この二年間様々なことがあり、二次小説そのものからしばらく離れてしまいました。図々しいお願いとはなってしまいますが、今後ともよろしくお願いいたします
「えーと、その、なんだっけ」
「閣下、マイクついてますよ」
「えっ」
元帥は少し驚いた声を出してしまった、それと同時に非常に困っていた。何しろこんな独裁体制が敷かれた上に差別的というクソみたいな国に、まさか被差別人種である彼らが戻ってくるとは一寸たりとも思わなかったので何も準備してなかったのだ。
通常ならば特別偵察任務から帰ってきたプロセッサーはそのままグランミュールの基部にある窓口まで出頭し、偵察任務の命令書と任務完了を証明するための写真などの物的証拠を提出して、そのまま役所に案内されて三等功勲章と市民権が付与される。
だが果たして十万のレギオン相手に持ち堪え、尚且つ敵指揮官、最新型のレギオンを討ち取った部隊をちゃんとした表彰も無しに帰してしまっても良いのだろうか?
「聖女マグノリアの代理人である共和国臨時大統領および共和国大陸軍グランダルメ元帥、共和国軍元帥の権限と名誉を持って、共和国東部方面軍、第一戦区第一防衛無人機部隊〈スピアヘッド〉に勲章を授与する。」
いや、できない。
そんなことをした日には共和国の面目丸潰れである。
元帥は彼が自分で派遣した十五個連隊が戻ってきたと同時に、〈スピアヘッド〉部隊が律儀に窓口に出頭したと聞いた時、口に含んでいたコーヒーを危うく噴き出すところだった。スピアヘッド部隊は絶対ギアーデ連邦に行く、そう思っていたので勲章も何も準備もしていなかったのだ。
大慌てでコートと制帽を引っ掴んで、ハンコとコーヒーを持ったまま人事部へと駆け込み、側近とボディガードを呼び、人事部が勲章を出すとそれを引ったくるようにして取ってグランミュールへ行く車に飛び乗った。
「シンエイ・ノウゼン伍長!前へ!」
「はっ」
そうして元帥はここに立っていた。グランミュールの最下層である。窓口から少し奥に行ったところにある建設資材搬入場に急いで演壇をでっち上げ、非番の労働者を観衆とし、倉庫の奥底に眠っていた国旗を壁に釘で貼り付けた即席の授与式場である。
「貴公はその素晴らしい働きと勇気を持って、共和国の英雄となるに相応しいことを示した。よって、ここに共和国英雄勲章および一等功勲章を授与する」
片手にコーヒーの入ったマグカップを持ちながらそう言い切るとボディガードの一人が木の板切れに赤い布を被せた物に勲章を載せて、シンに向かって一歩踏み出した。
「おぉ……」
板の上に乗っていた勲章はあまりにも豪華であった。いつもは冷静……というよりも、感情が死んでいるのではないかと疑われてすらいるシンが、声を漏らしてしまうほど豪華であった。ギラギラと光る宝石が花を形作るように散りばめられ、その花を純金の糸が優しく包み込む。まさにサンマグノリア共和国の理念そのものが形となったようであった。かつて、万民を平等に愛していた頃の共和国の理念の。
「これは共和国英雄勲章です。共和国が授与する様々な勲章の中でも序列が高く、相当の功績がないと授与されません」
漆黒のスーツを纏った側近がシンにそう囁くと、勲章を板から取り上げてシンのカーキ色の上着に付けた。
勲章は搬入場の粗末な灯りを取り込み、ギラギラとした眼をくらますような光に変えて四方八方へと放つ。薄汚れたカーキ色の上着にはあまりにも分不相応である。
その隣には銀色の勲章がつけられた。一等功勲章である。双頭の鷲のそれぞれの頭と身体を剣が貫くデザインの勲章で、ギアーデ帝国に対する強い敵意が感じられる。
「次、ライデン・シュガ二等兵。前へ!」
そうして授与式は何事もなく進行していった……もしくはしていったように見えたと言ったほうがいいのかもしれない。シンの心中にはある疑問が渦巻いていた。
元帥は
戦いが終わったあと八本の足を根本から切り落とし、駆動部をセメントで丁寧に塗り固めた。
二本の砲身と二本の銃身には溶けた鉄が流し込まれ、水銀状の液体の噴出口らしき場所は全て叩き潰され、全てのセンサー部もまた溶けた鉄で覆われた。
シンは兄を弔いたかった。
屈辱的かつ、永遠の苦痛をもたらす白銀の機械の檻から解き放ち、安らかに眠って欲しかった。
それ故に、鹵獲という言葉にどうしても納得できなかったのだ。
「……えー、支払われる五年分の給料は非課税であるが、今年の住民税およびその他税金、社会保障費、国民保険費、年金、退役軍人の会会費は来月から計算が始まる。今年度末には税務署からお知らせが来ると思うのできちんと税金を支払うように。退役軍人の会は希望するのであれば脱退が可能なので、脱退する場合は国防省退役関連課まで連絡するように。以上。何か質問は?」
元帥がそう言い終わると同時に、シンは手を天高く突き上げた。
軽く見ただけでは何も感じ取れないが、よく見ると眉間に皺が寄っていたり、口の端が引き攣っていたりと何とも嫌そうな顔をしながら元帥は口を開いた。
「シンエイ君。何かね?」
「
来た!元帥はそう考えた。ついに来てしまった。この質問が!
