鋼鉄の心:亡霊との戦い   作:アイゼンパワー

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だーいぶ長らくお待たせしました……!!!!!
最後らへん終わり方が雑なのは許してください……


【戦いに】大攻勢対策本部【備えよ】pt4

八機のジャガーノート改、一機のドレッドノートが樹海の中を進む。

そこに彼らの行手を阻むレギオンは一機もおらず、異常なまでに静かで、スピアヘッド隊の機体が撒き散らす喧しいエンジン音だけが響き渡っていた。

 

『静かだ…何かがおかしい』

 

シンがぽつりと呟いた。

声が一切聞こえない、前線基地にいても絶えず聞こえていた死人の声が。レギオンの懐深く潜り込み、これまでにないほど接近しているというのに何も聞こえない。

 

『そういえば…出発してからまだレギオンを一回も見てないわね』

『おっかしいなぁ…地図によるとここら辺にいるはずなのに……』

 

いくらあたりを見回しても木や動物以外のものが出てくる気配は一向にない。ひたすらに平和だ。

 

『油断するな、陰から見てるかもしれないぞ』

 

そう言いながら彼らはただひたすらに前へ進む。

 

 

木陰に潜む脅威には気付かずに…

 

 

《報告。コードネーム:バーレイグを発見。これより襲撃に移行する》

 

 

 

 

国防庁、第二会議室。

 

「そのルートはダメだ!障害物が多すぎる」「だったらこっちは?阻電攪乱型も少ないから観測気球が飛ばせる」「地上をよく見ろ、間抜けめ。地雷原に自分から突っ込む気か!」「このルートは?高速鉄道を利用するから部隊を素早く展開させられるはずだ」「高速鉄道を利用するぅ?線路が既に使い物にならないほどボロボロなのを知らないのか」

 

元帥と数人の将軍、そして彼らが抱える参謀達が喧々轟々と自らの考えた作戦案について討論を繰り広げていた。謎の超長距離砲を撃破するために、彼らの持てる全ての知識と想像力を駆使してさまざまな場面を想定し、それを乗り越える方法を探し出す。

そんな彼らも、想像できない事象はあった。

 

「閣下!非常事態です!」

 

ドアを蹴破って飛び込んできたのは一人の下士官。その手には電報の紙を握りしめていた。それを聞いた将軍達は一斉にドアの方を向き、下士官を睨みつける。

 

「何事だ」

 

元帥は顔を上げ、下士官に聞く。

 

「レギオン行動予測所から、東部戦線にて大規模なレギオンの動きを観測したとのことです」

「規模は?」

 

すかさず将軍の一人が問う。

 

「“黒羊”を介したトラッキングによると……十個師団(十万機)です」

 

十個師団、これまでに観測された中では最大の数である。人間による十個師団であれば、実際に戦闘を行う戦闘員の数は大体その半分程度の六から五万程度だろう。しかしレギオンは救護や補給を一切必要としない。その全ての兵員を戦闘へ参加させることができる。

この攻勢を防げずに東部戦線への攻撃を許してしまった場合、戦線の崩壊は免れないだろう。

 

「プロセッサーに通達しろ、第一級戦闘配備だ!」

「砲兵隊にも通達しろ!座標は?!」

 

将軍達は下士官に掴みかかるような勢いで接近し、問い詰める。

 

「それがおかしいんですよ、予測局によるとレギオン群はポイント667に向かっているそうなんです」

「ポイント667ァ?あそこはただの森林じゃないか」

「何故そんなところに?」

 

将軍達は首を傾げ、訝しむ。ポイント667はただの森林、敵の侵攻を食い止める自然の要塞として整備されていた時期もあったが、それもはるか昔のこと。既に戦略的価値は失われ、わざわざ十個も師団を割く理由がない。レギオンは理論に沿って動くロボットであり、突飛な行動をとるはずがない。彼らはそう考えた。

しかし元帥はそう考えなかった、彼はその理由を知っていたからだ。

 

