたがーーー
「あ、シャカールっちじゃーん☆」
「………チッ」
見た目がギャルの方のウマ娘さんがエアシャカールさんに楽しそうに声をかける。その瞬間、エアシャカールさんが小さく舌打ちのしたのを俺は見逃さなかった。
「やっほー☆ねぇねぇ、シャカールっちー。聞いて。この間さー」
「うるせェ!今、忙しィんだよ!!関わってくんじゃねェ!!!」
「そんなこと言わずにさー☆もっと、パリピで行こうYo〜☆」
「あれ?見ない子がいるね。その子は?」
エアシャカールさんがギャル風なウマ娘さんに翻弄されている中、もう1人の姉御肌のウマ娘さんが俺の存在に気づく。
「あ!もしかして、シャカールっちの彼ぴっぴ!?やるぅー!!」
「へぇ、歳下好きだったんですね。意外です。」
「バッ、違ェわ!!ソイツはオレの連れで、ドトウの幼馴染だ!!」
エアシャカールさんは珍しく顔を赤くさせながら、弁解する。確かに、男女が並んで歩いていればそういう風に見えなくもないのか??
「あ、君がもしかして『カズくん』??」
「どうして、俺の名前を?」
「ドトウちゃんがいつも君のことを言ってるからさ〜。いつも頼りになる幼馴染だって!」
「自信を付けるために私達がサイコーにイメチェンしてあげたよね〜☆あれはマジでテンアゲだったー!!」
ドトウのやつ、ここで俺の事そんな風に言ってるの??めちゃくちゃ恥ずいやつじゃん。てか、この人達だったのかよ。ドトウにパリピ語教えたのは。
どうやら、ギャル風のウマ娘さんがダイタスヘリオスさんで姉御肌のウマ娘さんがメジロパーマーさんっていうらしい。
「今、ドトウを探してるんだ。知らねェか?」
エアシャカールさんがダイタスヘリオスさん達に聞く。互いに顔を見合わせるが、知らないと答える。
「バイバイ、カズくん。」
「またね、カズっち。今度、皆で集まって朝までオケカラでレッツパーリィーしよーねー☆」
「中学生に夜遊び教えようとしてんじゃねェ!!俺達もまだ出来ねェわ!!」
「それw、シャカールっちが言うのまじウケるんですけどwww。1番夜遊びしてそうな見た目してんのにwww」
ちょっとだけ、そういう夜に集まって外で朝まで遊び通すっていうのは興味があるっていうのは言わない方がいいな。エアシャールさんにシバかれる。てか、このギャルすげぇな。めちゃくちゃ言うやん。
「ッチ、ほらカズ!!行くぞ!!時間が持ったいねェ!!」
そう言って、エアシャカールさんは俺の腕を引っ張りながら歩き出す。俺は彼女たちに頭を下げながら、この場を離れた。
★★★★★
次にやってきたのは筋トレ器具が数多く設備されているトレーニングジムだった。こういうのもトレセン学園にはあるのか。すごいな。
周りを見ると、筋トレに励むウマ娘さん達の姿が多くにあった。
「ここにもいねェみたいだな。」
数多くウマ娘さんがいるが、そこにはドトウの姿はない。トレーニングジム室にもいないようだった。
ここで、俺は1人のトレーナーらしき人物とその担当のウマ娘のやり取りに目が止まった。
トレーナーの方は男性でエアシャカールさんと一緒でヤ○ザみたいな見た目でサングラスに顎髭と中々インパクトの強い人だった。なんで、上着の下、何も着てねぇんだよ。綺麗な腹筋が丸見えだよ。現在、200kgと刻印されているバーベルを抱えながらスクワットをしていた。何でだよ。ツッコミどころ満載だよ。
それに対し、担当らしきウマ娘は赤みかかった栗毛が特徴的で綺麗な方だった。ドトウまでとは言わないが、とてもグラマーな体型をしており、スポーツブラを装着しているからか、それをより強調していた。そのウマ娘さんはトレーナー同様、300kgと刻印されているバーベルを抱えてスクワットに励んでいた。
「マスター、指示されていた20回3セットが終わりました。次はどうしましょう??」
「10分、休憩してからもう3セットいく。重さは400kg、いけるか??」
「はい、マスターのご命令ならば。」
「よし、ならそれでいく。俺はこのまま続ける。ブルボンは休んでていいぞ。」
「いいえ、マスターが続けるなら私も少しだけウェイトトレーニングの続行許可を要請します」
「…………好きにしろ。」
「ありがとうございます。では………」
やり取りが終えたあと、トレーナーとブルボンと呼ばれたウマ娘さんは並んでクソでかいバーベルを再び持ち上げながらスクワットを開始する。見てる感じ、中々カオスな状況だけれども。
だけど………
「なんか………いいな。」
思わず、そう呟いてしまった。
★★★★★
「よし、次にーーー」
ーーーグゥゥゥゥ
「あン?」
「あ」
次の場所に向かおうとした際、俺の腹から空腹を示す音が大きく鳴り響く。そういえば、もう昼の時間帯か。朝食以降、何も食べてないから腹が空いてきた。手持ちも特に何もないし、どうしよう。
「もう、そんな時間か」
「すいません。」
「しゃあねェよ。遠方から来たんだ。………よし、少し寄り道するか。」
「え?」
「とりあえず、カフェテリア行って何か摘みに行くか。奢ってやるよ。」
オレも小腹が空いたし丁度いい、とエアシャカールさんはニッとギザギザの歯を見せながら笑う。見た目で判断してはいけないってこういうことを言うんだな。初めて会った時の俺に会ってぶん殴りたい気持ちだ。
「あざす!!」
こうして、次に向かう場所はカフェテリアに決まった。