四本の足が地面を絶えず叩き、前へ進む。その中では元帥が独り言をぶつぶつと呟き続けていた。
「機動性、劣悪。装甲の溶接もなっていない、構造もガタガタだ。エンジンの排熱もひどい。しかし換気性能だけは素晴らしいな、少なくとも硝煙や一酸化炭素で窒息することはないと言うことだ。おっと、脚の強度も問題だな」
『誰だ!ぶつぶつうるさいぞ!同調したまま独り言を言うんじゃない!気が散るだろ!』
誰かが怒鳴った。戦闘中に分かりきっていたこととはいえマイナスなことばかり呟かれると気が滅入ると言うものだ。
『私だ』
『ありゃあ、元帥閣下でしたか……こりゃ申し訳ない』
『謝らんでいい、確かに私が悪かった』
『それで?乗り心地はいかがです?』
一人のプロセッサーが問いかける。
『最悪だ、帰ったら設計者をこいつに詰め込んで共和国一周させてやる』
『そりゃあいい!そいつにこの辛さをたんと味わわせてやってくだせえ!』
そうやって軽口を叩き叩かれつつ基地の南東に向かう。
60km地点に到達した頃、一人のプロセッサーが息を呑み、報告した。
『おい!レギオンが見えてきたぞ!』
目の前には銀色の光の群れ、そしてそれはいつも通り砲撃に蹂躙されていた。いつもならここで一旦停止し、砲撃が終わるまで待ち、そして生き残ったレギオンを囲んで切り刻むだろう。
だが今日は違った。
『いつもの通りの仕事じゃつまらないだろう?だからこうしよう、今回レギオンを1番多く殺したプロセッサーに私秘蔵の美味しいワインを送ろう!』
元帥はそう言うと、まだ砲撃が行われている最中だと言うのにレギオンの群れに突っ込んでいった。
『あっ!あのクソ野郎!』
『ワインを俺らに寄越さない気だな?そうはさせん!野郎ども!元帥殿からほっぺたが落ちるほどおいしいワインをぶん取ろうじゃねえか!』
『元帥に続け!!』
そう口々に言いながら、プロセッサーもまた砲撃が行われている最中のレギオン群の中に突っ込んでいった。
元帥の戦闘技術には目を見張るものがあった。
まるで砲弾がどこに飛んでくるか、近接猟兵型の刃がどこを通るかが見えているかのように素早く機体を左右上下に振り回し、避け続ける。
それに続くプロセッサーたちも中々のもので、味方による猛砲撃の雨霰の中、砲弾をひらりひらりとまるで花弁が舞うように避ける。
『ワハハハハハ!楽しい、愉しい!!』
『元帥殿が壊れた!』
『この人でなしどもめ!』
巧みに戦場を駆け抜け、敵を斬りつける。それも一度では飽き足らず、何度も切り刻む。至近距離まで接近し、57mm砲の砲口を敵にピッタリとくっつけ、引き金を引く。
『愉しいなあ!メルツェル?!えぇッ?愉しいなあ!愉しいなあ!!』
『こりゃあだめだ、レギオンの方がまだ優しい』
『戦隊各員に告ぐ、元帥殿に近づくな。巻き添えで殺されても知らんぞ』
元帥の近くに寄ったレギオンは尽くサイコロステーキよりも小さく、丁寧に四角く切り刻まれ、それが砲撃の爆風で他のレギオンの元へ飛んでいき、機体を貫通する。それでも飽き足らずに、元帥……いや、もう鬼神か何かの類だろうか……は狂ったような機動でレギオンを殲滅し続ける。
その一方でプロセッサーたちはすっかり冷静さを取り戻し、砲撃範囲の外に退避して元帥の暴れようを遠くから眺めていた。
『あーあ、こりゃワインはお預けだな』
『ちくしょう、呑みたかったなぁ』
『見てみろよあのレギオン、まばたきする間に銀色の霧になってるぜ』
『ほんとだ、すげえな』
『何してる?!君たちも味わおうじゃないか!この喜びを!この歓びをッ!!闘い続ける、悦びをッッ!!!』
唐突に元帥から話しかけられる。その声からは抑えきれない喜びの色が溢れ、狂気が滲み出ている。
『いやあ俺らは遠慮しておきますよ元帥殿』
『さっきはたまたま砲弾に当たらなかったけどこれ普通なら死にますって』
『そうかそうか!ならそこで見ていろッ!これがリンクスの戦い方だッッ!!』
数十分後
「いやすまん、取り乱した。」
「あれは取り乱したなどと言うもんじゃありませんよ、まるで鬼神か何かが乗り移っていたようでした」
「本当に人間なのか疑っちまったよ」
スカベンジャーの機械音が響く中、レギオンの残骸を椅子にしてむさ苦しい男たちが話し込んでいた。
「そんなに楽しかったんですか?」
「というと?」
「ほら、戦闘中しきりに叫んでいたじゃないですか。“闘い続ける歓びをー”とか、“愉しい!”とか。」
「あとは“身体が闘いを求めているんだ”!そんなに戦うことが好きか?」
一つため息をついて、元帥は話し始めた。
