俺の幼馴染はハイパードジっ子兼ネガティブウマ娘です 作:たぬき田中
どーも、カズです。
今日は、ドトウと母ちゃんが2人で出掛けているため、家の中は俺一人。特にやることも無いので学校の宿題をやってます。
一応言っとくと、俺はそこまで勉強はできる方ではない。かと言って、全く出来ない訳でもなく、テストとかも基本的には中盤な順位をとっている。
「わかんねぇ」
だからこそ、宿題とかやってる時に分からない問題が出るのはしょっちゅうあることだ。そんな時はもう諦めて空白のままにしておくか、ドトウに教えて貰っている。
ーーーピンポーン
家のインターフォンが鳴る。郵便とかかな?
俺は持ってたシャーペンを置いて、玄関に向かい「はいはーい」とか言いながら扉を開ける。すると、そこにいたのは………
「よォ、お前がカズって奴か?」
ーーーバタァァァァァン!!!
俺は目の前にいた明らかにヤバそうなウマ娘を見た瞬間に扉を勢い良く閉めた。
デコに3つのピアスを付けており、頭部に亀裂が走ったようなギザギザの生え際が特徴的で、とにかく目付きがすっげぇ怖いウマ娘がいたんだけど。何あれ、どこのヤ○ザ?
もう一度、ゆっくりと扉を開けてみる。もしかしたら、俺の見間違いだったかもしれない。ウマ娘は案外、特徴的な容姿をしていることが多いからな。
「んだ、テメェ!!どうして扉をーーー」
ーーーバタァァァァァァァン!!!
そんな事無かった。1度見た通りのままのウマ娘さんがいたわ。なんなら、1回扉を閉めたからか、凄くブチ切れてた。
どうして、ヤ○ザみたいなウマ娘が俺の家に?と思ったが、ウマ娘関連で考えられるとしたら、たった1つ。
「ドトウのやつ、今度は何したんだよぉ」
俺は震えながら呟く。ドジっ子のドトウのことだ。また、何かしらやらかして怒らせたに違いない。高い壺とかを割らない限り、あんな癖の強いウマ娘なんて一般家庭である我が家に唐突に来ねぇよ。
でも、もう2度も顔を彼女の前に出してしまったのも事実。ぶっちゃけた話、後戻り出来ない状況にいる。
しかも、明らかに私、怒ってますよみたいなオーラを出しているウマ娘を家の前に立たせておくのも嫌である。普通に近所に迷惑だ。
しょうがない。覚悟を決めるか。
俺は意を決して、再び扉を開ける
「………はい」
「ようやく顔を見せたなァ。」
怖ぇぇぇ!!!血管を浮かばせながらニタァと笑うヤ○ザみたいなウマ娘さん。
「あ、あの………どちら様でひょうか」
もう、ビビりすぎて声震えてるし、噛んでしまった。
「あン?オレの名前はエアシャカールだ。」
「エアシャカール様は今回、どのようなご要件で………?」
「いや、普通に呼ベよ。なンで様呼び?」
それは明らかに普段から周りに自分の名前を様呼びさせてそうな見た目してるからだよ。
「ドトウの奴はいルか?」
はい、やっぱりドトウだったー!!本当にあいつ何やったんだよ!!マジで高い壺とか割ったんじゃねぇだろうな!?
