鋼鉄の心:亡霊との戦い   作:アイゼンパワー

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今回は小説形式からはじまります

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【大攻勢】国家方針の処理【終わり】part3

「ーーーよって、大統領令6609号、戦時特別治安維持法はもはや現在の共和国には相応しくないと存じます。」

 

 国民公会。サンマグノリアの立法機関たるこの議会は聖女マグノリアを処刑した後、過ちに気づいた良き市民たちによって設立され、以後三百年間共和国の頭脳としていくつかとんでもないトラブルを引き起こしつつも機能してきた。

 今日、大統領代理にして事実上の国家元首である元帥はついに前大統領が残した史上最悪の大統領令について言及し、改正する機会を得たのだ。

 

「大統領令6609号は開戦当初の特別な空気によって作り上げられた悪法であり、共和国の理念に対する、革命に対する決定的な裏切りであります。ギアーデに対する勝利を得るために、我々は今こそかつての行いを顧みなければなりません。」

 

 前大統領は旧王党派であるブルボン派の出身であり、その出身の特殊さからして人種差別的な政策を打ち出すことは予想できないことではなかった。元貴族はやはり庶民を踏みつける方が性に合うようだ。

 しかしなぜ最大派閥である自由と民主の党があのような悪法を承認したのだろうか?共和国内で王党派たるブルボン派に次いで歴史が古く、聖女マグノリアを良く知る革命家たちが作り上げた自由主義政党が、なぜこんなふざけた法律の制定に賛同したのだろうか?

 

 それは単に敗北に次ぐ敗北によって醸造された空気、焦りゆえである。

 

「ギアーデ人スパイの浸透、有色人種の第五列化、工作員による国内資源、インフラの破壊。これらの言葉は議員の皆様にはまだ耳に新しいと思われます。そして当時、実際にスパイは何人も検挙されていたし、工作員の拠点は複数発見され、数千人の第五列化された有色種が外患誘致罪で逮捕されました。このような事例が、そして焦りが、この悪法を生み出したのです。」

 

 実例が、焦りが、共和国の破滅と言う現実がこれまでないほどに眼前に近づいていた故に、共和国国民公会は目の前に置かれた最も有効かつ安易な方法へと飛びついてしまったのだーーつまり有色人種の公民権剥奪である。

 

「しかし、今は当時ではありません。我々には余裕ができ、我々には力があるのです。よってここに私は宣言します。大統領令6609号は時代遅れの悪法であり、廃止するべきである、と。」

 

 議員たちの間で拍手が起こった。

 

 実のところ、事態が落ち着いてから過ちに気づいた議員というのは相当数存在した。労働党は当初から強硬に反対し、場合によっては白系種の労働者を組織して暴動を起こし、大統領公邸を襲撃したが、襲撃はなぜかことごとく失敗し、参加者と首謀者は全員八十六区送りになった。自由と民主の党は反対しなかった、焦りがあまりにも大きすぎたのだ。共和国の破滅を防ぐために最も安易な方法に飛びついてしまったのだ。これは多くの議員にとっては一生物の恥となった。

 

「議場の皆様、国民の皆々様、私は皆様に反省を押し付けるつもりはございません。ただ、勝利のためにはもはや差別的な行いは控えるべきなのです。心のうちでどう思おうが構いません。ただ今この時だけは、戦時だけは、有色種も白系種も肩を並べて戦わなければなりません。」

 

 過ちに気付いた後も法律を変えることはできなかった。残念ながら防衛をいわゆる“無人機”に依存していたことは事実であり、正規軍は壊滅状態にあったため無人機なしには防衛は成り立たなかったのだ。

 元帥が政権を奪い取ってからは正規軍の再建と無人機軍の改革が進められ、無人機なしでの国家防衛がようやく成り立つようになった。共和国はようやく自らの両足で立つことができる。有色種を自らの市民として再び迎え、帝国という巨悪に対抗する力を得たのだ。有色種はようやく白系種と同等の権利を手に入れ、戦友として、サンマグノリア市民として温かく迎えられ、そして肩を並べて戦うことができるようになった。

 