「ああ、とても、楽しい。私が心より愛しているもの。妻ができたとしても、娘なり息子を設けたとしても、闘い以上に愛することはできないくらい愛している。戦うことはかつて私の存在意義だったんだよ、君たちみたいにね。」
そう寂しそうに言った。その眼差しは大地の奥深くを見透かすようであり、まるで地中に埋まった誰か……つまりもうすでにこの世のものではなくなってしまった何かを思うようであった。
「……さて!これで前線視察は終わりだ。何か要望は?」
元帥は何かを懐かしむ様子から一転していつものように冷徹かつ厳格な男といった雰囲気に戻った。その上でプロセッサーに視察の終わりを告げ、要望を聞いた。
「はい!もっと硬い殻が欲しいです!」
「装甲だな、覚えておこう」
「俺は装甲は今のままでいいからもうちょっと早い足が欲しいなァ」
「つまり機動戦がしたいということだな、わかった」
「火力ですよ!火力!レギオンの装甲を抜けないなんて話になりませんよ!」
「伝えておこう」
「椅子をもうちょっといいものにして欲しい!」
「わかった」
「じゃあ俺は……」
「私は………」
そうして話し込んでいると、いつのまにかスクラップ回収チームの作業も終わり、帰還の時間がやってきた。
しかし元帥のジャガーノートは大破、無茶な機動のせいで脚部アクチュエーターは故障し、砲架は外れかけ。装甲も遠心力で一部剥がれかけているし、エンジンもまともにかからない。
「……信頼性も大事だな…」
結局彼は他のジャガーノートの天板に乗せてもらって何とか基地まで帰ることができた。
ちなみにだが後日、第三強制収容所には大量の食糧や菓子、そしてプロセッサー宛には1961年産のボルドー、1962年産のブルゴーニュなどと言った共和国の最高級ブランドワインの中でも特に美味い当たり年のワインが送り付けられ、それは彼らがこの基地を離れた後でも大切に保存されていた。
ーーー
861:名無しの戦略家
やっぱりガチタンこそが至高
862:名無しの戦略家
重量二脚のあの重さがたまんねえんだよ、わからないかなーーこれが
863:名無しの戦略家
軽量こそが最優じゃぞ
864:元帥
満☆足
865:名無しの戦略家
何に満足したんでしょうなあ
866:名無しの戦略家
また粛清したんじゃね?
867:名無しの戦略家
あり得る
868:名無しの戦略家
てかそれじゃね?
869:元帥
だからワシを何だと思ってるんだ
870:名無しの戦略家
スターリン
871:名無しの戦略家
少佐
872:名無しの戦略家
“世に平穏の在らんことを”
873:名無しの戦略家
星暦22世紀最悪の独裁者
874:元帥
>>873勝ってるから最悪ではない
875:名無しの戦略家
前大統領の方が悪いよなあ?
876:名無しの戦略家
殺害人数だけ見ると……その…
877:名無しの戦略家
独裁者じゃないなら殺戮者で
878:元帥
そんなことはいいんだそんなことは
879:名無しの戦略家
良くない
880:名無しの戦略家
どれくらい殺したか言ってみろ、うん?
881:元帥
>>880お前は今まで食べたパンの枚数を覚えているのか?
882:名無しの戦略家
DIOォォォォォッ!!!!
883:元帥
前線視察中にレギオンの襲撃があったからちょっと戦ってきた。とてもたのしかったです(小並感)
884:名無しの戦略家
戦ってきた?!?!
885:名無しの戦略家
デスクワークだけじゃなくて実戦もできるのか……
886:名無しの戦略家
つよそう(小並感)
887:元帥
もうそれはすんごい楽しかった。久々に思いっきり羽を伸ばせたね、これであと十年は
888:名無しのコロラータ
で?ジャガーノートの件どうなりました?
889:名無しの戦略家
せや、今回の目的それだったな
890:名無しの戦略家
目的:一緒にジャガーノートに乗って苦しもう
891:名無しの戦略家
それは元帥がやることなのか……?
892:元帥
想像以上にジャガーノートがクソだったので早いところ工廠に改善命令と新型開発命令を出す予定
893:名無しの戦略家
そりゃ素晴らしい
894:名無しの戦略家
これで安心して戦えるな
895:元帥
というわけで一応この先必要になりそうな要素を確認したく思う
896:名無しの戦略家
安価?!
897:名無しの戦略家
安価で決める?!
898:名無しの戦略家
安価??
899:元帥
安価はしない、人の命預けるものだからな。全員の意見を一回汲み上げて、その上で取捨選択をさせてもらう
900:名無しの戦略家
妥当
901:名無しの戦略家
残念ながら当然
902:名無しの戦略家
面白くない
903:名無しの戦略家
>>902自分の命を預ける武器にして鎧が他人の気まぐれで決まるとか絶対嫌じゃろ?
