俺の幼馴染はハイパードジっ子兼ネガティブウマ娘です   作:たぬき田中

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とりあえずシリーズ完結です


19話

 "あれ?なんか、こいつの身体ってエロくね?"

 

 と、俺の目の前で小学6年生にしては無駄にデカい尻の上に野良猫(後に愛猫になる)が乗ってしまい、どうしたら良いか狼狽えるドトウの姿を見てそう思ったのは小学4年生の時であった。

 

 昔から家族ぐるみで海とか出掛け、ドトウの水着姿を見てきても、特に何も感じなかった俺だが、無事に思春期というものを迎えてしまったせいで昔から見慣れてたと思っていたドトウの身体を見れなくなってしまった。ウマ娘は基本的にスタイルが良いのが多いが、ドトウの場合群を抜いて凄いスタイルになっているため、余計にそう感じるのだ。

 

 だというのに、ドトウはハイパードジのせいで俺に目掛けてラッキースケベ的な展開が多くあった。他の男がそれを聞けば、羨ましいと思うかもしれないが、その一つ一つのラッキースケベのせいで俺は三途の川を渡りかけている。それを聞いてでも代わりたいか?だったら代わってやるよ。後悔すんなよ?

 

 コホン、話が逸れてしまったが、そういう過去がある故に俺は女性の身体に対してある程度、免疫が付いてると思ってた。

 

 しかし、そんなことは無かったのだと現在の状況で思い知った。

 

 確かに考え過ぎて基本であるノックをせずに扉を開けた俺が100%悪い。

 

 だが、俺の視界に入るのは、恐らく着替え中だったであろう大人が着るような黒い下着姿のアドマイヤベガさん。ドトウみたいにむっちりした感じではなく、綺麗な肌にまるでモデルのようなスラッとした綺麗なスタイルに視界が奪われてしまう。

 

 そんな俺をきょとんとした表情で見つめるアドマイヤベガさん。しかし、次第に顔が赤くなっていき………

 

 「な、何!?何で入ってきてるの!?」

 

 「わわ、すみませんでした!!」

 

 ばっ、と近くにあるジャージで身体を隠しながら叫ぶアドマイヤベガさんに対して俺も正気になって謝罪しながら、すぐさま保健室から出た。

 

 「変態!」

 

 「すみません!すみません!すみません!」

 

 明らかに声に怒りを孕むようで叫ぶアドマイヤベガさんに俺は扉越しで土下座をして謝りまくる。やべぇ、こんなに謝ったの人生で初めてかもしれん。

 

 それから、アドマイヤベガさんの一方的な言葉責めが続く。変態とかクソガキとか。その一言一言でメンタルが崩壊していくのが分かる。

 

 「貴方のせいで本当にめちゃくちゃ。どうしてくれるのよ………」

 

 「…………!!」

 

 だが、次第にアドマイヤベガさんの声が涙ぐみ、弱々しくなっていく。

 

 「私はあの子のために1番にならなくちゃいけないのにぃ……!どうしてよぉ……!」

 

 そして、さらにそこから嗚咽も混じった泣きながらの俺に対しての罵倒が扉の向こうから聞こえてくる。それほど、彼女は自分の脚を犠牲にしてでもレースに勝つことに対しての執着心への拘りがあったのだろう。そして、それ故に焦燥心もかなりあったはずだ。

 

 

 だが、しかし。そうだとしても。

 

 

 俺は自分のしたことに間違いはないと強く感じている。

 

 

 もう、あの時の俺みたいな思いをする人を見たくないから。

 

 

 君も……………そう思うだろ?