「第一戦隊がポイント667付近で作戦行動中だ、作戦内容は敵指揮官機の鹵獲。既に回収班を編成してある」

「しかし作戦計画書にはポイント668での作戦と記入されておりましたが?」

 

将軍の一人がそう問いかける。

 

知覚同調(パラレイド)の傍受ログがある。補佐官くん、持ってきてくれ」

 

そう側近にとってくるように命じたが、彼女は即座にレコーダーを懐から取り出した。

 

「こんなこともあろうかと思ってとっておきました。どうぞ」

「ありがとう、気が利くな」

 

と言って元帥はレコーダーを受け取った。そして彼はログを流し、その場にいる将軍達に聞かせる。

 

「このようにして、第一戦隊は作戦目標…敵指揮官機を求めて徘徊した結果ポイント668より離脱し、667に迷い込んだ」

「そこを待ち伏せたというわけか……」

「奴ら、ますます賢くなってやがる…」

「やはり早期の殲滅が必要か」

 

将軍達とひとしきり唸ると、元帥はすぐに命令を下し始める。

 

「まずはミリーゼ少佐を呼び戻せ、彼女が一番うまくスピアヘッドを扱える」

「直ちに呼び戻します」

「よろしい。出動可能な師団は?」

「第56から第60無人機師団、第38から40重装甲騎兵師団と第42から48装甲騎兵師団が出動可能。無人機師団は近辺で作戦行動中だったため即座に出動できます」

「素晴らしい、直ちに全部隊出撃させろ。予想到着時間は?」

「おおよそ30分です」

「わかった、次は砲兵隊の状況が聞きたい」

「既にコンピュータに座標を打ち込み済み、現在射撃諸元の計算中。第37、38、39、40重砲陣地が砲撃可能で、あと4分で全砲門の装填、照準が終了します。」

「大変よろしい。さぁ、モタモタするんじゃない!……スピアヘッドを死なせたら大変なことになるぞ…!」

元帥は両腕を組み、厳かな声色でそうつぶやいた。その背後では将軍や通信士が慌ただしく動いて前線や砲兵隊へと命令を飛ばし、一刻でも早く作戦を遂行するべく動き回る。

 

 

 

『クソックソッ!どんだけいるんだ!』

『リロード!援護頼む!』

『私たちどれだけ撃ったのよ!』

『もうすぐ弾が切れるぞ!』

 

ポイント667、視界を埋め尽くす数え切れぬほどのレギオンの荒波にスピアヘッド隊はもまれていた。

撃っても撃ってもレギオンの数が減らない、それどころか増えているようにすら感じる。90mmライフル砲は容易く敵の機体を引き裂くが、一機ずつ撃破していたのではとても処理が追いつかない。

ライデンは周りを見回すが、目に入るのはレギオンの群れと数人の仲間のみ。しかしその中にシンの姿はない。

 

『シンはどこだ?!生きてるか?』

『連絡は取れるけど姿が見えない、シンと引き離されてる!』

 

戦車型が近接猟兵型と連携して目標と定めた機体に波状攻撃を仕掛け、その死角をついて攻撃しようにも擬似的な歩戦協同が死角を潰す。戦場の片隅に逃げ、潜み、隠れようにも、銀色の津波はいずれ遮蔽物を全て洗い流し、結局のところ敵の面前に晒されるだろう。

退却しようにも退路は既に絶たれている。斥候型の群れに隙間なく包囲され、長距離砲型の砲撃が降り注ぎ、たったの9機では包囲突破も難しい。

 

少し遠くに目を向けると、少々霞んでいるがなんとかアンダーテイカーの姿が認められる。重戦車型との一騎打ちなどという冗談でも笑えないような光景だった。

 

装甲や火力で大きく劣るものの、共和国工廠の誇る傑作機、〈ジャガーノート改〉は機動力において重戦車型に大きく勝る。

しかし重戦車型はその利点を上回ってあまりあるほどの重装甲、高火力を持つ。煙を立ち上らせ、ゆらゆらと揺れる陽炎を作り出す155mm砲、そして副砲である75mm砲。目が潰れるほど眩く輝く装甲。機動性という利点だけではあまりにも討ち斃し難い敵であった。