「皆様、帝国の悪逆にじっと耐え忍ぶ時代はもう終わりを迎えようとしています。我々は戦わなければいけません。帝国の殺戮機械は後二年で活動限界を迎えるでしょうが、その後にやってくるであろう帝国の兵士は活動限界を迎えることなどないでしょう。」

 

 帝国は滅亡した。この事実は現在軍高官の間でしか共有されておらず、国民は完全に気づいていない。国民は皆等しく機械の殺戮がいつか終わることを知っているが、その後に訪れるものが何かは知らない。軍高官もレギオンが去った後の世界を想像できてはいないが、ただ一つ言えることがある。機械の殺戮が終わった後は、人による虐殺が帰ってくると言うことである。

 

「帝国の兵士は我が共和国の良き妻たる女性を強姦し、良き夫たる男性は皆殺しにされるでしょう。帝国人は我らの腕の中から赤子を引き剥がし、末代まで奴隷として休みなく働かせるでしょう。そのようなことを許してもいいのでしょうか?」

 

 否、許すことなどできない。

 

「否、許すことなどできません!帝国の穢れた血が我々の土地に踏み入る前に、我々は帝国に反撃するのです!我々は、共和国は帝国にいいようにやられる哀れな獲物ではないと言うことを、傲慢な帝国に教えてさしあげましょう!」

 

 帝国に死を!誰かがそう叫び、議場は歓声と拍手の嵐に包まれた。共和国の暗黒時代は、今日、終わりを告げるのだ。

 

「その第一歩として私はここに提案させていただきます。構造的な、終わりのない人種差別に終止符を打つことを。有色種を、我々共和国の市民として再び両腕を大きく広げて迎え入れることを!そして肩を並べ、共に最後の一人まで戦い抜くことを!皆様、賛成の方はご起立ください。そしてよろしければ、拍手を!」

 

万雷の拍手と共に大統領令6609号は廃止され、新たに大統領令7001号に置き換えられた。

 

 大統領令7001号は6609号に比べて人種よりも個人の思想に重きを置いている。端的に言えば思想統制の合法化である。反動的、反革命的、反国家的行動及び思想が人種の代わりに取り締まり対象となった。元帥府はあらゆるマスメディアに対するコントロール権を手に入れ、保安局は令状なしでの逮捕が再び認められ、明確な証拠などなくとも逮捕が可能になる。また従来の法廷とは別に“革命軍事法廷”が導入された。反動的、反革命的、反国家的行動及び思想の疑いがあるものは通常の法廷ではなく革命軍事法廷において裁かれることとなる。

 

 もちろん、公正な裁判は受けられない。死んだ方がマシな拷問の末“自白”させられ、処刑される。

 

 元帥府は行政権だけではなく司法権をも手に入れた。サンマグノリア共和国の三権分立は正式に崩壊し、元帥府による独裁が始まった。

 

 

 サンマグノリア共和国の暗黒時代は終わりを告げた。

 

 そして、より強権的な、より洗練された新たな暗黒時代が始まりを告げた。

 

 国家方針:大統領令7001号 状態:完了

 

ーーー

200:元帥

はい!終わり!

 

201:名無しの戦略家

意外と早く終わったな

 

202:名無しの戦略家

ちょうど二ヶ月だね

 

203:名無しの戦略家

モルフォ撃破間に合う?

 

204:元帥

知らね。でもたまに砲弾飛んでくるから間に合うと思う、たぶん

 

205:名無しの戦略家

第二次攻勢が大体十二月くらいだからたぶん……?ちょうどじゃない?

 

206:名無しの戦略家

今から全力で走れば間に合う感じか

 

207:名無しの戦略家

高速鉄道の軌条意外と綺麗なんでしょ?使えば?

 

208:元帥

作戦本部はそう考えてる、死蔵してある列車と装甲列車を利用して戦線の土手っ腹に大穴開けてモルフォまで一直線!

 

209:名無しの戦略家

うまくいくかなあ

 

210:名無しの戦略家

うまく行かないだろうなあ

 

211:名無しの戦略家

でもなんか策があるんでしょ?

 

212:名無しの戦略家

ないわけないでしょ?

 

213:元帥

当然。

 

214:名無しの戦略家

ぜひ私めにお聞かせ願えないでしょうか???

 

215:名無しの戦略家

この私にも!