 

 

 「これは、俺がドトウと出会って間もない時の話です」

 

 「………ッッ!?」

 

 俺の唐突の語りに、アドマイヤベガさんは言葉を詰まらせる。

 

 「追いかけっこしてた時、ドトウはいつもみたいにドジって転びました。俺は、どうせ泣きながら自分の名前を呼んで助けを求めるとばかり思ってました。」

 

 「だけど、あいつは立たなかった。なんなら、ピクリとも動かなった。」

 

 「俺は彼女の傍に急いで寄りかけました。当然、彼女の名前も呼びながら。何度も何度も大声で。」

 

 「それでも、あいつは起きることは無かった。そして、彼女の頭を触れた瞬間に生暖かさを感じた。ゆっくりと視線をそこに移せば………」

 

 「あいつの頭から大量の血が流れてました。そして、その血は触れた俺の手にもべっとりと。」

 

 「……………っっ」

 

 「今でもその光景は目を閉じれば鮮明に思い出せます。それほど、俺にとっては衝撃的なものでした。」

 

 そして、俺は語りながらゆっくりと再び保健室の中へと入る。すると、未だに下着姿で目に涙を浮かばせいるアドマイヤベガさんの姿があった。だが、今は彼女の下着姿を見ても特に何も感じない。俺は彼女に伝えたいことを伝えるだけだ。

 

 「貴女が何度も口にする"あの子"に執着する理由は知りません。だけど、貴方が傷つくことで"あの子"を含め悲しい気持ちを抱く人が必ずいることを忘れないでください。」

 

 俺もそのうちの1人です、と最後に口にして彼女にハンカチを渡す。これ以上、アドマイヤベガさんの泣いてる姿を見たくないから。

 

 すると、ピーポーピーポーと救急車のサイレン音が聞こえてくる。彼女のトレーナーが連絡してくれたのだろう。

 

 「貴方って………変な子ね。本当に変」

 

 改めて退室しようとした際、彼女からそう言われる。また罵倒……かと思いきや、彼女には微かに頬を緩ませていた。

 

 「だけど………ドトウが言ってた通りの子ね。あの子が羨ましいわ」

 

 ドトウのやつ、アドマイヤベガさんにも俺の事言ってたのかよ。変なこと言ってないか心配だわ。

 

 アドマイヤベガさんがジャージに着替え終えたところで彼女のトレーナーと救急隊の方たちが入ってくる。

 

 「アヤベ!救急車が来てくれたよ!」

 

 「貴女がアドマイヤベガさんですね。脚はどうですか?救急車まで歩けそうですか?」

 

 「はい。お願いします」

 

 救急隊の質問に答えながら保健室を出て救急車の方へと向かう彼女たち。俺も念の為、向かった方がいいかなと思い、ついてこうとしたがアドマイヤベガさんがそれを阻止する。

 

 「貴方は来なくていい。ちゃんと自分の口で正直に話す。」

 

 「そう……ですか。」

 

 「あと、これだけは伝えとく。私の目標は変わらない。"あの子"があの星で………誇れるようなウマ娘になるために走り続ける。例え今回みたいに脚が壊れそうになっても。」

 

 「……………っっ」

 

 「だけど………、そんなボロボロになる私を見て悲しむ"あの子"を私は見たくない。だから………、もう少し自分のことを大切にする。」

 

 彼女はそう言って、トレーナーと一緒に救急車へと乗り込んだ。俺はただ、彼女たちが乗ってる救急車が見えなくなるまでその場で立ち尽くした。

 

 ☆☆☆☆☆

 

 「トレーナー、その………今日はごめんなさい」

 

 「僕の方こそ、ごめん。もっと君と色々話すべきだった。」

 

 「あのさ…………、トレーナー。」

 

 「ん、なんだい?」

 

 「私さ……….、やっぱりレースに勝ちたい。」

 

 「"あの子"の為に?」

 

 「勿論。あと…………私のことを応援してくれる貴方や家族、友達のために。」

 

 「独りに拘ってた君がそう言うなんてね。分かった!!僕も1人のトレーナーとしてアヤベが勝つためのトレーニングを1から練るよ。出来るところから少しずつ頑張っていこう!!」

 

 「ありがとう…………」

 

 アドマイヤベガは安心したかのように目を瞑る。すると、そこには先程の彼が口にしたあの光景が映し出される。

 

 『何があってからじゃ、なにもかも遅せぇんだよ!!もし、そんな脚で走って転んだらどうする!?打ちどころが悪くて頭から血が流れたらどうする!?それを見たアンタのトレーナーや友達、報せを受けた家族はどうなってもいいってか!?自分のことだから何してもいいって勘違いしてんじゃねぇぞ!!』

 

 もし、"あの子"が生きてくれてたら………彼のように無茶する私を怒ってくれたのかな?