とりあえず、土下座しとこ。
「すいませんでしたぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!」
「お前、な、何してンだよ!?」
唐突に土下座をし始めた俺を見て、エアシャカールさんは見た目に反してたじろぐ。
「うちのドジっ子が何かやったんですよね!?高級な服とか汚しちゃいましたか!?高い壺とか割っちゃいましたか!?」
「お、落ち着けって」
「許したってください!!あいつ自身、気を付けてはいるんですけど、それでもやらかしてしまうんです。もう、あれは良い言い方したら才能、悪い言い方をしたら治らない難病なんです!!俺の方からも強く注意しとくんで今回ばかりは見逃してくれませんかぁぁぁぁぁぁぁ!?」
「うるせェェェ!!!」
「うごっ!?」
俺が必死こいて許しを貰おうと叫んでいる中で、後頭部に激痛が走り、顔面がより地面に食い込む形になった。
「何カ勘違いしているが、オレはドトウの忘れ物ヲ届けニ来ただけダ」
そう言って、エアシャカールさんは手にしていたトレセン学園の学生鞄(恐らく、これで俺の後頭部を叩いた)を俺の方に投げつける。
「え、ドトウが何かやらかしたからアイツを取り立てに来たわけでは………」
「オマエ、オレの事、なんだト思ってるんダ?」
「ヤ○ザ」
「ンだと、テメェ!!」
あ、やっべ。素で答えちゃった。俺の言葉に、またしても怒り出すエアシャカールさん。まぁ、初対面の人にそんなこと言われたら誰だって怒るわな。
でも、ドトウの忘れ物をわざわざ取りに来てくれるぐらいだからいい人なのだろう。てか、学生鞄を忘れるなよ、ドトウ。
「すみませんでした。あと、ドトウの忘れ物を届けに来てくださってありがとうございます。」
「ン、別に気にすンな。オレもこの付近に用があったし。ルームメイトとして当然のことをしたまでダ。」
「あ、あいつのルームメイトだったんすね。」
いつの日か、ドトウがこんなことを言ったことを思い出した。それはドトウがトレセン学園に入学して間もない頃に母ちゃんが寮生活はどうかと彼女に聞いた時だ。
『わ、私のルームメイトさんはとっても優しくて賢くて美人さんなんですぅ』
そんなことを言っていたから、勝手に穏やかそうなウマ娘を想像していたが、そんなこと無かった。出来ればカッコイイとかワイルドとかも付け加えて欲しかったぜ、ドトウ。
「………あいつと一緒だと苦労しませんか?」
「…………まァな。お前もカ?」
「そりゃあ、あいつと幼馴染ですから。こっちはもう10年以上の付き合いですよ」
その後、俺とエアシャカールさんは共通する所があったのだろう。何も言わず、互いに熱い握手を交わす。
「エアシャカールさんはこの後、どうします?ドトウはもうすぐ帰ってくると思いますから、家に上がってますか?」
「ンや、オレは忘れ物を届けニ来ただけだからナ。ここら辺でおいとまさせていただくゼ。」
ここ付近で用があるって言ってたからな。仕方がーーー、ん?ちょっと待てよ?
「エアシャカールさん」
「あン?ンだよ」
俺は申し訳なさそうに頭をペコペコしながら答える。
「中学生レベルの数学って分かります?」
そう。確か、ドトウは彼女のことを賢いと発言していた。ルームメイトである彼女の言うことだ。多分、本当の事なのだろう。
「あンなの、足し算引き算レベルだロ?」
そんなこと言えるのは、賢さレベルがSSの人だけだろう。聞いた事ねぇよ、中学生レベルの数学を足し算引き算程度にしか思ってねぇのを。
「もし、時間に余裕があるならば少し教えて貰えないですかね?礼としてーーー」
そう言って、俺は玄関に置いてある箱を取り出してエアシャカールさんに見せる。
「ッッ!!それハ!!」
俺が箱から出したのはウマ娘専用のトレーニングシューズだ。入手方法としては商店街のクジ引きで当たったやつ。最初はドトウにあげようかなって思ったけど、足のサイズが合わなかった。
このトレーニングシューズはネットで調べてみたら、まぁまぁ有名なメーカーの限定品だったみたいなので金に困ったときに売ろうと思って綺麗に保管していた。
「いいノかよ、本当ニ。ソレは相当なレア物だぞ?」
人間である俺が持っていても仕方が無いし、どうせなら現役のウマ娘さんにあけだほうが良いだろう。エアシャカールさんの反応を見た感じ、彼女自身も欲しいみたいだ。
「はい。」
そう言って、箱ごと彼女に差し出す。すると、彼女は少し考えるような素振りを見せるとーーー
「オイ」
「ひゃい!」
彼女は睨みつけながら、俺に1枚の紙を渡す。受け取り、紙を見てみるとそれにはIDらしき英語や番号が書かれていた。
「オレのLI○EのIDダ」
「え?」
なぜゆえ?
「1回の講義だけで、こンなレア物貰うのはロジカルじゃねぇ。だから、今後また勉強で分からない時があったらオレに連絡しヤがれ。理解するまでおしえてやル」
その後、「邪魔するゾ」と言って家にあがるエアシャカールさん。別に1回でもいいんだけどな、と思うけどそれを口にしたから絶対に怒るんだろうな。
こうして、俺はエアシャカールさんに数学を教えてもらうのだった。あの人、すっごく教え方が上手かったので、すぐに理解することができた。
1時間後、帰ってきたドトウが俺たちの姿を見てエアシャカールさんに「私のカズくんを取らないでくださぁぁぁぁぁぁい!!!」と叫びながら、足をつまづいて転んでいた。
いや、俺はお前のじゃねぇからな??
その後、カズくんはエアシャカールと良き友達になりました。
皆さん良いお年を