彼はかねてより心配していた。あれほど兄思いなシンエイ・ノウゼン少年が果たして兄の脳髄を、魂を元帥に、ひいては国に引き渡すのかと。
たっぷり十五秒の沈黙とコーヒーを啜る音の末に、元帥は答えた。
「
ーーーー
811:元帥
はい
812:名無しの戦略家
はいじゃないが
813:名無しの戦略家
もうちょっと言い方無かった?
814:名無しの戦略家
“英雄になる”は悪いよー
815:元帥
じゃあなんて言えば良かったのさ!!!
816:名無しの戦略家
……なんて言えば良かったんでしょうね
817:名無しの戦略家
こっちで弔っておくよとかで良くない?
818:元帥
葬式に参列したいですとか言われても困るしなぁ
819:名無しの戦略家
まあシン君が戻ってきたなら一安心だな!
820:名無しの戦略家
ギアーデに糾弾される心配はないと言うわけだ!
821:名無しの戦略家
ガハハ!勝ったな!
822:名無しの戦略家
あとは正規軍の整理だけど……
823:元帥
ちょっと集まったよ
失業者たちが
824:名無しの戦略家
失業者も立派な人間だから……
825:名無しの戦略家
でも良き兵士は良き市民から生まれるんだよなぁ
826:名無しの戦略家
失業者を良き市民ではないと申すか
827:元帥
まぁまぁ彼らは兵士という職を得たから
そこらのごろつきやギャングよりはマシだから
828:名無しの戦略家
今の共和国にギャングっているの?
829:元帥
あんまりいないと思うけどたまに組織犯罪の報告が上がってくる
830:名無しの戦略家
めちゃくちゃ取り締まってるのにまだいるんだ……
831:名無しの戦略家
そんなことより歩兵装備の生産!!
832:名無しの戦略家
防弾チョッキは最低限8mm機銃を弾けなきゃ話にならないわけですが
833:名無しの戦略家
何なら武装もせめて近接猟兵型の装甲を抜けなきゃ話にならないからな
834:元帥
……それ本当に歩兵の仕事ですかねえ
835:名無しの戦略家
本来なら戦車や装甲車、対戦車砲にでも任せとく仕事だがね
敵は全員小銃弾の通じないような装甲虫なら歩兵がその仕事をしなきゃいけない
836:名無しの戦略家
そっちの世界パワースーツ系の技術進んでるんでしょ?それに10mmの鉄板ぽん付けしたら?
837:元帥
そういうのはもうあるけどどうにも火力が不安だし、数発の弾なら無事だけど連射されると鉄板も割れちゃうしで正直あまり頼りにしたくない
838:名無しの戦略家
そりゃあもうしょうがないよ
839:名無しの戦略家
10mmで足りんなら20mm!
840:元帥
どうにも出力が足りないらしい
841:名無しの戦略家
そうか……
842:名無しの戦略家
ダメ元で改善命令出してみたら?
843:名無しの戦略家
珍兵器の時間だ!!!
844:名無しの戦略家
はいはい、珍兵器好きは引っ込んでましょうね〜
845:名無しの戦略家
なぜだ……!
846:元帥
言うたって大攻勢まで数ヶ月だし特に何もできないと思うけど……命令を出すだけ出してみるか……
847:名無しの戦略家
損はないでしょ
848:名無しの戦略家
ところがどっこい、研究枠が一つ潰されるんだよなぁ
849:名無しの戦略家
一つくらいいいでしょ、どうせ他に研究することもないんだし
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