俺の幼馴染はハイパードジっ子兼ネガティブウマ娘です 作:たぬき田中
これは、俺が引きこもり期間の間にあった出来事である。
俺は平日の昼間だというのにも関わらず、ベットの上に寝転びながらゲームをしていた。俺がスーパークリークという破壊神とメイショウドトウというアホの子のせいで負った心の傷はまだ癒えそうにない。
ここ最近、女の子(特に歳上)に出会っただけでビクついてしまうという最悪な症状が出るようになってしまった。
それを察してか、母ちゃん達はこんなクソみたいな生活してる俺に対して何も言ってこなかった。有難いようで気まずい。
ただ、数日も同じ生活を過ごしていれば、必然ながら飽きてくる。どうするべきか………。そろそろ、学校に行こうかな。道中に年上の女性に会っても我慢すればなんとかなるし…………。
ーーーピリリリリ
どう時間を潰すか悩んでいるところで、スマホが鳴る。恐らく、ドトウからだろう。俺が引きこもって以降、時間が許す限りあいつから着信がくる。しかし、俺はそれを全て無視している。今の状態であいつとは話したくない。ため息をつきながら俺はスマホを手にして、相手を見る。
しかし、着信相手は意外な人物であった。
「エアシャカールさん……??」
なんとお相手はエアシャカールさんだった。この時間帯、本来なら、まだ授業中であるはずなのに一体どうしたんだろうか。とりあえず、出てみる。
「…………はい」
『お、出た。よォ、カズ。元気か?………なわけねェよな。不謹慎なこと聞いてすまねェ。』
「い、いえ。急にどうしたんすか?まだそっちは授業中とかじゃ………!?」
『センコーの都合で、早く終わっちまってよ。………なぁ、カズ。このあと、時間空いてねェか?』
「え?ま、まぁ。今、絶賛引きこもり生活中なんで時間はあるっちゃあるっすけど。」
『ーーーッッ、よし。じゃあ、今日は良ィとこ連れてってやるから、○時に〇〇駅に来やがれ。拒否権はねェ。来なかったらテメェ、許さねェからな!!』
エアシャカールさんはそれだけ言って、強引にブチッと通話を切る。な、なんだったんだ??
でも、まぁせっかくの彼女からのお誘いだ。ここ暫くはずっと家にひきこもってたし、外に出るいい機会でもある。
俺は久しぶりにクローゼットを開けて外出用の服装に手をかけるのであった。
☆☆☆☆☆
エアシャカールさんから指定された時間の10分前に待ち合わせ場所に到着し、暇つぶしにスマホで動画を見ていると、少し強めに肩を叩かれる。
前を向くと、そこには私服姿のエアシャカールさんがいた。紫のパーカーの上にモンドリアン柄のジャケットというお洒落な服装だった。あと大きめのサングラスもかけている。
「……………ンだよ。ジロジロ見やがって」
「あ、いや。エアシャカールさんの私服姿初めて見たなって。」
「まぁ、確かにいつも会う時はトレセンの制服だったからな。」
エアシャカールさんは自分の服装を見ながらそう呟く。
「ンなこたァ、どうだっていいんだよ。時間は限られている。早く行くぞ」
付いてこい、と言わんばかりに先に行くエアシャカールさん。トレセン学園で案内してくれた時を思い出しながら、後を追う。
「それにしてもどこ行くんすか?」
「…………まぁ、元気が出るとこだっつーことだけは教えてやる。あとは秘密だ」
そう言って、歩くこと約10分。ひとつの店舗の前で彼女は止まった。ここは…………
「クラブ?」
そう、エアシャカールさんが連れてきた所はクラブだった。暗い場所に常にあちこちにカラフルな照明が照り続け、DJらしき人物が鳴らし続ける音楽に周りのお客さんが、楽しそうにノッていた。
でも、クラブって酒とかの理由で未成年とかが簡単に足を踏み入れてはいけないイメージがあるのだが。