 

216:元帥

よーしよーく聞け

 まず今の状況で自動達成できる軍事系国家方針で五十個師団が湧くのと、これまでに徴兵した二十個師団、それと既存の正規軍八十個師団合わせて百五十個師団で攻勢に出る。前線のレギオンは今の所七十個師団しかいないから二倍弱の兵力だね!

 

217:名無しの戦略家

どこからそんな数のフェルドレスが……?

 

218:名無しの戦略家

人的資源はまあ理解できるけどマジでどっから装甲兵器が湧いて出るんだ???

 

219:元帥

湧いて出てくる師団は全部歩兵師団だけど

 

220:名無しの戦略家

歩兵師団?!?!

 

221:名無しの戦略家

そりゃあ歩兵は制圧とかで重要だしフェルドレスなんかよりだいぶ小回りきくけど本当に大丈夫???なんか新装備できたんか???

 

222:名無しの戦略家

アサルトライフルじゃああの装甲虫連中に効かないだろ??効いてアーマイゼ程度だろ???

 

223:元帥

旧式のセミオート対戦車ライフル山ほど生産してるから大丈夫!近接猟兵型は抜けるし戦車型も後方の弱点狙えば抜けるからダイジョーブ!爆薬も対戦車砲もたんまり生産してるぞ!!

 

224:名無しの戦略家

ほんとに数足りるんかそれ?

 

225:名無しの戦略家

軍需工場数二十六個くらいでしょ?生産間に合わんくない?

 

226:元帥

十年間貯めたのがあるからいけるいける

 

227:名無しの戦略家

兵器にも消費期限ってあるでしょ??

 

228:名無しの戦略家

モスボール化してたら大丈夫でしょ

 

229:名無しの戦略家

弾薬足りる?

 

230:元帥

湿気ってなかったら大丈夫

 

231:名無しの戦略家

火薬って劣化するんやで

 

232:名無しの戦略家

でも十年くらいなら大丈夫だろ

 

233:名無しの戦略家

十年くらいなら大丈夫よ

 

234:名無しの戦略家

湿気ってなかったら問題ない

 

235:名無しの戦略家

最近の火薬は湿気ってても大丈夫だけどね

 

236:名無しの戦略家

俺その火薬欲しかったな……

 

237:名無しの戦略家

そうか、まだこう言うの開発されてない世界もあるのか

 

238:元帥

兎にも角にも経済法を戦時経済へ移行!徴兵法は大規模徴兵!そしてこれによって軍事系国家方針:大召集を自動達成!

 

239:名無しの戦略家

完全に戦争体制に移行したな

 




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大統領令7001号

前提条件:国民公会において差別の撤廃が通過
    国民精神:大サンマグノリア……?を保持
    国民精神:一つの民族を保持

 大統領令6609号が悪法であることは少しでも知恵がある者であれば誰もが知っている。そして政治的知識がある者であれば、この法の成立は不可避であると言うことも。
 しかし今は違う。今、共和国には力があり、共和国はかつてないほど団結している。さあ、今こそ悪法は廃されるべきである!我々は団結するべきである!我々は結束するべきである!大サンマグノリアのためには、我々はいかなる犠牲も厭わない、連帯を!結束を!

 効果:与党のイデオロギーを“ファシズム”から“超国粋主義”に変更
   ディシジョン:政治的暴力を解禁
   安定度基礎値-5%
   戦争協力度+30%
   国民精神:大統領令7001号(イデオロギー動揺対処力+100%、中核州における攻撃及び防御+25%、週ごとの人的資源+5%)を獲得

ーーー

大招集

前提条件:国家方針大陸軍を達成
    自国の降伏度進捗がこの数値より大きい:20%
    自国が戦時体制にある
     徴兵法が大規模徴兵である
     経済法が戦時経済である

 帝国の悪しき機械は、殺戮者は我々の目の前まで来ている。これを黙ってみていていいのだろうか?いや、良いわけがない!市民よ!武器を取れ!隊列を組め!暴君の首を切り、その血で我らの田畑を潤すまで、前進せよ!

 効果:民兵師団五十個を獲得
   国民精神:大招集(徴兵速度-25%、週ごとの人的資源+10%)を獲得

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