シンは高周波ブレードで切り付け、90mm砲でゼロ距離射撃を浴びせ、関節部へ機銃を執拗に打ち込んだが、全て弾かれた。ジャガーノートだけではあまりにも厳しく、打ち倒し難い敵である。

 

『シィィィィィィィンッ!!!』

 

雄叫びらしき声を上げながら重戦車型は両前脚を用いて、ちょこまかと鬱陶しく動き回る敵を捕まえようと……あるいは生き別れた兄弟と愛を込めた抱擁を交わそうとする。その重量は100tを超え、脚部は解体用の鉄球と同等のエネルギーを持っていることは間違いないだろう。

ジャガーノートの装甲ではこれを跳ね除けることは不可能である。

 

しかし忘れてはいけない、ここにいるのは共和国工廠の傑作だけではない、工廠の誇りたる重フェルドレスもまた、この場において戦っているのだと。

 

『シン!伏せて!』

 

〈ガンスリンガー〉…クレナの叫びと共にドレッドノートの背中からとてつもない重量を誇る紡錘状の鉄と火薬の塊が撃ち出され、重戦車型の前脚の関節に当たる。そうするとどうだろう、振り下ろされてる途中の速度も合わさったおかげか、脚部はネジと鉄片を撒き散らしながら破壊された。

 

工廠の誇り、ドレッドノートは重戦車型と同等、もしくはそれ以上の火力を持ち、装甲もまた重戦車型の持つものに勝るとも劣らない。

 

重戦車型の相手をするにはもってこいの機体だ。

 

『ここから援護するから!シンはそのまま戦ってて!』

『ッ、助かる!』

 

ドレッドノートは自慢の巨体で斥候型の機銃掃射を跳ね返し、近接猟兵型のミサイルにもじっと耐え、ただ重戦車型の隙を伺い続ける。

 

シンはその間も重戦車型の周りを這いずり、跳び回る。クレナのためにできるだけ隙を作り出し、210mm砲を撃ち込ませるために。

しかしその間も敵の猛攻が押し寄せる。銀色の洪水が余計なものを洗い流し、ただ一つの重要な目標である〈バーレイグ(シン)〉を確保するために動き続ける。

 

『もうダメだ、持ち堪えられない!ラフィングフォックスは一旦後退する!』

『ヘリアントゥスも後退する!もう弾がない!』

『……グッ、クソックソッ!砲身が損傷、戦闘続行は不可能!ヴェアヴォルフ、後退する!』

 

いくら傑作機といえども無敵ではない。さまざまな口径の砲弾を全身に受けた装甲はへこみが目立ち、装甲が比較的薄いところなどは貫通すらされている。これ以上前線を張り、攻撃を受け続けるのは不可能に近い。

 

『シン!援軍を要請してくれ!』

『〈アンダーテイカー〉!頼む!』

 

レギオンはこれまでにないほどの成功を体験している。大量の兵力で敵を圧倒し、戦術目標を達成しようとしている。

しかし、考えてみてほしい。共和国が、彼らの敵が果たしてこれを黙ってみているだろうか?

 

『その必要はありません。シュガ大尉、目を借りますよ!』

 

答えは簡単、“否”である。

 

 

 

 

 

 

 

 

『こちら総司令官、ルウム・ダシエール。集結した十五師団に告げる』

 

大地を踏み締め、機械の雄叫びにも似た作動音を鳴らしながら15万の大軍勢は前へ進む。

 

『今回の作戦目標は敵十個師団の迎撃及び殲滅である』

 

あるものは顔を歪め、毒を吐く。またあるものは喜びの笑みを浮かべ、機体の速度をさらに上げる。

 

『この作戦は共和国の未来を左右するものである……各員一層奮戦努力せよ』

 