「安心しろ。ここは未成年でも入場できるところだ。成人と未成年の区別に徹底して力を入れてるから酒とか絶対でねェし、危ない誘いとかもねェ。安全に楽しめる良いクラブだ。」
俺の不安を察してか、エアシャカールさんは弁明する。彼女がそこまで言うなら大丈夫なのだろう。見た感じ、結構常連なみたいだし。
入場料を払い、店員からウェルカムドリンクとしてオレンジジュースを貰って、クラブルームへと入る。うわぁ、こんな感じなんだ
とりあえず、エアシャカールさんに促されテーブルへとつく。彼女は「ン」と言ってグラスを前に出したため、俺も手にしていたグラスを前に出し、彼女のグラスへと当てる。すると、カツンと気持ちの良い音が鳴る。
「エアシャカールさんはよくここに来るんすか?」
「まァな。ボチボチ足を運ぶぐらいだ。」
グラスの中に入ってるオレンジジュースを飲みながら、彼女はDJに目を向ける。
「今日のDJは当たりだな。この流暢なテンポとリズムは聞いてて気持ちが良い。」
エアシャカールは楽しそうに耳を傾ける。音楽とかはそこまで深い知識がないからよく分からんけど。
「どうだ、カズ。少しは元気出たか?」
「まぁ、少しは。」
遂にと言わんばかりに、会話に踏み入れるエアシャカールさん。その表情は真剣そのものだった。
「確かにあの件は聞いた限りじゃ、ドトウとクリークの野郎が明らかに悪ィがずっと無視するのは良くねェぞ、カズ。見た感じ、本当に反省してるみてェだしな。」
ドトウとルームメイトだからこそ、最近のドトウを見続けているエアシャカールさんの言葉に重みを感じる。
「許してやれ、とは言わねェ。だが、自分の勝手な感情だけであいつの謝罪を聞いてやらねェっていうのだけは絶対にやめろ。そんなのロジカルじゃねェし、お互い不幸になるだけだ。」
歳上だからなのか、それともエアシャカールさん自身だからなのか、彼女の一言一言で心が揺らぐ。
確かにドトウに非があるのは間違いはない。しかし、だからこそのドトウの謝りたいという気持ちを俺は無下に扱っていたというのを彼女の言葉を聞いて改めて感じる。このあと……俺の方からあいつに連絡してみるか。
「どうして、エアシャカールさんはここまでやってくれるんですか?これは俺とドトウの問題なのに。」
俺の質問にエアシャカールさんは少しの間、沈黙するがゆっくりと口を開く
「…………それはオレはお前のことが
可愛い弟分だと思ってるからな。ドトウも何気にルームメイトだし困ってたら助けるのは当然だろ。」
エアシャカールさんはそう言って、俺の頭を優しく撫でる。あれ?よく見たら少し顔が赤く感じるような…………。照明だからか?
「あァ!!!なンか、オレらしくないこと言ったから気持ち悪ィ!!!おい、こらテメェ!!そこ代わりやがれ!!!」
突然、怒り始めた(?)エアシャカールさんはユニット帽を被りDJブースの所に行き、曲を鳴らしていたDJさんを強引に退ける。いや、この人、何してんの!?
どっから出したのか分からないが、いつも手にしているノートパソコンを取り出して、機材に勝手に接続する。
その行動に俺含めて他のお客さんも困惑していたが…………
「沸きやがれ、テメェら!!!」
彼女がターンテーブルに手をつけ鳴らした曲に衝撃を受ける。全身に鳥肌が経つほどに。
ーーーーーワァァァ!!!
そして、すぐにお客さんも歓声をあげ楽しそうにノリ始め、踊り始める。
唐突のことでポカンとしていたが、気づいていたら下手ながらに踊っている自分がいた。
踊っている自分を見て、エアシャカールさんは安心したように微笑んでいるように見えた。
そして、エアシャカールさんと解散したあと俺はスマホを取り出して彼女に電話をかける。ワンコールででた。
「久しぶりだな、ドトウ。………少し話そうぜ。」