904:元帥
というわけでここから書き込んでいって欲しい
905:名無しの戦略家
まず火力は必須、この先
906:名無しの戦略家
とにかく数に対処する能力が欲しい
907:名無しの戦略家
大攻勢の後でも脅威は次々と出てくるからどんな機体でも試作しとく分には損はないからどんどん試作兵器を世に送り出してほしい
908:名無しの戦略家
>>907お前珍兵器見たいだけだろ
909:907
バレたか、でもほんとに試作して見る分には役に立つからね
910:名無しの戦略家
クソでかい
911:名無しの戦略家
兎にも角にも耐える
912:名無しのコロラータ
現場の率直な意見としては扱いやすくて乗り心地がいいなら何でもいいです
913:名無しの戦略家
>>912じゃあジャガーノートのままでも良くね?
914:名無しのコロラータ
>>913それとこれは話が違う
915:名無しの戦略家
機動性は必須
916:名無しの戦略家
機動性はいらんからとにかく厚い皮膚とデカい砲、大正義火力を前面に押し出せ
917:名無しの戦略家
軽くて動きやすいってのがいいよね
918:名無しの戦略家
重砲を前線でも使いたくない……?使いたくない?
919:名無しの戦略家
>>918使いたい
920:元帥
ここまで、はぇー結構集まったな
921:元帥
ちなみに水爆の研究が進められるんだけど進めた方がいい?
922:名無しの戦略家
なにそれ聞いてない
923:名無しの戦略家
進めろ
924:名無しの戦略家
やっておいて損はない
925:名無しの戦略家
てか何で原爆と原子力理論の研究が飛ばせるん?
926:元帥
この世界には元々原子炉があるからね、原子力理論は飛ばせる。でも何で原爆を飛ばせるかはわからん
927:名無しの戦略家
実は俺らが知らないだけで原爆持ちどこかにいるんじゃない?
928:名無しの戦略家
あり得る
929:名無しの戦略家
世界がどんどん混沌に満ちていく……
930:名無しの戦略家
秩序を求めるならレギオンに人類皆殺しにさせた方がいいってそれ一番言われてるから
931:名無しの戦略家
(いうほど言われて)ないです
932:名無しの戦略家
>>926ちなみに乗り心地とかどうだった?
933:元帥
いやもう最悪だったゾ、軽く振り回しただけで大破しやがった
934:名無しの戦略家
軽く(軽くない)
935:名無しの戦略家
リンクスやレイヴンの軽くは全然軽くないってそれ1番言われてるから
936:名無しの戦略家
これは言われてる
937:名無しの戦略家
間違いない
938:元帥
なんかもう計器が見づらいし、なんなら椅子もシートベルトもガバガバで身体中ぶつけまくって全身青痣だらけだ。まだ新人リンクスで修理代もまともに払えなかった頃を思い出した
939:名無しの戦略家
そんなにか……
940:名無しの戦略家
俺らは性能面での良し悪しは知ってるけど実際の使い勝手はわからんからなぁ
941:名無しの戦略家
大いなる欠陥機からどうにかして大いなる凡作機まで持っていきたいところ
942:元帥
せやなぁ……明日にでも要求書を工廠に提出するか…
943:名無しの戦略家
がんばれー
944:名無しの戦略家
今度は間違えて2m砲発注した時みたいなことするなよ
945:名無しの戦略家
前回は何とか対応できたからいいけど今回も対処できるかはわからんからな
946:元帥
はいはいわかってますって
947:元帥
よし送信完了!
948:名無しの戦略家
間違いはないか!
949:名無しの戦略家
ほんとに良いか?
950:名無しの戦略家
指差し確認したか?
951:元帥
何が何だかわからんがとにかくヨシッ!
952:名無しの戦略家
それでは、ご安全に!
953:名無しの戦略家
現場ネコやめい
954:名無しの戦略家
死亡フラグを立てていくスタイル嫌いじゃないよ
955:名無しの戦略家
嫌いじゃないけど死んでもらっちゃ困るのでやめていただきたい
956:名無しの戦略家
今回ミスっても死ぬのは元帥閣下じゃないから……
957:名無しの戦略家
>>956間接的に死ぬやで
958:名無しの戦略家
発注ミスる→開発に失敗する→ジャガーノートで闘い続けなければならない→闘い続ける歓びを→アーマードコアの新作が出る
959:名無しの戦略家
>>958でも、そうはならなかった。
960:名無しの戦略家
どの世界線でもACの新作は発売されてないんだなって……
961:名無しの戦略家
ACすら無い世界もあるから多少はね?
962:元帥
うちの世界にはないぞ、そもそもフロムがない
963:名無しの戦略家
大多数の世界はそうよ
964:名無しの戦略家
まぁ運良く新作が出る世界に転生できるといいなぁ…
965:名無しの戦略家
このスレもそろそろ終わりやな
966:名無しの戦略家
誰か立てといてー
967:名無しの戦略家
立てたで>>https://“‘^%
968:名無しの戦略家
>>967乙
969:名無しの戦略家
>>967有能
970:元帥
そんじゃこのスレは適度に消化して次行こかー
971:名無しの戦略家
おー
…………
1001:名無しの戦略家
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