重々しく彼は述べる。

この任務がいかに重要か、この任務が失敗した時、共和国にはいかなる運命が待ち受けているかを。

 

『それでは最初の命令だ。』

 

息を大きく吸い、彼は命令を下す。

 

『総員、突撃ィッ!』

 

元帥の最後の一言の余韻が消え去らないうちに、兵士たちは騒ぎ始める。

 

『よォし、野郎ども!一番槍は俺らプロセッサーのもんだ!』

『騎兵師団の全兵員に告ぐ、色豚に一番槍を取らせるな!』

『何を言うか!一番槍はこの誇りある重騎兵師団のものだ!』

『うるせェ!ノロマども!』

『言ったなァ?この豚野郎めッ!』

『誰がなんと言おうが、騎兵師団が勝つ!全機第一戦速、行くぞ!』

 

叫び声と共に地を叩く音が、機械の唸り声がさらに勢いを増し、フェルドレスの速度がグングンと上がっていく。その背後からは橙色に輝く光弾が空へ上り、彼らの進行方向へと飛んでいく。

 

『こちら砲兵隊、全ての自律火砲が砲撃を開始。命令があるまで砲撃を続行します』

 

そのはるか後方では数えきれぬほどの大筒が誇らしく天の果てを指し、その筒先から轟音と共に黒と赤の鮮やかな花を咲かせていた。その美しい見た目とは違い、花から生まれた種子は敵に死を植え付ける。

 

その間にもフェルドレスはエンジンを唸らせ、その背後から黒煙と騒音を撒き散らしつつ森に向かって突進していた。

 

『見えたぞ!俺たちプロセッサーが一番乗りだ!』

『だらし無いぞ!豚どもに遅れをとるなんて…生きて帰ったら走り込みだ!いいな!』

『誇り高き重騎兵師団の紳士は功を焦らないものです……負け惜しみとかではなく、えぇ』

 

歓喜の声とともに彼らは突き進む。誇り高き祖国への奉仕のために、栄光ある元帥閣下のために、あるいは戦い続ける喜びに身を浸すために。

 

 

 

 

 

 

 

『正気か?!視界同調するなんて…神経が焼き切れるぞ!』

 

ライデンが開口一番そう怒鳴りつける。

現行のレイドデバイスでは視界の同調は共和国において御法度であるとされている。その理由はライデンが怒鳴った通り、神経がその情報量に耐えきれず、焼き切れてしまうからだ。写真や動画といったものは多数の色や地形などを描写する都合上情報量が非常に大きく、例え見たものが単純な土煙と爆風で飛び散る鉄片などであろうと例外ではない。

 

『着弾を確認したまでです、なんの問題もありません』

『問題あるに決まっ『十五個師団の援軍が派遣されました、スピアヘッド隊は直ちに後退してください』話を聞け!』

 

榴弾と自己鍛造クラスター弾*1が絶え間なく降り注ぎ、銀色の金属片や液体が飛び散る。

 

『シン、シンはどうなった?!』

 

セオが砲撃痕に身を潜めて問う。

土煙が視界を覆い、爆炎がサーモグラフィーの目を封じ、阻電攪乱型のせいでレーダーを通して状況を把握することも不可能。知覚同調(パラレイド)を通して通話しようにも、シンがレイドデバイスの同調を切ってしまっている。

 

『ガンスリンガー!見えるか?!』

『ウェアヴォルフへ、全く見えない!』

 

ドレッドノートは砲撃に特化した機体。必然的にカメラアイやセンサーもジャガーノートのものに比べれば高品質かつ高性能。ライデンはそれに賭けてクレナにシンが見えるか問うたが、やはりというべきか、見えなかった。

 

 

しばらく……と言ってもたった十数分後。砲撃は止み、土煙は晴れ、森が随分と見通しが良くなったことに驚きつつスピアヘッド隊はシンがいた場所に目を向ける。彼らの敬愛する死神が、愛する葬儀屋の決闘の行く末はどうなったかを見届けるために。

 