 

 ☆☆☆☆☆

 

 あれから、何故かトレーニングではなくBBQを始めていた黒沼さん達と合流し、ドトウがトレーニング終わるまで時間を潰していた。

 

 「カズくぅぅぅん!!」

 

 「ごほっ!!」

 

 そして、トレーニングが終わったドトウが真っ先に俺に向かって全力で抱きついてくる。当然、彼女の胸が俺の顔面にダイレクトアタックするが、衝撃を理由に物理的に凶器と化していた。

 

 「わ、私、トレーニング頑張ったんですよぉ〜!!ほ、褒めてくださいぃ〜!!」

 

 ドトウは頬ずりしながら俺に褒美を求める。離そうとするが、ウマ娘特有の馬鹿力を発揮してる為、身動き取れなかった。

 

 「分かった、分かったから!!よく頑張ったぞ、ドトウ!!偉い偉い!すげぇ!!(棒)」

 

 「えへへぇ〜♪………ん?」

 

 俺の適当な褒め言葉にもめちゃくちゃ嬉しそうにするドトウ。しかし、何かに気づいたのか、くんくんと匂いを嗅ぐ。

 

 「あ、あれぇ〜?どうしてカズくんからアヤベさんの匂いがするんですぅ〜?今日はトレーナーさんの同期の方のお手伝いされてたんですよねぇ〜?」

 

 「怖っわ。お前は犬か何かなの?まぁ………アドマイヤベガさんとはさっきまで色々あったんだよ。」

 

 詳細はとりあえず伏せておく。ドトウの同期の下着姿を見ました、てへ☆なんか言ってみろ。こいつが暴走してここ辺りが平地になるわ。

 

 

 

 「…………へぇ〜

 

 

 ーーーーーゾワッッ!!!

 

 

 「「「「「「「「!??」」」」」」」」

 

 

 

 「圧倒的恐怖を感知。こんな感覚、初めてです。」ブルブル

 

 「ん?ブルボンさん達急にどうしたんだろ?あんなに震えて。寒いんかな?何か温かいもんでも持ってく?」

 

 「えぇぇえ!!じゃ、じゃあ私、自販機で温かい飲み物か、買ってきますぅー!!」

 

 「待て。お前、絶対にそう言って冷たいやつ買ってくるパターンだって。俺も着いてく」

 

 そう言って、俺とドトウは彼女達の分の温かいお茶を買って渡した。だけど、別に寒くて震えてた訳ではないらしい。ウマ娘ってば本当によく分からんな。

 

 ☆☆☆☆☆

 

 「じゃあ、ドトウ。残りのゴールデンウィーク楽しんでおいで」

 

 「はいぃー!!」

 

 あれからお互いに帰る用意をした俺たちはトレセン学園の正門で見送りに来てくれたドトウのトレーナーに黒沼さん、エアシャカールさんの3人に挨拶した。

 

 「エアシャカールさん、黒沼さん。本当にお世話になりました。」

 

 「気にすンなって何度も言ってるだろうが。」

 

 「おう。またいつでも遊びに来い。ブルボン達も喜ぶ」

 

 うわぁ、本当に良い人ばかりだなぁ。色々と予想外なことあったけど、楽しかったなぁ

 

 

 こうして、俺の唐突に始まったトレセン学園ツアーが終了した。

 

 そして、残りのゴールデンウィークはドトウのドジのせいで色んなことに巻き込まれ、最終的に北海道で金塊争奪戦まで発展したのだが……思い出したくもないのでここで終わらせておく。

 

 

 

 




何とか締めれて良かったです
ここからまたコメディ系が続く予定です
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