果たして彼は兄を悪夢の内から連れ出せたのか。

それとも彼が兄の腕の中に収まってしまったのか。

 

 

 

そこには銀色の傘があった。

液体のようにゆらゆらと波打ちながら半球状の銀色の何かが重戦車型とシンを覆い、爆撃の雨から守っていた。

 

『シン!シン!聞こえるか?!』

『無駄だ、同調が切れてる!』

『レーナ?繋ぎ直して!早く!』

 

再接続を求める叫びがレーナへと届けられた。

 

『……今再同調を試みています…』

 

キーボードとボイスコマンドを駆使して〈アンダーテイカー〉と再び同調させようとしたが、指揮室のモニターに示されたのは不吉な赤で彩られた「通信途絶」の四文字だけであった。

機体の状態を示すパラメータはジャガーノートがほぼ無傷であることを示していたが、同調できないためそれ以上を知ることはできない。シンは果たして生きているのか、それともなんらかの原因で気絶して応答できないだけなのか、それとも………死んだのか。

プロセッサーの機体のカメラアイが切り取った映像を映すモニターでは銀の傘が閉じ、液体状の何かが重戦車型の体内へと収められるのが見えた。

銀の傘の中では重戦車型とジャガーノートが向き合っていた。ジャガーノートは機体を力なく地面の上に横たえ、まるで眠っているように見える。

重戦車型は残った脚を広げ、力を溜める。温かき抱擁を持って彼の愛しき弟であえうシンエイ・ノウゼンを再び新しき家族の一員として迎えようと。要注意目標である〈バーレイグ〉の頭を土産として、自動工場への帰還を果たそうと。

 

その瞬間振り上げられた脚は全て弾け飛んだ。

無数の…しかし先ほど降り注いだものよりは小さい…砲弾の突風をその身に受け、擱座する。残った脚は二本、戦闘機動を取ることはもはや不可能。

下手人として考えるものはたった一つ。

 

『ガキども!危なくなったらさっさと助けよんどけ!』

『出来たらそうしてたわよ!』

 

 

増援の到着だ。

鋼鉄の津波が襲いくる。

共和国の誇る鋼鉄の群れ、大陸軍(グラン・ダルメ)の精鋭たちがレギオンに即座に襲いかかり、全てを駆逐せんとする。

全ては共和国のために、全ては敬愛せし元帥閣下のために!

 

そこからの展開は圧倒的だった。

止まるところを知らぬ力(ジャガーノート)が波打ちながら亡霊(レギオン)を切り刻み、その後に続く恐れを知らぬ者達(ドレッドノート)が切り刻まれた銀色の鉄塊を踏み固め、まだ形が残っている物があればさらに細かく撃ち砕く。

 

荒波によってもたらされた混乱の中、一機のドレッドノートが滑り込むようにして体の各所がひしゃげ、まともに動けない重戦車型と地に伏せてしまったジャガーノートの間に割って入る。

〈ガンスリンガー〉…クレナは即座にコックピットから飛び出し、ジャガーノートの分厚い銀色の装甲をこじ開け、傷ついたシンの姿をその目に収めた。

額が切れ、顔が血まみれになっているが、致命的なものではない。

耳を胸に当ててみる。

 

「生きてる……」

 

疲れがどっと湧き出たようで、彼女はその場にへたり込んでしまった。

頭上では砲弾が飛び交い、レイドデバイスからは怒号が響き渡る。

その中で彼女は安心し切ったようにシンにしなだれかかった。まるで献身的な妻のように手元にある布切れを布巾として彼の顔についた血を拭い、包帯として傷を包む。

その光景は戦場の中では不釣り合いだった。

まるで幸せな家庭の日常の一幕のような光景。

シンとクレナの周りだけはまるで違う次元にあるようだった。戦争もなく、争いもない世界。一人の少女と一人の少年が言葉を発すること無く心を通わせあっているかのような光景。

 

しかしそれが長続きすることはなかった。

 

『赤いのォッ!後ろッ!』

 

重戦車型は既に重たい身体を動かすことはできない。しかし、その液体金属の腕はまだ動かせる。

 

銀色に輝く手が急速に迫る。

 

しかしそれが届くことはない。

 

風切り音と共に鉄塊が急速に迫る。

幾つもの弾丸が撃ち込まれ、重戦車型は遂に全ての動きを止めた。

銀色の手は液体となって地面にこぼれ落ち、薄く広がっていく。

 

指揮官の死を感じ取ったレギオンの動きは明らかに悪くなった。射撃の狙いはメチャクチャになり、部隊はやたらめったら動き回った結果敵のど真ん中に入り込み壊滅する。

 

恐るべき鉄槌であったレギオン十個師団は途端に烏合の衆と成り下がり、精鋭たる十五個共和国騎兵師団によって蹴散らされ、殲滅された。

 

共和国の平和はここに守られたのだ。

 

 

 

 

ーーー

 

746:元帥

勝った!第一部完!!

 

747:名無しの戦略家

残念ながら第一部はモルフォを討つまで終わりません

 

748:名無しの戦略家

無事に済んでよかったよかった

 

749:名無しの戦略家

情報をはよ引き出せ

 

750:元帥

研究所に送ったけど時間かかるっぽい。しばらくはわからん

 

751:名無しの戦略家

はーつっかえ

 

752:名無しの戦略家

まぁそういうなって

 

753:名無しの戦略家

大攻勢の詳細がわかるなら一二週間くらい安いもんじゃ!!

 

754:名無しの戦略家

なお大攻勢までの時間は一二ヶ月

 

755:名無しの戦略家

やっぱり安くない

 

756:元帥

今回わかったこと

一、重戦車型クソ強い

二、高速鉄道意外とそんなボロボロじゃない

以上!

 

757:名無しの戦略家

高速鉄道が使えるん?

 

758:名無しの戦略家

考えてみればあの重量物(モルフォ)をレールに沿って移動させるんだからそら保線作業をちゃんとやるわな

 

759:名無しの戦略家

とするとレギオン保線作業型とかいう未知の敵の存在が出てくるわけだ

 

760:元帥

敵のインフラ維持を妨害できりゃあなぁ…

 

761:名無しの戦略家

ミサイル!

 

762:元帥

使えないんだって

 

763:名無しの戦略家

長距離砲打てばええやろがい

 

764:元帥

それはそう

 

765:名無しの戦略家

大攻勢まで残り期間は少ない、徴兵しとけよ

 

766:名無しの戦略家

プロパガンダ今まで以上に打て、国民精神エイティシックスとやらを打ち砕け

 

767:名無しの戦略家

エイティシックスの解除条件がわかれば楽なんだけどね

 

768:元帥

大攻勢喰らえばそんなふざけた精神持てなくなるでしょ

 

769:名無しの戦略家

食う前に防ぎたまえよ君ィ

 

770:名無しの戦略家

そうだよチミィ

 

771:名無しの戦略家

解除条件:本土決戦をする

 

772:元帥

正直偽旗作戦打ったら国民感情煽れていいなぁとか今思ってる

 

773:名無しの戦略家

偽旗かぁ……

 

774:名無しの戦略家

うーむ、正直なところバレた時が面倒臭いからおすすめできない

 

775:名無しの戦略家

というかこっちの話を聞くレギオンなんてどうやって用意するのさ

 

776:名無しの戦略家

それはそう

 

777:元帥

(なにも考えてなかったという顔)

 

778:名無しの戦略家

使えねえなぁ!

 

779:元帥

まぁなんとかするよ

 

780:名無しの戦略家

そういやシン君たちどうなったの?

 

781:名無しの戦略家

逃げたに決まっとるじゃろ

 

782:名無しの戦略家

どうせギアーデ行ったんでしょ

 

783:元帥

今授賞式(簡易)やってる

 

784:名無しの戦略家

帰ってきたんだ……

 

*1
アニメのあのすごい砲弾なんて言えばいいのかわかりませんでした……




次回は間話かなぁ…

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